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福祉医療制度の改正に関する決議(案)」に反対し 福祉医療制度の存続を求める決議(案)」に賛成する 本会議で北 山 良 三議員が討論 |
北 山良三市会議員 2004年10月20日 |
北山良三議員は、日本共産党を代表し、与党の「福祉医療制度の改正に関する決議(案)」に反対し、日本共産党が提案した「福祉医療制度の存続を求める決議(案)」に賛成する討論をおこないました。決議は、与党案が賛成多数で採択され、日本共産党案は一事不再議となりました。 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、与党議員団が提案しております、議員提出議案第18号「福祉医療制度の改正に関する決議(案)」に反対し、我が党議員団が提案しております、議員提出議案第19号「福祉医療制度の存続を求める決議(案)」に賛成の討論を行います。 大阪市は、去る9月27日の市会民生保健常任委員会で、突如健康福祉局長が報告し、「住民税非課税世帯の65才から69才の高齢者」を老人医療費助成制度の対象から除外し、事実上この制度を廃止し、また、老人一部負担金助成制度、乳幼児医療費助成制度、母子・父子医療費助成制度、重度障害者医療費助成制度において、1医療機関あたり1回500円、月2回までの自己負担を導入するなど、福祉医療制度の大幅改悪を今年11月から強行しようとしています。 日本共産党大阪市会議員団は、市民のくらしと健康を守るとともに、進行する少子高齢化への対策を強化するという面からも、また、必要な財源の見通しや税金の使い方の見直しという面からも、こんな改悪に断固反対し、現行制度の継続を強く求めるものであります。
まず第一に、対象となる高齢者・乳幼児・重度障害者のみなさんとその家族、及び母子・父子家庭のみなさんのくらしと健康への不安がますます広がっており、その中での福祉医療制度の改悪は、「高齢者や障害者いじめ」であり、「少子化対策に大きく逆行する」ということを指摘しなければなりません。 長引く深刻な不況の影響に加え、10月から年金制度の改悪が実施され、毎年の掛け金の値上げと給付水準の引き下げが行われます。来年からの所得税・住民税における「老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小」で市民に対する課税がいっそう強化されます。加えて大阪市は今年も国民健康保険料を値上げし、5年連続で16%にも及ぶ値上げを行っています。このように、短期間の間でもくらしと健康を直撃する制度改悪が次々と実施されています。さらに、介護保険料の引き上げや定率減税の廃止、消費税の増税など、今後も市民にいっそうの負担を押し付ける動きも伝えられています。 こんな中にあって、福祉を必要とする方々への医療費を補助する本制度を改悪し、これらの方々へのいっそうの負担の増大を求めることが許されるでしょうか。 今年11月2日に65歳になるある高齢者は、「週一回の受診を医者に言われているが、70歳まで3割負担が続くと思えば、目の前が真っ暗になる」との声を私達に寄せてきています。双子を含めた3人の就学前の子どもを持つある母親は、「一人が病気をすると必ずといっていいほど他の子どもも病気をする。しかも、伝染性の内科疾患だけではない。虫歯や中耳炎・結膜炎など、いくつもの医療機関にかかることが多く、とても月に500円や1000円の自己負担ではすまない。子育ての負担がいっそう大きくなる」と怒りの声をあげています。これらの声はまったく当然であり、市民の付託を受けている大阪市会として、真摯に受け止めた対応が求められています。 同時に、昨年11月に行われた大阪市長選挙における関市長の公約には、どんなことが掲げられていたでしょうか。「7つの重点施策」での「私の決意」では、「福祉や医療、教育など市民生活に関わりの深い施策をこれまで以上に充実していかなければなりません」と記されています。また、「関 淳一の基本政策」では、そのトップに「きめ細かな地域福祉の推進」を掲げ、「高齢者をはじめだれもが地域で安心して暮らせるよう、市民の皆さんと協力しながら福祉・保健・医療をはじめ子育て支援など、さまざまな施策を総合的に展開し、多様なニーズに対して、きめ細かなサービスを提供します」と書かれています。これらの市長の公約から見ても、市長は、「現行の福祉医療制度の継続」を表明すべきであり、府の福祉医療制度の改悪に全面的に追随し、福祉を必要としている市民への負担を大きくする態度を、今からでも改めるべきです。 このようにみれば、与党議員団が提案している「決議案」は、この市民の声に応えるものになっていません。文案では「市民生活への影響が懸念される」「福祉医療制度がこれまで果たしてきた役割を十分に踏まえ、必要な医療が抑制されることがないよう」などと述べつつも、その結論は「制度改正後、その実態把握に努め」云々と、今回の「福祉医療制度」の改悪を容認している内容になっています。こんな立場を認めることは断じてできません。きっぱり、今回の「福祉医療制度」の改悪をやめ、現行制度の継続を求める立場こそ、市民の付託と期待に応えるものであると、確信をもって訴えるものであります。
第二に、今回の「福祉医療制度」の改悪の理由として、理事者は「本制度を『持続可能』なものにする」「府との整合性を図らなければならない」「本市単独での継続は多額の負担が見込まれ困難」と表明していますが、これにはまともな根拠がないということを指摘しなければなりません。 まず、「府との整合性を図らなければならない」理由などどこにもないということであります。 例えば、乳幼児医療費助成制度は1993年10月に創設されていますが、当初から府と大阪市の制度には大きな違いがあります。府は0歳から就学前児童の「入院医療」だけを対象としていたのに対し、大阪市は単独で0歳児の「通院医療」も対象にしていました。その後も、府はやっと2001年から0歳児の通院医療費助成を開始し、2002年、現在の1歳児までを対象にし今日に至っていますが、その間大阪市は、1996年に2歳児まで、翌97年には3歳児まで、2000年には4歳児まで、2001年には5歳児まで、そして2002年には現在の就学前児童まで「通院」医療費助成を拡大してきています。このように大阪市は一貫して府に先行して乳幼児医療費助成制度を進めてきているのです。また、老人医療費助成制度においても、1998年、大阪府は当時のノック知事のもとで、その対象を「住民税非課税世帯」に縮小する改悪を行いましたが、大阪市はこれに同調・追随せず、当時の制度を大阪市単独で継続する措置をとったのです。このような事実を見れば、「府との整合性を図る」ということで、府の改悪に同調・追随する根拠にならないことは、極めて明らかではありませんか。 次に、「本制度を『持続可能』なものにする」「本市単独での継続は多額の負担が見込まれ困難」だとする、理事者の言い分についてであります。言い換えれば、「今後多額の負担が増え、この制度の持続が不可能になる」から、府が改悪するこの機会に大阪市も改悪するという内容です。 この発想も、関市長が掲げた選挙公約に反します。昨年11月に市民のみなさんに約束した「関 淳一の基本政策」の冒頭では、「充実すべき福祉や医療、教育など市民生活にかかわる重要施策の財源については、新たに公共事業や人件費の削減などで生み出します」と書いてあります。まだ1年も経たない今、これとはまったく逆のことをやろうとしているのです。 そもそも、この福祉医療制度での大阪市の負担が、この間どんどん増えつづけているのでしょうか。また、今後も市単独で現行制度を継続すれば、財政的に「持続不可能」な状況になるのでしょうか。 2001年度の「福祉医療制度」における市の負担は122億3000万円であるのに対し、2003年度は115億7000万円と、6億6000万円も減少しているのです。そして今年度も3年前の2001年度予算対比で、22億7000万円も減額した予算が組まれているのです。このように実際の市の負担は、この間減少しているのです。 さらに来年以降の見通しはどうでしょうか。乳幼児医療費助成制度で、府が今年11月から「通院医療費助成」の対象を拡大する分、市の負担は減少します。老人医療費助成制度の対象である「住民税非課税世帯」については、来年からの住民税における「老年者控除の廃止(市内対象者7万2000人)」、「公的年金控除の縮小(市内対象者7万3000人)」によって大きく減少することが予測されます。これらを勘案すれば、高齢者の増加という要素はあるものの、府の改悪による大阪市の負担増加分をまかなう財源は年間十数億円程度であり、決して大きくはありません。フェスティバルゲートの破綻処理に200億円、さらには経営「持続不可能」の可能性が大きいATCなど3セク3社には、向こう30年・40年にわたって2300億円にものぼる市の負担をすることを考えれば、この程度の負担は十分「持続可能」といえます。このように現実をみれば、「福祉医療制度」の現行での継続が「持続不可能」といえる根拠は、まったくないではありませんか。 それでは、大阪市の本当のねらいは何か。このまま府の改悪に追隋し、大阪市も「福祉医療制度」を改悪すれば、市の負担をなんと年間42億3000万円も浮かすことになるのです。まさに、少子高齢化への本来の施策を逆行させ、「福祉を削って財源をつくりたいと考えている」としか言いようがありません。しかもその財源を、新たな大規模開発事業やこれまでの破綻事業の穴埋めにまわそうという動きを、私達は決して認めることはできません。 以上のような立場から、大阪市における「福祉医療制度」の改悪に反対し、現行制度の継続を求めている、議員提出議案第19号「福祉医療制度の存続を求める決議(案)」に賛成する態度を再度表明し、発言を終わります。
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