第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地域金融の機能が低下している現状にかんがみ、地域金融の 活性化に関する本市の責務を明らかにするとともに、本市が講ずる地域金融の活 性化のための施策に関し必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「中小企業者」とは、中小企業基本法(昭和38年法律 第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、本市の区域内に店舗、 事務所、工場、事業場、施設等を有するものをいう。
2 この条例において「金融機関」とは、預金保険法(昭和46年法律第34号) 第2条第1項に規定する金融機関であって、本市の区域内に営業所等を設けて地 域金融に係る業務を行うものをいう。
(基本理念)
第3条 地域金融については、地域の住民、事業者等の金融上の要望にきめ細かに 対応し、地域経済の健全な発展に貢献する重要な機能を有するものであることに かんがみ、利用者の利便の増進が図られ、地域において社会的に要請されている 望ましい分野に必要な資金が十分に供給される等その活性化が図られなければな らない。
2 地域金融の活性化を図るに当たっては、地域経済の重要な担い手である中小企 業者の事業活動に必要な資金が安定的に供給されるよう特に配慮されなければな らない。
(金融機関の責務)
第4条 金融機関は、金融業務の公共性にかんがみ、基本理念にのっとり、利用者 の利便の増進を図り、地域において社会的に要請されている望ましい分野に必要 な資金を十分に供給する等地域金融の活性化に寄与するように努めなければなら ない。
2 金融機関は、基本理念にのっとり、中小企業者の事業活動に対する信用の供与 に関して、均等な機会を保障すること、十分な説明を行うこと、貸付条件を正当 な理由なく変更しないこと等中小企業者の事業活動に対する必要な資金の安定的 な供給に特に配慮しなければならない。
第2章 地域金融の活性化に対する寄与の程度に関する評価
(地域金融の活性化に対する寄与の程度に関する評価)
第5条 大阪市地域金融活性化委員会(以下「委員会」という。)は、個々の金融機 関について、第7条の規定により提出される報告書に基づき、本市の区域内にお ける地域金融に係る業務の運営に関し、次に掲げる事項の調査を行い、その結果 に基づき、毎年1回、地域金融の活性化に対する寄与の程度に関する評価を行う ものとする。
(1) 本市の区域内の個人又は事業者に係る貸出金残高及び当該残高の貸出金の総 額に占める割合
(2) 本市の区域内の個人又は事業者に係る預金残高及び当該残高の預金の総額に 占める割合
(3) 本市の区域内の個人又は事業者に係る市長が定める金額以下の貸出の件数及 び金額
(4) 中小企業者に係る貸出金残高及び当該残高の本市の区域内の事業者に係る貸 出金残高に占める割合
(5) 中小企業者に係る担保を提供させない貸出金残高及び当該残高の中小企業者 に係る貸出金残高に占める割合
(6) 中小企業者に係る融資の申込みから融資までに要する平均日数
(7) 本市の区域内の個人に係る生活資金の貸出の件数及び金額
(8) 本市が行う事業に対する資金協力の実績
(9) 本市が行う融資制度に係る取扱いの実績
(10) 中小企業者の創業の支援の実績
(11) 利用者の金融上の要望の把握の状況その他の利用者の利便の増進に資する業 務の実績
(12) 利用者に不利と認められる事項が記載された契約約款の使用の有無
(13) 融資基準の書面による公表の有無
(14) 融資を拒否した場合における拒否の理由の書面による通知の有無
(15) 融資条件を正当な理由なく変更した事例の有無
(16) 融資条件を変更した場合における変更の理由の書面による通知の有無
(17) 取引において十分な説明をしなかったことにより利用者に不利益を与えた事 例の有無
(18) 利用者からの苦情を処理する体制の整備の状況
(19) 利用者の利便を害する営業所又は事務所その他の施設の移転又は廃止の有無
(20) 前各号に掲げるもののほか、地域金融の活性化に対する寄与の程度を評価す るために必要な事項として市長が定めるもの
(評価報告書の作成及び公表)
第6条 委員会は、毎年、前条の調査及び評価の結果を記載した評価報告書を作成 し、これを市長に提出するとともに、大阪市公報で公表するものとする。
(報告書の提出)
第7条 金融機関は、各営業年度又は事業年度ごとに、市長の定めるところにより、 第5条各号に掲げる事項の調査に必要なものとして市長が定める事項を記載した 報告書を作成し、委員会に提出しなければならない。
第3章 苦情の処理
(苦情の処理)
第8条 委負会は、本市の区域内の地域金融に関する苦情について解決の申出があ ったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、苦情の解決のあっせん を行うものとする。
2 委員会は、苦情の解決に当たり、第16条の規定による市長の要請が必要であ ると認めるときは、市長に対し、速やかに、当該苦情の内容を通知しなければな らない。
第4章 大阪市地域金融活性化委員会
(設置)
第9条 地域金融の活性化に対する寄与の程度に関する評価、苦情処理等を行う合 議制の機関として、委員会を置く。
(所掌事務)
第10条 委員会は、この条例の規定によりその権限に属させられた事項を処理す るほか、市長の諮問に応じ、地域金融の活性化に関する重要事項を調査審議し、 及びこれらの事項に関して市長に建議することができる。
(組織)
第11条 委員会は、委員10人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が任命する。
(1) 学識経験のある者
(2) 住民、事業者、金融機関等の意見を代表すると認められる者
(任期)
第12条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残 任期間とする。ただし、再任を妨げない。
(委員長)
第13条 委員会に委員長を置き、委員のうちから、委員の互選によってこれを定 める。
2 委員長は、会務を総理する。
3 委員長に事故があるときは、委員のうちから委員長があらかじめ指名する委員 が、その職務を代理する。
(会議)
第14条 委員会の会議は、委員長が招集し、委員長がその議長となる。
2 委員会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
(委任)
第15条 この章に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長 が定める。
第5章 雑則
(金融機関等への要請)
第16条 市長は、第5条の調査及び評価又は第8条の苦情の処理に関し必要があ ると認めるときは、金融機関、関係行政機関その他の関係者に対し、地域金融の 活性化に関する事項について必要な要請をすることができる。
(施行の細則)
第17条 この条例の施行について、必要な事項は、市長が定める。
第6章 罰則
(罰則)
第18条 第7条の規定による報告書の提出をせず、又は当該報告書に記載すべき 事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしてその書類の提出をした者は、50万 円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法 人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰 するほか、その法人又は人に対して前項の刑を科する。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
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