全国一多い保育所待機児 解決へ公立の役割発揮を
長谷正子・大阪市議に聞く<下>
(しんぶん赤旗 2001年12月13日)
増設、職員配置や体制改善 無駄遣いやめれば実現

――父母と子の期待に本当にこたえる待機児解消のために、いま何が必要なのでしょうか。

長谷 なによりも、「安上がり」政策ではなく、公的責任を明確にした対応が必要です。
 第一に、統廃合をやめ、待機児解消に必要な数の公立保育所を増設することです。要望の強い零歳、一歳の低年齢児の枠を拡大することです。
 大阪市零歳児の受け入れをしていない保育所が20カ所も残されています。また、昨年の大道、矢田第2保育所に続いて、西成区の東田保育所の廃止をねらっています。こうしたことをやめ、必要な地域に公立保育所を増設することです。

50億円で解消

 120人定員の公立保育所をあと、17カ所増設すれば、公立だけでも待機児を解消てきるので
す。 一カ所整備するために必要な経費は、約2億円ですから全部で50億円です。 一般会計が2兆円規模の大阪市でできないはずはありません。
 第二に、いま大阪市は、公立保育所を新たに建設するのではなく、いまの保育所に定数以上の児童を詰め込むとともに、保育士の配置基準も改悪して形だけの待磯児解消をねらっています。
 これは、民間同様、公立保育所での保育の質の低下を招くだけです。すでに28カ所で定数以
上の児童を受け入れています。現在、保育士の配置基準は、保育士1人に対して1歳児は4人、3歳児は15人ですが、それを民間並みに1歳児5人、2歳児20人に切り下げようというのです。数十年前に決められた国の配置基準は、1.2際児で6人、3歳児で20人、4.5歳児で30人で、諸外国と比べても格段に少ない職員配置を改善することこそ必要です。
 ところが大阪市は、この国の貧弱な基準に対して、地方自治体独自で上乗せしてきた努力を放棄して、逆に国の基準に近づけようというのです。公立の配置基準の引き下げは、私立に対して、公私間格差是正を理由にして出している運営費助成の根拠をもなくすことにつながり、私立運営をいっそう困難にすることに道を開きます。こうしたやり方をやめさせることが必要です。
 第三に、保育時間を、勤務時間と通勤時間の実態にあわせたものに改善し、産休あけ保育を公立でも実施することなど、公立保育所を父母の願いにかなったものに改善することです。

11時間保育必要
 定数に入所者が満たない公立保育所は、保育の体制や内容が父母の要望に合っていないことが原因です。最低限、保護者の勤務時間と通勤時間をあわせた11時間を超える保育時間は当然です。
 先月開催された決算特別委員会に、私も委員として出席しました。5,000億円から6,000億円の事業費をかける夢洲のまちづくりや第三セクターの銀行率の支払いに543億円もの公金が投入されるなど、大型開発の無駄遣いはひどいものです。こうした無駄遣いをやめさせ、本当に子育ての安心できる大阪市の実現のためにがんばりたいと思います。
(おわり)