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市議団の実績

2002年10月18日の大阪市議会本会議で
下田敏人議員が公営・準公営決算の認定に反対の討論

 2001年度の大阪市公営(交通・水道)・準公営(港営事業、下水道事業など)会計決算を審議する大阪市議会は、10月18日に閉会本会議がひらかれ、日本共産党の下田敏人議員が認定に反対の討論をおこないました。
 下田議員は、「地方公営企業の目的は、常に経済性を発揮しつつ、何よりも、公共の福祉の増進につとめること」にあるのに「港営事業などのように、全く経済性を無視した過大な投資を続けて、厳しい財政状況に陥っている姿であり、又、一方、交通事業などのように、経済性、効率性を追求するあまり、その本来の目的、役割というものを後景にしりぞけているという逆立ちした姿」だと指摘しました。
 そのうえで、USJの周辺整備を受けもった区画整理事業は、テーマパーク内の土地など20ヘクタールもの保留地が売れず、700億円近い借金をかかえてニッチもサッチも行かなくなっていること、夢洲の水深15メートルのコンテナ埠頭・C10建設に253億円もの巨費が投じられたのに使用されず、まったくムダになっていること、交通局の土地信託事業・フェスティバルゲートは、交通事業の手助けどころかどれだけの損害をもたらすかはかりしれないものになっていること、交通局はこういうズサンなことを行いながら、1995年度から99年度までの健全化計画で、1533人もの人員削減を行い、ホーム要員など駅務職員を大幅に減らし、少数の幹部のみの駅をつくったり、駅員のいない時間帯ができるなど、安全上、大きな問題をつくりだしていることなどを批判しました。
 また、USJはすみやかに民間にまかせること、フェスティバルゲート・信託事業は解約すること、下水道事業については浸水対策と鉛管の解消などを求めました。

公営・準公営決算反対討論 下田議員

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2001年度交通、水道事業会計など公営企業会計決算、ならびに港営事業、下水道事業会計など準公営企業会計決算の認定に反対の討論を行いたいと思います。
 申しあげるまでもなく、地方公営企業の目的は、常に経済性を発揮しつつ、何よりも、公共の福祉の増進につとめることにあります。
 ところが、本公営・準公営企業の事業にみられるのは、港営事業などのように、全く経済性を無視した過大な投資を続けて、厳しい財政状況に陥っている姿であり、又、一方、交通事業などのように、経済性、効率性を追求するあまり、その本来の目的、役割というものを後景にしりぞけているという逆立ちした姿であります。到底認めることはできません。以下、具体に指摘したいと思います。

 先ず、今度の決算委員会を通じて、大阪市の進めるテクノポート大阪計画、国際集客都市づくりの破綻ぶりが、一層明らかになったことであります。
 それは、第一に、大阪市が筆頭株主となってすすめてきたUSJとその周辺整備の事業にあらわれております。
 当局は、USJが大規模な娯楽施設であり、およそ地方自治体が先頭に立って行う事業ではないことから、なんとか公共性をもたせようということで、関西経済の起爆剤になるとか、あるいは、映像産業など新しい産業が生まれるとか、又、常住人口4000人の街をつくるなどとしてきました。
 ところが、オープン以来、1年半が経過しましたが、経済的な利益を得たのは、JRやホテルなどの一部の企業であって、肝心の地元商店街などは、冷え切ったままであります。
 又、新しい産業を立地すべき経済局の土地は、駐車場のままであり、住宅ゾーンに想定したところも、いまだにJR貨物が稼働しているのであります。
 しかも、USJの周辺整備を受けもった区画整理事業は、テーマパーク内の土地など20ヘクタールもの保留地が売れず、700億円近い借金をかかえて、ニッチもサッチも行かなくなっているではありませんか。
 その上、USJ本体も、入場者数が昨年と比べ、3割も減少し、先行きが懸念されるようになりました。相次ぐ不祥事が足を引っぱったのでありますが、その根っこには、アメリカ資本主導と3セク事業の寄り合い、もたれ合いの体質があると言わなくてはなりません。
 いずれにしても、地方自治体が娯楽施設の入場者数や経営状況に一喜一憂しなければならないなどというような、こんなバカな話はありません。すみやかに、民間にまかすようにすべきであります。

 第二に、 夢洲の大水深埠頭建設が、計画通りに進められなかったばかりか、その必要性も極めて希薄であったことが、はっきりしたのであります。
  夢洲には、大阪港湾計画に基づいて、2005年外貿貨物目標量に見合うには、水深14メートルの多目的埠頭1バース、C10、11、12の水深15メートルのコンテナ埠頭3バースが必要として、建設が進められてきました。
 ところが、まともに建設されたのは、埠頭公社が請け負ったC11の台湾の船会社エバーグリーンの専用埠頭だけで、多目的埠頭は手もつけられないままなら、C12も専用借りする船会社がなくて、今だに建設のメドが立たず。C10は、公共埠頭として工事が進められたものの、これも、接岸する船がなく、急きょ、エバーグリーンの併用に切りかえて、ガントリークレーン2基は埠頭公社が設置し、舗装も岸壁から奥行70メートルの、いわゆるエプロン部分のみにとどめ、間口350メートル、奥行430メートルの広大なバックヤードは、草ボウボウ生えるにまかせているのであります。
 ところが、ここに来て、エバーグリーンは、週4便、C11に入ってくるだけで、C10は使用しないことがはっきりしたのであります。つまり、ここ当分、C10に船は入ってこないのであります。
 これまで、C10には、泊地の浚渫費用やガントリークレーンをふくめ、253億円もの巨費が投じられてきましたが、これがまったくムダになっているのであります。 

 第三は、 夢洲本体の開発が、財政面でも、無謀きわまりないことが、明らかになったのであります。
 元々、4万5000人の街をつくるということ自体が、これから、南港ポートタウンを一回り大きくした街をつくることを意味するわけで、15,000戸の住宅に、少なくとも、保育所3、小学校4、中学校2、高校1など、各種公共施設が必要で、今後の経済の成り行きからして、全く、途方もないことでありますが、それに先立つ土地造成、道路や上下水道などのインフラ整備だけで、5000億円もの巨費を要するのであります。
 しかも、この費用の大半は、今、起債で造成中の 夢洲の土地を売却して充てなくてはなりませんが、容易に売れるはずがないのであります。ただでさえ、咲洲や 舞洲の土地が売れなくて、埋立事業会計は、綱渡りを続けているではありませんか。都市整備基金は底をついた上に、起債残高は、1100億円を超える規模になって、この起債償還のために、今後、毎年、100億円に相当する土地を10数年にわたって売り続けなければならないのであります。 夢洲の土地どころではありません。

 第四は、都市環境局が、幻となったオリンピックのために、金に糸目をつけないで、キンキラキンのばかでかいスラッジセンターを 舞洲に建設していることであります。 オーストリアのフンデルトヴァッサー氏のデザイン料だけで、実に9000万円、煙突一本が20億円、建築費の総額800億円、送泥管240億円、用地費83億円、総事業費実に1123億円にものぼるのであります。
 言うまでもなく、下水道事業会計において、最優先に行うべきは、浸水対策であります。
 ところが、雨水対策整備率は、今なお72.9%と、年に1%も進まない上に、下水道事業における起債残高は、6000億円にもふくらんで、支払い利息が、事業費の25%を占めるという厳しい財政状況にあります。
 しかも、このスラッジセンターは、汚水処理にかかわるものなので、国の補助金以外の458億円の起債償還は、全額下水道料金に依らねばなりません。またぞろ、料金値上げとなってはね返ってくるのは必定であります。

 又、今度の決算委員会で、交通・水道両事業においても、余りにも過大な投資や、あるいは、市民の貴重な財産を台無しにするような、ズサンな経営が行われていることが、より明確になりました。
 それは、第一に、水道事業において、水需要に比べ、施設や水利権が過大で、なかでも、水利権と一日平均給水量との乖離が、一層進んでいることであります。
 水道局は、91年に、一日あたり64万トンの水利権を追加取得して、267万トンになって以降も、給水量は、減り続け、2001年度の一日あたり平均給水量は、138万トン、実に、毎日毎日、130万トンもの水に相当する水利権が、ムダになっているのであります。しかも、92年以来、追加の水利権取得費用として、毎年50億円近い金を、23年にわたって、総額1100億円を、市民の税金で3分の1、水道料金で3分の2づつ払い続けているのであります。
 私共、一貫して、この善処方を指摘し続けてきましたが、当局は、2005年には、一日最大給水量240万トンになるなどと、なりもしない数量をかざして、これを拒否し続けたのであります。まことに、頑迷というか、怠慢というか、言うべき言葉がありません。
 又、水道局は、このような浪費を行いながら、その一方で、市民の健康に重大な影響を及ぼしかねない鉛管の取り替えを永年放置してきたことが、わが党委員の質疑で明らかになりました。
 2001年度末で、水道局の責任に属する道路部分の鉛管は、なんと延長670キロメートルも残っているのであります。
 しかも、これまでの取り替えペースで行けば、13年以上もかかるのであります。又、同時に、宅地内に鉛管が入っている戸数が40万戸に及ぶことも明らかとなりました。
 わが党委員が、補助制度をつくって、一刻も早く鉛管の解消をはかるべきだと質したのに対し、水道局は、当該世帯に対し、鉛管の入っていることを周知させると答えるのみで、全く消極的な態度に終始したのであります。 

 第二は、交通局の土地信託事業、フェスティバルゲートであります。
 事業収入は、98年度15億円であったものが、2001年度、ただの3億円になってしまいました。市民の貴重な財産、1万4000平方メートルもの土地と250億円もの建物、アミューズメント施設を駆使して、駐車料収入込みで、3億円しか収入をあげられない。
 しかも、4億1000万円の支払い利息にも満たず、およそ、事業の名に値しないものであります。その上、スパワールドに売却した8600平方メートル、34億円もの土地代もつぎ込んだうえに、開業当初から120億円も借金がふえて、残高330億円にも達する始末であります。まさに、泥沼であって、交通事業の手助けどころか、どれだけの損害をもたらすか、はかりしれないものであります。
 私共は、もう3年も前から、余りにも当初見込みと違うことから、充分解約に値するとして、信託銀行への応分の負担を求めつつ、解約に踏み切るよう申しあげてきたにもかかわらず、交通局は、ズルズルと1日のばしにしてきたものでありますが、もうこれ以上許されるものではありません。
 ましてや、ゆとりとみどり振興局が、フロアを借り上げたり、交通局が、交通記念館をもってきて支援するなんてものは、論外と言わねばなりません。

 交通局も、こういうズサンなことを行いながら、その一方で、輸送の安全を損ねかねないような効率化を推進してきたのであります。
 特に、地下鉄事業では、95年度から99年度までの健全化計画では、実に1533人もの人員削減を行い、ホーム要員など駅務職員を大幅に減らし、少数の幹部のみの駅をつくったり、駅長室やホームやラッチに駅員のいない時間帯を生じせしめるなど、安全上、大きな問題をつくりだしているのであります。その上、今後、2002年度から2006年度までの間に、更に、542人の効率化を実施し、車両や電気設備の点検回数まで減らそうとしているのであります。
 しかし、交通局が効率化の理由にする程、地下鉄財政はひっぱくしていないばかりか、むしろ他と比べても、優良であることがはっきりとしてきたと思います。
 2001年度の地下鉄会計を見ると、実際の金の支出の伴わない減価償却費383億円余りを差し引いても、179億円の営業利益を出しております。つまり、少々減少したとはいえ、毎日、243万人の乗客を運んで、563億円の営業剰余を生み出しているのであります。公営地下鉄9団体中、ただ一人不良債務をもたないゆえんであります。
 ところが、最終的に、会計上117億円の赤字になるのは、営業外の損失、つまり、地下鉄建設に充てた企業債の支払い利息が338億円もあるからであります。本来、地下鉄というのは、都市にとってなくてはならない、いわば、都市施設であって、トンネルなどのインフラは、公共で整備し、運営経費は料金でまかなうというふうにすべきものであります。
 しかしながら、改善されたとはいえ、今でも、建設費の28%程度は、企業債に依らざるをえませんし、90年度以前は、建設費の大半を企業債でまかなわざるをえなかったため、今日、支払利子がふくらんできた訳であります。こういう中で、この利子の支払いすべてを地下鉄事業の責めにするのは、酷であるということから、特例債の制度が設けられ、一定の条件の企業債の利子の支払いに充てると共に、その特例債の元金償還は、一般会計から補助されるようにしたのであります。
 したがって、この特例債の発行によって充てた企業債の利子は、地下鉄会計上の費用にはなりえないものであります。
 にもかかわらず、交通局は、これまで、累計2315億円もの特例債を発行しながら、その企業債利子は、収益上の支払い利息に計上しつつ、特例債の元金補助金は、資本剰余金に積み上げて、いわば、架空の赤字を作り出してきたのであります。
 私共、日本共産党市会議員団は、この地下鉄財政の実態、すなわち、329億円もの基金や1546万株の関電株を有し、毎年、500億円〜600億円もの建設投資を可能ならしめていることと、会計上、多額の累積欠損金をかかえているという、この矛盾の最大の要因が、特例債にかかる会計処理にあることを指摘し、正しくこれを改めるよう、92年度の決算委員会以来、一貫して申し上げてきました。当局は、会計原則にあわないなどといって、頑として、これを認めてこなかったのであります。
 ところが、今回、総務省の委嘱を受けた公営交通事業協会の研究報告によれば、特例債元金補助金は、「損益勘定に計上する方向で検討するのが適当である」とされると共に、過去の分割補助金で、損益勘定から資本勘定に振り替えた分は、840億円にのぼりますが、特例債元金補助金を積み立てた1686億円の資本剰余金同様、「累積欠損金を埋めるために、議会の議決を経てこれを取り崩すことも適当」とされたのであります。ここに、私共の主張が正しかったということの理論的な決着がつけられたと思います。
 交通局においては、すみやかに、所要の手続きを取って、まちがいをただすよう求めておきます。そうすれば、2844億円の累積欠損金は、わずか318億円になるのであります。
 
 さて最後に、交通・水道両事業における工事入札問題について、指摘しておきたいと思います。
 それぞれ、2001年度の1億円以上の工事の入札では、交通局で、高い落札31件の平均落札率96.9%、低い落札2件の平均落札率84.9%、水道局では同じく、19件の平均落札率96.9%、4件の平均落札率81.8%、つまり、両局とも、競争性が発揮された場合は、限りなく最低制限価格に近づき、そうでない場合は、予定価格すなわち上限価格に近づくという、中間がなく、この2群に大別されていることが、明らかになったのであります。
 今年7月の、和歌山地裁の判決では、このように2群に大別されるのは、談合以外に想定できない、とされたのでありますが、個々の入札状況をみても、談合したとしか考えられないような不自然なケースが、多々見られるのであります。
 一般競争入札や公募型の入札で、予定価格も事前公表されているにもかかわらず、99.7、99.6%などと、落札できるはずもない金額で入札して、1位の業者に、98.2、98.7といった高い率で落札せしめたり、あるいは、地下鉄の駅の工事では、例えば、8号線の蒲生4丁目は、フジタ、浅沼、東海のJVが落札しましたが、7号線の蒲生4丁目も佐藤、浅沼のJV、太子橋今市も、8号線は三井、地崎、東亜のJVで、2号線は三井建設というように、交差する駅では、過去行った業者がするという業者間の不文律が、今回も生きているのであります。
 決算委員会で、私が、このような事例を示して、どう受け止めるかと質したのに対し、当局は、こともあろうに、「適正に入札が行われている」などと答えたのであります。
 今、入札の競争性を高めて、公共工事額を少しでも縮減するというのは、時代の要請でありますが、それに応えようとする姿勢は、みじんもみられないのであります。猛省を促すと共に、できるだけ、入札参加業者の数をふやすこと、指名競争入札において、入札メンバーの事前公表は行わないこと等、求めておきます。
 又、今回、公営企業においても、契約案件の議会への報告が不可欠であることを痛感いたしました。既に、三重県では、条例を制定して、一般会計同様、議決事項にいたしております。是非ともそういう方向に、足を踏み出すべきであると申し上げ、以上、反対討論といたします。