私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただ今上程されました大阪市(第2回)補正予算案に対して反対の討論を行います。
私は、まず、大阪市が補正予算を編成するに当って、直視すべきことは何か、という点について述べたいと思います。
それは、深刻な市民のくらしと経済の状況についてです。森自公保連立政権による国民生活の困難を忘れた、ゼネコンや大企業、大銀行救済の財政経済対策によって、景気の長期低迷が続き、最近の民間調査会社・データバンクの調査によれば、1月の企業倒産は、1358件、負債総額は9696億円に達し、前年同月比60.6%の大幅増で、1月としては戦後最悪を記録したのであります。
内閣府が、2月15日発表した「景気ウォッチャー調査」によると、落ち込みが大きかった昨年12月をさらに下回り、家計も企業も冷え込んでいることが、鮮明になっているのであります。
総務省の労働力調査によっても、近畿の完全失業率は12月に5.9%、有効求人倍率は0.55と、これも全国を下回る最悪の厳しい状況にあると報告されています。
磯村市長は、このように行き詰まった経済と市民生活の現状をしっかりと把握し、その上にたった補正予算や新年度予算を編成すべきであり、特に、思い切って市民のくらしを支援し、消費の低迷からの浮上をはかることに力を注ぐことが求められているのであり、これは、市民多数の声になっているのであります。
ところが、今回補正予算の内容を見ると、第1にあげられているのが、政府の新経済計画をうけての公共事業費の追加となっており、街路事業や道路・橋梁・港湾などに約220億円計上されているのであります。
これは、昨年11月の土木・港湾を中心とした第1回補正予算、約250億円の内容とほとんど変わらないものなのであります。つまり、国と大阪市の経済対策と言うのは、このように土木工事を中心とした公共事業への追加を繰り返して、あたかも景気対策のように行われているということであります。
しかし、このような土木系の公共事業を次々と追加して、これが、不況脱出のための経済対策であるとする国と大阪市のやり方が、破綻しているのは明らかなのであります。
このことは、すでに政府自身が認めています。1999年度の政府経済白書を見ると、次のように述べています。「90年代に入って累次の経済対策がとられたものの、結果として、自律的な景気回復は定着しなかった。景気回復が持続するためには、家計や企業が経済の将来展望を切り開いていけるよう、事業機会や就業機会を広げ、成功に対する報酬を拡大することが必要である」としています。
即ち、簡単に言えば、従来型の公共事業の積み増しではだめであり、家計や中小企業などへの支援をして、先の展望が見えるようにする必要があると、政府自らが認めている訳ですから、診断は正しいが、処方箋が間違っていると言わざるをえません。
私はこの際、大阪市における土木系大型事業に偏った公共事業の在り方について、抜本的に改めるよう強く求めておきたいと思います。
同時に、不用で無駄な大型開発事業についても指摘しなければなりません。
今回の補正予算には、新人工島の護岸建設費として60億9000万円の巨費が計上されていますが、まだ埋立て免許も下りていないにもかかわらず、実行予算だけは先に計上するといったやり方は、到底納得できるものではありません。
また、夢洲への北港テクノポート線の建設費3億円も追加計上され、いよいよ本年3月17日から、夢洲トンネルと共に着工するとしていますが、2008年オリンピック招致の成否を確かめることもせず、また、定住人口4万5000人の夢洲の街づくり構想も絵に書いただけで、財政の裏づけもなく、実現性については極めて乏しいままで、トンネル工事だけはやみくもに突破しようというのではありませんか。これこそ、無謀、無責任というものであり、到底、大阪市民の理解は得られるものではないと、私は厳しく指摘しておきたいと思います。
最後に、今回提案のくらしの予算についてでありますが、1970年初めに創設され30年近く市民に定着してきた老人医療費一部助成制度が事実上廃止され、計上されていた本年度予算額50億円がばっさりと削減されたのであります。
これは、大阪府が、財政悪化を口実に、制度改悪を行い、昨年8月から大阪市への補助金30億円をカットしたことに主な原因があることは明らかでありますが、大阪市も府に対して、事実上同調し、追随したことも明らかであります。政府は、今、地方自治体に財政再建計画をたてよと要求し、この中で、老人医療費助成などは廃止せよと、露骨に要求していますが、大阪府・市の今回の制度改悪は、これに従ったものであり、高齢者に冷たい態度の表れと言わなければなりません。
本年1月から、さらに、高齢者医療の負担が加わり、年金の一連の改悪や介護保険の導入など、次々と高齢者の負担増が伴う制度改悪が行われていますが、「これではたまらん。いのちとくらしは金しだいか」との声が広がっていることを、市長は承知すべきであります。
老人医療費一部助成制度は、本市独自にも継続すべきであります。あわせて、介護保険制度の拡充など高齢者福祉のためにこそ、手厚い対策をとるべきであります。
また、補正予算で計上された、生活保護費の増額64億600万円、児童生徒就学費補助金の増額1億200万円、幼稚園児就園補助金の増額1億円の追加等は、それぞれ今日の市民の要求にこたえたものであり、賛成であります。
以上で私の討論を終ります。 |