「自動車排ガスによる道路公害の持ちこみ反対」−と、大阪市此花区の正蓮寺川への高速道路建設計画で住民と日本共産党の十数年のねばり強い運動が実りつつあります。高速道路の構造が、周辺に排ガスをまきちらす「掘割構造」から「全面フタかけ構造」へと変更になる見通しになったからです。(大阪府・生島貞治記者)
阪神高速道路公団は、1985年に大阪市此花区の正連寺川を埋め立てて高速道路にする計画(淀川左岸線一期)を発表しました。
「区民の会」結成
住民は、「貴重な正蓮寺川の水面を残せ」、「自動車排ガスによる道路公害持ちこみが不安」と日本共産党とともに「正蓮寺川を残した河岸公園実現・公害道路を“つくるな」区民の会(「正蓮寺川区民の命」)を結成し、住民運動を開始しました。
高速道路は86年8月「掘割構造」のまま都市計画決定されました。しかし、その後、道路公害に反対する住民運動の盛りあがりのなか、89年9月の大阪市議会で「全面フタかけ」の請願が全会一致で採択されました。市長は翌年、議会に 「脱硝装置の実用化など4つの条件が解決するならフタかけはできる‥実現に努める」と報告しました。
91年に道路公団は「『「フタかけ』4条件は道路供用開始までには十分解決すると確信する」との文書を出し、正蓮寺川区間2.2kmの工事を開始。現在、川半分の埋め立てが終わっています。
「4条件」は可能
先月19日に開かれた大阪市議会決算特別委員会で日本共産党の
瀬戸一正議員は、「『全面フタかけ(トンネル)構造』にするための『フタかけ4条件』は解決可能なところにまできており、全面フタかけ構造にするための都市計画変更を行うべきではないか」と質問。日本共産党の吉井英勝衆院議員とともに今年8月、脱硝装置を開発している国土交通省道路局の調査結果を示して、「今回の実用化実験は、国や道路公団が設置可能な開発目標を立ててのぞんでいる。大阪市はこの実用化と正連寺川区間への設置を国に求めるべきだ。そして大阪市の公約とも言える全面フタかけをじつげんするべきだ」と求めました。
大阪市は「自動車走行の安全性、河川内の換気所設置、河川を遊水池として確保するという3条件解決のめどはついた。残る脱硝装置の実用化は実験継続中だが、全面フタかけ構造にすめための都市計画変更手続きに着手したい」と答弁しました。
「正連寺川区民の会」の大西妙子(48)は、「反対するだけでなく計画決定後も、住民が考てどうすべきか対案をして来たのが大きな成果につながった」と話しています。此花区春日出の和久利正子さん(58)は「公害たれながしの道路は、都市部ではつくれないという流れができつつある」と語っています。