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介護保険条例改正(案)

北山議員の提案説明

(2006年11月30日、大阪市議会閉会本会議)

北山良三市会議員

2006年11月30日

 

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただ今上程されました議員提出議案第33号、「大阪市介護保険条例の一部を改正する条例案」について、その内容と提案理由について説明いたします。

 まず、改正内容の第一は、介護サービス利用料の減額措置をとるということであります。施設介護・居宅介護、そして、今年度から新たに始まっている介護予防サービスや地域密着型介護サービスなど、すべての利用料について、現在の利用者負担割合の10%を3%に引き下げ、利用者負担の軽減をはかろうというものです。

 第二は、高齢者の保険料の軽減措置をとるということであります。所得階層第1段階、第2段階、第3段階、つまり、住民税非課税世帯までは、保険料を無料とし、所得階層第4段階から第8段階の方については、それぞれ現在の保険料を25%減額しようというものです。もちろん、来年度の経過措置対象者についても、その25%を減額することといたします。

 次に、その提案理由を申し上げます。

まず第一に、この間、高齢者とその家族の皆さんの、介護保険制度による経済的負担が一層重くなっているということであります。

国の悪政によって、介護保険制度そのものが次々と改悪され、実施に移されています。 昨年10月から、施設で介護を受けておられる皆さんの食費や居住費の負担が、大幅に増やされました。その結果、経済的理由で施設からの退所を余儀なくされたり、デイサービスでの食事の提供を断り、家から持ってきたカップラーメンをすするという事態も生まれています。また、今年の10月からは、軽度の介護認定者への車椅子や介護ベッドの貸し出しを保険適用からはずし、取り上げてしまうという仕打ちも実行に移され、高額の費用を投入して新たに購入せざるを得ない状況が発生しています。

そして大阪市も、国の改悪に対する独自の施策が皆無に等しい状態で、これらをそのまま受け流すと同時に、今年度からは介護保険料を大幅に引き上げているのであります。4月と7月に市から届いた介護保険料の通知を見た高齢者の皆さんは、一様に、驚きと怒りに打ち震えたのであります。

住民の福祉の増進を役割とする自治体として、大阪市は今からでも、介護保険制度での独自の住民負担軽減策を講じるべきだからであります。

第二に、この間、介護保険制度のみならず、税制の面からも、医療制度の面からも、年金制度の面からも、そして大阪市が運営する国民健康保険制度の面からも、たたみかけるように、雪だるま式に、高齢者とその家族の負担が増やされ、もはや耐え切れない状況に追い込まれているということであります。

 税制においては、老年者控除が廃止され、公的年金控除は縮小されました。所得125万円までの住民税非課税措置も、高齢者は除外されることになりました。これらの結果、一昨年は所得税も住民税もゼロだったものが、昨年から所得税が、そして今年からは住民税が課税されている高齢者が、大幅に増えているのです。

 医療制度の面からはどうでしょう。70歳以上のお年寄りがお医者さんにかかった時の窓口負担は、1回850円の定額制から原則1割負担あるいは2割負担になり、今年の10月からは2割負担の方は3割負担になりました。1年4ヵ月後には1割負担の方は2割負担になります。70歳まではみんな3割負担を強いられております。しかも1年4ヵ月後からは75歳以上の後期高齢者全員を強制加入させる医療保険をつくり、その高くなる保険料を無理やり年金から天引きするというのです。介護保険料と合わせると、月1万円から1万2千円程度になると言われています。2年半前、「今もらっている年金は下げません」との宣伝で実施された年金改革だったのに、実際は、年金が下げられているのです。まったく理不尽ではありませんか。

 それに輪をかけるように、大阪市は今年から高齢者の国民健康保険料を大幅に引き上げました。国保料の通知が届いた6月半ばから、月末までのわずか2週間ほどで、12万4千人も各区役所に詰め掛け、「何かの間違いではないか」「こんな負担には耐えたれない」との声が寄せられたのであります。

 こんな状況にあって、せめて介護保険料や利用料の軽減措置を講じるということで、市民、とりわけ高齢者の皆さんの「くらしと命を支える」という、大阪市としての姿勢を示すべきだからであります。

第三に、「税金のムダ使いをやめて、税金は市民のくらし・福祉にこそ有効に使え」との市民の強い批判の声に、今こそしっかりと応えなければならないということであります。

人が住まない島に、1300億円もの事業費をつぎ込んで、地下鉄と道路の海底トンネルづくりの工事まで進めている夢洲開発。いわゆる「ハコモノ」に次々と公金を投入し、WTCATCMDC・大阪ドームなどの三セク事業の破綻。フェスティバルゲート・オスカードリームなどの土地信託事業の破綻等々、大規模開発での税金のムダ使いに、市民の厳しい批判が高まっています。そして、昨年大問題になった職員厚遇の見直し問題に加えて、芦原病院や飛鳥会問題などをはじめとした、乱脈・不公正な同和行政の全面的終結を求める市民の声も、急速に強まっています。

今回の介護保険条例の改正提案は、まさに「税金のムダ使いをやめて、税金は市民のくらし・福祉にこそ有効に使え」の声に、しっかり応えるものだと考えるからであります。

最後に、「サービス量を増やせば保険料の引き上げにはねかえる」という今の介護保険の仕組みを、国と自治体の負担割合を大幅に引き上げる方向で見直すなど、国がつくりあげた制度の抜本的改革なしには、介護保険が抱えるさまざまな問題の解決がはかれないということは、言うまでもありません。

国にこのことを強く求めるべき時です。そして、そのためにも、この大阪市が一般会計からの思い切った繰り入れを行い、安心できる介護保険制度実現への先駆けとなることこそ、国の姿勢に大きな影響を与え、制度の抜本的改革を促す大きな力になると確信するものであります。

 議員の皆さんのご賛同を重ねてお願いいたしまして、提案説明といたします。