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市民の平和と安全を確保することは大阪市の責務 稲森豊議員が「大阪市非核・無防備平和都市条例」に賛成の討論 |
稲森豊市会議員 2004年7月23日 |
23日に開かれた臨時市会閉会本会議で、「大阪市非核・無防備平和都市条例」について、稲森豊議員が日本共産党を代表して賛成討論をおこないました。自民、民主、公明など与党は討論にたたず、否決しました。 <稲森豊議員の賛成討論> 私は日本共産党大阪市会議員団を代表し、議案第106号に賛成の討論を行います。 賛成の理由は、まず第一に、条例案、第一条「本条例は、国際平和を誠実に希求し、戦争と武力を永久に放棄するとした日本国憲法の平和主義の理念に基づくものである」、第二条「大阪市民は、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」などの条文にうたわれているように、日本がアメリカの強い要求をうけ「戦争をする国」への道を進もうとしている中で、広島・長崎の被爆をはじめ第二次世界大戦の痛苦の教訓から、二度と戦争はゴメンだ、市民を戦争に巻き込まないでほしいとの切実な願いが込められたものだからであります。 そして同時に、本条例制定が、日本国民の宝であり、世界の平和を愛する人々の希望の星とも言うべき日本国憲法第9条を草の根から守っていくことにつながるからであります。 それでは、今日わが国の平和を、現実におびやかしているのはいったい何でしょうか。外国からの侵略の脅威でありましょうか。そうではありません。それは、アメリカの引き起こす無法な戦争に自衛隊を参戦させること、まさに、日本の国を「戦争をする国」に変えようとする政府自身の行為であります。すなわち、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明確に戦争放棄を謳った日本国憲法を蹂躙して自衛隊をインド洋やイラクに派兵し、さらには、自治体、国民をも動員しようとする有事法「武力攻撃事態法」を制定し、これを実動させるために有事関連法を制定する、そしてその仕上げとして今日、自民党・公明党勢力も民主党もともに、憲法9条改悪を狙い、しかもそれを現実の政治日程にのせようとしている、ここにこそ日本の平和を脅かす根源があるのであります。 この「日本をアメリカとともに戦争をする国にしようとする」行為は、今世界でおきている「今こそ世界の平和のルールをまもれ」「国連憲章を守れ」という巨大な流れ、21世紀の国際社会の平和の本流に対する少数派に過ぎません。イラク戦争一つを見てもいまやアメリカなどの戦争勢力は世界から決定的に孤立しているではありませんか。 私たちは、憲法9条を改悪するのではなく9条を断固として守り抜き、日本を戦争に巻き込む日米軍事同盟をなくしていく道こそ、21世紀の日本の平和を守る確固とした安全保障だと考えるものであります。 こういう立場から私たちは今臨時議会でも、憲法9条のもつ今日的な国際的意義についての市長の認識を質し、市民の平和の願いに立つならこの9条を世界に広めるために不断の努力をするべきだ、そのために条例制定をするべきだとしたのに対し、市長は「憲法9条は平和主義・国際協調主義といった憲法の基本的理念に基づくものであり、私はこの考え方は世界の恒久平和の実現のための基本理念であり、今後とも引き続き海外にも明らかにしていくべきもの」だと答弁しました。そうであるなら、市長は憲法9条の改悪に反対する立場を明確にし、本条例を制定するべきであります。 賛成理由の第二は本市、平和都市宣言や平和に関する諸決議を、真に実効あらしめることにつながるからであります。 ご承知のように、1994年、アメリカ艦船クロムリンの突然の大阪港入港を機に、「大阪港の平和利用決議」が全会一致で採択されました。ところがそれ以降も、幾度となく、傍若無人に米艦船が入港し、そのつど大阪市はこれを容認し、この決議をふみにじってまいりました。しかも、今回の委員会で、我が党委員が、米国艦船の大阪港寄港に際して、米国総領事館が「核を積んでいるかいないか、個々の艦船については言わないこととしている」と言明していることをあげ、「これでは核兵器持ち込みを拒否する」とした「大阪港の平和利用決議」は守られていないことになるではないかと質したのに対し、市長は「事前協議がないから非核三原則は守られている」とすでに破綻した答弁をくりかえしたのであります。艦船等で核兵器を日本に持ち込むこと、すなわち、トランジットは日米安保条約にもとづく事前協議の対象に含まない、とする日米間の密約が存在する事は、アメリカの公文書によって明々白々で、2000年4月に我が党があきらかにしましたし、同年8月の朝日新聞報道でも裏づけられていることであります。 このような態度では、大阪港の平和利用に関する決議を誠実に実行するものとは到底言えません。今後、神戸市の非核証明方式など同決議が確実に実行される措置をとることが必要であります。 また、大阪市が行っている平和に関する施策・事業についても、今ほどその拡充が求められているときはありません。市長の答弁は大阪市は十分やっているというものでありますが、ピース大阪事業予算は削減されていますし、ピース大阪事業以外にはこれといった平和施策・事業が見られないなど、市の平和施策は大変不十分なものと言わなければなりません。条例化によって、ピース大阪など本市の代表的な平和事業に対しそれにふさわしい財政的な補助をおこない、市民のとりくむ自主的な平和への取り組みに関し積極的な支援をおこなうことが必要であります。 なお、本条例を制定することは、国が憲法蹂躙の無法を進めている中で、憲法92条に言う地方自治の本旨に基づいて、「市民の平和と安全を確保する」という地方自治体としての責務をまっとうし、拡充することを意味するのであって、政府の解釈などになんら拘束されるものでないということを申し添えて、私の賛成討論といたします。 |