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市議団の実績

2001年1月22日本会議
石川莞爾議員の討論、学童保育の拡充は市民の願い
 

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただ今議題となっております議案第1号「大阪市学童保育条例の制定について」に関して、磯村市長に質問致します。

 ご承知の通り、学童保育への支援を求める署名は、毎年関係者の手で行われてきており、1995年には20万2000、99年には34万4000など、95年以降だけで76万8000という数に達しているのであります。毎年、多くの請願や陳情が大阪市会に持ち込まれますが、これほど多くの署名が添えられての請願は、他に例がありません。
 申すまでもなく、今回の直接請求は地方自治法第74条1項に基づいて提出されたものであり、画期的な請求であります。この制度は、市長をして、議決機関である議会を開会せしめるものであるだけに、選挙区ごとに代理人、つまり受任者を登録して署名を集めなければならないとか、1カ月以内に有権者の50分の1以上の署名を集めることが義務づけられているとか、区内の有権者であるかどうかを選挙管理委員会がチェックするとか、厳密で繁雑な手続きが要求されております。
 したがって、市民の皆さんが、この直接請求に及んだこと事態が、要求の切実さを物語っていると同時に、相当の決意を持って臨んだことを示しているのであります。実際、この署名運動に取り組まれた関係者のお話を聞きますと、病院やスーパーの前に1人立って署名を集めた方がある、1人で770人分の署名を集めたお父さんがおられるそうですし、夕食を済ませると子供さんを家に残して夜遅くまで連日署名に出かけたお母さんは、最終日には深夜12時まで駅前で頑張ったそうであります。
 しかも、陰湿なさまざまな妨害が各地で行われたのであります。
 そうした中で集められた、今回の署名、14万1133は文字どおり汗と涙の結晶であります。
 これだけの署名が集まったのは、学童保育がこの30年間にわたって地域のなかで果たして来た役割を、広範な市民がキチンと評価していることのあらわれであり、子供を大事にして欲しいと言う願いが強いことの証明でもあると考えます。
 直接請求に必要な数の約3.5倍のこの市民の声を、市長がどう受け止めておられるか、まず最初にこの点をお聞きしたいのであります。 

 第2に、市長は、留守家庭児童の対策を、従来の「要綱」でよしとし、条例化の必要がないとしている問題についておたずねします。
 市長は、「留守家庭児童対策として、民間学童保育に対しても助成している」とのべておられます。もちろんこれは、「要綱」にもとづくものですから、市長の主張は
「要綱」で十分対処できるとするものであります。
 また同時に、「いきいき放課後事業は、留守家庭児童を含むもので、適切な遊びと生活の場が与えられている」とものべられました。しかし、後でもふれますが、この「いきいき放課後事業」は、いわゆる民間学童保育とは明らかに性質を異にする事業なのであります。
 いま、大阪市など地方自治体に求められているのは、民間学童保育そのものの拡充であります。
 この間の国の動きを見ましても、2年前に、内閣総理大臣が主宰する「少子化への対応を考える有識者会議」の提言がだされておりますが、その中でも「学童保育の対象年齢を拡大すること、実施時間や期間の充実をはかること、実施箇所を増やすこと、生活空間の改善、指導員に係わる資格制度の創設」などを具体的にあげ、「早急に検討、実施すべき」と指摘しているのであります。
 また、その後に策定された、国の「新エンゼルプラン」でも、学童保育は重要な課題として位置付けられていますし、国が法制化して以降の全国の流れは明白です。
 言うまでも有りませんが、要綱は市長の一存でいつでも改廃できる内部的規範です。条例は法令ですから拘束力が強く、当然のことですが、改廃するには議会の議決が必要です。国のプランも全国の自治体の流れも大きくみれば、条例化の方向です。
 つまり、こんにち大阪市に求められているのは「第2種社会福祉事業」として法制化された学童保育について、自治体としての公的責任をより明確にし、学童保育の役割を保障するための最低条件や財政措置などを明記した条例化なのであります。
 自治体の責任ある対応が問われているいま、大阪市はいまだに要綱にとどめて、お茶をにごしていると言われてもしかたないのではありませんか。
 市長、学童保育が法制化されてはや3年です。共働きや母子家庭、父子家庭の子ども達に生活の場を責任もって保障する立場に立つなら、条例化するのは当然ではないでしょうか。ご答弁ください。

 第3に、市長が意見書で学童保育に対し、あくまで「自主的取り組み」という言葉で片づけている点についてお尋ねします。
 意見書でいう「自主的」という評価は、あたかも民間学童保育が任意で、あるいは勝手にやっているというような印象をうけます。
 民間学童保育の出発点は、大阪市が責任を放棄しているもとで、やむをえず、まさに自主的に始めた取り組みであったかもしれませんが、その後30年以上、大阪市は自らの責任放棄を棚にあげて、民間学童保育を自主的な取り組みだと言い続け、自主的だという理由で、わずかな助成額と冷たい姿勢を合理化してきたのであります。
 今回の市長の意見書が、もし今後とも、民間学童保育を「自主的な取り組み」だと位置付け、言い続けるものであるとしたら、それは児童福祉法改正で学童保育を法制化した、その精神を踏みにじることになるのではありませんか。
 これは、保育所を例にとれば、公立保育所も民間保育所もある、そうした中で民間保育所を「自主的な取り組みの保育所」と表現するのと同じであります。そんな表現はありえません。
 市長は、現時点でも民間学童保育は、市民の自主的な取り組みだとお考えでしょうか、私は、公的責任があることは論を待たないと思いますし、法制化されて益々大阪市の責任は大きくなっていると考えます。明快な答弁をもとめます。

 第4の問題は、民間学童保育にたいする大阪市の助成を、市長は十分なものと考えているのかどうかという点であります。
 市長見解では、「大阪市留守家庭児童対策事業助成要綱」に基づいて、民間学童保育に対し所要経費の助成を行っている、だから、「条例案の目的は達成されて」いるとしているのであります。
 これはとんでもない言い分であります。大阪市の所要経費への助成は、20人以上、35人以内の規模で言えば、1カ所の民間学童保育が1年間の運営に要している1000万円にたいして、わずか220万円程度であります。
 この220万円は、民間学童保育に学校の余裕教室を頑として提供しないために民間住宅を借りて高い家賃を払って運営せざるを得ない、その家賃にさえ満たず、学童保育の指導員の人件費にはまったく助成していないのも同然であります。
 大阪市の助成額が、ぜんぜん足りないから、今回の学童保育条例案は、「複数かつ専任の指導員を配置する」ことを第5条で、「学童保育の運営に必要な施設(小学校の余裕教室等)を確保する」ことを第7条で、そして「大阪市は学童保育の運営に関する責任を負い、そのために必要な費用を支弁する」ことを第8条で、大阪市の責務として条例で制定するよう求めているのであります。
 必要な施設も与えず、施設の家賃にも指導員の人件費にも遠く及ばない助成をしているだけで、条例案の目的は達成されているという見解は、やってもいないことをやっているかのように強弁するものではありませんか。
 
 全国的には、多くの学童保育が、市町村など公的団体の運営になっております。ですから、約8割の学童保育が小学校の余裕教室や公の施設で実施されています。したがってそこでは、家賃の負担は父母にかかって来ません。
 そのうえ指導員の身分も、正規職員・嘱託職員などが85%も占めています。指導員の人件費も父母の負担にはなりません。
 こうした、全国的な水準と比較すれば、大阪市の民間学童保育への助成が大きく立ち遅れているのは、明白であります。
 それに加えて大阪市が、1998年4月の児童福祉法改正後に、こうした助成の立ち遅れを改善する努力を、どの程度実行したかと言いますと、98年度は1学童保育所当たりの年間助成額を5万円増額、同じく99年度は3万円増額、2000年度はわずかに1万円増額しただけであります。恥ずかしい限りだと言わなければなりません。市長は、現在の助成で十分だと考えているのかどうか、明確な答弁を求めます。
 同時に、少なくとも、国も奨励しているように、小学校の余裕教室を民間学童保育にも提供するべきではありませんか。
 あわせて、指導員の人件費をふくむ学童保育の運営に必要な費用相当分を助成すべきだと思いますがいかがでしょうか。市長の見解をお聞きします。

 第5の問題は、「いきいき」は本来教育分野の事業として、また、学童保育は福祉の分野の事業として始められた別々の事業であるのに、それを無理やり一つの事業にしているという問題に関連してお聞きします。
 「いきいき」は1992年7月に教育委員会が「児童のいきいき活動育成事業実施要綱」を制定し、「教育活動の一環」として、各小学校においてすべての子どもを対象にして始められた事業であり、教育委員会も「学童保育とは趣旨が違う」と答弁をしていたのであります。
 ところが、児童福祉法が改正される前後から、「いきいき」は「児童福祉法改正の趣旨を含んでいる」とか「同じような事業である」と言い出し、昨年4月には「『いきいき』内留守家庭児童健全育成事業実施運営規定」なるものを制定して、その中に「留守家庭児童にとって適切な遊び及び生活の場となるよう配慮するものとする」という規定を入れるに至ったのであります。
 今回の市長の見解は、「『いきいき』は留守家庭児童にとって・・・生活の場となっている」として、あたかも「いきいき」でも「留守家庭児童対策事業が行われている」かのように主張し、これも学童保育条例が必要でないことの一つとされております。
 現在の民間学童保育が子供達に提供している「生活の場」とは、まさに保護者が在宅する家庭と同じような役割をもった場であります。
 学童保育に帰って来た子どもには、保護者が準備した着替えを置いてある個人別のロッカーがあって、親がいて自宅に帰って来る子どもと同じように、まず着替えからする。
 学校でつらいことや悲しいことがあったら保護者がわりの指導員に泣いて話すこともある。給食の時間から時間が経っておれば当然、育ち盛り子どもの空腹を満たすおやつが準備されている。だからこそ「学童っ子」は、自然に「ただいま」と言って学童保育に帰ってくるのであります。
 ところが、「いきいき」の実態は、ベッドと衝立を置いたぐらいで、ロッカーもなければ、お昼の給食から5時間も6時間も空腹でひもじい思いをさせながらおやつも出せない名ばかりの「生活の場」ではありませんか。
 「いきいき」では留守家庭でない子も留守家庭の子もいるわけですから、留守家庭の子どもだけにおやつを出すわけにはいかないのであり、だからこそ教育委員会は平日には「おやつを出すな」「もってこさせるな」という指導をしているのであります。
 そもそも学童保育というのは、留守家庭の子ども、放課後自宅に帰っても保護者がいない子どもを対象にしているのであり、だからこそ、大阪市の「要綱」にも、「保護者に代わりその健全な育成を図るための事業」と明記されているのであります。
 留守家庭児童の子どもに保護者に代わる指導員をつけて、初めて親が在宅している子どもと対等な「生活の場」を保証することになるのであります。
 保護者に代わることのできる指導員としては、当然、何十人もの子どもをわが子のように見ることはできず、一定人数の対応となることは明らかであります。
 「いきいき」の場合、専任指導員は二人です。補助指導員がいるとはいっても、毎日たさくん来る「いきいき」参加児童の親代わりになりきれないのが実態です。しかも、留守家庭でない児童にも留守家庭の児童にも平等に接しなければならない専任指導員に、留守家庭児童にだけ親代わりの役割を求められるでしょうか。
 そもそも教育委員会は最初から今日まで、「いきいき」の指導員に保護者の代わりを求めてはいないのであります。
 すべての子どもを対象にした教育活動の一環と称している「いきいき」に、留守家庭児童対策の役割をもたせようとすればするほど、現場では無理と混乱が生じているのであります。
 市長、「いきいき」は教育分野の事業としての役割、そして学童保育は福祉分野の事業として留守家庭児童を見る役割、それぞれ独自の役割をもつものであり、この2つは、独立してやるべきものではありませんか。市長の見解を伺います。 

 第6に、大阪市の保育に欠けると思われる児童の数の実態から、民間学童保育の大幅な増設が求められているという問題であります。
 前年度、市内保育所の卒園児童は7247名となっております。この子どもたちが入学してきますと、留守家庭児童になるわけですから、この数をもとに3年生までの学童保育の対象児童数を推計しますと、約21000名となります。
 現在、大阪市が「要綱」に基づいて助成している学童保育に在籍する低学年児は1847名ですから、差し引き19000名の子どものために、学童保育が準備されなければならないと言う計算になります。
 又、現に、「いきいき」に登録されている留守家庭児童の数は、13145名となっております。急いで、大量の学童保育を立ち上げなければなりません。
 大阪市が、本腰をいれて、学童保育の増設・拡充に踏み切るならば、指導員の大量雇用が必要ですから新たな雇用を大阪に生み出し、青年に希望を与える施策となるのではないでしょうか。
 13大都市、府下市町村と比較しても、低い水準にある大阪市で、いまこそ、抜本的な学童保育の増設・拡充にふみきるべきだと思いますが、市長の明快な答弁を求めます。

 第7に、学童保育の条例化は、男女共同参画社会を作って行くために、必要不可欠な課題だということについてであります。
 男女共同社会参画づくりは、国際的にも21世紀に実現すべき重要課題であります。
 本市も「男女共同参画プラン」を1998年に策定しましたが、その中で「男女いずれもが自立して、共に仕事・家庭・地域活動を担い、それぞれの個性や能力を尊重しつつ、連帯していく社会をめざす」とし、そのための不可欠な課題の一つとして、「就学後も安全でかつ健全に育成される施策の充実を図る」ことをあげています。
 ここ数十年の経過を見ても共に働き、共に子どもを育てようとする若い夫婦にとって子育ての苦労は大きいものでしたが、とりわけ就学後児童の「保育に欠ける」状態を解決する苦労は大変なものがありました。
 だからこそ共働き家庭が増えはじめた30数年前から、留守家庭児童の交通事故・焼死事件などの悲しい出来事や、一人で過ごす子どもの寂しさをなんとかしたいと、親たちの熱意が大阪市の学童保育を出発させたのです。
 以来、子どもの放課後を守ろう、働く女性の権利を守ろうと、何もないところから歩み続けてきたのです。
 この歴史こそ男女共同参画社会への先駆的取り組みだったと考えるべきです。
 男女共同参画を言うならその言葉もなかった時代から、男性も女性も、人間らしく、仕事も地域活動も、子育ても、と歩んできた学童保育にきちんとした光をあてるべきであります。
 市長。あなたは学童保育が男女共同参画社会にとって不可欠なものだと考えていないのですか。答弁を求めます。

第8は、大阪市の「子ども施策」を総合的に確立する問題、そのための財政対策についてであります。
私はこの際、大阪市の子ども達の健全育成の計画や対策が現状のままで、はたしてよいものかどうかについて、市長の見解をただしておきたいと思います。
大阪市は1998年に「大阪市児童育成計画」…「なにわっ子すくすくプラン」を発表しています。市長はその冒頭で「明日を担う子供達がすくすくと育つ町大阪を基本理念にした」と述べています。
 しかしその内容は子育てで頑張る市民の切実な願いからはおおきく離れたものになっています。
まず、この計画は2005年を計画達成年次としていますが、各事業の目標値が全く示されていません。
 京都市は「京都市児童育成計画」を市民に示し、「子供は次代を担う社会の宝だ」と明言しています。基本理念の中でも「すべての子供と家庭を対象とする」とした上で、具体的には「1中学校区1児童館」事業と学童クラブ事業を二本柱にすえ、目標数値を明確にしています。さらにそうした基礎のうえに、すべての子どもと家庭を対象とする健全育成と子育て支援を進めよう言う強い決意が打ち出されています。
 大阪市の子ども対策の遅れは、今問題となっております留守家庭児童対策をはじめ、全児童対策としての児童館の建設などに、目標数値さえ持っていないのであります。
 保育事業でも、公立保育所での長時間保育への要望に応える計画は見えてきませんし、府下のほとんどの自治体では、保育所に看護婦さんが配置されているのに、大阪市では計画さえないのです。
 市長が「明日を担う子供達のための計画」だと言うなら、これらの目標値を定めないのはなぜか、必要ないと見ているのか。答弁を求めます。       
 次に少子化問題についての姿勢についてであります。
日本の少子化問題は国際比較から深刻ですが、女性が一生の間に出産する子どもの人数を示す出生率で見ると、大阪市はとりわけ深刻な事態になっています。1995年の全国の出生率は1.42ですが、大阪市は1.29 という低い状況であることは市長も承知しているはずです。
 大阪市を上げて原因を究明し、財源を確保して対策を進めるべきであることは、だれが見ても明らかなことです。ところが「本市育成計画」で、出生率の低さの背景・原因として上げているのは「非婚、つまり結婚しないことと晩婚。さらに女性の社会進出」だとしています。
 これではまるで、市民が「子供を産み育てることの願いが薄れた」かのような結論になっている訳ですが、実態はまるで、逆なのであります。
 大阪市は、この育成計画を作るに先立って、1997年に市政モニターを実施しているのですが、そのなかには、例えば、少子化問題に関心ありとの答えは8割にもなっていますから、子育てへの市民の関心は高いことがはっきり示されています。
 また市民は、少子化の原因については「子育てにかかる経済負担が大きいから」と回答した方が63%で第一位、「仕事と子育ての両立が難しいから」が60%で第二位となっているのです。
 市民は、子供を産み育てるのに「経済負担の重さと育てる環境の不十分さ」を改善するよう求めているわけです。つまり大阪市の子育て支援の不十分さを問題にしているのに、その声は無視していると断ぜざるを得ないのです。
 自ら行ったモニターの結果を真摯にみて、共働きする市民が安心して子育てができるよう、少子化対策の上でも、学童保育の制度化は必要だと考えますが、市長の決意と責任ある答弁を伺いたい。
                
最後に、これらを進めて行くための財政問題です。     
私は市民から次のような声をよく聞きます。「大阪市は大都市で予算も大きい。巨大な施設ができたり、オリンピック招致だとキャンペーンがやられる。しかし市民生活への大阪市のサービス水準は他の大都市や府下の衛星都市に比べて低い。おかしいのではないか」と。これは大阪市が地方自治本来の責務を果たしているかを問うきびしい指摘だと見るべきです。
 本市が進める対策は、大阪市に住み・働き・子供を育てる市民の暮らしにまず向けられなくてはなりません。それは大阪市がもつ自治体としての責務だからです。
 まして巨大な予算をもちながら、予算の小さい自治体よりも市民へのサービス水準が劣っていて、市民が大阪市民であるが故に不公平を感じ、実際にも不公平になっているなどということは許されることではありません。
 しかし現実の予算執行の姿は、我が党が再三指摘して来たように、大規模開発と同和事業優先、福祉・教育切り捨てになっており、市民から見れば、まったく逆立ちしたものになっています。市民の暮らしへの支援が遅れている中で、このような予算の使い方はきっぱりと改め、いま議題としている学童保育をはじめ、市民の切実な願いである子育て支援や中小商工業者への支援、高齢者福祉や教育の充実の施策をまず優先させるべきです。市長の答弁を求めます。       
 以上が私の質問でありますが、答弁の如何によっては再質問することを申し上げて質問を終わります。

磯村市長の答弁
 このたび、地方自治法の規定に基づき、大阪市学童保育条例制定を求める直接請求が、有権者200万人の中の6・9%、14万1000人余りの有効署名数で、本年1月10日に請求がございましたので、これを受理し、議会でご審議をお願いいたしているところでございます。
 ご質問にございました、学童保育の条例化、公的責任、所要経費に関する助成、対象児童の拡充、児童いきいき放課後事業の趣旨や小学校の余裕教室の提供などにつきましては、先ほどの提案説明で申し上げましたように、本市におきましては、既に、より広範囲で子どもにとっても楽しい「児童いきいき放課後事業」をおこなっていること、及び、児童福祉法第6条の2第7項に規定いたします放課後児童健全育成事業を実施するものへの支援事業を行っているところでございます。
 よって、請求にかかる条例案の目的は達成されており、条例案による条例制定の必要はないと考えているところでございます。
 また、少子化対策と財源対策についてでございますが、今日の少子化の急速な進展に対応するため、市政の最重点施策として、市民が必要とするときに質の高い福祉サービスを提供できる「安全ネット」の一層の充実に取り組んでいるところでございます。
 その一環といたしまして、本市の「男女共同参画プラン」の理念も踏まえつつ、男女が共に生き、安心して子どもを産み育て、そして家庭や子育てに夢をもつことができる環境づくりとして、子育て支援策の拡充を図るなど、施策の更なる充実に努めてまいります。
 さらに、21世紀の新しい時代に、大都市のあるべき姿についての明確なビジョンを示して、市民とともに、まちづくりに取り組んでいく必要があると考えておりまして、ひとが輝く「生活魅力都市」、まちが華やぐ「国際集客都市」の実現を目指して、積極的に市政を推進しているところでございます。
 いずれにいたしましても、本市といたしましては、大阪市児童育成計画に基づき、留守家庭の児童を含むすべての児童を対象として、遊びの空間と時間などを確保し、その中で、児童がいきいきとたくましく、生きる力を育めるよう、子どもを取り巻く多様なニーズに対応しながら、児童福祉法の趣旨を尊重し、「児童いきいき放課後事業」をはじめとする児童の健全育成のための事業の充実及び発展に、今後とも努めてまいる所存であります。

石川議員の再質問(要旨)
 市長の今の答弁は私の質問には何も答えず、「いきいき」事業は留守家庭児童を含むすべての児童を対象にしたものという最初の意見をくりかえしただけである。
 厚生省の見解ははっきりしており、大阪市が、「いきいき」と学童保育が同じ趣旨の事業だから同じ場所でできないなどとわけのわからない説明をしていることを理解できないとはっきり言っている。
 京都市では余裕教室を使い、児童館事業、つまり全児童対策と学童保育を実施し、子どもの状況がよく交換できるのでうまくいっている。これが本来の姿だ。「いきいき」をやっているからというのは通用しない。
 学童保育の実態は、畳がすりきれても取り替えることもできない、玄関の戸も老朽化が著しく内側からカギもかけられないというなかでがんばっている。事業収入をうみだすため年に8回バザーにとりくんでいるところもある。父母からアンケートをとり、保育料の値上げを話しあい、もうおやつ代と人件費しか削るものがない。市長はこういう実態を知らないのか。知っていれば、あんなつめたい答弁ができるはずがない。
 余裕教室の使用では、児童福祉法の改正以来、全国の60%の余裕教室が学童保育に転用されてきている。ところが、市の教育委員会は、余裕教室がいくつあるのか報告もできない。特別教室、教材倉庫、PTA会議室、学習室、パソコン教室などさまざまな形をとり、学童保育に教室を貸さない理由をつくっている。全小学校297校に3つの余裕教室があるとして、全体では約千の余裕教室がある。市長の決意一つで実行できることだ。
 再答弁を求める。

石川議員の市長への再答弁要求にたいし、寺川民生局長と玉井教育長が代わって答弁を行う。

寺川民生局長
 「児童いきいき放課後事業」をはじめとする3つの事業は、放課後における留守家庭児童に対して、それぞれの要綱において、その健全育成も目的として定め、児童福祉法第6条の2第7項に規定する放課後児童健全育成事業に取り組んでいる。
 とくに、「児童いきいき放課後事業」は、いわゆる留守家庭児童を含むすべての児童の放課後の健全育成を図る事業であり、児童福祉法の規定する「放課後児童健全育成事業」の趣旨を含んだ、より幅の広い事業であると考えている。

玉井教育長
 小学校の余裕教室の提供についてでございますが、いわゆる「学童保育」の学校施設の利用につきましては、既に、本市では、留守家庭児童を含む全ての児童の放課後における健全育成を図ることを目的に、学校施設を活用し、「児童いきいき放課後事業」を今後実施予定の1校を除いて全小学校296校で実施しており、「児童いきいき放課後事業」は、児童福祉法の「放課後児童健全育成事業」の趣旨を含んだ、より幅の広い事業として、留守家庭児童も多く参加しております。
 したがいまして、同一時間帯に同じ学校の中で、対象児童の重複する同趣旨の事業を実施することとなりますので、いわゆる学童保育の学校施設の利用を認める考えはございません。余裕教室は、現在教育活動に活用いたしております。