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市議団の実績

「健康保険本人3割負担実施の凍結を求める意見書案」への賛成討論
 

3月18日、議会本会議で下田敏人議員

3月28日大阪市議会本会議での意見書のてんまつ

 28日の市議会本会議では、「パートタイム労働者・有期契約労働者の適正な労働条件の整備及び均等待遇を求める意見書」「基礎年金の国庫負担割合の早急な引き上げを求める意見書」が全会一致で採択されました。与党の提案に日本共産党も賛成したものです。
 日本共産党大阪市会議員団が提案した「健康保険本人3割負担実施の凍結を求める意見書案」には、与党が対案として「医療制度改革に関する意見書案」を出し、与党案が多数で採択されました。この件では、下田敏人議員が本会議で討論をおこないました。
 


下田敏人議員の「健康保険本人3割負担実施の凍結を求める意見書案」への賛成討論
                                     3月18日、大阪市議会本会議
 

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただ今上程されました議員提出議案第6号「医療制度改革に関する意見書案」に反対し、議員提出議案第7号「健康保険本人3割負担実施の凍結を求める意見書案」に賛成の討論を行いたいと思います。
 言うまでもなく、この議員提出議案第6号は、わが党提案の健康保険本人3割負担実施の凍結を求める意見書案への対案として出されたものでありますが、いったい何を言いたいのか、凍結に反対なのか、それとも賛成なのか、文面だけではさっぱりわからないものでありまして、だいたい対案としての体をなしていないものであります。
 しかし、よくよく読んでみると、「持続可能な制度として再構築」などと3割負担導入を推進してきた公明党の坂口厚生労働大臣の言い分とそっくりそのままで、結局、3割負担凍結に反対なのだと断ぜざるをえません。しかも、「医療制度改革にあたっては」うんぬんと述べているように、健保3割負担導入が大きな柱である、厚生労働省の医療制度改革なるものを肯定しているのであります。到底、この与党対案に賛成することはできません。今、大阪市会としてなすべきは、市民の願い、市民の負託に応えて、3割負担凍結を求める意見書をキッパリと採択することであります。

 そもそも、この3割負担導入が、いかに、国民の願いに背くひどいものであるか、論を待ちません。
 第1に、自己負担がふえれば、必ず受診抑制となることは、97年の2割負担導入の結果を見てもあきらかであります。当時の厚生省の調査では、35才〜64才までの患者が実に35万人も減ったと言われているのであります。
 又、昨年10月からの老人医療制度の改悪によって、治療を中断したり、薬を減らすなどの深刻な影響が出ており、日本医師会の行った緊急レセプト調査では、昨年10月から11月のお年寄りの通院一件あたりの医療費は、前年に比べ、マイナス11.8%と大幅に落ち込んでおります。医療の基本は、言うまでもなく、しっぺいの早期発見、早期治療なのであって、必要な受診が抑制され、その結果、治療が遅れれば、病気は一層重くなり、医療費も逆に膨らむことになるのであります。

 又、第2には、一連の医療改悪によって、1兆5千億円もの国民負担増が押しつけられることになるのであります。ただでさえ厳しい経済状況の中で、しかも勤労者の所得が年々減少している上に、こんな負担増がやられたら、一層、深刻な影響を日本経済に与えることは火を見るより明らかであります。

 第3は、健康保険財政悪化の最大の要因が、保険料収入の減少にあることがはっきりしているのであります。
 政管健保の2002年度決算と2003年度見込みを比較すると、医療費の支出は200億円の増であるのに対して、保険料収入は、1千億円も減少しているのであります。
 小泉内閣の失政による深刻な不況、リストラの加速で、保険財政を支える勤労者の賃金が下がり、又、加入者が減っているからであります。政府みずから保険財政を深刻にしておいて、そのツケを命と健康を破壊する耐えがたい負担増という形で国民に押しつける、自民・公明連合の論理には全く道理のかけらもありません。

 だからこそ、法律が強行成立させられ、4月実施目前にして、なお、凍結を求める国民世論がほうはいとして湧き起こっているのであります。昨年、12月11日、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会の4団体が、3割負担凍結などを求める共同声明を発表しました。
 それによると、「現在、政府においては、本格的な少子高齢化社会に対応する医療制度の構築に向けて、聖域なき構造改革を断行している。改革の柱は、患者及び国民の負担増、医療への株式会社参入等であり、財政対策と市場原理の考え方に終始している。しかし、これらの政策は、国民の健康に対する国の責任を放棄し、国民皆保険制度を根底から崩壊させるものである。よって、我々四師会は、国民誰もが安心してよりよい医療をうけられるために、連携して国民運動を展開する」として、全国津々浦々の医院や病院で、あるいは街頭で、訴えられているのであります。
 又一方、各地方議会での負担増凍結を求める意見書の採択も次々と行われ、北海道議会はじめ、長野、高知の県議会では、全会派一致で採択されたのであります。ところが、これに危機感をもった公明党の諸君が、各地でこれに反対しつつ、猛然と自民党に圧力をかけはじめました。自民党の山崎幹事長のホームページによれば、冬柴公明党幹事長から、「街頭演説をおこなっているところであるが、地方において最も関心の高いのは政管健保3割負担の問題である。公明党だけが熱心に推進しているのではないかという批判を受けているので与党一体となって不退転で取り組んでいただきたい。実例として、北海道議会では、公明党本部の指令を求められ、『まかりならぬ』といったが賛成したので処分した。沖縄県議会では、採決の際に外に出てもらった。三重県議会においては、着席したままで賛成しなかった。このように、公明党は毅然とした態度で臨んでいるのに、自民党の地方は足並みが乱れているので、どうか責任ある与党の立場として整然とした行動をとっていただきたい」というお話がありました、との事でありますが、それでもどんどん広がっている状況であります。
 道府県議会では、北は、北海道から、青森、宮城、千葉、三重、京都、岡山、徳島、鹿児島ときて、南は沖縄まで、実に18の議会で採択されているのに加え、政令市では、川崎市で、そしてこの14日には、京都市議会で、公明党だけの反対で意見書が採択されました。又、神戸市では、連合神戸から出された凍結を求める請願が委員会で採択され、20日の本会議で意見書が採択される見通しとの事であります。
 国会でも、衆院では、野党4党の「凍結法案」を、与党は審議拒否をいたしましたが、この14日には、参院に「凍結法案」を提出して、早期に審議を行うよう求めているところであります。
 まさに、こういう緊迫した状況の中で、本市会において、凍結を求める意見書を採択することは、大阪市民のみならず、全国の国民各層の願いに応えることであり、極めて意義深いものがあると思います。民主・民友の諸君は勿論のこと、自民党の諸君も是非ともこの6号は否決され、7号に賛成されますよう訴えて、討論といたします。