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市議団の実績

市民の目線から「市政改革基本方針」

(マニフェスト)を全面批判

1月13日大阪市議会本会議で瀬戸一正政調会長

瀬戸一正市会議員

2006年1月13日

大阪市では、昨年11月の市長選挙で再選された關淳一市長が、市民サービス切り捨て、民間的経営手法の導入など、関西財界の要求に全面的にそった「市政改革マニフェスト(市政改革基本方針)」を年末に発表。13日に開かれた市議会本会議で各会派が關市長に質問する「一般質問」がおこなわれました。日本共産党市議団からは瀬戸一正政調会長が登壇しました。

<瀬戸議員の質問の全文>

私は日本共産党大阪市会議員団を代表し、市長の所信表明に対して質問いたします。

これからの大阪市政の運営方針を決めるにあたって第一に考えなければならないのは、大阪市民の暮らしがどうなっているかであります。この間、小泉内閣の「構造改革」路線・「新自由主義」路線の下で、大企業の利潤追求を最優先にする、規制緩和万能、市場原理主義、競争第一の社会の仕組づくりが行われてきました。その結果、大企業は2004年度にはバブル期の1989年度をも上回る44兆円もの経常利益をあげる一方で、国民のなかでは、人間らしい雇用が破壊され、低所得者層が増大するという傾向が顕著に進みました。

これに追い打ちをかけているのが、小泉内閣による定率減税や老年者控除の廃止などの庶民大増税であり、介護保険法改悪、老人医療費の負担増、障害者自立支援法による負担増などの社会保障施策の大改悪であります。

こうしたもとで、市民の暮らしに責任を負う大阪市が果たすべき役割は何か。言うまでもありません。国の悪政の防波堤になるとともに、住民福祉の増進につとめるという地方自治体の本来の仕事をしっかりおこなうことを、施政方針の基本にすることであります。  

ところが、関市長の所信表明にはそうした姿勢がまったく見られません。市長の市政改革マニフェストは、一言で言うならば、長年、関西財界と自民党政府の言いなりになって無謀な大型開発を進めて来た結果つくった財政危機を何の責任もない市民に押付け、そのサービスを切捨て、負担を押し付けようとするものにほかなりません。こんな市政改革基本方針は撤回するべきであって、その上で、大型開発路線はきっぱり改め、税金の無駄遣いを徹底して見直して財政再建をはかるとともに、市民の福祉と暮らしや、中小企業の営業を支援することを最優先にする市政に転換することこそが、今市民が求める本当の市政改革であります。以下、こうした立場から質問いたします。

まず最初にお聞きしたいのは、選挙の結果についての関市長の基本的な認識であります。あなたは選挙結果について所信表明で、「市民の皆様方の力強いご支援・ご理解をいただいた」「私は市政改革基本方針案の実現を掲げ、選挙を通じまして、市民の皆様のご理解が得られたものと考えている」と述べ、まるで改革方針が信任されたかのごとく言われました。

しかし事実はどうかと言えば、投票率は前回をわずかに0.6%上回る戦後4番目に低い33.92%であり、得た得票率も40.90%という過去最低であります。三つ巴の選挙になったとは言え、前回得票数を10万票近くも減らし、あなたのやり方には賛成できないという批判票が60%近くにものぼったのであります。これでは到底、市民の信任を得たことにはならないし、ましてや市政改革基本方針が市民の理解を得たことにはならないのではありませんか。答弁を求めます。

さて、今、市民が求めている改革の第一は、市民の暮らし優先への転換であります。

今回の選挙では、市長がマニフェストの目玉の一つとしている「市民サービス切捨て計画」に市民の大きな怒りが集まりました。すなわち、市民はサービスや福祉の後退ではなく、その充実を切実に求めているのであります。選挙の最中に行われたある新聞の世論調査では、「市が財政立て直しのため、市民サービスの水準を引下げることに賛成ですか」という問いに、「賛成31%、反対58%」という結果になり、さらに別の新聞では「選挙の争点として特に重視したいものは何か」と7つをあげたなかで「福祉や高齢化対策」という回答が78%で第一位になりました。こうした市民の願いに答えるべきであります。

そこで、市民や今日の時代が緊急に求めている具体の問題でお聞きします。

その第一は、少子化対策であります。我が国の出生率の低下に歯止めがかからず、いよいよ人口減少時代に突入しました。少子化傾向を克服することは今日の日本社会の緊急の課題であります。大阪市も地方自治体として全力をあげてこの課題に立ち向かわなければなりません。その一つが保育環境の充実であり、全国一の保育所待機児を解消することや、生活がますます厳しくなるなかで子供を預けやすい保育料にするということであります。

ところがマニフェストには保育所待機児解消策がまったくないばかりか、「歳入確保策」の箇所では、国基準の保育料を低くするために大阪市が独自に行っている助成策の見直しを求めています。とんでもありません。公立保育所の民間委託推進をやめるとともに、公立保育所を増設すべきです。保育料は値上げをせず、むしろ生活実態に見合った保育料減免制度の充実をはかるべきです。合わせて答弁を求めます。

第二は、子供の安全と教育の問題であります。昨年は児童・生徒をめぐる悲惨な事件が相次ぎました。子供の安全をいかに守るのかは今日の大きな社会問題であります。またいじめや不登校、学力の低下など子供と教育をめぐる深刻な問題の克服も今市民がもっとも強く求めていることの一つであります。

市長マニフェストでは「職員の新規採用5年間凍結は、行政サービスを低下させることにならないか」との市民意見にたいして、「市民の安全確保や子供の教育など・・必要な人材は例外的に採用する」と説明しています。そうであるなら、寝屋川市の事件などを契機に大阪府が全小学校に警備員を配置したのにたいして大阪市は7、8校に一人の移動警備員しか配置していないという現状を即刻あらため、全小学校に配置すべきではありませんか。また全国で大きな流れになっている30人学級に大阪市も足を踏み出すべきです。合わせて答弁を求めます。

第三は、高齢者対策であります。我が国が長寿社会に移行しつつあるなかで、高齢者が生きがいをもって健康で元気に活躍されるように環境を整備することは、国と地方自治体の大きな役割であります。そうした時に、市長が打ち出した地下鉄・バスの敬老優待乗車制度の見直しは、市民の大きな怒りを呼びました。私自身市長選挙では、この無料制度を何としても守り抜いてほしいという高齢者の願いがいかに広範で大きいものであるか痛感いたしました。

市長マニフェストは「ただちに廃止というわけではない」としつつも有料化する姿勢をにじませています。市長、この無料制度は大阪市が誇りとしても良い高齢者対策であり、今日の大阪市の高齢者対策の試金石とも言えるものであります。ぜひとも無料制度は堅持するべきです。答弁を求めます。

第四は、低所得者のきびしい生活に答えるための福祉施策であります。市営住宅の福祉家賃減免制度や、国保料の大阪市独自の減免制度は、正にこのためにつくられた制度であります。ところがマニフェストはこれらをも「歳入確保策」の項で見直しを実施するとしています。これは今日貧困化が広がりつつある中では、制度の適用を受けている市民から生存権さえうばいかねないものとなります。市営住宅家賃の福祉減免制度と国保料大阪市独自減免制度は改悪することなく堅持するべきです。答弁を求めます。

私はここまで「市民の生活実態」と「時代」が求めている福祉の充実について市長にお尋ねしてきましたが、それとまったく正反対の方向を向いているのがマニフェストがかかげる「市民サービス」見直しであります。なぜ今市民サービスの見直しなのかと言えば、マニフェストが「身の丈にあわない現実がある」「低い負担による高い水準のサービスが温存されている」とする基本認識に立っているからであります。

これは一昨年12月の本間氏を座長とする大阪市都市経営諮問会議「提言」の「行政主導で行ってきた福祉施策が市民の自律意識を低下させ、都市と人の活力を奪った」とする認識と同じものであり、言わば、今日の福祉社会をめざし、国民の生存権を保障する、憲法25条と地方自治法の理念を踏みにじるものです。この基本認識は改めるべきではありませんか。答弁を求めます。

次に、市長マニフェストの「民間的『経営手法』の導入」について、それによって市民サービスはどうなるのかという角度でお聞きいたします。

大阪市政に経営の仕組を導入すると言うのは、地方自治体を民間企業のような経営体と見立てて「行政の効率化」を第一に追求しようとする考え方であり、所信表明ではそのためにも「すべての事務事業を対象として、民間委託の可能性の点検や経営形態の見直しを行う」としています。これは今日、財界や小泉内閣が大合唱している「官から民へ」の流れと軌を一にするものであります。

しかしこの「官から民へ」という路線のほころびと破綻が明瞭になりつつあるというのが今日の姿であります。それを象徴するのが、国鉄を改革すると称して民営化しもうけ優先の経営体にして引起されたJR西日本の尼崎脱線事故であり、98年の建築基準法改悪によって建築確認審査を民間任せにして起きた耐震強度偽装事件であります。

民間の経営の仕組を導入するということを推し進めて行くならば、市民の安全や福祉、行政の公的役割が後景に押しやられてしまうのでありませんか。答弁を求めます。

そこで具体の問題で三つお聞きします。第一は、地下鉄・バス事業の公設民営化の具体的な検討を進め、基本方針を2006年度に策定するとしている問題であります。とりわけ市バス事業については「公設民営化を前提にする」と言いながらも「株式会社化、民間事業者への路線委譲」も視野に入れられていることは重大です。もし民営化ということになるなら「究極の先には事業の縮小というようなこともある」、つまり市民の公共の足という肝心の市民サービスが切捨てられるのは明瞭であります。市バス・地下鉄の民営化はすべきではありません。答弁を求めます。

第二は、環境事業の独立行政法人化であります。これはごみ環境事業のコストを削減する、市の財政負担を軽くするという観点から、検討されているものでありますが、見過ごせないのは、今市民から歓迎されている各戸戸別収集を廃止する、家庭ゴミ収集を有料化するという重大な市民サービスの後退が検討されていることであります。このような市民サービスの切捨ては到底、市民の理解が得られるものではなく撤回すべきではありませんか。

また独立行政法人化になれば、経営の観点から増収対策に走らざるを得ず、そのためには現在の10工場焼却体制の能力をフル活用するという考え方になり、ゴミ減量を積極的に推進すると言う考えが後退することにもなる。つまり独立行政法人化はゴミ減量社会の要請に逆行するものになるのではありませんか。合わせて答弁を求めます。

三つ目は、小学校給食の民間委託の問題であります。昨年9月に発表された主要事業の事業分析報告書は、本市の給食1食あたりのコストは591円となり、他の政令市と比べて割高であると指摘し、「各区ごとに献立が立てられていて、1日13万食のスケールメリットが活かされていない」「総勢1087人の給食調理員が配置されているが、他都市では調理について民間委託がはじまっている」などとして民間委託の可能性が示唆されています。

しかしこの報告書は一方で「衛生管理の徹底や充実した設備による多彩な献立の実施などについては、他の政令市に比べてサービス水準が高い」と述べているのであります。給食調理員が各校に配置され、各区ごとにきめ細かな献立を立て実施しているからこそ「サービス水準が高い」のは明らかであります。これをただ単にコスト縮減の立場から民間委託せよというのはとんでもありません。

小学校給食の民間委託は行わず、少なくとも現行水準は堅持すべきではありませんか。答弁を求めます。

続いて、7000人の職員削減問題について、これも市民サービスはどうなるのかという角度でお聞きします。人件費をふくむ行政費用は市民の負担の面から見てなるべく少ないのが良いのは当然であり、私たち日本共産党は早くから、市民に奉仕する公正で民主的な、できるだけ無駄のない効率的な行政の実現をめざすという政策を明らかにしてきました。肝心な点は「住民のための行政効率化」なのかどうかという点であります。

まず7000人以上という職員削減目標についてお聞きします。この数値目標は大阪市政のどの部門、どの部署の職員数に無駄があるのかを明らかにして積上げられた数字ではありません。最大の根拠とされているのが他の政令市比較であり、人口当たりの職員数が多いから減らせと言うことであります。

しかし、職員数だけの他都市比較に意味があるのでしょうか。総務省が出している政令市の部門別職員比較によると、例えば横浜市では、公立幼稚園が一カ所もない、中田市政になってから市バス路線もまた公立保育所も民間企業に売り飛ばされて職員数が大きく減っている、大阪市にある産業振興のための技術研究所も横浜市にはまったくありません。

こうなりますと比較の狙いは、横浜市並みに「民営化しろ」「民間委託しろ」「公共サービスから撤退せよ」ということになるではありませんか。

市長、7000人以上削減するというのであれば、どの部門どの部署が過剰なのか具体的に示すべきではありませんか。答弁を求めます。

無駄な職員配置を言うなら我が党は、旧同和行政に今でも携わり推進している部門や、市の財政を破綻の危機に追い込んできた開発部門の過剰な職員配置を徹底して見直すよう求めてきました。

旧同和行政に直接本市が配置している職員だけでも640名います。政令市職員部門別比較表で見れば、港湾などの開発部門で横浜市271人にたいして本市は725人、都市計画一般の部門では、252人にたいし626人と、ともに3倍近くの職員数であります。旧同和行政への職員配置は原則廃止すべきであり、開発部門の職員数は徹底して見直すべきではありませんか。答弁を求めます。

また、市政改革マニフェストは「身の丈」に余るとして職員削減ばかりを求めていますが、「身の丈」を言うなら他の政令市とくらべて極端に市民サービスが不足している分野に職員を配置しなければなりません。厚生労働省は本市の生活保護ケースワーカーは国の配置基準から見て400人近くも不足していると監査で指摘しました。全国の不足が1198人ですから、本市はまさに突出しているのであります。

また、全国の7割を越える市町村が実施している中学校給食実施にも職員配置が必要です。

こうした分野の職員配置を進めることが今求められているのではありませんか。市長の答弁を求めます。 

さて、市民本位の市政改革の第二の柱は、これまでの無駄な大型開発にきっぱりメスをいれることであります。今回の市長選挙では、三セク事業など大型開発の相次ぐ破綻とその巨額の財政負担に市民の怒りが集中し、大型公共事業の税金無駄遣いを見直せという声がかつてなく大きくなりました。

そのことは、選挙中の世論調査で「改革で最も重視する課題では何ですか」という問いに、「大型開発の見直し」をあげる回答が36%と一番多かったという事実に端的に示されています。ところが、市長の市政改革施政方針案は、そうした市民の声に答えるものには、まったく、なっておりません。

公共投資の見直しでは何よりも、これまで進めてきた大型開発中心の市政運営にたいする厳しい自己点検と反省がなければなりません。マニフェストは「平成4年度以降、景気対策の観点から前倒しで公共事業を進めてきた」ことを見直し理由の一つにあげていますが、公共事業一般ではありません。大阪市が自民党政府や関西財界、ゼネコンや銀行の言いなりになって無駄な大型開発を進めてきたからこそ公共投資が異常に膨らみ、無謀な計画だったからこそ相次いで破綻し、その失敗のつけで市財政がいま危機に陥っているのであります。

今大阪市政に求められているのはこうした反省であり、開発会社のようになって進めてきた路線の転換ではありませんか。市長の明快な答弁を求めます。

具体の問題でいくつかお聞きします。まず「スーパー中枢港」の問題であります。国が大いに旗を降り、本市も、夢洲で新たな16mバースC12の建設を始め、夢洲への自動車トンネル・北港テクノポート線建設をすすめていますが、まったく無謀な計画であり到底市民の理解は得られません。これらの建設は直ちに中止すべきではありませんか。答弁を求めます。

次に、淀川左岸線2期計画であります。これは旧阪神高速道路公団が、採算が取れないと言って建設主体を返上した計画であり、その残事業費は1000億円近くにもなります。国は大阪市にこの建設を押し付けようとして、自治体の負担を少し緩和する「合併方式」という新たな制度を作りましたが、こんなものは断じて受けるべきではありません。大阪市は建設しないと明言すべきです。答弁を求めます。

続いて、経営破綻し特定調停で本市がなお公金を投入し続けている三セク4社の問題であります。

選挙で市民の強い批判の声があがったために、9月の改革本部案ではまったく触れられていなかった三セク破綻の問題を、市長案には記述せざるをえなくなりましたが、まるで他人事のように経過を記述し「4社については特定調停が成立し再建をめざしている」と付け加えただけであります。

これでは到底市民は納得しません。市民の怒りのまとになっているのは4社合わせて992億円もの出資・貸付金などこれまでの公金支出や、これから40年も続く家賃や補助金など2185億円もの公金支出であります。これらは再度、銀行に話し合いを求めて本市の負担軽減を求めるべきではありませんか。

そして、会社更生法の手続きが進められている大阪ドームについては、今後新たな公金投入は一切行なうべきではありません。合わせて答弁を求めます。

さらには、戦略的不良債権処理のなかで扱われている弁天町など4つの土地信託事業の問題であります。これらの事業は合わせて420億円もの不良債権を抱えているとされていますが、大阪市もそして信託銀行も口をそろえて「儲かる事業だ」と市民に宣伝してきた事業であります。処理を口にする前に、調査委員会をつくってここに立ち至った市長をはじめ幹部職員の責任と破綻原因を徹底的に明らかにすべきではありませんか。

その上で、事業を受託した信託銀行に責任において解決すべきであって、公金投入は断じて行うべきではありません。合わせて答弁を求めます。

公共投資の問題で最後に指摘しなければならないのは、市民生活に密着した公共事業の予算はきちんと確保すべきだという問題であります。

市長は、大型開発事業の中止を求めても「選択と集中でやっていく」などと答弁し、中止どころかこれを推進しようとしています。その一方で、マニフェストには「新規事業重視から、維持管理中心へと転換を図る。維持管理を中心に、真に必要なものだけを行う」と書いてあります。そうした姿勢で公共投資を1100億円も削るということは、結局、市民生活に密着した公共事業の予算を削ろうということではありませんか。 

さらに、地下鉄8号線の延伸計画について市長は、議会や市民に何の説明もなく着工を延期し、必要な条件整備をした上で今後の方針を示すとしています。しかし8号線は、住民が強く求める必要な路線であり、一般会計からの助成にしても交通会計の負担にしても努力すれば賄えるものであります。2007年度にむけて改めて国に対して予算要求すべきではありませんか。合わせて答弁を求めます。

市民本位の市政改革の第三の柱は、同和行政をきっぱりと廃止することであります。

今回の市長選では、同和対策特別措置法の期限が切れたのになお、形を変えて続けられている本市の旧同和行政・旧同和地域を特別扱いする問題に、市民の大きな批判の目が向けられました。市長は、部落解放同盟の理不尽な主張を受け入れ、「差別あるかぎり同和行政は続けなければならない」などとしています。しかし同和行政を続けることは、逆に新たな差別を行政自身がつくることになるのであります。

今こそ、おびただしい数の人的配置や大阪府同和建設協会会員の特別扱いなどの「同和特権」をきっぱりと止め、同和行政そのものを廃止し、自由な社会的交流を進めるべきです。市長の答弁を求めます。  

具体の問題として、芦原病院の問題についてお聞きします。同病院が民事再生法の適用を申請したために、本市の130億円もの貸付金がまったく返済されない可能性が大きくなっています。その責任は極めて重大であります。

先日の民生保健や財政総務の委員会での我が党議員の質問によって、その貸付の経過たるや、議会にも隠してやられてきた、借入理由については何年も同じ文書が添付されている、前の借入金の返済契約が守れてないのにそれを不問にして数カ月の単位で巨額の貸付けが繰り返されてきたなど、乱脈極まりないものであることが明らかになりました。

市長は辞任のさいに「責任を感じている」と言われていますが、いったいどのような責任を感じているのか改めて具体的にお聞きします。

市長は環境保健局長の時代に130億円のうち約46億円の貸付契約を決済しています。あなたはこの決済をした際に、芦原病院の返済能力の有無を調査したのかどうか。もう一つは、この貸付けは大阪市に損害を与える違法な公金投入であったという認識が今日、あるのかどうかであります。明快にお答えください。さらに、大阪市としてはこの貸付金は絶対に放棄すべきではなく、あらゆる手段を講じて回収すべきです。これについても答弁を求めます。

最後に、市政改革基本方針の基本的なスタンスについてお聞きします。

市長は所信表明で「市民が主役の市政をめざす」とし、「市民スタンダード」なる新たな造語まで作って、この市政改革が市民のためのものであるかのように説明しています。しかし、マニフェストの策定過程からは市民や議会は一切排除される一方で、関西財界幹部が参加する有識者会議には二度も報告してその意見を拝聴しましたし、さらに今後のマニフェストの実行段階では、有識者会議メンバーを入れて毎月開かれる「市政改革推進会議」などから執行を監視してもらい助言をいただくという、今までにない露骨な財界の直接関与の体制が作られようとしています。

また一方では、一連の大阪市の市政改革の出発点になったのは関市長が立ち上げた都市経営諮問会議ですが、その座長に迎えられたのは小泉内閣の経済財政諮問会議のメンバーである本間氏であり、市長はその本間氏のつくった提言を忠実に実行すると誓約までしています。今回も再出馬の際には、わざわざ首相官邸まで出掛けて小泉自民党総裁から推薦状をもらい、激励をうけました。

市長、あなたかやろうとしている市政改革は、ずばり言って、市民のための改革ではなく関西財界のための改革ではありませんか。国民に痛みを押し付ける小泉内閣いいなりの市政改革ではありませんか。答弁をもとめます。

以上、質問を終わりますが、答弁のいかんによっては、再質問することを申し添えておきます。

<瀬戸議員の再質問>

 市長の答弁は、一言で言えば、財政破綻についての自らの責任には頬被りし、コスト削減の名で、市民サービスも公共サービスも容赦なく切捨てるという、まったく無責任極まりないものであって、到底、納得のいくものではありません。

そこで、改めて5点お聞きします。

 第一点目は、選挙結果の見方にかかわる問題であります。市長は、多くの市民から信任された、市政改革にたいする市民の熱い期待を受止め、不退転の決意で取組むと答弁されました。

しかし得票数は全有権者の中での支持率で見れば13.5%にしかすぎず、7人に一人の市民の支持しか得られませんでした。だからこそ新聞が「市民信任ほど遠く」との大きな見出しで「関氏を市民が後押しするような結果ではない」と書いたのであります。

 さて、私が支持率のことをあえて再び問題にするのは、マニフェストをかかげる政治家というのはえてして、トップダウン政治に走るからであります。

あなたは「しがらみ」に捕らわれないで改革を断行すると最近よく言われますが、議会や市民の声を聞くという「民主的手続き」についても「しがらみ」だと考えているのではありませんか。

 今回の選挙では、あなたへの批判票は支持票より多かった訳ですから、民主的手続きを大事にするべきであって、トップダウンで市政マニフェストをすすめるような環境ではありません。民主主義を踏みにじるトップダウンの強権的手法は止めるべきではありませんか。お答えください。

 第二点目は、市民サービスの問題です。

市長の答弁は、敬老パス無料制度も保育料も市営住宅家賃福祉減免制度もいずれも改悪するというひどいものであります。市長は財政が厳しいことを理由にあげていますが、大型開発にメスを入ないで良く言えたものであります。

 さて、福祉などの市民サービスにかかわって別の角度で、お聞きします。それは、マニフェストが見直しを求めて例にあげている、「市民サービス見直しの10項目」や「歳入の確保」の項の保育料助成措置や市営住宅福祉減免制度などの大半が、大阪市が単独の予算でやっている事業だという点であります。それを経常経費縮減や歳入確保の槍玉にあげているのですから、国以上の福祉施策はやめる、大阪市独自の福祉を充実させる役割は放棄する、と言っているに等しいことになるではありませんか。答弁ください。

 1月6日の毎日新聞がおこなった世論調査では、多くの市民が所得格差社会が到来しようとしていることに不安を強めるとともに、「所得再配分の強化」を求める声は67%にも達しました。

今日、新自由主義の考え方にもとづく、弱肉強食の社会、勝ち組と負け組みの社会が作られつつあると言われていますが、大阪市が市民サービスを切捨てることは、それに拍車をかけることになるのであります。 

冷たい生活保護行政や国民健康保険証の取り上げなどを評して「福祉が人を殺す」と表現する論者がありますが、市政改革マニフェストはそうしたものに成りかねないことを強く告発しなければなりません。

 大阪市は今こそ、国民の生存権を保障するという憲法25条、自治体の第一の役割は住民の暮らしを守ることという地方自治法本来の立場に立った市政運営を進めるべきではありませんか。答弁を求めます。

 第3点目は、民営化の問題であります。

 市長マニフェストの後書きには「民間委託を推進すれば、民間における一定の雇用創出が見込める」と書かれ、市民の理解を求めていますが、問題は、民営化はどんな雇用を広げるのかという問題であります。

 今大阪市は交通局において、市バスの三つの営業所の運転業務をすべて大阪運輸振興という会社に管理委託していますが、その運転手の平均年収は約400万円、身分は一年契約であり、これはこれまでの市バス運転手には考えられなかった、低賃金と不安定雇用であります。

 市バスだけではありません。指定管理者制度の導入によって、大阪市のたくさんの施設が民間企業に管理委託されましたが、指定管理者制度になぜ民間企業が手を上げるかと言えば、低賃金とパート社員・契約社員などでその業務を行えば、会社の利益になるからであります。

 今日、大企業のリストラ政策や相次ぐ国の労働法制の改悪によって、全雇用者の3分の1、若者では2人に1人が不安定雇用になり、これが国民の貧困化の広がりの最大要因となっています。大企業の横暴勝手に歯止めをかけ、人間らしい雇用を取り戻すことは、今日の大きな社会的課題と言わなければなりません。

 そこで市長にあらためてお聞きしますが、民営化というのは、これに参入する企業には利潤追求の場を与え、市民には低賃金と不安定雇用を押し付けることによって、行政コスト削減・民間雇用の拡大といいながら、結局、市民の雇用と暮らしを破壊するものではありませんか。市長の認識をお聞きします。

 第4点目は、同和行政の問題であります。

市長の芦原病院についての答弁は、環境保健局長時代の貸付に際して返済能力の調査をしたのか、あるいは違法な貸付ではなかったのかについて、まともに答えたものではありません。これではまったく無責任という外なく、法令順守の精神が一番欠けているのは市長自身になると申し上げて置きます。

さて再質問ですが、今回の「ゆとりとみどり振興局」の庶務課長等が逮捕された事件についてであります。これは、天王寺公園管内の街路樹維持管理業務など27件の市発注事業で、大阪府同和建設協会所属の業者のみを入札参加業者に選ぶなどの便宜を図った事件とされております。つまり、同和特別扱いの害悪がこんな形で表れているのであり、これは「ゆとりとみどり振興局」に止まらないと考えざるを得ません。

 市長、逮捕者まで生み出した大阪府同和建設協会会員の特別扱いについては、他局に同様の事例がないのか全市的に調査するべきではありませんか。そして同和建設協会や部落解放同盟などへのすべての「同和特権」は直ちにやめるべきです。再度、答弁を求めます。

 第5点目は、一体だれのための改革なのかという問題であります。この質問に対して、市長は、国から指導ではない、私自身の方針にもとづく改革なんだと強調されました。

それなら「電子自治体メールマガジン」というホームページで公表されている、市政改革本部員の上山教授の書いた「コラム・『続・自治体改革の突破口』」という一文を紹介しましょう。

 一部省略をしますが、「今後の市政改革には、外部の応援と監視が不可欠だ」、「第一に、財界が果たすべき役割が大きい。財界は9月の改革マニフェスト案の支持を表明し、関氏辞任・再立候補表明の際にもいち早く支持を表明した。支持したからには財界も責任を負う。12月からは財界人を交えての新生『都市経営会議』が始まる。その場を通じて市政改革をガイダンスし、監視しなければならない。また、市政改革本部にも民間の人材を供給しなければならない」、

第二に「政府・与党の責任が重い。選挙では竹中総務大臣が応援した。ここまでやった以上、政府は大阪市役所を全面支援しなければならない。大阪市役所の『改革マニフェスト』は政府が目指す自治体改革を先取りしたものだ」と書かれているのであります。

 あなたの市政改革のキーマンと目される人物が、今後の市政改革にたいして、財界の関与を露骨に求め、そして、大阪市の市政改革は政府がめざすものをやっているんだとして、小泉内閣に応援を求めているのであります。これでは、「市民スタンダード」と言って見ても、底が知れているではありませんか。

このような「財界と政府への追随」姿勢は改めるべきではありませんか。それこそが「市民が主人公」の市政をつくる第一歩であります。再度答弁を求めます。