全国一多い保育所待機児 解決へ公立の役割発揮を
長谷正子・大阪市議に聞く<上>
(しんぶん赤旗 2001年12月13日)
厚生労働省の調査で、2001年の大阪市の保育所待機児数は、全国の政令市で最高となりました。日本共産党の長谷正子市会議員に、その解決の方法について聞きました。

“公立つぶし”“民間まかせ” 矛盾広がる市の対策 

長谷 のように、2001年4月1日現在の調査で、大阪市の保育所待機児童数は、1967人で全国一です。2年間で400人近くも増えています。
 とくに、大阪市は、市民の希望の多い零歳児の枠が極端に少なく、零歳児の待機児は数も待機率(入所児童に対する待機児の割合)も1位(2000年)です。
  
―どうしてなったのですか。

相次ぐ統廃合

長谷 大阪市は、全国平均と比べて、働く女性の割合が多く、保育所ヘの需要が他市以上に多いのに、保育所の整備をすすめるどころか、相次ぐ統廃合で公立保育所数も定員も蔵らしてきました。それが全国一の待機児数となっている最大の原因です。98年度と01年度を比較しますと、
公立保育所は、4カ所が続廃合でなくなりました。公立保育所への入所申込数は千人近くも増え
ているのに、定数は316人も減っています。これでは待機児が増えて当然です。

―いま、少子化と言われていますが、保育所への申し込みが増えているのはどうしてですか。

長谷 大阪市の零歳から5歳の人口は、92年から3,000人以上減少しています。それなのに、保
育所への希望が増えているのは、働く女性が増えているからです。全国では、有業率を年齢階層ごとにみると、結婚、出産、 育児のために25歳から34歳で低下し、M字型を描いているといわれています。ところが大阪市の場合は、30歳から34歳でわずかに低下するものの、年齢層があがるにつれて就労の割合も上昇し、すべての年齢層て6割以上の女性が働いています。大阪市は、子育て期の女性の有業率が高いのです。

―小泉内閣は、定員の25%増しという「つめこみ保育」のやり方にくわえて、保育所の設置・職員配置を決めた最低基準(国基準)をも「緩和」し、保育を民間営利企業などの手にゆだねようとしていますね。

25%以上民間に

長谷 そうです。公立の定数は減らし、民間保育所に定数の25%以上の児童を詰め込んでいるのが大阪市の「待機児対策」です。これには大きな矛盾がでています。
 第一は、定数以上の子どもが「詰め込まれている」民間保育所の保育士とこどもたちへの負担です。最高で定数の133%の児童が入所しています。希望の多い零歳や1歳では、6割、7割増しの子供が詰め込まれています。まさに「ぎゅうぎゅう詰め」です。
 第二は、民間任せでは、待機児そのものが減らないということです。民間保育所では、これからの少子化社会のなかで、再三の見込みが立たなければ、保育所を新設したり、保育室を増築して、受け入れ児童を増やすことはできません。「詰め込み」にもおのずと限界が出てくるのです。(つづく)

主な政令指定都市での保育所待機児童数
1999年4月 2000年4月 2001年4月
大阪市 入所定員数 35,230人 35,370人 36,009人
入所児童数 32,432人 33,590人 34,572人
待機児童数 1,568人 1,991人 1,967人
待機率 4.80% 5.90% 5.70人
京都市 入所定員数 23,685人 23,685人 23,790人
入所児童数 22,507人 23,176人 23,505人
待機児童数 597人 533人 532人
待機率 2.70% 2.30% 2.30%
名古屋市 入所定員数 30,844人 31,043人 31,378人
入所児童数 27,665人 28,621人 29,036人
待機児童数 739人 496人 537人
待機率 2.70% 1.70% 1.80%
神戸市 入所定員数 14,911人 15,163人 15,583人
入所児童数 13,914人 14,892人 15,383人
待機児童数 1,377人 1,449人 1,371人
待機率 9.90% 9.70% 8.90%