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1月30日に開かれた大阪市議会本会議で、 日本共産党を代表し、渡司考一議員が決算に反対する討論 |
渡司考一市会議員 2004年1月30日 |
私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2002年度大阪市一般会計決算等の認定に、反対の討論を行います。 今、大阪市民のくらしや中小企業の経営は、「景気は着実に回復」などという小泉内閣の認識とは大きくかけはなれた困難に直面しています。高い失業率と倒産、就業者数の減少、所得の落ち込みに歯止めがかかっていません。株価や大企業収益の回復は、雇用にも家計にも波及していないのです。何より、小泉内閣が進めている税金と社会保障の両面にわたる国民負担増が、くらしと経済を破壊しているのであります。 そういう中で、260万市民のくらしに直接責任をおう本市の役割は、きわめて大きなものがあります。住民の福祉の増進につとめるという地方自治体本来の立場にしっかりと立ち、市民各層の消費購買力をあたためて下から大阪の経済を建て直すことやムダな大型開発優先をやめて生活に密着した公共事業への転換をはかることが重要です。 ところが、本決算にあらわれているのは、3年連続となる国保料3%の引き上げや市立大学入学金、幼稚園保育料の値上げなど、市民負担をおしつける一方、ムダな夢洲の土地造成や北港テクノポート線・夢洲トンネル建設などに巨費を投入する等、市民には冷たく大型開発には手厚い本市の姿であります。とうてい認めることはできません。以下、具体的に指摘したいと思います。 反対理由の第一は、福祉や教育など、市民の切実な願いに応えていないからであります。 まず介護保険の問題では、わが党委員が利用率が市全体で40%台にとどまっている事を指摘し、介護保険の利用料減免制度はすでに全国の4分の1にあたる825自治体にまでひろがっていることをあげて、負担の軽減を国に要求するとともに本市独自でもふみだすべきと主張したにもかかわらず拒否する態度をとりました。 また、特別養護老人ホームの待機者の解消では、市のもっている遊休地を有効活用することが、とりわけ地価の高い市内中心部では必要ではないかと質したのに対して、当局はまったく消極的な態度をとりました。これでは待機者解消のメドがたつはずがありません。 さらに、ホームレス対策が、一刻の猶予もならない問題であることは今日明らかであります。ところが、今回の委員会質疑を通じて、本来大きな役割を果たすべき自立支援センターが、2000年度の開設以来、入所者は1900名、退所者は1700名となっているものの、そのうち就労による退所者は700名と半分にも満たないことが明らかになりました。入所者もがんばり施設のスタッフが努力しても就労者が半分以下ということは、現状では、公的な雇用対策が不可欠であるということを示しているのであります。わが党委員が、その必要性を提案したにもかかわらず、理事者は、職業紹介や職業訓練など従来の延長線上の就労対策しか行わないことを表明したのであります。その上、平均5ヶ月あまりの入所期間を要しているにもかかわらず、いまの6カ月の入所期間を2カ月に短縮するというのであります。これでは、ホームレス問題を解決するどころか、就労のメドもないまま施設から追い出して再びホームレスに戻すだけであります。市長の、4年間で解決するというのは、数合わせだけの机上の計算にすぎないのであります。無責任としか言いようがありません。 また、国民健康保険料を2002年度も3%値上げを行いました。その結果、滞納世帯は2000年度の12万 815世帯、01年度13万 3,006世帯、02年度は141,167世帯へとまた増加し、加入世帯の約4分の1となりました。高過ぎる国保料金が負担の限界に達している何よりの証明ではないでしょうか。また、高過ぎる国保料が払えない世帯に対して、短期保険証を2万3千件以上、資格証明書5千件以上も大量に発行し、医療を受ける権利を奪っているのであります。ただちにやめるべきであります。 また、保育の分野において本議会では、待機児解消のために5年間で入所枠を6673人拡大したと報告されました。しかしこのうち3755人は、公立保育所で職員の配置基準を改悪し、また公立・民間で定員枠を超えて入所させたものであります。その結果、民間では最高定員の158%入所の保育所まで生まれており、現場からは保育室の余裕がない、子供たちはトイレまでせかされる、保護者の相談にもゆっくり乗れないなどの悲鳴の声があがっています。こんな詰め込み保育や十分な保育環境が確保されない駅前分園に頼って、待機児解消を図るべきではありません。 公立保育所の民間委託も議論されました。保育という専門性の高い仕事で経験をつんだ保育士による保育を切捨てる事は公立保育所の公的責任を放棄するものにほかなりません。公立保育所の民営化は、一時保育や子育て支援センターの人員を確保するためだという説明もされていますが、これは保育士を増やして解決するべき問題であります。限られた財源の下で人的・物的資源を活用するなどと言って、大型開発・三セク支援などでの税金無駄遣いのしわ寄せを子育て分野におしつけているのであります。 教育問題では、今もっとも求められているのは、どの子にもゆきとどいた教育を保障することです。だからこそ、国の予算措置がない中でも、いまや少人数学級は30道県2政令市でおこなわれ、全国に広がりつづけているのです。我が党委員が本市も独自に足を踏み出すようもとめたところ、教育委員会は、「学級規模と学習効果の相関について定説的な見解は見出せない」などと時代遅れの否定的見解を示し、拒否する態度をとったのであります。 さらに、多様な市民ニーズに応えるとしておこなってきた中間層向け賃貸住宅、いわゆる「市営すまいりんぐ」、公社住宅、「民間すまいりんぐ」は、空き家の増加によって財政にも悪影響を及ぼしている事が明らかになりました。大阪市は、市営住宅募集が、平均倍率27倍にのぼっているにもかかわらず、市営住宅の建設につめたく背を向けたのであります。 反対理由の第二は、大型開発に巨費が投入され、破綻した三セク支援にばく大な公金が支出されているからであります。 まず、ベイエリアの開発では、夢洲開発をはじめ夢洲トンネル、新人工島などで3百数十億円、三セク5K赤字の穴埋めではATCの貸し付け42億円はじめトータルで139億円、財政支援や市関係の入居で約60億円、他にグループファイナンスの貸し付けが大阪ドームに56億円はじめ、合計99億円。市民の暮らしをよそにこれだけの目もくらむような市税の投入がおこなわれたのであります。 また、今回の決算委員会では、経営破綻に陥ったATC・WTC・MDCの三セク3社の特定調停案について、わが党委員が大阪市の公金負担が追加出資・補助金・家賃共益費あわせて2289億円にもなること、民間テナントに比べて600億円もの高額家賃支援をすることを明かにしました。これらは1000億円を越える新たな公金支援であり、市民に途方もない負担を押付けるものであり、断じて認められるものではありません。 なお、北ヤード再開発の問題は梅田貨物駅の移転によって吹田市や、東淀川区など環境の悪化が心配され、大きな市民運動が起こり、ましてや環境アセスも終わっていない段階であります。にもかかわらず開発をおしすすめていく本市の態度があきらかになりました。これだけの巨大開発の失敗を重ねながらまたぞろ手を出そうというのは正に言語道断だといわなければなりません。 また、開業二年目にして賞味期限切れ食材事件など一連の不祥事で入場客が激減したUSJにたいして大阪市は、2002年度には外郭団体の資金50億円を融資し、さらに本年度には30億円融資する、合わせて80億円もの経営支援を行ったにもかかわらず、今年度も2年連続して収支は大きな赤字になる見込みであります。また、USJに底地を提供している区画整理事業では保留地560億円分が売却できないために、借金返済のための借金をするという事態に陥っており、およそテーマパークなどの事業に、市が筆頭株主となって手を出して、推進することがいかに誤りかを示しているのであります。 また、関西国際空港の2期工事に44億円の支出がされています。地盤沈下と、経営の両面で行き詰っている事実を直視することなく、需要も採算性の見通しも無い事業に莫大な税金を投入する。まさに、言語道断であります。これまで当局は、わが党の追及に対して、需要が回復する、2本の滑走路は不可欠と関空会社の言い分を鵜呑みにし、出資を続けてきました。しかし、航空機の発着回数は関空のいう最大16万回に近づくどころか、2001年度12万1441回から02年度10万8366回へと大きく落ち込み、国内線の伊丹空港へのシフト、成田空港の増強さらには今後、神戸空港、中部国際空港の開港によって利用がより低下することは明白で、2本目の滑走路を緊急に整備する根拠は完全に崩れているのであります。 また、阿倍野再開発の問題は、サイモンプロパティ1社にすべてをかけるのは危険だということをわが党が、いろんな角度から指摘してきましたが、その警告は今日現実のものになりました。 事業の遅れが地元商店の営業にも否定的な影響を与えており、A1地区商業業務棟への入居希望権利者が1997年5月には141軒だったのが、2003年12月には62軒と激減しているのであります。地元の権利者に長年にわたり我慢と犠牲を与えてきたのですから、アーケードの先行買収など、商店の負担軽減や営業活動への支援策を強めるべきであります。 また私が、90年代の大型公共事業費の増大がその後の公債費増加の原因であることを示し、財政悪化のつけを市民と職員にしわよせすべきではないとただしたのに対し、市長は、「大半が地域活性化の基盤整備であり市民財産の形成につながった」などと見当はずれの答弁をおこないました。また政府言いなりに景気対策として過大な公共事業を推進し、今日の財政困難をきたした事にたいする何の反省もなかったのであります。 反対理由の第三は、2002年3月末をもって終了させるべき同和対策事業が、一般施策、あるいは人権施策の名で事実上継続されているからであります。 1969年以来、同和対策事業には1兆2千億円もの巨費が投じられてきた結果、生活環境などに見られた周辺地域との格差が解消され、これ以上の同和事業の継続は、同和利権を温存させ、かえって問題解決を遅らせることになるのであります。 ところが、本決算では、一民間病院にすぎない芦原病院への運営助成に10億円、同和浴場の改修に15億円という多額の支出をおこなったばかりか、教員の加配、会館職員への人的配置などの逆差別を温存しています。また、本市同和行政をゆがめてきた市同促・地区協方式が、大阪市人権協会と衣替えしただけで、会館の管理運営やさまざまな事業の委託を継続しているのであります。不公正乱脈な同和行政の完全な終結を強く求めておきます。 最後に、外郭団体等の問題について指摘しておきます。 わが党はこれまでくりかえし、幹部職員の外郭団体への天下り禁止を主張してきました。 本市でも公共工事をめぐる汚職事件が相次いでおりますが、その背景に「天下り」があることは論を待ちません。退職後の就職制限を国家公務員の基準なみに、退職後2年以内の関係企業への再就職を禁止している政令市が、6市にものぼっていることをあげ、せめて本市も国家公務員なみの基準にすることを求めたのに対し、市長は、職業選択の自由を持ち出し、「一律に規制できない」などと答弁したのであります。これでは企業との癒着はこんごもなくならないと言わなければなりません。 また、本市の外郭団体である大阪市民共済会への業務委託にかかわって、委託料の内、2001年2002年分の国保レセプト点検事業だけでも1000万円以上が本市に返還されていないことが、私の質疑の中で明らかになりました。本市と同会との契約からみてもあきらかに違反する行為である事は明白であるにもかかわらず、理事者は、「会計処理については適切に行われていると認識している」などと言を左右にし、返還を求める約束をしなかったのであります。こうした事がまかりとおるならば契約をかわす意味がありません。さらに同会には健康福祉局はじめ2名の局長が現職の理事に就任していながら、これらの問題を是正しようともしない態度は重大であります。外郭団体との関係の抜本的改善を求めておきます。 以上、反対討論といたします。
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