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市議団の実績

2003年度大阪市一般会計等予算案に対する

組み替え動議に賛成し、原案に反対の討論

3月18日、本会議で姫野浄議員

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2003年度大阪市一般会計等予算案に対する組み替え動議に賛成し、原案に反対の討論を行います。
 今、小泉内閣の悪政の下で、戦後最悪とも言えるほどの厳しい経済状況にあります。とりわけ、大阪の経済は、極めて深刻な事態にたちいたっていると思います。
 こういう中で、本市予算編成がいかにあるべきか、申し上げるまでもありません。市民にとって、不要不急の予算は後回しにして、何よりも、市民のくらしや中小企業の経営を応援し、下から大阪の経済の活力を取り戻すものにすることであります。 
 ところが、本市予算原案は、市民のくらしを守るどころか、国民健康保険料や介護保険料の値上げで、逆に重い負担を押しつけようとしているのであります。その一方で、ムダな夢洲開発はじめ、国際集客都市づくりの失敗のツケ回しに巨額が計上されているのであります。到底認めることはできません。以下、具体に指摘いたします。

 反対理由の第一は、市民の切実な願いには、まともに応えようとしないばかりか、重い負担増を押しつけているからであります。
 まず、国保料の4年連続となる3%値上げと介護保険料の5.9%値上げについてですが、深刻な長期不況で暮らしが行きづまっている市民に、これだけ大きな負担を押しつけることはもってのほかであります。
 国保については、一般会計から26億円投入すれば据え置くことができるのであり、政令市では、京都市、札幌市が据え置き、名古屋市は引き下げたのであります。いま、国保料が高くて支払えない滞納世帯が21.1%にもなっており、これ以上の値上げは到底許されるものではありません。加えて、この保険料滞納者に、国保証を取り上げて資格証明書を渡す、短期保険証を渡すなど、あわせて3万6459世帯にも罰則を科すなど、冷酷な仕打ちは国民皆保険を否定するものであり、ただちに取りやめるよう強く要求しておきます。
 介護保険料についても、第1期の3年間で保険料が80億円以上も残り、準備基金に繰り入れられており、差し当たって、60億円取り崩せば3年間据え置きできるのであり、保険料減免の充実や利用料の減免制度をつくることもできるのであります。できることをなぜやらないのかということです。
次に、乳幼児の保育対策についてですが、合計特殊出生率が1.23まで落ち込んでいる大阪市にとって、子どもを産み育てやすい環境を整える抜本的手だてが必要になっています。特に保育所整備については、3年連続待機児数日本一の現状を解消する対策が必要ですが、従来のように、民間園による駅前分園をつくるとか、施設はそのままに定数以上をつめ込むなど、保育条件を悪くすることが柱となっているのであり、待機児ゼロ対策にもほど遠いものであります。今こそ、正規の保育所の建設を行い、抜本的な待機児の解消を行うべきであります。まして、公立保育所の統廃合や民営化に走ることは断じて許されないのであります。
 また、少人数学級の問題でありますが、すでに、全国の4割を超える自治体が小学校低学年や中学校に少人数学級を導入しています。特に、小学校一年生には、生活指導と学習指導が一体的に行われる少人数学級を行う事により、勉強が解り楽しい学校生活が送れるようにするために効果がある事は既に実証済みであります。わが党委員が、「今は決断が求められている時だ」と少人数学級の導入を強く求めたのに対し、磯村市長は、「少人数学級も選択肢の一つだが、検討中」と、極めて消極的な態度をとったのであります。
 また、大阪市は、中学校130校中、12の旧同和校で給食が実施されているだけです。全国では既に71.4%の中学校で実施されています。その根拠となっているのは、学校給食法で中学校給食を実施することを努力義務として規定しているからです。わが党の試算では、毎年25億円で5カ年計画のなかで実現できます。ところが、教育委員会は、依然として根拠のない愛情弁当論をかざして実施に踏み切らず、市民の願いに耳を傾けない姿勢に終始しました。わが党委員から「弁当は家庭とのきずなを深めるものという考え方であるなら、むしろ小学校の方がもっと深い愛情が必要なのではないのか。小学校では実施し、中学校ではやらない理由にはならない」と追及され、理事者は答弁できなかったのであります。
 次に、市営住宅の建設問題では、応募倍率が最高1151倍、平均でも26.4倍などにあらわれているように、市民の緊急で切実な要求です。本市は広大な未利用地をかかえているにもかかわらず、理事者は「地価が高く、土地を取得してまで建設はできない」とか「住宅がどうしても必要であるという切実な問題でなく、より居住水準の高い住宅を求めて、質の問題に移行している」などと、市民生活の実態からまったくかけ離れた答弁をおこなったのであります。
 また、新婚家賃補助については、子育て世帯の市内定住に大切な役割を果たし、年間約8000世帯に利用されてきました。しかし2002年度から、当初3年間を2万5000円から2万円に引き下げ、予算額も99年をピークに6億円削減されています。わが党委員がこれを批判したのに対し、理事者は「新婚世帯の収入に占める家賃負担の割合を制度当時と一緒にするために、補助額がどれくらい下げることが可能か試算した」などと冷たく合理化したのであり、納得できません。
 つぎに、中小企業への支援の問題です。
 大阪市の官公需の中小企業優先発注率は、48.6%であり、政令市の中で最下位であります。大阪市の数値は単なる年度末の集計の結果こうなったというものであります。委員会質疑において、中小企業への優先発注は「中小企業への資金の流れがよくなり、大阪経済がよくなる」と理事者は答弁したものの、国から中小企業への発注目標値の設定が指示されているにもかかわらず、大阪市は目標値も持たず、分離、分割発注などの手立てもとらず、大企業一括発注に偏重しているのであります。

 反対理由の第二は、ムダな大型公共事業やその失敗のツケ回しに莫大な予算を計上しているからであります。
 まず夢洲開発ですが、住宅建設など土地利用がまったく見込めない開発は中止をするべきであります。今回の委員会質疑の中では、夢洲開発は5〜6年先送りしたと言っているのに、2010年頃までに今後1100億円かけて夢洲土地造成をおこなおうとしていることが明らかになりましたが、まったくの無駄な公共事業であります。北港テクノポート線の建設や道路トンネル建設も中止するべきであります。また、スーパー中枢港湾機能を持たせるなどと言って水深15メートルバースの整備をこれ以上進めることも容認できないのであります。
 また、USJの問題では、予算質疑の始まるその日にグループファイナンスが今年度に50億円を貸し付けていた事が明らかになり、その上に大阪市が来年度予算で30億円も貸し付ける、これにたいしては与党の議員からも市民の理解は得られないのではないかという厳しい質問が出されたものの、結局貸し付けに賛成した訳ですが、私たちは断じてこれを認めることはできません。アトラクションの増設は以前から計画してやることになっていたのであり自前でやらせるべきであり、大阪市が資金を貸付けるというのでは甘えを助長するだけであります。一方で、USJはアメリカのユニバーサル社に対し、2年間で135億円もロイヤリティを支払うのであります。これでは到底市民の理解は得られません。USJも、失敗すればすべて大阪市が責任をかぶるという構造にしようとするものであり、自治体がやるべき事業ではないことがいよいよ明らかになったのであります。
 また、ATC、WTCなど5Kへの公金貸付問題は、貸付見送りではなく完全に停止し、これまでの貸付金の返済を求めるとともに、出資した大企業や銀行に応分の負担を求めなければなりません。委員会質疑では、例えばWTCについては、大阪市の貸付金ばかりかグループファイナンスの貸付金や、「第2庁舎」化などでうまれた償却前黒字の分まで銀行への返済にまわされていること、大阪市とグループファイナンスが貸付けた公金が220億円、駐車場やホールなどの買取り分や負担分が80億円、市庁舎入居の賃料等がこれまでに125億円など、合計425億円もの支援をしていること、その一方で銀行は235億円の元金返済を受け、278億円もの利子を受け取っていることなどが明らかになりました。
 市長は「抜本的な会社再建策を検討する」と言っていますが、必ず返って来ますと市民に約束して貸付けた公金を回収できないような再建策では、到底市民の納得は得られないということを指摘しておくものであります。
 さらに、安易に第三セクター方式で5つの会社をつくり、その事業規模をふくらませてきた大阪市や、過小資本が明らかな会社に3000億円をこえる過大貸付けをおこなった銀行の責任は極めて大きく、またこれを容認・支援してきた与党も責任をまぬがれることはできないのであります。
 また、グループファイナンスからの5K会社への融資は返済される保証がないのであり、そのグループファイナンスに大阪市が200億円の損失補償をするというのも、到底認められないのであります。
 次に、フェスティバルケートへの支援の問題です。
交通局は交通記念館に3億1000万円もの整備費を費やし、さらに年間2億8000万円ものテナント料を払うとしていますが、これもムダ使いそのものだと言わなければなりません。
この土地信託事業は、年間3億円の収益をあげるために23億円の費用を費やしているという経営状態のもとで、三菱信託銀行をはじめ、3つの信託銀行が2001年5月から次々と事業撤退の法的手続きを開始しており、事業破綻は明白です。受託3行は2001年度までに貸付金利子を22億円も取り、信託報酬は7億3600万円もとり続けました。しかも事業からの辞任申請をした2002年度も信託報酬を取るという厚かましさは突出しています。もはやこの事業を続けることは市民への背信行為だと言っても過言ではありません。直ちに銀行の責任を明確にしたうえで信託契約を解除すべきであります。
 次に、阿倍野再開発については、当局の試算でも70年後にようやく収支があい償うという前代未聞の事業です。本予算に計上されている国の無利子融資と元利金債の発行が認められる展望は、予算を組んだ当局自身もまったく確信がないありさまであり、まさに破綻状態にある事業であります。
 それにもかかわらず、大阪市は依然としてバブルの発想で、超大型商業施設やホテル、1800台収容の巨大駐車場建設を進めようとしています。とくにA2棟の大型店が出店すれば、阿倍野区での大型店の売り場面積占有率は、実に74%をこえ、周辺の商業に壊滅的な打撃をあたえることは明らかです。ところが、理事者は「強い決意をもって事業を推進していく」と答弁したのであります。巨大商業施設の建設・運営を、サイモン・プロパティ・グループ一社にまかせることも含め、到底認めることはできません。

 反対理由の第三は、終結すべき同和事業、同和行政を一般施策の名で継続するとともに、更なる同和利権の温存をはかっているからであります。
 本予算原案には、いち民間病院にすぎない芦原病院の運営助成などに9億2300万円、人権文化センターの管理運営など人権協会への委託事業に40億2000万円が計上されていることをはじめ、旧同和校での中学校給食の実施や教員加配の継続、青少年会館へのおびただしい数の職員配置など、まさに、これまでの同和事業の継続であります。
 また、同和住宅も一般募集とはほど遠い不公正さであるうえ、建て替え事業の中で次々と空き戸数が生ずるなど、ズサンきわまりないことも従来の通りであります。
 これらがどうして一般施策といえるでしょうか。また、今回の委員会審議を通じて、円滑な収束のための経過措置事業といわれるものの中で、更なる同和利権の温存がはかられていることが明らかになりました。各地で建て替えられて、地域人権協会にそっくり譲り渡されていっている同和浴場が、その最たるもので、なかでも、今浪速区に建設中の二つの浴場は、とびきり豪華なものであります。浪速人権協会への建築助成ということでありますが、それぞれ5億300万円、5億3600万円と全額大阪市が支出し、一階駐車場、2階・3階が浴室、一部4階が更衣室でエレベーターつき。浴室には、遠赤外線サウナ、炭酸風呂、泡風呂、岩風呂、露天風呂ありというものです。これは風呂なし市営住宅居住者のためではなく、広く客を呼び込んで、大きく利益をあげようとするもので、とても、同和事業の経過措置とはいえないものであります。同和利権の温存、拡大以外の何ものでもありません。
 次に、浪速区栄小学校の校庭用地の一部、1382平方メートルが解同系の産業廃棄物業者に17年間にわたり不法占拠されていた問題についてであります。栄小学校といえば、建設当時から77億円の巨費を投入した東洋一の小学校として有名であり、大阪市が解同の言いなりになり、不公正・乱脈な同和教育・行政を行ったシンボル的存在であります。校地の不法占拠について、さすがに市長も「行政の怠慢であった」ことを認めましたが、このような不正常な事がまかり通るのは、原因があります。
 毎年、解同の交渉に、市長はじめ助役、局長連が顔を並べる姿を市の職員は見ております。だから、異常であると思っていても、同和関係の問題となると担当職員が毅然とした態度がとれないのであり、このゆがみを正すよう市長に対し厳しく指摘しておきたい。
 最後に、市民福祉と平和に責任をもつ大阪市長の姿勢の問題として、健康保険本人3割負担問題とイラク問題についてふれないわけにいきません。
 健康保険本人3割負担による1兆5000億円の国民負担増は、国民皆保健制度の根幹を揺るがすだけでなく、個人消費をさらに冷え込ませることは明らかであり、いま、全国の地方議会で凍結を求める意見書の採択が相次いでいます。市長としても、政府に凍結を申し入れるべきであります。
 また、イラク問題について、市長は代表質問への答弁で、「わが国をはじめ関係各国がけんめいの外交努力を続けるべき」だと当たりさわりのない答弁をされました。ところがアメリカのブッシュ政権は、ついに国連決議なしで無法な武力攻撃にふみだそうと危険きわまる動きをはじめており、放置できるものではありません。
 これに対し、いま世界各国でイラク戦争反対の声がわきおこっていますが、大きな都市の市長も声をあげています。ロンドン、パリ、ローマ、ベルリンなど、多くの市長が市民ととともに、平和のメッセージをあげています。私は、憲法第9条をもち、「非核平和都市宣言」を行った大阪の市長として、アメリカに対して、「イラク戦争やめよ、イラク問題は国連のルールにもとづいて解決せよ」ときっぱりとしたメッセージをあげるとともに、政府に対しても、同じ主旨の明確な申し入れを行うよう求めるものであります。

 以上、予算組み替え動議に賛成、原案反対の討論とします。