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市議団の実績

市議会本会議、下田敏人議員が

決算の認定に反対の討論

下田敏人市会議員

2006年1月31日

1月31日、大阪市議会閉会本会議が開かれ、日本共産党大阪市会議員団を代表し、下田敏人議員が、2004年度大阪市一般会計等決算認定に反対の討論を行いました。

 下田議員はまず、大阪市が市民のくらしを最優先にするのが本来であるにもかかわらず、臨海部などの大型開発や同和特別扱いを優先させ、三セク破綻や芦原病院の経営破綻など次々と事業を失敗させ、一般会計市債残高が2兆8693億円にも達すると同時に、膨大な負の遺産をかかえるなど、市財政をかつてなく厳しい状況に至らしめていると指摘。しかも、その財政破綻のツケを、深刻な反省もなければ、責任の所在も明らかにしないまま、市政「改革」マニフェストとして、市民に押しつけようとしているときびしく批判しました。

 決算反対理由の第一は、市民のくらしを守るどころか、逆に重い負担をかけ、市民サービスを後退させているからだとし、国民健康保険料を2%、5年連続で値上げを強行、介護保険料も8.4%値上げ、公立保育所を順次55カ所も減らし保育における大阪市の責任を放棄しようとしていることなどを指摘。今回のマニフェストでは、新婚世帯向け家賃補助の引き下げ、児童いきいき放課後事業の有料化等に加え、児童館10館、勤労青少年ホーム25館などの廃止、粗大ゴミの有料化、普通ゴミの有料化検討までうち出したと批判しました。 

 反対理由の第二は、大型開発やその失敗の穴埋めに、相変わらず巨費を投じようとしているからだとし、不必要な夢洲トンネル工事に91億5300万円、北港テクノポート線建設に66億4500万円をつぎ込むとともに、ムダな大型開発の典型とも言うべきスーパー中枢港湾づくりに本格的に乗り出そうとしていると批判。また、凍結していた公害道路・淀川左岸線2期事業を復活推進する一方、市民が切望し環境にも資する地下鉄8号線延伸は凍結する逆立ちしたやり方は、到底、市民の理解は得られないと強調しました。

 反対理由の第三は、同和特別扱いを続けているからだとし、2001年3月末の法失効後、3年余りも経過しているにもかかわらず、2004年度も2ヶ所の浴場建設助成に6億1700万円、一民間病院・芦原病院への補助貸付金8億6700万円、人権協会に対する33億円もの委託事業等が執行され、人権文化センターや青少年会館等のおびただしい数の職員配置も従来と大差がなく、膨大な同和未利用地が今なお放置されたままだと批判しました。

 下田議員は最後に、公共事業における入札契約問題について、当局が同和建設協会加入業者と一体となって、官製談合を繰り返し、市財政に損害を与えていたことが、今回、ゆとりとみどり振興局の庶務課長等の逮捕によって明らかになったとのべ、一切の談合を防止するために、その方策の一つとして、公正取引委員会も指摘しているように、入札参加業者の事前公表はやめ、事後にすべきだと指摘しました。

<討論の全文>

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2004年度大阪市一般会計等決算認定に反対の討論を行いたいと思います。

 それでは、なぜ反対なのか。それは言うまでもありません。市民にとって最も身近な行政として、市民のくらしを最優先にするのが本来であるにもかかわらず、臨海部などのムダな開発や同和特別扱いを優先させて、そうして、三セク破綻や芦原病院の経営破綻など、次々と事業を失敗させては、又、公金投入をくり返して、本市財政をかつてなく厳しい状況に至らしめているからであります。

 しかも、こともあろうに、その財政破綻のツケを、深刻な反省もなければ、責任の所在も明らかにしないまま、市政カッコつき改革マニフェストとして、市民に押しつけようとしているのであります。到底、認めることはできません。

 以下、具体に指摘したいと思います。

 反対理由の第一は、市民のくらしを守るどころか、重い負担をかけ、市民サービスを後退させているからであります。

 2004年度も、高すぎる国民健康保険料を2%、5年連続で値上げを強行した上に、介護保険料も8.4%値上げを行って、市民の足を引っぱってきたのであります。

 又、少子化対策が叫ばれている中で、2004年度、公立保育所を3カ所も民間にまかせて、順次55カ所も減らして行こうとするなど、保育における大阪市の責任を放棄しようとしているのであります。

 しかも、今回のマニフェストの中で、新婚世帯向け家賃補助の引き下げ、児童いきいき放課後事業の有料化等の検討に加え、なんと、児童館10館、勤労青少年ホーム25館など、2005年度末の廃止を打ち出したのであります。

我が党委員が、これでは少子化対策の逆行ではないかとただしたのに対し、市長は、口では少子化対策が必要だと言いながら、これらの施策を見直さなかったために財政が厳しくなった、などと見当違いの答弁をして、むしろ、これを露骨に切り捨てる姿勢を示したのであります。言語道断と言わなくてはなりません。

 又、今回、粗大ゴミの有料化、普通ゴミの有料化検討までうち出したのであります。

 ところが、これに対する当局の説明がふるっているのであります。ゴミ有料化の目的は、減量化がその最たるものだというのであります。有料化にすれば、ゴミを出すのをひかえるということでありますが、それでは、出さなくなったゴミはどこへもって行くのでありましょうか。家の中にためこむか、不法投棄しかないではありませんか。ゴミの有料化、断じて行うべきではありません。ゴミの減量化を言うなら、何よりも、発生抑制、再利用、リサイクルに徹することであります。

 しかも、今、ゴミの減量化は、着実に進んでいるのでありまして、早晩、現在の焼却工場10工場体制から9工場になる、そういう趨勢ではありませんか。にもかかわらず、老朽化した森之宮工場の建て替えに固執する市長や当局の態度こそ問題であります。

 今回、我が党委員の質疑によって、他の対象工場は耐震診断を行っていながら、最も古い森之宮工場はこれを除外するという、およそ考えられないような確信犯的サボタージュをしていたことが明らかになりました。

 現工場とさほど距離のない森之宮2丁目、多数のマンション住民が住んでいるまっただ中、大阪車両跡地、2.6haを土地開発公社に取得を依頼して、現在、利子がふくらんで、130億円にもなっている上に、380億円もの建築費を要することから、現工場には金をかけられないというのであります。そうして、新工場ができるまでの7年、8年もの間、耐用年数とっくにすぎた老朽工場、なんの手も加えないまま、操業しようとしているのであります。とんでもないことだと言わなくてはなりません。いくら利便性があるとはいえ、将来、ムダな施設となりかねない、しかも、周辺住民の強い反対のある新工場の建設はキッパリと中止をすると同時に、現工場は、耐震診断を行った上、必要があれば補強をして、9工場体制の見通しがつき次第、長い歴史に終止符をうつ、これが、至当と言うべきものであります。

 なおこの際、敬老パスの存続問題について、一言指摘したいと思います。

 市長も、見直すと言いつつ、当面、2006年度は従来通りの制度を継続するとしたことは、市民の運動の成果として、評価するものであります。ただ、2007年度以降の見直しに含みを残したことは、問題であると言わなくてはなりません。

 我が党委員の質問に対して、市長も答弁したように、制度の趣旨である、敬老、生きがい対策というものは、時代がいかに変遷しようとも、その意義が失せるものではありません。2007年度以降も、現制度を維持すべきであると強く申し上げておきます。

 反対理由の第二は、大型開発やその失敗の穴埋めに、相変わらず巨費を投じているからであります。

 2004年度も、不必要な夢洲トンネル工事に、91億5300万円、北港テクノポート線建設に66億4500万円がつぎ込まれました。又、民間にまかせるべきUSJに、またぞろ、30億円もの貸付をおこなって、本市貸付総額160億円、別途、開発公社70億円、都合230億円にもふくらませたのであります。

 その上、ムダな大型開発の典型とも言うべきスーパー中枢港湾づくりに、「選択と集中」で本格的に乗り出そうとしているのであります。夢洲の大水深高規格のコンテナ埠頭、C10には週2便、C11には週4便が入っているのみで、全く必要性がなく、長い間放置していたC12の建設を220億円もかけて行うというのであります。

 しかも、この夢洲の3バースに、20フィート換算で120万個のコンテナを集めることがスーパー中枢港湾の条件になるために、咲洲のC1〜C4、C8のハンジン海運や川崎汽船などの定期貨物を移動させ、空いたこの5つのバースには、R岸壁のコンテナ貨物をもってくる。そして、このR岸壁には、フェリーターミナルを移動させるという、ムダのおまけまでついているのであります。

 また、更には、こともあろうに、凍結していた公害道路・淀川左岸線2期事業、これを復活推進しようとしているのであります。この道路は、旧阪神高速道路公団が、周辺住民の反対が強い上に、何より、採算がとれないとして建設を断念していたものではありませんか。それを、今度は、残事業費およそ1000億円、この大半を国民の税金でまかなおうとしているのでありまして、本市の負担も数百億円とも言われる程膨大なものになるのであります。財政危機だと言って、市民が切望し、環境にも資する地下鉄8号線延伸は凍結する、その一方で、市民が反対し、環境悪化につながる淀川左岸線は凍結解除する、こんな逆立ちしたやり方は、到底、市民の理解は得られません。建設推進は見直すよう強く求めておきます。

 さて、今回の審議等を通じて、これまでのムダな大型開発の失敗がいかに膨大な負の遺産となっているか明らかになりました。

 それは、住之江のオスカードリームや弁天町のオーク200などの土地信託事業であります。民間活力によって街が活性化し、巨額の配当が得られるとのうたい文句で、交通至便の7.8haもの市有地を提供しているにもかかわらず、どこも、アミューズメント施設やホテルばかりで、およそ釣り合いのとれた街づくりとはほど遠い上に、肝心の配当は、ビッグステップが極わずかあったのみで、このビッグステップも含めて、全ての信託事業が、信託終了時、借金つきで返ってくるという、とんでもない見通しであることがはっきりしたのであります。

 かつて、当時の阪口助役が、バブルに踊っていたと、反省の弁をのべましたが、交通局が200億円も負担をしたフェスティバルゲート同様、残りの全ての土地信託事業が文字通り惨憺たる状況なのであります。なかでも、オーク200は、大規模補修の必要を考慮すれば、借金残は、700億円もの規模となるのであります。ほんとうにひどいものでありますが、元より、この損害、この責任というもの、市民には一切負うべきものがありません。

 つまり、フェスティバルゲートのような処理は断じてしてはならないということであります。一切の新たな公金投入をすることなく、受託者たる信託銀行等の責任で、借入金の解消をはかるべきであると申し上げておきます。

 今一つ、指摘しておかなければならないのは、土地開発公社が代行取得した12haもの土地が、各局の長期にわたるほったらかしによって、利子が積み上がって、膨大な時価簿価差を生じせしめているという点であります。

 これらの土地、大半、事業目的がなくなっているのでありまして、これ以上利子がふえないうちに売却しなければなりませんが、今、仮に、すべての土地を路線価で売却するとすれば、造成土地分も含めて、実に、470億円もの赤字となるのであります。

又、さらには、土地先行取得事業会計も、同様の事態となっているのであります。この先行取得会計の借金は、公債償還基金を差し引いても、3378億円にものぼるにもかかわらず、この保有土地の評価は、1320億円も少ない2058億円にしかすぎません。これ又、膨大な不要土地が含まれていて、この不要分は、早期の売却が必要でありますが、元より、これに対応する借金を返すことはできません。又、同時に、売れればまだしも、売るに売れないような小さな不整形の土地も多数存在しているのであります。

 まさに、各局の無責任ぶり、驚くべきものがありますが、こういった土地の典型の一つが、淀川区の加島にある環境事業局がゴミの中継基地にする目的で土地開発公社に代行取得を依頼した8200uの土地であります。

 平成4年度から8年度にかけて、66億円余りで買収したのでありますが、買収が終わると同時に、この土地の必要性がなくなったと言うのであります。以来、9年間、土地開発公社が保有したまま、この間、16億円も利子が積み上がって、帳簿価格は、83億円余り、u単価100万9千円にまでふくれあがっているのであります。しかも、区長貸しと称して、暫定利用に供しているものの、その実、地域のコミュニティ広場運営委員会なるものに、好き放題させているのであります。整備されたグラウンドが2面、50区画ほどの菜園に、25〜26台入る駐車場まで設けられているにもかかわらず、使用料等一切大阪市には入っておりません。ズサンにも程があると言わなくてはなりません。

 反対理由の第三は、法期限後もなお、同和特別扱いを続けているからであります。

 2001年3月末の法失効後、3年余りも経過しているにもかかわらず、2004年度も2ヶ所の浴場建設助成に6億1700万円、一民間病院、芦原病院への補助貸付金8億6700万円、人権協会に対する33億円もの委託事業等の予算執行がなされてきました。また同時に人権文化センターや青少年会館等、おびただしい数の職員配置も従来と大差がありません。

 又、同時に膨大な同和未利用地が今なお放置されたままになっているのであります。なかでもひどいのは、住宅局所管の西成区北津守1、2丁目の1haもの土地であります。

 昭和55年に住宅用地として先行所得会計で取得して以来、事業の必要がなく、実に25年にわたって未事業のままであります。そうして15億円余りで買収したものが、起債の利子が23億円も積みあがって帳簿価格は38億円余りに膨れ上がっているのであります。当局はグランドとして暫定使用に供しているなどと答弁をいたしましたが、何の言い訳にもなりません。いったい、25年も暫定使用する、そんな馬鹿な話がありますか。しかも維持管理費を人権協会に支払っているにもかかわらず、市民の利用がほとんどありません。それもそのはず,少し南に下ったところの西成公園内に夜間照明灯付きの立派な野球場と多目的グランドが備えられているからであります。

 要するに、当未利用地は住宅用地としても、またグランド用地としても、その必要性が全くないのであります。又、同じく、新なにわ筋に面した北津守4丁目に、やはり、1haもの、ゆとりとみどり振興局所管の全くほったらかしの土地があります。

このうち、0.2haは、昭和51年に住宅局が住宅用地として、先行取得会計で買収して、30年もほったらかしにした上、現在は、ゆとりみどりに所管替えしておりますが、残り0.9haも平成9年に土地開発公社に代行取得を依頼し、9年間放置して、それぞれ、金利ばかり積み上がっているのであります。

 つまり、これまた、事業化する必要性がないことを示しているのであります。事実、このまわりには、9カ所、5.6haもの公園が整備されているうえに、いたる所、緑地や空き地が存在しているのであります。

 又、この他にも、工場アパート用地として、あるいは、福祉施設用地として、更には、青少年会館の拡張用地として、等々、それぞれ買収してほったらかしにしているもの、あげればキリがないのでありますが、面積合計としても、市民局の言う6haをはるかに超えるものであります。みんな、ひいては市民に負担をかけるものでありまして、芦原病院の130億円の貸付金のコゲツキ同様、いったいどうしてこんなことになったのか、どこに責任があるのか、明確にすべきだと思います。

 さて最後に、本市公共事業における入札契約問題について、指摘しておきたいと思います。

 言うまでもなく、入札等の競争性、公平性を確保して、工事価格の低減をはかることは、緊急の課題となっております。

 ところが、こともあろうに、当局が同建業者などと一体となって、いわゆる官製談合を繰り返し、工事価格の低減をはかるどころか、逆に高値落札をせしめて、本市財政に損害を与えていたことが、ゆとりとみどり振興局の庶務課長等の逮捕によって明らかになったのであります。

 又、今回の質疑を通じて、浪速区の旧同和住宅の建て替え事業、すなわち一般施策の入札においても、財政局が同建業者のみを、しかも、毎回ほとんど同じ業者を指名して、特定の業者が落札できるようにしていたことが明らかになりました。

 当局は、今後、同建協のみを指名することはやめると答弁いたしましたが、我が党が繰り返し指摘してきたにもかかわらず、逮捕者がでなければ、改まらないという度し難い体質をはしなくも露呈したのであります。深刻な反省を求めておくものであります。

 又、同時に、一切の談合を防止するために、その方策の一つとして、公正取引委員会も指摘しているように、入札参加業者の事前公表はやめ、事後にすべきであることを改めて申し上げ、以上、反対討論といたします。