意見書の経過
12月18日の閉会本会議での意見書

 18日の閉会本会議では「ILO「パートタイム労働に関する条約」の批准を求める意見書」が全会一致で採択されました。「医療制度改悪」についての意見書は、字句修正など折衝を行いましたが採択に至りませんでしたので、日本共産党、他党とも意見書案を取り下げました。



 
(共同提案・採択)

ILO「パートタイム労働に関する条約」の批准を求める意見書(案)

 1994年6月、ILO(国際労働機関)総会において「パートタイム労働に関する条約(175号)」及び「パ一トタイム労働に関する勧告(182号)」が採択された。この条約は、わが国も批准している「家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約(156号)」、及び勧告(l65号)の諸規定のパートタイム労働者への関連性等に留意し、採択されたものである。この条約では、各国にパートタイム労働者の権利や社会保障、労働条件等のフルタイム労働者との「均等待遇」を保障する措置を講ずることを義務付けている。
 この間、わが国のパートタイム労働者は増加の一途をたどり約1,100万人と全雇用者中の約25%となっている。その約70%は女|性であり、また女性雇用労働者の3分の1以上をパ一トタイム労働者が占めている。1993年にパートタイム労働者の労働条件の格差是正や福利厚生の充実を目的として「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート労働法)」が施行されたが、低賃金や不安定雇用に加えて家族的責任を持つがゆえの不利益は解消されておらず、近年は雇用情勢の悪化もあって賃金格差は拡大するなど、フルタイム労働者との均等待遇を求める声は強まっている。
 また、1998年の厚生白書においても少子社会の要因の一つにパートタイム労働の低賃金をあげており、その是正が必要であると指摘している。
 よって国におかれては、パートタイム労働者の実効ある待遇改善と、仕事も家族的責任も男女が共に分かち合える男女共同参画社会の実現に向け、早期にILO「パートタイム労働に関する条約」の批准をされるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(日本共産党原案・取り下げ)

 医療制度改悪に反対する意見書(案)


 このほど、政府・与党の社会保障改革協議会は、健保本人3割負担や保険料引き上げを盛り込んだ「医療制度改革大綱」をまとめたところである。
 この大綱の元になったのは、言うまでもなく厚生労働省の試案であるが、これには、余りにもひどすぎるとして、医師会や老人会など広範な国民各層からの反対の声がわき起こって、社会保障審議会の医療保険部会をして、厚生労働相に提出した意見書の中で、「さらなる患者負担は認められない」「給付率は8割で統一すべき」との反対意見を併記せしめた程である。
 ところが、政府・与党は、こうした国民世論の前に、「大綱」において、厚労省試案からは極わずか国民負担を和らげたものの、健保3割負担や保険料の引き上げをはじめ、高齢者についても、一定所得以上は2割負担にすると共に、通院の負担上限額を撤廃するなど、国民に大きな負担増を押しつけるものとなっている。
 なかでも、健保3割負担の導入は極めて重大で、これが実施されると、厚労省の試算では、年間4000億円もの患者負担となる上、4500億円に及ぶ受診抑制が起きるとされているのである。
 そもそも、医療保険は国民が安心して病気の治療に専念できるようにつくられたものであり、これでは、この制度の根本が揺らぐことになりかねない。また同時に、医療の基本は、病気の早期発見、早期治療なのであって、必要な受診が抑制され、その結果治療が遅れれば、病気は一層重くなり医療費も逆に膨らむことは、97年の健保2割負担の結果を見ても明らかである。到底、国民の理解を得られるものではない。
 よって、国におかれては、国民への更なる負担増となる「医療制度改革大綱」は撤回し、医療改悪は行わないよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(他党原案・取り下げ)

 医療制度改革に関する意見書(案)
 
 医療制度は、年金と並ぶ社会保障の基盤制度であるが、急速に進む高齢化、経済の低迷、医療技術の進歩など、近年、それらを取り巻く環境は大きく変化しており、将来にわたって持続可能な制度としての再構築が求められている。
 このような中で、去る11月29日には、政府・与党社会保障改革協議会によって「医療制度改革大綱」が取りまとめられ、特に、現下の危機的状況にある医療保険財政等を踏まえ、診療報酬の引き下げ、サラリーマン本人の患者自己負担の増(2割から3割へ)や保険料の引き上げ、高齢者の患者自己負鼠の原則完全定率化(70歳以上、1割)など、取り組むべき具体的な医療制度改革案について議論が進められ、次期通常国会には関連法案等が提案されようとしている。
 しかしながら、法案の成立までには関係者間の厳しい意見の対立等も予想されるところであり、調整が難航し、結果として制度改革が遅れるようでは、国民の不信感を増大させるのみならず、国民生活にも重大な影響を及ぼす事態を招かないとも限らない。
 よって国におかれては、医療制度のもつ国民の生命と健康を支えるという極めて重要な役割にかんがみ、法案の作成・審議等に当たっては、国民の理解と支持が得られるよう十分な議論を尽くされるとともに、引き続き、将来にわたって持続可能な安定的な医療制度となるよう保健医療システム、診療報酬体系、医療保険制度全般にわたる総合的な改革を進められるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。