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市議団の実績

2005年度大阪市予算案の組み替え動議に賛成し、原案に反対の討論

わたし考一議員が本会議で討論

わたし考一市会議員

2005年3月29日

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2005年度大阪市一般会計等予算案に対する組み替え動議に賛成し、原案に反対の討論を行います。

今、市民の暮らしは年金、医療制度改悪、それに加え大幅増税など痛みを押し付け続ける小泉政治の下で、耐え難いものとなっています。こうした中で大阪市政に求められているのは、国の悪政に反対するとともに、自らは税金の無駄づかいを徹底的に改める真の市政改革をおこない、市民の暮しや福祉、中小企業支援の予算を組むことであります。ところが關市長が提案した予算原案は介護保険料や市大授業料などの値上げに見られるように、こうした要請からはかけはなれたものになっており、到底認める事はできません。

以下具体的に予算に反対する理由を説明いたします。

 第一は、市民の切実な願いにはまともに応えようとしないばかりか、重い負担を押し付け、中小企業に対しては冷たい予算になっているからであります。

まず、国民健康保険料の問題です。国保料は、この間の毎年の引き上げによって「払いたくても払えない」過酷な保険料になっており全体の約4分の1の世帯が滞納においこまれています。

本予算案は、一般会計から国保会計への繰り入れ額を今年度より11億円、市税投入額では15億円も減らし、保険料を引き下げてほしいという市民の願いに背を向けるものとなっているのであります。国保会計への市税投入額は、2002年度の386億円をピークに毎年減少し、来年度予算では353億円と、最高時とくらべ33億8000万円も減額されているのであります。

わが党議員が、大阪市のように低い保険料世帯が多い自治体に対して、2003年度から「保険者支援制度」というあたらしい補助制度がつくられ、来年度ではその収入が21億円計上されていると指摘し、これに加えて国保会計にせめて2002年度並みの市税投入をすれば、保険料の引き下げが十分に可能だと強く求めたのに対し、市当局は、まともな理由を示さず、「困難」を繰り返す答弁に終始したのであります。

保育所の問題では、次世代育成支援行動計画に基づく5年先の保育所入所児童の目標量は40,431人となっていますが、すでに去年10月時点で、大阪市は40388名の児童をうけいれており、目標量との差はわずか43人であります。こんな目標では、当局がいう「今後増大かつ多様化する保育需要」に応えられないのはあきらかであります。

また、この間の「待機児解消」対策は、まさに「詰め込み保育」をどんどん強め、現場の保育士と子どもたちに犠牲を強いているといわざるを得ません。民間保育園では、定員に対し125%を超えて受け入れている所が、昨年1月1日現在では21ヶ所だったのに対し今年は28ヶ所に増え、140%以上受入も2ヶ所から8ヶ所に増えています。最高の受け入れ率も、昨年の153%が今年163%という異常な状況になっています。待機児対策は詰めこみではなく基本的に保育所建設で解決すべきであります。

また、公立保育所の民間委託が保護者の強い反対の声を押し切って進められていますが、民営化の際、4月になって保育士が突然に変わると、子どもたちの負担が大きいと、保護者からの強い要求によって大阪市が約束した、本年1月からの新任保育士の早期配置が、計画の半分しか配置されていない事があきらかになりました。大阪市は民間委託時の保護者に対する最小限の約束すら果たせていないのであります。改めて、保育に対する公的責任を投げ捨てる公立保育所の民間委託計画は撤回するよう改めて求めるものであります。 

つぎに子どもと教育をめぐって、人と予算を惜しんでいるという点であります。

少人数学級はやらない、中学校給食はしない、警備員は8校に1人しか配置しない、学校図書館の司書はおかない、こうした姿勢を来年度も続けようとしています。

 学校安全対策について、教育委員会は、「全国に先駆けてモニターカメラの設置など、ハード面の整備を行った」と答弁を繰り返しましたが、ハード面の整備に加えて、人の目が大切であることがはっきりしたからこそ、PTAやはぐくみネットの取り組みが強まり、地域の人たちが、登校時間に合わせて散歩や水やりをするなど、自分のできることで子どもを守る運動・行動に力を尽くそうとしているのです。せめて、行政として、登校から下校まで、警備員を配置することは当然の責務だと考えます。

また、学力低下や様々な子どもを取り巻く困難に立ち向かうために、少人数学級への努力が多くの自治体で取り組まれています。それらの自治体では少人数学級を決して万能とはせず、クラスサイズが小さくなった利点を生かして、みんながわかる授業を展開することに心を砕いています。そうした実践に学ぼうともせず、「習熟度別授業こそ万能」だと、あくまで全小・中学校にこれを押しつける教育委員会の姿勢は、子どもたちの一人ひとりの思いを大切にし、どの子もわかる教育に接近を図ろうとする真摯な態度ではなく、認める事はできないのであります。

本予算案には「小児ぜん息等医療費助成制度の見直し」と、「生活保護世帯への夏・冬見舞金の廃止」が盛り込まれていますが、弱者にたいする冷たい仕打ちと言わなければなりません。「小児ぜん息等医療費助成制度」は、1988年の「公害健康被害補償法」の改悪を受けて、本市が公害被害救済のために始めた事業であります。現在も16560人の子どもが助成を受けており、わずか5400万円の財源ですむ事業であり有料化すべきではありません。

我が党委員がこうした市民いじめの計画は白紙撤回するよう求めたのに対して市長は、「必要な施策の選択と集中を進めて行く」と計画を推進する考えを示しましたが、とんでもありません。強く撤回を求めておくものであります。

財政局の「大阪市財政構造の改革に向けて」という提案は、敬老パスにとどまらず新婚家賃補助制度や保育料まで多くの「市民サービス」を改悪する計画であり、極めて重大な問題です。健康福祉局の8項目だけでも約70万人の市民の負担が増えるのであります。

次に市営住宅建設予算が今年度に比べ50億円も減額されている問題です。市営住宅の応募倍率は毎回、平均で20倍から30倍で一向にさがっておらず、予算の減額は、市民のニーズに背くものと言わなければなりません。さらに大阪市は、住宅建替え事業で生まれた余剰の土地を市営住宅を建てずに不当にも民間に売却してきました。こうした売却予算が来年度も5億円組まれています。

また、国が老年者控除を廃止するなどの税制改悪を行ったために、福祉減免を受けておられる入居者の家賃が三倍、四倍にもなるケースがあることが質疑の中であきらかになりました。我が党議員が家賃の減免基準は大阪市が独自に決められるものであり、救済措置を講ずるべきであると求めたにもかかわらず当局はこれを拒否したのであります。

つづいて市長が市政運営方針の中で重点予算枠に組み込んだ、一企業にたいする30億円の誘致助成予算についてであります。これは「投下固定資本額300億円以上」の超大型の工場誘致に30億円を投じようとするものですが、今大阪市の産業を建て直すのに求められているのは、事業所の99%をしめる中小企業の活性化をはかるための支援策であり、製造業で言えば「ものづくり支援センター」を設置するなど、中小企業対策予算を抜本的に増額することであります。それをせずに、自ら設備投資の能力をもつ大企業に市民の税金を大盤振る舞いすることは到底認められません。

また深刻な消費不況にあえぐ、市場・商店街をさらに苦境に追い込む大正区鶴浜埋立地の大型商業施設の誘致は絶対に容認できません。直ちに撤回するべきであります

交通局は「経営改革計画」にもとづいて、バス営業所を次々に民間委託しています。委託先である大阪運輸振興は、バス運転手の70%を一年契約の契約社員として採用し、運転手の賃金引き下げを一方的に強行しました。質疑の中でもあきらかになったように、このような不安定雇用と賃下げを伴う乱暴な民間委託は働く人たちの仕事に対する責任感の後退を招きかねず、公共交通の「安全・安心・快適」という使命を投げすてるものであります。

 

対理由の第二は、市民に必要な公共事業予算は削る一方で、湾岸開発などの大規模開発はいっそう推進し、三セク事業の破綻処理に多額の公金を投じようとしているからであります。

まず、北ヤード開発についてです。理事者は、北ヤード開発は民間主導でやられ、今回の区画整理事業では「都市再生機構」が事業主体となり、過去の開発事業のように大阪市が大きなリスクを負うことはないと説明しています。その場合でも、結局、保留地が売れなければ、本市に負担が押付けられる危険があります。   

さらに、北ヤードにも適用される都市再生特別措置法では、整備地域内では民間が提案する公共施設整備を自治体は進めなければなりません。このために千葉市ではすでに430億円の都市公園事業の3分の2も負担させられています。

このように大阪市に大きな公共負担が押付けられる可能性があり、ましてや、貨物駅移転先住民の合意を得られない北ヤード開発は推進すべきではなく、中止するべきであります。

 次に、総額350億円もの巨費を投じる夢洲大水深コンテナ埠頭C12の整備予算であります。大阪港へのここ数年のコンテナ船入港の推移を見れば、増えているのは1万トン未満の対中国貿易の船であって、肝心の北米航路などの5万トン以上の船は逆に減っております。現在の咲洲の6つの公共コンテナ埠頭と5つの専用埠頭で充分間に合っているのであります。今後、多少大型の船がふえたとしても、夢洲の2つのコンテナ埠頭で十二分に対応できるのであり、C12バースの新たな整備の必要性はまったくないのであります。先ず建設ありきで、過大・過剰な投資をおこない、その岸壁を利用するために従来のコンテナ埠頭やR岸壁、フェリー埠頭などを使用していた船舶を移動させ次々と転がすという、2重、3重の税金無駄使いなのであります。

大阪シティドームとクリスタ長堀が特定調停に向けて再建計画を裁判所に提出しました。

これは、再建計画だとしていますが、内容は、大阪市に全面依存の計画だと言わなければなりません。三セク破綻処理にこれ以上の税投入をする事は市民の理解を到底得る事はできないと改めて強調しておきます。

 また、霞町土地信託事業が失敗・破綻し、交通局は200億円もの損害金を全額市民の財産である地下鉄会計の剰余金で支払いました。これは今後市民の大きな負担として押しつけられるのであります。さらに質疑の中でフェスティバルゲートの再生計画なるものが、オリックスなどの出資会社「ターミナルテン」に施設を一棟貸しし、その中に交通記念館を入れ、大阪市が毎年6500万円の追加負担を行うことが明らかとなったのであります。

 

 反対理由の第三は、終結するべき同和事業・同和行政を一般施策の名で継続し、多額の予算をつぎこみ、依然として同和利権の温存を図っているからであります。

小・中学校の旧同和校にはあいかわらず過大な教員配置が続けられ、2004年度では30校で計153名も加配されています。さらに給食調理員の配置でみれば生徒数718名の鴫野小学校は5名であるのに対し、719名の旧同和推進校の平野小学校では12名と、倍以上の配置になっています。また管理作業員配置でも生徒数267名の城東区中浜小学校は2名であるのに対し、250名の浪速区栄小学校では5名となっているのであります。

加えて、12カ所ある青少年会館についても、旧同和地区学童への特別対策が中心におかれ、社会教育主事など職員213名も配置され、18億5000万円もの予算が計上されているのであります。人権文化センターは人権協会へ管理委託されているにもかかわらず、市の事務職員など58名、業務員81名の合計139名も出向したうえ、さらに人権協会の職員が多数配置され、維持管理運営費として22億円余りも計上されているのであります。

また、大阪市全体で107カ所、約66,000平方メートルもの膨大な同和未利用地が残されていますが、本来いずれも売却すべきものであります。市当局は遅ればせながら3年間に37カ所、約11,000平方メートルを売却するとしていますが、その内で人権協会に管理委託している土地は6カ所、わずか699平方メートルにすぎないことが明らかになりました。我が党議員は、未利用地を人権協会に管理委託している駐車場について、4億6千万円の収入がありながら、大阪市には58百万円しか納入されていないことを指摘しましたが、結局こうした利権を今後も温存する態度をとったのであります。到底市民の理解と納得を得られるものではありません。

 

最後に、いわゆる職員厚遇や市政改革の問題であります。

カラ超勤問題は、引き続き徹底調査して返還さすべきは返還させなければなりません。わが党は、管理者責任を明確にして再発防止をと求めてきました。今後の再発防止のためにも、管理者トップの責任を明らかにするとともに、使用者として法律と通達にもとづき職員の超過勤務をきちんと把握する態勢をつくるべきであります。

いわゆる職員厚遇を是正する予算案は当然でありますが市労連などと馴れ合って職員厚遇をつくりだしたことや、勤務条件条例主義を定めた地方公務員法を踏みにじってきたことの「責任の所在」が明らかにされていません。これでは大阪市の隠ぺい体質にメスをいれたことにはならず、「責任の所在」を明らかにすることを強く求めるものであります。

また、来月にも発足が予定されている市政改革本部は、「市政のあらゆる分野において自ら実施すべき事業か否かを再点検する」とし、その手法はトップダウン方式によるとされています。ここには、市民の福祉や公共性を第一にしなければならない大阪市の行政を「効率性」の名の下に切り捨てたり、民営化や民間委託をいっそう推し進めるという意図がはっきりと現れています。職員の下からの意見には耳も貸さないで市政を進めるという危険性があることを指摘しない訳にはいきません。市政改革を市民の目線で行うために今もっとも求められているのは、住民参加型の市政改革に切り替えることだという点を申し上げておくものであります。

関市長は、都市経営諮問会議の提言を「全体として有意義なもの」と評価し、市政運営方針でもこの提言を踏まえることが重要だとしています。 しかし「提言」の基本的な考え方は、「公正・公平の行政の常識的発想を転換する」とか「行政主導で行って来た福祉施策が市民の自律意識を低下させている」とするものであり、その立場からかつてなく露骨に大企業優遇・福祉切捨て路線を大阪市政に持ち込もうとするものと言わなければなりません。この諮問会議提言と市政運営方針がめざす方向は、決して市民が求める真の改革の方向ではないと言うことを指摘し、以上をもって、予算組み替え動議に賛成、原案に反対の討論といたします。