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市議団の実績

クリスタ長堀の特定調停案受け入れへの反対討論

5月27日本会議で下田 敏人議員

下田 敏人市会議員   

2005年5月27日

「クリスタ長堀」に追加資金 新たな負担認められぬ

             共産党 補正予算案に反対
                          
 27日の大阪市議会本会議に、経営が破たんした「クリスタ長堀」にかんする特定調停への承認を求める議案と関連補正予算案が提出され、与党(自民・民主・公明)は付帯決議を付けて多数で採決しました。
 日本共産党の下田敏人議員は、15億円の追加出資、約150億円の損失補償、大阪市道路公社への駐車場売却を求めている大阪地裁の調停案は市民不在だと批判。「これ以上の新たな負担は認められない」と、特定調停受け入れと15億円の追加出資を盛り込んだ補正予算案に反対しました。
 調停案で、「クリスタ長堀」の駐車場を買い取ることになっている市道路公社の買収資金47億円は、全額公社の借金でまかない25年で返済するとしていることについて、下田氏は「結果として大阪市が借金をかぶることになる」と指摘。返済計画は「極めて甘い」とのべ、「裁判所の鑑定評価では『事業計画で見込んでいる駐車場収入の実現可能性は様々な不安定要因がある』としている」と指摘しました。
 下田氏は、この調停案は到底、再建の名に値しないと批判。地下街と駐車場がセットになった「クリスタ長堀」で、駐車場を売却し、地下街だけで、調停案で示された30年かけて銀行などの残債務90億円を返済出来るのか疑問だと強調しました。また、90億円を30年で返済し終わっても、大阪市農協などへの劣後債務110億円が残っているとのべ、再建計画と言える代物ではないと批判しました。
                                 「しんぶん赤旗」5月29日大阪版

 以下が下田敏人市会議員の討論の全文です。

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました議案第97号 クリスタ長堀に関する特定調停について、並びに関連補正予算案に反対の討論を行いたいと思います。

 なぜ、このクリスタ長堀の特定調停案受入れに反対なのか。

それは、第一に15億円もの追加出資など新たな公金投入によって言わば失敗のツケを市民に押付けることになるからであります。

言うまでもなく、このクリスタ長堀は、440億円もの巨費が投じられて、長堀通り下立派な地下街と地下駐車場を建設し、事業の用に供してきたもので、初代社長に橋本元建設局長を送り込むなど企画から事業の立ち上げ、推進と、建設局あげて取組んできたものであります。

そうして、余りにも需要等過大に見積もって、物の見事に失敗、全く経営が立ち行かなくなったのであります。

まさにATCなど先行破綻三セク同様、採算などどこ吹く風、事あれば大阪市が付いているという甘えの構図、そのものでありました。

それこそ、市民のあずかり知らないところで、しかも多くの市民にとって、公共性とは名ばかり、仮にこれがなくても、何の痛痒も感じないようなそういう事業のために、失敗したからといって、そのツケが回される。断じて認められないのは、当然のことであります。

当局は、事業失敗の責任上も、新たな公金投入策など出せるはずがなかったのであります。ところが、厚顔にも、いけしゃあしゃあと再建案に盛り込み、市民の批判にも耳を貸さない。15億円の追加出資ありきで終始したのであります。言語道断と言わなくてはなりません。

反対理由の第二は、ただでさえ、借金が返せなくてニッチもサッチも行かなくなっている道路公社に対して、お荷物の駐車場を売却せしめて、結果として、大阪市が借金をかぶることになるからであります。

建設局は、買い取りに伴う47億9500万円の借金は、25年間で返済可能とのシミュレーションをしておりますが、にわかに、辻褄合わせをしたとしか言いようがありません。

なぜなら、あれ程 厳しいといって、5億円もの補助金を13年度以降、市民の税金から出させておきながら、道路公社に移管すれば、それがなくとも、とたんに2億数千万円もの資金剰余が生まれる計算になっているからであります。そして、これまで道路公社が運営してきたクリスタと同じ続きの地下駐車場は、有利子負債22億円、つまり、今回買取りの47億円余りと比べ、半分以下の利子負担で運営しているにもかかわらず、1億2千万円の資金剰余しか生み出せないでいるのでありまして、このことからも、いよいよ、その信憑性が疑わしいのであります。

また、同時に、このシミュレーションでは、5年毎に1%の収入減しか見込んでいないのでありまして、裁判所の鑑定評価をも無視した、極めて甘いものとなっているのであります。

この鑑定評価では、どのような指摘がされているのか。

それは「大阪のように鉄道等の交通網が充実している地域では、コスト面から大幅な車輌の増加を見込むことは困難で、将来的には車輌数が減少することが予想される。そうなれば、駐車場に対するニーズが低くなり、売り上げも下降することが考えられる。また近い将来確実に高齢化社会が到来すると見込まれていることから、ドライバー人口が減少していくことも想定しておかなければならない。30年という長期の計画期間内には、地球温暖化防止対策として、マイカー規制や、交通手段の抜本的な変革や様々な交通規制が行われることも想定できる。そのため、駐車場ビジネスの将来性に対しては、極めて多くの変動要因が存在する」と、こういっているのであります。

ですから、もし仮に、道路公社への売却案をとるにしても、駐車場の収益をトコトン辛くみた上で、会社更生法における計画期間である15年ぐらいをメドに返済可能な金額を設定して、再建案にするぐらいのことをすべきだったのであります。

 第三は、この調停案が到底、再建の名に値しないからであります。

そもそもクリスタ長堀は、地下街と駐車場がセットで設置運営されてきたもので、どちらが欠けても帯に短かし、タスキに長がしと言わざるをえません。

にもかかわらず、調停案では、駐車場を売り払って地下街だけで、言わば片肺で生き残ろうとする、しかも、当初90億円ものテナント保証金を有したものが、次々と入れ替わりがあって、単価が下落、わずか6億数千万円にまで落ち込むのであります。

又、同時に何よりも、30年間で銀行などの残債90億円を果たして返済できるのか、はなはだ疑問と言わなくてはなりません。

会社の再建計画では、収入みこみが、平成20年度以降同額で、ずっと据え置きとなっているなど、甘い見通しである上に、支出の方も減価償却費や支払利息を除いた営業費用の収入に対する率が、15年度決算比5ポイント減となっているなど低く見積もられているのであります。

当局は、鑑定評価が、再建計画は合理的としている。さかんに吹聴しておりますが、

しかし、鑑定評価で述べられていることは、「再建計画の実現可能性がないとは言えない」という極めて慎重なものなのであります。

その上、30年という長期に及ぶことから、少子化による若年層の購買力の減少や店舗ショッピングの慣習の減退など、テナントの売上減の可能性についての言及すらされているのであります。

又、よしんば、再建計画にあるように、30年で銀行等の残債90億円を完済したとしても、劣後とされた市農協などの借金110億円が残っているではありませんか。又、延々と借金返済が続くのであります。

どこから考えても再建などと、とてもいえる代物ではないと言わなくてはなりません。

以上、反対討論といたします。