2002年度国民健康保険事業会計の
第1回
補正予算に反対討論
5月31日の開会本会議で姫野浄議員
私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第九十六号平成十四年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算(第一回)について、反対の討論を行います。当予算は、平成十三年度の累積赤字二百八十六億円を十四年度の予算の繰り上げ充用、すなわち十四年度の歳入からの先食いで措置し、その財源については、保険料の増額百四十三億円、国庫支出金の増額百四十三億円であてるいうものでありますが、根本的な改善を国に求めることもなく、財源を保険料収入に求めるべきではありません。いまこそ必要なことは、二百八十六億円もの膨大な累積赤字がなぜ生み出され、本年度も繰り上げ充用という予算措置をなぜ余儀なくされたのかという、問題の根源に向けた分析と取り組みであります。
このような多額の累積赤字を計上するに至った最大の原因は第一に昭和五十九年の退職者医療制度導入に伴う国庫支出金の大幅な削減であります。当時医療費の四十五パーセントであった国庫支出金は三十八・五パーセントへと大幅に減らされました。これが当時と同じ比率の負担割合であったならば、大幅な増収となり、赤字を計上しないで、国保料金も大幅に値下げが可能であることは当然であります。さらに政府は、徴収率によるペナルティーを課し、平成九年度から十三年度までの五年間で普通調整交付金のカット額は五十六億円にも上ります。低所得者の比率の多いことが本市国保加入者の特徴であります。高い国保料金に市民が耐えかねて、徴収率が低下すると、ペナルティーをかけて、それでなくても苦しい国保財政をさらに圧迫するという全く言語道断の政府のやり方は許されるものではありません。また、諸外国に比べて異常に高い独占薬価に対して、自民党、公明党の内閣は政官財の癒着構造を放置し、メスを入れてこなかったことも、本市国保財政赤字の大きな原因となっているのであります。
第二は、このようななかで、単年度収支均衡を取るための責任ある措置を大阪市がとってこなかったことも、累積赤字を膨大に積み増ししてきた原因であります。市民の暮らしにも、大阪経済の再生にも役立たず、破綻が明確なA TC、WTCなどの第三セクターの赤字には巨額な市税を投入して穴埋めをしておきながら、市民の四十パーセントが加入する国保会計の赤字は放置して、ずるずると毎年先送りしてきたことも、今日の膨大な赤字をつくってきた、要因の一つであります。
第三に、相次ぐ国保料金の値上げによって、市民の負担は限界を超えていることであります。高すぎる国保料金は滞納の増加を招き、徴収率は平成十二年度は八十七・八パーセントに低下し、十三年度はさらに一パーセント近く低くなると予測されています。値上げにより滞納額が増加し、これが赤字の増加になり、また、保険料値上げという悪循環を繰り返しているのであります。こうした悪循環を国と大阪市の責任で断ち切ることなしに、国保財政を正常化し、再建して市民の暮らしと健康を守ることは絶対にできないことは明らかであります。
第四に、他市にない、大量の資格証明書や短期保険証を発行し、市民の医療を受ける権利を奪っきたことも、国保の破綻の道に拍車をかけています。元々、大阪市は他の政令都市と比較して、医療を受ける件数は少ないが、一人あたりの医療費は高いというのが特徴になっています。従って早期発見、早期治療こそ、医療費の高騰を防ぎ、国保財政にもプラスになることは、先の国保運営協議会のなかで、医師会代表の委員からも指摘のあったところであります。医療を受ける権利を抑制するということは、結局市民の命と健康を奪うばかりか、国保財政にも悪影響を与えるものであります。
ところが大阪市は、窓口で医療費を百パーセント支払うことが必要な資格証明書を本年二月末現在2,634世帯に発行し、また、三ヶ月間の短期保険証を12,772世帯に交付し、短期証の期限切れの14,124世帯に対しては窓口に来ないからといって未交付のままという異常な事態をつくっているのであります。保険料滞納を理由に資格証、短期保険証交付などの罰則を与えることは市民の医療を受ける権利を奪い、国保を崩壊に追い込むものであり、このような制度、やり方そのものをやめるべきであることを強く求めるものであります。
こうして、根本原因にいまこそメスを入れ、破綻寸前の国保財政の建て直しに足を踏み出すべきときであります。しかし、民生保健委員会での私の質問に対して、当局は国の医療改革の進展を見守るとの無責任な答弁に終始しました。小泉内閣がすすめている医療改革とは、改革の名には全く値しません。患者負担の大幅増や老人医療の大改悪など、医師会も患者も医療保険の加入者からも大反対されている代物であります。そして国保に対してやろうとしていることは、料金の連続値上げと、医療を受ける権利を奪う保険証の取り上げであります。まさに、今回の補正予算案は、こうしたやり方の破綻ぶりのなによりの証明であります。日本共産党は、こうした市民へ激痛を与え、医療保険の破壊につながる国保対策を許さず、いまこそ抜本的に改めるべきことを再度要求して、反対討論といたします。