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市議団の実績

2月26日の大阪市議会本会議での代表質問

 関根信次幹事長

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して2003年度大阪市予算案並びに市政運営について磯村市長に質問いたします。
小泉自民・公明・新保守政権が「痛みに耐えれば未来がある」と強行してきた構造改革の看板は、今や何の展望も示し得なくなっております。「不良債権早期処理の加速」と称して中小企業の倒産は意に介せず、失業者を限りなく増加させています。また「医療制度の大改悪」と庶民増税で4兆円の負担を国民に押し付け、国民生活と地域経済を一層破壊する方向に暴走しようとしています。こうした悪政のもとで昨年の企業倒産と失業率は戦後最悪の状態になっています。
なかでも我が大阪は中小企業の倒産、完全失業率などどの指標を取っても最も深刻になっていますが、特に青年層の失業率は14%と全国で最悪になっているのであります。今こそ大阪市は市民の健康・安全・福祉を保持すること、暮らしと営業を支援し、雇用拡大に貢献するという自治体本来の責務を果たすことが求められており、大阪市の行財政を総動員して小泉政権の悪政から市民の暮らしと大阪経済を守る「防波堤」の役割を発揮しなければならないときです。
ところが本予算案は財政を圧迫する巨大開発予算は手厚く計上される一方で、市民には公共料金の値上げと暮らし福祉の予算は削減するという冷たい内容になっており、これでは小泉政権の悪政に輪をかけて大阪市が市民を苦しめることになるのです。とうてい容認することはできません。本予算案は撤回し根本から組み替えるよう求めるものでありますが、以下こういう立場で具体的に質問致します。
第一に不況の被害が最も深刻な分野の緊急対策に大阪市政が総力を挙げて取り組むべきことであります。
今日の大不況のもとで最も打撃を受けているのは高齢者、障害者、母子家庭そして職を奪われなおかつ雇用保険を欠いた失業者であり、これらの分野の対策は不況に苦しむ市民のまさに「死活」に関わる緊急の課題となっています。そのために立場を越え、知恵を出し合い早急に施策をすすめなければならないと考えます。
まず、国民健康保険の問題です。
「国保料金を払える保険料にしてほしい」と言うのは市民の4割を占める国保加入者の共通の切実な願いです。ところが大阪市は来年度も3パーセントの値上げを計画しており、これが強行されますと4年連続の国保料金値上げという事になります。その値上がりは3年前の実に12.55パーセントにもなります。これは既に市民の負担限界を超えた料金です。
我が党議員団は「安易な料金値上げは保険料金の滞納者を増大させ、ひいては保険制度そのものを危うくする」と指摘して来ました。この指摘は現実の姿になって来ました。保険料が上がるたびに収納率は下がり続け、99年度に91.47パーセントだった収納率は2002年度では86.85パーセントにまで低下しているのです。連続の料金値上げは滞納者を増やすだけであったことは明確です。来年度の値上げは中止すべきです。答弁を求めます。
大阪市は高い保険料を払えない市民から正規の保険証を取り上げ、短期保険証や資格証明書を大量に押し付けています。当局はこれを保険料の支払い相談の機会を増やすためだとしています。しかし現実に起こっていることは今年度資格証明証を押し付けられた1942世帯が医療機関で診療を受けたのは、わずか14件と皆無に等しいと言うことです。医療を受けたくても受けられないと言う、大変な人権侵害が起こっているではありませんか。このような措置は直ちに中止するべきです。答弁を求めます。

次に介護保険の問題です。
まず、保険料軽減への本市の努力を求めたいと思います。高すぎる利用者負担が原因で、介護サービスの利用率が4割にとどまっているために、本市介護保険会計には80億円の基金が生まれています。この基金のうち、60億円を取り崩すなら保険料の値上げをせずにすみます。国が社会保障の負担を大きく増やそうとしている時期だからこそ、基金を取り崩してでも来年度の保険料値上げは中止すべきであり、あわせて保険料減免制度を一層充実させるべきであります。答弁を求めます。
もう一つは、せっかく介護認定をもらっても10%の利用料が高くて払えないという市民の苦しみを無くすため、利用料の減免に踏み出すことであります。在宅介護サービス利用の自己負担を10%から3%に引き下げるために必要な予算は30数億円であります。国に制度の改善を求めるとともに、国がやらなくても、市民にとって必要な施策を実施するところにこそ地方自治体の原点があるのではありませんか。市長、この利用料減免の実施に今踏み出すべきではありませんか。また、住民税非課税世帯の訪問介護利用料に対し、経過措置として取られている3%の制度は続けるべきです。7000万円あまりでそれが可能です。あわせて答弁を求めます。

老人医療助成制度ですが国と大阪府の制度改悪は高齢者世帯に深刻な不安を与えています。市長は大阪市独自の助成制度を新設して老人医療費の自己負担限度額を大幅に引き下げるべきです。さらに大阪府が予定している老人・障害者・母子家庭の医療費助成制度の改悪が強行されますと、立場の弱い12万5294名の市民に深刻な被害が出ることになります。これは大阪府に中止を要求すべきです。併せて答弁を求めます。
次に廃業したり、失業中で雇用保険を欠いている市民に仕事と手当を保障し、大阪市独自の雇用対策をすすめる課題についてであります。
今、大阪市が積極的に雇用拡大に乗り出すべきです。そのために緊急地域雇用創出特別基金事業の拡充を国に求めるとともに、市独自で若手教員の採用を増やすことや公園等の清掃の仕事を拡充すべきです。また卒業しても就職がない状況を少しでも無くすために高校新卒者を採用した企業に助成金を出すなど雇用を増やす努力をするべきです。
また失業中の市民の生活支援は急がなければなりません。離職者への緊急支援が必要ですが、再就職までの生活つなぎ資金として保証人なしで月額20万円程度の大阪市独自の貸付金制度を作るべきです。また現行の緊急援護資金を大幅に拡充することが必要です。しかし現状は限度額が10万円で、民生委員任せになっておりますから精々5万円が貸し出されるだけです。大阪市が直接貸し出し事務を行うようにするとともに限度額を50万円まで引き上げるべきです。併せて答弁を求めます。
第二に大規模開発を止め、公共事業の在り方を生活密着型に転換することであります。この転換を行ってこそ市民の「死活にかかわる」緊急課題を実現し、市民の暮らしと中小企業支援の行政を可能にすると確信するものであります。ところが予算案には従来の大規模開発事業が無反省に計上されています。
まず、 夢洲など臨海部開発予算でありますが、夢洲トンネルに43億円、北港テクノポート線建設は72億円と今年度よりさらに増額され、C10コンテナ埠頭の整備にも17億円、新人工島建設に123億7200万円、夢洲土地造成には35億3200万円と合計なんと291億400万円もの巨額が計上されているのであります。なかでも、夢洲の街づくりは、全く先の見通しもなく、財政的にも無謀きわまりないものであることは、既に明らかです。 夢洲トンネルや北港テクノポート線建設などキッパリと中止すべきです。答弁を求めます。
 また、 夢洲大水深コンテナターミナルづくりについても、その必要性はなく、過大な投資と言わざるをえません。それは、C10岸壁にいまだ一隻の船も着岸していないこと、C12岸壁は建設のメドすらたっていないことからも明らかです。大きな港をつくれば、国際競争力が強くなって、船が入ってくるなどというのは大きなまちがいです。大阪港の発展は、何よりも後背地である大阪経済の活性化によってもたらされるものです。これ以上の 夢洲コンテナ埠頭づくりは中止すべきです。答弁ください。

次に、USJ事業についてうかがいます。
本予算では、USJへの貸付として30億円が計上されています。昨年の一連の不祥事により、大幅に落ち込んだ入場者数の回復をはかるために、「スパイダーマン」など、アトラクション新設のためのものだと説明されています。なぜ、USJの不祥事を会社の責任で処理させないのですか。独自で経営している東京ディズニーランドの例をあげるまでもなく、娯楽施設は民間にまかせるべきであって、大阪市が筆頭株主となって推進することはまちがいであることは明らかです。この際、USJからは手を引くべきであります。市長の答弁を求めます。

次に、大阪市が小泉流「都市再生」の目玉として位置づけている梅田北ヤード開発についてであります。
この計画は、既に破綻した歴代内閣の大規模公共事業を小泉内閣が「都市再生」と看板だけをつけ変えて、引き続き続けようとする大型開発そのものです。
本予算では、この整備推進予算として4600万円が計上されています。22ヘクタール全体構想の策定、および6ヘクタールの事業計画の策定とされていますが、民間がやるべき事業にまたまた本市が推進役となって取り組もうというのですか。
また、現在操業しているJR貨物駅を吹田へ移転することに吹田市民だけでなく、東淀川区、淀川区の住民からも地域の環境破壊を懸念し、反対の声が大きく上がっているではありませんか。これら住民の声を無視した北ヤード開発は、止めるべきです。市長の見解をうかがいます。

次に関西空港の問題です。本予算では、関空への出資・貸付で59億円、前年度の44億円を上回る予算が計上されています。
関空2期事業は、自民党内部からも「三大バカ事業の一つ」という声が上がったほど、採算の見通しがたたないムダな公共事業の典型です。このうえ2期事業を継続すれば、財政の面だけでもいっそう採算のとれない空港となり、そのツケはやがて府民市民に重くのしかかってくることは明らかです。
関空への公金投入をやめ、2期事業は中止することを、国と大阪府、関空会社に求めるべきではありませんか。答弁を求めます。
交通局は経営破綻したフェスティバルゲートの中に交通記念館を入れ込んで支援策に乗り出そうとしています。その費用は整備費に3億1千万円、半年の支払い賃料1億4千万円というとんでもないものです。我が党が計画段階から自治体として手を出すべきものではないと指摘して来たにもかかわらず、強行して来たこの事業は開設後、たった5年間で100億円近い赤字を作り、長期借入金は現在330億円にもなっているではありませんか。市長は「事業の再生は受託銀行の責任で進める」と言い続けて来ましたが受託銀行が撤退を申し出る始末であります。交通局は銀行の申し出をひた隠しにして来ました。しかし事業の破綻は明らかです。今なすべきことは受託銀行に応分の負担を求めることを前提に信託契約を解除すべきなのです。契約相手の銀行に見放されても尚公金をつぎ込んで事業継続するというのは度外れた無駄遣いだと言わねばなりません。直ちに契約解除と予算支出を止めるべきです。答弁を求めます。

五つの赤字第三セクター会社の貸付金120億円が来年度予算には計上が見送られていますが、これは全部で915億円貸付る計画ですでに538億円貸付たものの、市民の批判が大きくこれを再検討せざるを得なくなったのものであります。そもそも、これらの第三セクターは参加した銀行や大企業の「最後は大阪市が責任を取るだろう」という思惑に本市が安易の乗っかって作ってきた事業です。そのためバブルに浮かれて無責任で、過大なビル建設に走り、巨額の赤字を抱え込むに至りました。こうしたなかで銀行は貸付資金の利子を得るだけでなく、チャッカリとビルに担保を設定しました。つまり、出資大企業や過大貸付責任のある銀行等の責任はまったく問わずに大阪市が責任を引き受けてきたのです。市長はこのような事態になっても「今ここで会社を整理すればこれまで投じてきた市民の財産を失うことになる」などと言って無駄遣いを続けようとしています。
今回貸付を停止するのであれば、貸付の見送りではなくこれを完全に停止をしてこれら第三セクター事業から撤退することが求められているのではないでしょうか。そしてその際、出資している大企業や過大な貸付を行った銀行に応分の負担を求めるべきです。市長の答弁を求めます。
以上述べて来たように従来の大規模開発をやめ、生活密着型の公共事業に転換すべきです。そうすれば他都市に比べて遅れている市民のための公共施設を拡充して市民の長年の期待に応える事ができるのであります。
市民の市営住宅への入居希望は非常に強いことは市長もご存じのはずです。「住宅統計調査」でも大都市の居住水準は立ち遅れており、公営住宅の建設の必要性が指摘されていますが、その13大都市の中でも「一人当たりの畳数」など大阪市の居住水準を示す各項目は何れも最下位になっています。そして大阪市の市営住宅募集倍率は群を抜いて高くなっているではありませんか。市長は市の住宅管理戸数が10万戸で他都市より高いと説明してきましたが、そのことをもって市民の住宅要求に答えないという態度を認めることはできません。建て替えに止まらず用地を確保して新増設を計画をもって進めるべきでなのであります。
また今問題になっているヒートアイランド現象を緩和するために、公園の整備や緑化が必要であることを我が党は再三指摘してきました。しかし2002年4月現在の都市公園現況調査では本市は相変わらず指定都市のなかで市民一人当たり3.5平米で最下位というお粗末さです。今後本市の計画が達成されても一人当たり4.9平米で極めて低い最下位です。改善を急ぐべきです。
こう言った身近な公共事業は市民の求める町づくりに必要ですが、同時に中小企業の仕事作りにもなる一石二鳥の施策です。予算を増額すべきではありませんか。答弁を求めます。

第三に市民の切実な要求に応える課題についてであります。
教育の問題ですが、まず条件整備の重要な課題である少人数学級の導入についてであります。
一昨年に法律の改定が行われ、自治体が独自に学級を編成できるようになりました。これを受けて22道県が独自に小学校低学年や中学校1学年に少人数学級を導入しています。
京都市では、市の「教育改革推進プログラム」において少人数学級の導入をはっきりと示し、2003年度は小学校1年生に、2004年度からは2年生にも拡大して、35人学級を導入する方向を打ち出しました。少人数学級は、学習面だけでなく、いじめや学級崩壊などの問題にも効果があり、今問題の「小1プロブレム」にも効果的であり、小学校低学年の場合は生活指導と学習指導が一体となった方が子どもの状況がよく把握でき、理想的だという評価が定着してきています。大阪市はこれまで「法律の枠、制度の枠、予算の枠」を理由にして、少人数学級導入に踏み出そうとはしませんでした。しかしもはやそんな言い訳は成り立ちません。全国で急速に広がっている少人数学級の導入を急ぐべきであります。いま必要なことは財源を作る市長の決意であります。これは市長の明確な答弁を求めます。
次に、学校の米飯給食についてであります。
米飯給食を週2回から3回にする問題については子どもたちから大変歓迎されており、ただちに実施するよう求めます。また、自校炊飯できる学校は現在130校しかありませんが、これを拡大していくべきであります。子どもが喜ぶ混ぜご飯も、自校炊飯であれば大きな器で混ぜ合わせられご飯も温かいし、おいしさも格別であります。これは子どもの声です。加えて、阪神大震災の教訓からも各学校は地域避難所に指定されており、防災の観点からも厨房施設を備えておくべきであります。答弁を求めます。
次に、中学校給食についてですが、現在旧同和推進校で12校が実施しているのみであります。同和対策事業の特別法がなくなった今日、全ての中学校で実施すべきではありませんか。政府の保健体育審議会答申で、「食に関する指導の生きた教材として活用できる」と学校給食の意義を認めています。ですから全国では71%の中学校で実施されているのです。「弁当は愛情」「弁当は家庭との絆を深めるよい機会」などと時代遅れの拒否答弁はやめて、子どもと父母の切実な願いに答えるべきです。答弁を求めます。

次に、保育・学童保育対策についてうかがいます。
大阪市は、保育所入所を申し込んでも入所できない待機児の数が、ここ数年全国一という記録を続けています。これに対し、国の少子化対策臨時交付金の活用による数カ所の認可保育所の建設や園庭もない駅前ビルでの分園化がおこなわれましたが、一方では、定員の弾力化とか、面積活用といって、子どもの詰め込みと保育士の配置基準の改悪をおこない、子どもの保育を受ける環境は非常に悪化し、民間保育園にも大きな犠牲を強いています。
大阪市は、これからさらに公立保育所の大幅な廃止と民営化など、安上がりの保育施策をおしすすめようとしていますが、このような自治体の公的責任を投げすてるやり方は、絶対におこなうべきではありません。
私は、全国一多い待機児を解消するためには、市の責任で十分な公立、あるいは社会福祉法人の保育所の建設整備を本格的にすすめること、また、現公立保育所の統廃合はおこなわないことを強く求めるものですが、市長の見解をうかがいます。

また、学童保育については、男女共同参画の社会づくりのうえでも、子どもたちの健全な発達のためにも、留守家庭の放課後に、生活と遊びの場を保障するその役割はますます重要となっています。
本予算案が、学童保育に対する補助単価をすえおいていることは、人件費にも満たない補助金の中で懸命に運営している学童保育関係者に対して、あまりにも冷たいしうちだと言わざるをえません。抜本的な引き上げを求めます。
同時に、実施場所を確保しにくい大阪市で、学童保育への余裕教室の貸与は切実な願いです。この問題では、「児童いきいき放課後事業」を実施していることを理由に、学童保育への余裕教室の貸与を拒否し続ける大阪市の姿勢は、厚生労働省も「理解できない」と明言しています。頑迷な姿勢を改め、一日も早く余裕教室の貸与に足を踏み出すことを求めますが、市長の答弁を求めます。

次に障害者への支援の問題です。支援費制度の発足という障害者施策の転換にあたり、障害者とその家族、事業者への不安と期待にこたえ、施策の拡充をはかることは行政の大きな責任であります。
支援費制度の実施にあたり必要なことは、認定業務では障害者の希望を聞き、上限を設けず必要で十分なサービス量を認定すること、社会福祉協議会の公的ヘルパーを拡充すること、利用料は現行水準以上にはしないこと、支援費を実態に見合ったものに改善するよう国に求めるとともに減収となる施設への市独自の助成などです。
しかし、大阪市では、介護保険導入の際、社協ヘルパー切り捨てを行った経過もあり、今後の市社協の障害者向けヘルパーどうなるのかという不安の声が出されています。今後も継続すべきです。
また、障害者をもつ家族が苦労して行っている障害者共同作業所への運営助成金が7年間も据え置きされており、大阪市の対応はまことに冷たいものであります。増額すべきです。見解をうかがいます。
次に、野宿生活者への支援の問題です。野宿者は大阪ではすでに一万人をこえるといわれており、生活悪化の中で、野宿生活に転落する危険に直面している人も増加しています。
 この1月に発表された大阪府立大学・黒田教授らの研究によれば、餓死や凍死、また、治療を受ければ治る病気によって死亡する野宿者が、大阪市内で年間200人以上にのぼっています。亡くなった方は、冷え込みがきびしい2月に集中しており、黒田教授は、「餓死、凍死など多くのケースは、適切な医療や生活条件が整えば防ぐことができたはずだ」とのべておられます。
必要な対策は、わが党がくりかえし求めているように、病弱・高齢などで就労できない人には生活保護を適用し、医療・居住の保障を行うこと、簡易宿泊所での居宅保護を認めることであります。答弁を求めます。

次に、生活保護の民主的実施についてであります。
いま、長期不況のもとで、仕事がなく、暮らしにゆき詰まった市民が激増していますが、こういう時に、必要なすべての市民に生活保護が適用されるようにすることは大阪市政の重要な責任であります。
ところが、第一線の福祉事務所では、現在様々なトラブルが起きています。申請用紙を窓口に置かず、申請に行った人に「仕事を見つけてから来なさい」「住宅扶助基準を超えているからだめ」「申請書を出すかどうかは、うちの判断」などと、何回も追い返す対応が行われています。所持金が45円という人に、申請書さえ渡さずに追い返すという人権をふみにじるケースもあります。このような申請権を拒否した生活保護行政は、ただちにあらためるべきだと思いますが、ご答弁ください。
また、毎年、ジリジリとカットを行ってきた生活保護世帯への夏期と年末一時金については元に戻すよう強く求めます。ご答弁ください。

次に、大阪市勤労婦人センターの存続についてであります。
勤労婦人センターは開設以来26年が経過し、女性労働者の労働福祉施設として女性を支援するためにさまざまな取り組みをしています。各種の資格取得講座開催や働く女性のの相談活動など女性の自立支援、生活文化向上のための自主サークル活動など活発におこなわれ、昨年度、同センター利用者は3万990名にのぼっています。
この施設を「財政非常事態」の名のもとに、廃館しようとしていますが、これは男女共同参画社会づくりの方向に逆行するものであり、撤回すべきと考えますが、市長の答弁を求めます。

第四に中小企業を支援する課題であります。
今事業所数の99パーセント、従業者数の74パーセントを占める中小企業の再生なくして大阪市経済の再生はありません。そのためには特定の分野だけの対策だけでなく総合的な中小企業支援を強化することです。わが党はそういう立場から5つの提案をいたします。真剣な検討を望みたいと思います。項目を上げますと、その一は産業経済費の中で年度末には一般会計に戻る融資基金や信用保証協会貸付金などを除いて、実際の中小企業経営支援になる予算を抜本的に増やすこと。その二は中小企業向けの官公需を増やすこと。その三はものづくりの全分野で支援を強化すること。その四は制度融資に止まらず本市が地域金融活性化に役割を発揮すること。その五は大企業に地域経済と雇用についての責任を果たさせることです。以上の中で三点について答弁を求めたい。と思います。

まず中小企業への仕事を増やす問題です。
大阪市の官公需の中小企業向け発注は48パーセントにすぎず、政令市の中で最低です。これを60パーセントに引き上げるだけで年間430億円もの仕事が新たに中小企業に回ります。これを分離分割発注して入札資格のない業者にも及ぼす方法などをとれば、中小企業の大きな支援になります。また、大阪市は高齢者の住宅改造に介護保険とあわせて50万円の助成をしていますが、府下自治体のように100万円に増額すべきです。これは住み慣れた地域で住み続けたいという高齢者の願いにこたえることになり、中小建設業の仕事を増やすうえでもきわめて有効ではないでしょうか。
次に、ものづくり支援の強化です。大阪市は東部地域をはじめ全域で、東大阪市、東京都大田区をはるかにしのぐ中小製造業の集積地になっています。今これらの製造業は元請け大企業の海外進出によって、高度な技術力がありながら大変な困難に陥っています。しかし今日までこれらの地域への本市の対策はなされて来ませんでした。こうした企業に対して、新製品の開発などの技術支援と、販路の開拓などの営業支援の両方が可能な「ものづくり支援センター」をつくれば、大きな励ましとなるのではないでしょうか。
次に伝統ある地域金融を守り、活性化させるために本市が努力すべきことです。日本共産党は、貸ししぶり・貸しはがしを防止する「大阪市地域金融の活性化に関する条例(案)」をすでに提出しています。国にむりやり中小企業をつぶすような「不良債権処理」のやり方を抜本的にあらためさせるとともに、大阪市独自にもこうした条例を制定し、大銀行に地域への融資の責任をはたさせるとともに、信用金庫や信用組合などが中小企業への融資の役割を果たしてもらうよう、積極的に援助すべきであります。 以上、あわせて答弁を願います。

第五に大阪市の市政運営に責任をもつべき市長の政治姿勢に関わる問題についてあります。
まず終結すべき同和事業についてであります。
「地対財特法」が2002年3月末をもって失効したにも関らず、同和事業、同和行政が「人権行政」の名で一般施策に割り込んだ形で相変わらず続けようとしています。
本予算案でも、昨年「市同促」にかわるものとして立ちあげた人権協会に「奨学金制度に関する説明相談事業」など様々な事業を委託し、特別対策の継続を図っています。人権協会への事業委託はやめるべきです。答弁を求めます。
また、一民間病院にすぎない芦原病院に補助金・特別貸付金として9億2300円を計上し、貸付金累計はなんと129億9千万円にのぼり、これまでに同病院からは一円も返済されていません。そのうえ特別貸付金については貸付要綱もなく金銭消費貸借契約書のみで処理するというでたらめぶりです。返済されるという目処もないまま、漫然と公金を支出する行為は、まさに高知県で副知事らが逮捕・起訴されたヤミ融資による背任行為と同様のものといわざるを得ません。公金支出を止め、貸し付けた資金の回収を検討すべきです。答弁を求めます。
大阪市は、同和住宅を「ふれあい人権住宅」と称して同和地区周辺に地域を限定して募集しています。これは、行政が差別の対象としての「同和地区」を作り出すものと言わざるを得ません。ただちに市営住宅として広く公募し、このような特別扱い、優遇は止めるべきです。答弁を求めます。

最後に平和の問題です。
 アメリカのイラク攻撃をめぐる情勢はきわめて重大な局面にあります。
平和解決の道が「国連の査察の継続と強化」にあることが国連安全保障理事会の中でも、日本や世界の各地で1000万人を超える空前のデモや集会の中でも、いよいよ明らかになってきました。こうしたなか、日本政府は18日、国連安保理の公開討論の場で、米英の武力行使を容認するという日本と世界の平和の世論に反する態度をとりました。この政府の態度は、「平和都市宣言」をもつ大阪市としても見過ごすことは出来ないのではありませんか。大阪市の宣言には「核兵器の廃絶と真の恒久平和」を謳っています。市長は市民を代表して大阪市の宣言の立場から政府にものを言うべきです。
またアメリカのイラク攻撃の動きに関連して、国会に出されている有事法案が重大な意味をもって来ました。米軍が仕組む戦争に日本を総動員する態勢づくり、それが有事法案であります。有事法制のもとでは自治体や民間人も罰則つきで強制的に動員される体制につながっていく危険があります。大阪市と市民にとって、重大な事態を招くことになります。この点でも市長は平和の市民世論を代表して政府に対して反対の意思表示をするべきです。
 

また、それと関連して、大阪港を文字通りの商業港として平和的に運用することが大切になっています。大阪市の非核・平和への貢献として、アメリカの軍艦に対し神戸市が行っているような非核証明書の提示を求める制度をつくるべきであります。市長の見解を求めます。
以上で私の質問を終わりますが、答弁のいかんによっては再質問することを申し上げて質問を終わります。