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補正予算に反対の討論 開会本会議で瀬戸一正議員が |
瀬戸一正市会議員 2004年9月29日 |
私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただ今提案されました補正予算案四件にたいして反対の討論をいたします。 まず三セク3社特定調停による104億円の追加出資についてでありますが、わが党はこの特定調停は市民に大きな負担を押付けるものであり、受入るべきではないと一貫して主張して参りました。その理由を要約しますと、第一に金融機関の側は一定の債権放棄を行うとしていますが、すでに金融機関はこれまでに三セク3社から元金利子合計で1246億円も回収しており、特定調停によって残債務1138億円と利子528億円が回収できることになり、回収合計額2912億円は貸付総額2702億円を上回るものになるのであります。第二にこれに対して大阪市の方は、これまでに3社に対して1354億円もの公金をつぎ込んだうえにさらに、今回の追加出資104億円をふくめ2289億円もの公金支出が義務づけられるのであります。三セク3社の赤字を大阪市の公金で穴埋めする、銀行への借金返済を大阪市が肩代わりするというまったく不合理、無責任なものだからであります。これが今回の補正予算案に反対する第一の理由であります。 今回の補正予算で104億円が会社資本金として追加出資され、329億円の貸付金が株式化されれば、大阪市は三社のそれぞれで持株数において99.99%もの株主になることが明らかになりましたが、ここには大阪市が三セク3社の経営破綻の全責任を引受け、これら破綻会社を市の子会社同然にしようとする姿が鮮明に現れています。また、経営状況をみてもATCは、03年度のテナント収入が見込みより2億円落込んだたけでなく、5年後の収入も当初事業計画を大幅に下回る見込みであることが明らかになりました。会社が二次破綻し大阪市が銀行借金の損失保証に追込まれる危険性が十分あるのであります。これらは、わが党が特定調停に反対した理由を裏付けるものであります。 反対理由の第二は、その特定調停に基づく104億円の追加出資を、地域再生事業債という新たな地方債、借金をして捻出しようとしている、借金に頼らずとも財源があるから追加出資をするというのではなく、苦しいとされる財政のなかで借金をしてまで追加出資しようとしている点であります。 地域再生事業債という新たな104億円もの借金をすれば、その利子は10年償還の起債で30年かけて返済するとして27億円にもなります。 とりわけ、WTCへの追加出資40億円が港営会計の借金で賄われようとしているのは無謀というしかありません。港営会計は03年度には土地が売れずに、借金返済のための借金をするという事態に追い込まれているばかりか、向こう5年間にこれまでの倍額以上の520億円もの借金返済しなければならなくなっているのであります。港営会計本体が危機的な財政状況になっているのに、WTCへ借金してまで出資する余裕などはまったくないのであります。 さらに、地域再生事業債を三セク3社への追加出資に使うということは、福祉・教育に使うことのできる財源をわざわざ巨大開発の失敗の穴埋め、銀行支援につかうものと言わなければなりません。 地域再生事業債は、地方自治体が単独事業としておこなう公共投資、学校その他の文教施設建設、保育所その他の厚生施設建設などにも、つまり広い意味での公共投資にあてることのできるものであり、04年度地方財政計画において、地方交付税と臨時財政対策債の2兆8200億円もの大幅削減とセットでつくられた、つまり事実上、削減された地方交付税と臨時財政対策債をある程度穴埋めするための新しい制度であります。大阪市にあっても、交付税が100億円、臨時財政対策債が180億円、あわせて280億円もの福祉・教育に使うことのできる一般財源が減らされております。ところが大阪市は、その地域再生事業債を、本年度当初予算でUSJへの貸付金30億円、そして今回の補正予算で三セク3社への出資金104億円に、に充てようとしているのであります。ここには、まさに福祉・教育の財源を、巨大開発と銀行利益の犠牲にしてはばからないという、ひどい大阪市の姿勢があらわれているのであります。 さらに付け加えるなら、地域再生事業債の元利償還金は国が交付税措置する、いずれ国費で借金返済できるかのような議論がありますが、今回国が交付税措置する方法としてあげている標準事業費方式というのはいったいいくら基準財政需要額に伶入したのかまったく分からない代物であり、その上今国で検討されている三位一体改革ではその地方交付税そのものが大幅に縮減されようとしているのであり、国が面倒見てくれるというはまったくの空手形にすぎないと言わなければなりません。 続いて、霞町土地信託事業に200億円もの公金をつぎ込もうとしている交通局補正予算案についてでありますが、この霞町土地信託事業は、本来地方自治体としての大阪市が手を出すべき事業ではないにもかかわらず91年に市民とわが党の反対を押しきって強行実施されたものであります。その結果私どもが指摘してきたとうり、380億円もの負債を抱えて破綻し、裁判所の調停にかけられたのであります。裁判所は、380億円の負債を、信託銀行側が180臆円を負担する、大阪市交通局は200億円の負担を引き受けるという調停案を出し、大阪市と与党はこの調停案を受諾しましたが、わが党はこの破綻の責任は銀行にあり、負債は信託銀行側が負担するべきものという立場から、調停案の受諾に反対したのであります。 今回、交通局は、このフェスティバルゲートを再生するとして、提案コンペを行い「一棟貸し」する企業を募集しいたしましたが、4社しか応募がなく、その結果優秀業者がオリックス株式会社とアスクプランニングの共同出資で設立する法人に決まり、この10月1日より貸し付けられようとしています。ところがその家賃たるや、年額4000万円から1億円程度しか入らず、従来フェスティバルゲートが払っていた固定資産税・事業所税額である1億4500万円にも満たないのであります。固定資産税額よりも低い賃料で貸し出すなどということは一般不動業界では通常ありません。こんな家賃では、投入金額の200臆円を回収するには200年以上もかかるのであります。こんなものはとても再生計画と言えるものではなく、市民の理解を得られるものではありません。 さらに、委員会質疑でわが党委員が追求したように、フェスティバルゲートが行き詰まり困難なときにも、必死になって商いを続け、家賃を払い続けてきた現在のテナント、いわばフェスティバルゲートを支えてきた業者を、オリックスの事業計画に添わないからと大阪市交通局が明け渡しを迫ると言う「地上げ屋」まがいのことが行われているのであります。このような理不尽なことは直ちにやめるべきであります。 土地信託事業について最後に指摘しておかなければならないのは、本市財政と交通会計にこれほどの損害をもたらす提案した市長、交通局長など理事者の責任であります。正に辞職に値するものと言わなければなりません。現在、調査委員会で破綻に至った原因を調査しているとのことでありますが、改めて明確な責任を取ることを求めておきます。 わが党はかねてより主張してきましたとおり、今回の補正予算で霞町の土地信託事業に200億円の新たな公金投入には断固として反対であります。 最後に、今回の追加出資の104億円や、霞町土地信託事業への新たな公金投入200億円は、市民の目線から見れば、どういうことになるのでしょうか。 今年11月から、老人・障害者・母子父子家庭・乳幼児のみなさんへの福祉医療費助成制度が改悪されるなら市民民負担は62億円にもなると予想され、市民から大きな怒りの声があがっています。 今年3月の議会で与党議員が、市バス・地下鉄の敬老パス・敬老優待乗車証について、所得制限や一部負担金を導入するなど見直すべきだと主張し、理事者が「検討してまいりたい」と答弁をしたことが、市民の間に不安を広げています。問題とされている敬老パスの予算は81億円であります。 これらの負担を押付けられる市民のみなさんが、三セク三社への104億円の追加出資やフェスティバルゲートへの200億円もの公金投入に怒りをあげるのは当然であります。 以上どんな角度から見ても、今回の四件の補正予算案には、断じて賛成できないということを申し上げて、私の反対討論といたします。 |