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「05年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算案」 に対する修正動議の提案討論 本会議で北山良三市会議員 |
北山 良 三市会議員 2005年5月27日 |
誰でもが払える国保料に 大阪市議会で共産党修正動議 大阪市議会本会議が5月27日に開かれ、日本共産党大阪市議団は、2005年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算案に対する修正動議を提案しました。補正予算案は、自民、民主、公明などの賛成多数で可決しました。 市の提案は、04年度の国民健康保険事業会計への05年度歳入からの繰り上げ充用(注)の財源、321億円の半額160億5000万円は05年度の滞納保険料収納分を当て、残りを国庫補助金に求めています。修正動議は、321億円全額について、国庫補助金を充てることを求めています。 修正動議を提案した日本共産党の北山良三議員は、「滞納保険料収納分を『国保の累積赤字の埋め合わせ』とも言える繰り上げ充用の財源に充てることには同意できない。滞納保険料収納分は、国保料の支払いに苦しむ市民の保険料軽減に充てるのが当然だ」とのべました。 北山議員は、収納率が1995年から一貫して下がり続けている背景には、長期不況と国の悪政による生活困難と同時に、保険料の毎年の値上げにあることは明らかだとのべました。 大阪市は、大規模開発の無駄を見直して、破たんした第三セクターへの公金投入をやめ、国保への一般会計繰入金を増額して保険料を値下げして、誰でもが払える保険料にすべきだと主張しました。 ◇ (注)繰り上げ充用 地方自治法施行令の規定により、単年度で不足額(赤字)が生じた場合、翌年度の歳入を繰り上げてこれに充てることができる制度。 「しんぶん赤旗」6月1日付記載
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以下が北山良三市会議員の討論の全文です。 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第95号、「平成17年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算案」に対する修正を求める動議についてご説明いたします。 修正動議の内容は、「2004年度の国民健康保険事業会計への2005年度歳入からの繰上充用の財源、321億円の全額について、国庫補助金を充てるよう修正する」というものであります。 当局の提案では、繰上充用の財源について、半額の160億5千万円は2005年度の滞納保険料収納分を充て、残りの半額を国庫補助金に求めています。我が党は、滞納保険料収納分を、いわば「国保の累積赤字の埋め合わせ」とも言える繰上充用の財源に充てるとする考え方には同意できず、滞納保険料収納分については、国保料の支払いに苦しむ市民の今後の保険料軽減の財源に充てるのが当然だと考えるからであります。 以下、その根拠および理由について申し述べます。
まず第1に、国民健康保険法では、その第1条で「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定め、第4条で「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない」と、国の責任を明確に定めているという点にその根拠があります。 第2に、この間の国保会計赤字の大きな原因に、保険料収納率の低下や自治体の独自施策を理由にした「国による調整交付金の不当なペナルティ減額」があげられるということであります。1999年度から2003年度までの5年間でみて、国保会計の単年度赤字額の合計が123億1千万円であるのに対し、国によるペナルティ減額の合計は155億円にのぼり、赤字額の合計を大きく上回っています。2004年度も、国の不当な交付金ペナルティ減額は41億円にもなります。これらの国の措置は、さきに述べた国民健康保険法の趣旨に反する事は明らかであります。大阪市として、こういうペナルティ減額制度の廃止と従来分の補填を国に要求していくのは当然だと考えます。 第3に、我が党が毎年指摘していますように、そもそも1984年の国民健康保険法の改定によって、国保への国庫支出金が大幅に削減されたということが、今日の大阪市国保の歪みと財政悪化を招いている最大の原因になっているということであります。医療費の45%であったそれまでの国庫支出金は、38.5%へと大幅に減らされました。これがそれまでと同じ比率の国庫支出金であったならば、大阪市の国保会計は大幅な増収となり、赤字を出さずに、且つ保険料も大幅に値下げすることが可能となります。大阪市は国庫支出金による負担率をもとに戻すよう国に求めるべきであります。 第4に、長期の不況と国の悪政によって市民生活がなお一層深刻になっているにもかかわらず、大阪市は2000年度から2004年度まで、5年連続で国保料を引き上げ、その金額はいまや市民にとって耐えがたい負担になっており、それが収納率を低下させ、調整交付金の減額を招き、さらに赤字を広げるという、国保をめぐる悪循環をいっそう拡大しているからであります。 大阪市の国保料は、2004年度で年所得300万円の3人家族に当てはめて計算すれば、所得に対する保険料の割合は実に13.4%も占めることになります。国保料負担に加えて、今年16.7%も引き上げられた介護保険料、この4月から月280円引き上げられ毎月13,580円となった国民年金保険料、さらに配偶者特別控除や老年者控除が廃止され、定率減税も縮小・廃止されようとしている所得税、市・府民税などなどを加えると、社会保険料と税金だけでも相当大きな金額になります。 当局の資料で見ても、所得に占める保険料の割合が高いほど滞納世帯の比率が高くなっています。年間所得300万円を超え400万円以下の世帯では、滞納世帯が実に3割以上にものぼっています。 いま大阪市は、本気になって「払える保険料」にしていく努力をしなければなりません。今後、思い切った保険料の引き下げと減免措置の拡充がもとめられています。 この間、保険料の収納率はどんどん下がり続けています。2003年度はとうとう85%を切り、その結果2004年度の国の調整交付金を9%、27億円も減額されています。さらに2004年度の収納率は、前年よりも1ポイント程度下がる状況と見込まれています。いまや保険料滞納世帯は4軒に1軒という異常な事態となっています。 大阪市が、国民皆保険制度の大原則のもとで、本来やるべきではない短期保険証や資格証の交付まで行い、かつてなかったような保険料徴収活動に取り組んでも、収納率が1995年から一貫して下がり続けている背景には、長期不況と国の悪政による生活困難と同時に、保険料が毎年値上げされ「払えない保険料」になっていることが大きな原因になっていることは明らかであります。 連続する収納率悪化の主たる原因は、「払えない保険料」になっていることにあり、今や市民がそれに耐え切れない状況にあるということを、大阪市は、深く認識すべきであります。 大阪市は、WTC・ATC・MDCの破綻処理に、公共性があるとして総額2300億円を越す支援を強行しました。ところが、市民の4割が加入する公共性の最も高い国保事業の赤字については、毎年「半額、保険料歳入を財源とした繰上充用」を漫然と繰り返している事態を、黙って見過ごすことができません。市民のくらしがかかった国保事業にこそ抜本策を講じるべきではありませんか。 大阪市は、大規模開発のムダを見直し、破綻した第3セクターへの公金投入をやめ、国保への一般会計繰入金を増額して保険料を値下げする。そしてだれもが払える保険料にし、社会保障にふさわしい国民健康保険制度にしていく。そういう方向であるべきであります。 大阪市の国保事業を安定させるためには、国が国保事業を初めとする社会保障にしっかり予算を振り向けるよう、市民とともに国に要求していくことが求められていると考え、また、大阪市が本来の自治体の役割を発揮する方向へと本当の改革が求められていると考え、本修正動議を提案した次第であります。 以上、議員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。
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