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大阪市乳幼児等医療費助成条例」(案)

長谷正子議員の提案説明

(2006年11月30日、大阪市議会閉会本会議)

長谷正子市会議員

2006年11月30日

 

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表し、ただ今上程されました議員提出議案第32号「大阪市乳幼児等医療費助成条例」案について、提案理由とその内容について説明いたします。

 内容は、現行の乳幼児医療費助成制度の対象を、現在は小学校就学前までですが、通院・入院とも小学校卒業までに拡大するとともに、1日当たり500円、月2日を限度とする一部自己負担をなくし、所得制限も撤廃する等の改善をおこなうというものです。乳幼児医療費の助成制度に関するわが党議員団の条例提案は、今回で18回目です。

 次に、提案理由です。提案理由の第一は、この乳幼児医療費無料制度の拡充が、大阪市の子どもの命と健康を守るうえで、不可欠であるからです。本来、すべての子どもは、憲法や児童福祉法に定められているように、愛され、すこやかに育てられることが保障されなければなりません。また、地方自治法では、地方自治体の役割は住民の福祉の増進を図ることだと定められています。わが党はこの立場から、毎年の予算要望でも強調しておりますように、子どもの医療費は義務教育終了まで、つまり、中学校卒業まで助成することが必要だと考えますが、当面、少なくとも小学校卒業までは助成するべきです。

今、非正規雇用の急増に加え、年金のカット、所得税・住民税の増税、医療費や健康保険料、介護保険料などの負担増によって、高齢者も若い世代も、みんな生活が苦しくなったと感じています。政府は、景気の回復を宣伝していますが、日銀の「生活意識に関するアンケート調査」の結果を見ると、一年前と比べて「景気が悪くなった」「変わらない」と答えた人が8割以上を占めています。国民の圧倒的多数は景気回復を実感できていません。とりわけ、子育て中の世帯には、子どもの突発的な病気や怪我による思いもよらない支出が、家計の重い負担となっています。

厚生労働省がこのほど発表した「21世紀出世児縦断調査」では、約3分の2の家庭が子育て費用を「負担に思っている」と回答しています。また、子どもの医療費負担や保育サービスの後退、労働法制の規制緩和など、子どもを育てる環境の悪化は、深刻な少子化の原因にもなっています。女性が一生に産む子どもの平均数、合計特殊出生率は昨年1.25となり、過去最低を5年連続で更新しました。なかでも大阪は、1.16と全国ワースト5になっています。

こうしたなかで、多くの大阪市民は、子育ての障害を取り除く施策、とりわけ、乳幼児医療費助成制度の改善や拡充を強く願っています。その声の一部を紹介します。「昨日、3歳の子の熱が出て、かかりつけの医院で500円。夜中に高熱になり、救急病院に行き500円。翌日にかかりつけの医院に行くよう言われて、今日また500円。一部負担になって、早い目にみてもらうことができなくなった」「小児科、耳鼻科、皮膚科と、2人の子どもがつづいて通うので、あっというまに5、6000円かかってしまう」「所得制限で医療証がもらえていない。家族で毎月1万円以上の医療費がかかる。上の子がぜん息で入院することもあり、すごい負担になる」「小学生の子どもが、去年就学前に入院したときは一部負担ですんだのに、今年は同じように入院して1週間で8万円以上かかった。1年ちがいで、医療費助成があるとないでは大変なちがいです」このように助成の拡充を要望されているんです。大阪市は、将来大阪市を支え担っていく子どもたちの未来のために、この願いをしんしに受けとめ、制度の改善、拡充をはかっていくべきではないでしょうか。

大阪市は、「財政が危機的状況だ」と、市民の願いを拒否する口実に財源がないことをあげてきました。大阪市の財政危機の原因は、福祉のためにお金を使いすぎたからではありません。むだな大型開発を優先し、乱脈な同和事業を温存してきたからです。ここを見直せば、市民の願いにこたえる財源は出てきます。

提案理由の第二は、乳幼児医療費助成制度の拡充が、全国の大きな流れになっているからです。厚生労働省の調査では、2005年4月現在、小学生も助成の対象にしている自治体は、通院が137、入院が196まで広がっています。また、助成の対象を中学生まで拡充する自治体も生まれています。たとえば、東京23区は、すべての区が小学校就学前まで、通院も入院も、所得制限なし、自己負担もゼロで助成していますが、3区では小学校3年生まで、5区では小学校卒業まで助成しており、それ以外に、10区では中学校卒業まで入院の場合助成し、その内2区は外来も助成しています。こうしたなかで、東京都としても来年10月から、小学生・中学生の医療費を自己負担の3分の1助成する方針です。

 議員のみなさん。乳幼児医療費助成制度の意義について、大阪市も「近年における少子化社会に対応し、21世紀の担い手である子どもたちを安心して生み、心身ともに健やかに育てる環境づくりの一環として、若い世代の子育て層の経済的負担の軽減を図るため」と説明しています。この制度の拡充は、政党の支持のちがいをこえて、多くの市民の共通の願いであり、子や孫が大事にされる大阪市の実現を、議会に期待しているのではないでしょうか。ぜひ、この条例案にご賛同いただき、可決・成立させていただきますよう、かさねてお願いし、私の提案説明といたします。