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市議団の実績

2001年10月12日、大阪市議会閉会本会議
稲森豊議員が公営決算に反対討論
 

   私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2000年度大阪市交通水道両事業会計の決算に認定反対の討論をおこないます。
 交通水道など地方公営事業の目的は公共の福祉の増進にあることは明らかであります。一層深刻化する長期不況と自民党政府が押し付ける利潤第一主義のいわゆる「規制緩和」方針が地方公営企業に新しい困難な課題を作り出しています。
こんな時であるからこそ、公的支援強化による公共性と市民の立場に立った経済性を大切にしなければならないのであります。ところが大阪市における事業の実態は外注化や機械化、人減らしで政府に迎合し公共性を喪失させていると言わざるを得ません。
以下、具体的に問題を指摘します。                             
 まず、交通事業であります。 
 高速鉄道事業は2000年度営業損益でみると、減価償却費398億円を差し引いても156億8,700万円の黒字となっています。にもかかわらず交通局は当年度末の累積赤字が2,726億5,900万円とあいかわらずの大幅赤字論をふりまいております。しかしわが党が再三指摘してきたように交通局が行う会計処理は経営実態を正しく反映していないことが問題なのであります。
 地下鉄建設は公共助成なしには成立できない事業であることはいうまでもありません。ところが現状の会計処理は多額の補助金が損益計算書に全面的に反映しない仕組みになっています。つまり、過去の地下鉄建設費を経年的に補助する運営費補助方式では補助金が収入計上され、収支に反映していましたが、新線建設費の補助方式が現在の一括補助、いわゆる資本費補助方式に変更された際、資本剰余金に積み立てられている従来の特例債元金償還補助金1614億円を中心とする運営補助も資本繰り入れとなり損益計算書に反映されなくなったのであります。
 こうした結果、多額の見かけ上の累積欠損金が計上されるに至っております。これでは補助金も加味した正確な経営情報を市民に提供することができません。わが党はこうした会計処理のあり方を議会ごとに批判し、公営企業法施行令にもとづいて4200億円あまりにふくらんだ資本剰余金をとり崩す事によって累積欠損金の穴埋めをおこない、補助金が反映される決算内容にする事を提案してまいりました。しかし、交通局理事者は「補助金は資本金に近い性質を有するもので、欠損金を補てんする事は料金で回収すべきものをしないこととなる」と拒否する態度をとりました。これは補助金と出資金を同列におく議論であります。
 このように意図的な「赤字キャンペーン」の一方、大変な非効率と無駄遣いがおこなわれているのであります。
 まず外郭団体の問題です。
 効率性、経済性の名のもとに交通・水道両局が拡大して来た外郭団体への業務外注化は真の経済性を損ない、公共性をも失わせつつあるのが実態であります。特に交通局の事業の外部発注においてその傾向が顕著だと言わねばなりません。
経済性の点で言えば、当決算年度でもたとえば交通事業振興公社の場合、交通局から受注した事業70億円のうち50億円を民間業者に再委託しています。これでは振興公社がトンネン会社化していると言っても過言ではありません。
公共性の点で指摘しなければならないのは外郭団体での公金の扱いが極めてズサンで公共性とは程遠いという問題です。
交通局は現在、定期券、回数カード、レインボーカードなどの販売を協力会と民間特約店に販売委託しています。今回わが党議員の指摘で協力会が保管する回数カードが大量に紛失していることを当局はしぶしぶ認めました。当局の説明では1997年から2000年までに12件、1,120万円が紛失したとしていますが、過去に裁判になった「カード持ち逃げ事件」など実際はもっと大きな被害なのであります。
しかも当局が協力会と一体となって異常な決算処理と意図的な資料作成で、この事態を隠そうとしたのも重大です。
協力会の1998年度決算で突然9千万円の準備金を取り崩し、さらに翌年度でも帳尻合わせの会計処理をしています。一方、交通局が協力会へ払い出した回数カードの資料は1999年度のものと2000年度のものとでは8万枚もの違いがあり、協力会が損益修正の処理をした1999年度末にカード枚数をあわせるという操作までしているのであります。これは1998年度に数千万円相当の乗車券の損失を補填した会計処理であることは明らかです。交通局はこの会計処理を通常の損失を処理したものだと言い張っていますがこのような事態は公金扱いにずさんな交通局と外郭団体の馴れ合いを示すものであり、断じて容認出来ません。
 次に土地信託事業についてであります。
 住之江・霞町の土地信託事業はわが党が再三にわたって市長と当局に契約解除を求めて来たにもかかわらず放置されたため、一層深刻なものになっています。
この事業でまず指摘したいことは交通局の受託銀行への姿勢の問題であります。市民の財産を信託に付した大阪市が受託銀行に厳しい管理と改善努力を求めるのは当然のことであります。  
住之江の土地信託では受託銀行に今日まで種々の信託報酬1億4,300万円を取得させ、貸付金利息として約19億円も取得させています。ところが交通局は従来信託用地内の市バスターミナルの共益費として年400万円を払っていたものを、新たに2000年度から土地使用料として3,200万円、何と8倍もの費用を経営の苦しいバス会計から負担しているのであります。理事者は「交通局として当然の負担をしたもの」などと答弁しましたが、受託責任を果たせない銀行への不当で無責任な支援策だと言わねばなりません。
 こうした姿勢は霞町の信託にも現れています。
交通局はオープン前に信託用地内に1億2,300万円でエスカレーターを作っていますが、これは明らかに交通局の財産です。ところが受託銀行はこれを信託元本に取り込んでしまいました。交通局はこれを4年間も放置し、ようやく2000年度に局資産を取り戻すというずさんで無責任な管理をしてきたことも明らかになりました。
次に指摘したいことは、交通局がいつまでも展望のない事業を続けるのではなく、事業契約を解除し、民間に任せる決意をすべき限界にきていることです。
 経営は一層深刻になり破綻状態であることは誰の目に明らかになりました。
 住之江の土地信託は当年度決算で収入10億円余りに対し管理委託費や支払い利息等の費用合計は15億円、何と収入の1.5倍の費用を使っています。累積欠損金は40億円にも膨れ上がりました。信託元本など資産から借金など負債を控除するとマイナス43億円、つまり当年度で信託契約どおりに解除するとすれば住之江用地を手放したうえ、43億円の資金を交通局が準備しなければならないということになるのです。
 霞町の信託はさらに深刻です。収入は開設当時の4分の1に激減して4億5千万円。管理委託費は収入の544%、受託銀行などが取っている支払い利子は101%。費用総額は何と収入の7.6倍という悪夢のような状態です。理事者が管理委託費の縮小を改善策だと答弁していますが全く展望はありません。霞町用地と施設を処分したうえで、なお37億円の資金負担が交通局にかかってくることになるのです。委員会の議論で市長は「アミューズメント事業は施設の更新によって新しい客を呼ぶのが経営のあり方であり、まさに霞町の場合はそれを失敗したいい例だ」と答弁しこれら事業を土地信託で進めたことの誤りを明確に認めたのであります。市長は直ちに信託契約解除に向けて受託銀行団との協議に入るべきであります。
 次に公共サービスについてでありますが、「意図的な赤字論」と「大変な無駄遣い」のもとで公共交通として当然なすべきサービスと安全確保がおろそかにされています。
 バリアフリーについて言えば、「重度障害児の通所施設がある朝潮橋東口にエレベーターを設置してほしい」と16年間にわたって寄せられつづけている切実な要望は、2000年度も聞き入れられませんでした。ええまち計画の未達成を口実にもっとも必要とされている箇所のエレベーター設置をおきざりにすることは許されません。 同時に、JR新大久保駅での軌道転落事故以来、私鉄各社が転落防止策を模索しはじめているのに、大阪市は施設の面でも、人の面でも、なんら具体的な対策をとろうとしていません。また、エレベーターでのワンルート確保ができていない駅さえ、"効率化"の名のもとに駅員を減らしました。その結果、車イスの方の介助に駅員が対応できず、人命にもかかわる介助を乗客に頼るという地下鉄駅にしているのであります。そのうえ今後、交通局は経営効率化と称して駅務の関係だけで400人、合計700人にものぼる人減らしを行う計画を進めようとしています。このように安全性とサービスを低下させて、どうして人にやさしい公営交通などといえるでしょうか。
 更にコミニティバスとして市民から期待されている「赤バス」の路線決定についても民主的に進める努力が欠如している問題であります。
 市民にとってもっとも身近な足であるバス路線の再編にあたっては、利用者である市民にすべての情報を公開し、市民の声を十分に聞いて実施をするのが当然です。"新しい発想""ニーズを的確に把握する"と繰り返す一方で、区役所への一方的な問い合わせをするだけで、ただの一度も、町へ足を運び出かけて、市民の声を直接聞こうとしない姿勢からは、市民・利用者が主人公の立場も、規制緩和をひかえて、乗客減に歯止めをかけ、市バスの再生に真剣に取り組む姿勢も見えてきません。           次に水道事業会計についてであります。
まず過大な水利権の問題です。
水道事業は1997年度の料金値上げにより2000年度は8億9,600万円の黒字でありますが黒字幅が年々減少し2001年度は単年度赤字必至といわれています。値上げにもかかわらずわずかのあいだに赤字転落という背景には供給水量がのびない事と同時に金利をふくめて1,045億円という琵琶湖総合開発の負担が大きくのしかかってきていることを指摘しないわけにはいきません。わが党は当初からこの開発について過大な計画であり琵琶湖の環境を悪化させるものだと主張してきましたが、新たに得られた一日の給水量64万トンもの水利権が収入にまったくむすびついておらず水道会計を圧迫する大きな要因になっていることが益々あきらかになってまいりました。
 わが党は日量267万トンという実績よりも100万トンも上回る水利権の一部を譲渡するようかねてから提案をおこない、2005年にむけた水需要予測をみなおすべきと主張してまいりました。水道局の水需要予測は2005年時点で常住人口280万人、昼間人口が410万人を前提に生活用の使用水量が日量88万トンで一人あたり314リットル、業務・営業用を85万トンと予測していますが、実際には10年間の平均でみると一人あたりの使用量は270リットル前後、常住人口は現在約260万人、業務・営業用は10年間の平均で68万トンで人口、使用水量ともに過大な予測である事が今や明白であるにもかかわらずこれを見直そうとはしませんでした。
 今後の水利行政のありかたについては国の河川審議会も「未利用水利権の譲渡・転用等の合理化を円滑に進めることが求められてきている」と提言をしています。我が党が主張する水利権の一部を譲渡したとしても本市の過大な需要予測にもなお余りあるものです。水道局は現状を真摯にうけとめ現実的、合理的な需要予測をやりなおし譲渡転用をもとめておきます。
次に理不尽な水道庁舎のWTC移転問題です。
水道局のWTC移転は扇町新庁舎の基本設計がすんだ昨年突如としてもちだされました。当時、關助役はWTC移転と新庁舎建設と費用比較をしてもけっしてマイナスにならないという答弁をおこないました。そしてその前提として水道局庁舎跡地を資産運用し年間2億円もの収益をあげることとしています。我が党は資産の運用を要求するものではありませんが、はやくもその答弁の根拠がくずれているといわなければなりません。また移転後、職員や、市民に膨大な時間のロスを強いています。
 WTCをはじめ破綻した第3セクターの問題解決は本市が一方的にうけおって、市民に負担を求めるのではまちがいだという事を重ねて強調しておきます。
  ところで2000年度におこなわれた市政モニターによれば、水道水をそのまま飲むという人はわずか2割にすぎません。巨額の費用をかけた高度浄水処理が、市民の信頼を十分に得ていないことは、市内の小・中学校の多くで「水道水を飲まないように」という指導がされていることにも表れています。この状況を重視するならば、「高度処理しているから安心」という宣伝に力を入れるだけでなく、文字通り、蛇口まで良い水が届くよう水道局としてあらゆる手だてをつくすべきです。過半数の市民が受水曹を経由して給水され、その受水曹の衛生に不安をもっていることを知りながら、マンションの管理組合などの切実な願いに背を向けつづけ、受水曹の点検・清掃を持ち主まかせにする姿勢では、高度浄水処理をしてきたにもかかわらず、いっこうに市民はその水を安心して飲まない、という状況は解決できないといわざるを得ません。                          
 最後に交通水道両局に共通する課題として公共事業の入札・契約を公正なものにする問題です。
本市発注公共工事の入札にかかわって、現職市会議長と業者、担当職員が贈収賄、談合容疑で逮捕、送検、起訴されるという事態を受け、市政刷新委員会が組織されました。同委員会は提言の付帯意見として不良不適格業者の排除と適正な施工の確保、一括下請けの禁止、ペーパーカンパニーの受注を防ぐために、受注者にたいし、現場代理人、技術責任者の雇用関係を健康保険証等により確認することを進言しています。これを両局でもいち早く具体化するのは当然のことです。ところが提言から1年近くたった今日時点でもこうした点について周知徹底、実施していないばかりか、両局とも検討した痕跡さえ見られないのです。早急な実施を強く求めて討論を終わります。