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市議団の実績

フェスティバルゲート調停案 与党が受諾を承認200億円負担 

共産党は反対 3月26日の本会議で矢達議員

矢達幸市会議員

2004年3月26日

 26日の大阪市議会本会議に、事実上破たんした大阪市の土地信託事業の都市型遊園地「フェステバルゲート」(浪速区)をめぐる調停で、負債総額約380億円(9月末見込)のうち、大阪市が200億円を負担するという調停案受諾の承認を求める議案が提出されました。日本共産党は反対しましたが、与党(自民・民主・公明など)は付帯決議を付けたうえで賛成し可決しました。
 反対討論に立った日本共産党の矢達幸議員は、@議会に調停案の審議に必要な関係資料が提出されず、まともな審議ができないことA経営破たんの責任はすべて銀行側にあるにもかかわらず200億円もの負担求めていること。破たんの原因は、2003年度の信託事業収支で、収入4億3000万円に対して経費は18億円という事態でも成り行きまかせの無責任体制が生み出された銀行のお手盛り的経営にあり、市民に巨大な負担を強いる調停案は受け入れられないBこの施設はまったく資産価値のないものになっていること-の3点を反対理由として指摘。
 矢達議員は、この施設は撤去するにも莫大な費用がかかり、返却されでも再生の道はきわめて困難と指摘し、新たな資金投入での再生は絶対に行うべきでないと主張。「この調停案を受け入れることは、大阪市交通局が元々自分の土地を200億円で買い戻すというばかげたムダ遣いの最たるもの」と厳しく批判し、採択に反対しました。
                                               3月27日付「しんぶん赤旗」
 

(矢達幸議員のフェスゲ調停受諾反対討論)

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただいま上程されました、議案第94号、調停案についてと議案第95号大阪市高速鉄道事業会計補正予算に反対の討論を行います。

霞町土地信託事業は、交通局霞町用地23,500uを91年に東洋信託銀行ほか3行に土地信託を行い、それを信託銀行が都市型立体遊園地・フェスティバルゲートを建設し、交通局に130 億円の配当を支払う計画でスタートしたものであります。

この土地は、大阪市交通事業100 年の歴史の中、市民と交通労働者によって営々として築いてきた貴重な財産であります。

ところがこの事業は、儲かるどころか。開業後一回も利益を計上することなく、毎年莫大な赤字を繰り返し、開業7年にして累積欠損金が120億円、負債総額は380億円に膨れ上がるという、経営破綻状態が続いてきたのであります。  

そして、霞町土地信託事業で大赤字を出した信託銀行は、これ以上信託を続けるならば赤字が増えるだけだとして、大阪簡易裁判所に対して調停を申し立て、市民に何も知らせないまま、密室での協議が一年半も続けられ、今回裁判所が調停案を示したものであります。

その内容は、本年9月末日付けにて、交通局に施設と土地は返却され負債額380億円を交通局が負担する。そして銀行側からは180億円を解決金として交通局に支払う。差し引き交通局が200億円という莫大な負担するというものであります。

200億円と言えば、たとえば交通局の全市バス912両が1 年間市内を走り続けた売り上げ総額が137億円ですから、その1.5倍にもなる巨額であります。さらに信託に提供した霞町用地23,500uのうち8,600uはすでに分譲型信託事業としてスパーワールドに売却処分されたため、返却される用地は14,900uに減ってしまっているのであります。

まず最初に失敗の原因について指摘をしておきます。

わが党江川議員が先の代表質問で「信託事業の失敗の責任はすべてが受託銀行にあり大阪市が借金を引き受けるべきでない」と質したのに対して、関市長は「当時の経済状況での判断は誤りではなかった」などとあくまで非を認めない答弁を行ったのであります。とんでもありません。このような投機的な信託事業に手を出したことが、そもそもが問われなければなりません。

公有地土地信託事業は、86年、自民党・中曽根内閣による臨調行革路線の産物であり、大阪市は全国に先駆けて跳びつきました。公有地の土地信託は、自治省が出版した、注釈・地方自治法でも「信託財産の運用いかんによっては期間終了時に地方公共団体が債務を負担する可能性は常に存在する、したがって、あらかじめその長所・短所につき十分な検討が必要なことはいうまでもない、とか安易に信託方式をとるべきではない。そして信託制度の違法性、不当性が住民監査請求や住民訴訟によって争われる可能性がある」とまで言って土地信託事業で失敗する危険性を指摘し、警鐘乱打されていたのであります。

なおかつ、フェスティバルゲートを契約した91年は、すでにバブル経済は破綻が明瞭になっていた時で、都市型立体遊園地計画は縮小されたとはいえ、それでもなお採算性が極めて疑わしかったのであります。

このようなリスクの多い事業にもかかわらず土地信託契約で進めたこと自体が間違いだったのであります。

そもそも土地信託というのは、事業が失敗した場合には、信託銀行側は何もリスクを負わないのに対して、委託者側が事業失敗の責任を負うというのが信託法そのものの建前であります。つまり信託事業が赤字であっても、銀行側は信託報酬を受け取る、委託者には配当はしない。そして信託終了時に借金か残れば借金をつけて土地委託者側に返還される。こういう不平等な仕組みになっているのであります。そのことを承知で、市民の貴重な財産を、リスクの大きい都市型立体遊園地という内容で土地信託に出して、今回のような最悪の結果を招いた当時の阪口交通局長や大阪市の責任は厳しく問われなければなりません。

わが党は、最初からこの事業は、地方自治体としての大阪市が手を出すべきではないと一貫して反対し、失敗の危険性が高いことを指摘してきましたが、わが党の指摘が現実のものとなったのであります。

与党会派は、こうした危険性に言わば目をつむって交通局と大阪市の後押しをし、議会でこの土地信託事業を多数で承認したその重大な責任はまぬがれないと言わなければなりません。

しかし、信託法はそのようになっているからと言って、今回霞町土地信託で生じた借金を直ちに交通局が引き受けることにはなりません。なぜなら、具体に霞町土地信託事業の目標は、大阪市交通事業経営の安定に資することと明記され、契約終了時に負債が存在する場合には、協議のうえこれを処理する。となっており、事業そのものを大赤字にしたその経営責任は明らかに事業主体の信託銀行側にあるからであります。交通局が霞町の土地を信託銀行に委託したのは、130億円もの配当がある、交通事業会計に資するとの個別具体の、本、土地信託契約を締結したからであります。この個別具体の本契約に照らすなら、交通局は借金を引き受けなければならない道理は唯の一つもないのであります。今回の霞町土地信託契約の終了にあたって、第一の基準にしなければならないのは、信託銀行と交通局が結んだこの具体の契約内容なのであります。

このような立場に立脚して調停案受諾反対の理由について指摘いたします。

第一は、調停案の審査に必要な関係資料が非公開にされているからであります。調停案の受諾の可否を審査する上で、どちらに責任の所在があるのか明確にすることが最も大切です。そのために関係書類の公開が大前提です。

ところが事業の当初の見積もりを示した「収支見積表」は、ほとんどが黒塗りの伏字であり、また大阪市交通局が信託銀行に経営改善を指示する書面も提出を拒否したのであります。議会に対して必要な資料を公開せずに、まともな審査が出来るはずがないのであります。大阪市は先の議会でも、三セク調停の鑑定書の開示を拒否し、裁判所から違法との判決をうけたにもかかわらず、何の反省もないこのような態度は断じて許せないのであります。

第二の理由としては、経営破綻の責任はすべて銀行側にあるにもかかわらず200億円もの交通局の負担となっているからであります。

交通局は「この調停案は公平、公正、専門的立場からまとめられたもの」などとして、何の根拠も示されていない調停案を受諾するとしています。

しかし、以上るる述べてきました通り、今日の破綻の原因は、すべてが銀行側の事業経営の失敗によって引き起こされたものであり、すべての責任は銀行側に帰することは明白であります。

さらに、委員会審議のなかで、私の追及で、この原因が銀行のお手盛り的事業にあったことが明らかとなったのであります。

つまり開業当初から受託銀行4行は、自分の信託事業に自分の銀行の資金を貸しこみ、どんどん借金を膨らませ、最終的には信託契約にもとずいて大阪市にすべてを支払わせるという、あくどい商法であったとことが明らかとなったのであります。ここには、資金の借り手と貸し手という緊張感はなく、たとえば03年度の信託事業の収支では、収入4億3千万円に対して経費は18億円というような収支バランスが崩れていても何ら抜本的な改善の手を打たず、成り行き任せにするという、無責任体制が生み出されていたのであります。

このようなお手盛りの事業は大阪市が行う他の5つの信託事業のなかでさえも、特異なものであり、事業が破綻するのは当然であったといわなければなりません。

このような銀行の不始末により生じた借金を、交通局に振り向けるという理不尽な調停案を受諾することは、交通局会計に重大な損害を与えることであり、ひいては大阪市民に大きな負担を強いることとなるものであり、わが党は断固として反対するものであります。調停案は受け入れるべきではありません。

反対の理由の第3として、この施設は全く資産価値のないものとなっているからであります。

フェスティバルゲートは、「都市型立体遊園地」として建設されたものの、市民のニーズには合わず、現在は人の寄り付かない施設となったものであります。この施設は、複雑な構造物であり他の目的への転用は難しく、撤去するにも莫大な資金がかかるものであります。交通局に返却されても再生の道はきわめて困難と言わなければなりません。

ところが交通局は、200億円を銀行から新たに借り入れて投入し、民間業者に丸ごと貸しつける予定、としていますが、この施設の家賃収入見込みは、たったの年間2000万円程度の見込みで、今までの固定資産税額にも及ばないものです。

結局、銀行借入の返済は、交通局の重要な財源である関西電力の株式配当や営業外収益を充当する、としています。このような新たな資金投入での再生は絶対に行うべきではありません

この調停案を受け入れることは、もともと自分の土地であったものを200億円支払って買い戻すと言う、非常識な無駄遣いであるといわなければなりません。

なお、与党会派の皆さんが受諾にさいして附議しようとしている付帯決議は、この土地信託事業を推進してきた、自らの責任にはまったくふけれない、反省もしない、と言うものであります。さらに「今後は本市として一切の経営にかかわる公金支出を行わない」としている点についても、交通局は同施設を交通記念館として利用する、ゆとりとみどり振興局も賃料を払って事業をするなど、特定調停にいたった三セク会社への入居支援と同じような公金支援をしようとしているのであります。こんな付帯決議では大切な市民の財産を守ることにはなりません。このことを指摘して、私の反対討論といたします。