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市議会本会議代表質問 3月8日北山良三議員 |
北山良三市会議員 2006年3月8日 |
私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2006年度大阪市予算案ならびに市政運営について、関市長に質問いたします。 今日、小泉内閣が「構造改革」としてすすめてきた「新自由主義」の経済路線、すなわち、大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義、弱肉強食をすすめる経済路線の下で、大企業は軒並み、バブル経済の時以上の、過去最大の利益を上げる一方で、勤労国民の雇用と所得の破壊が進められて低所得層が増大し、ますます社会的格差は広がっているのであります。 その上政府は、「三位一体改革」の名で国の財政赤字のツケを地方財政に押し付けながら、昨年3月に総務省が発表した「地方行革推進のための指針」に沿ってすべての自治体に「集中改革プラン」の策定を求め、職員の削減、業務の民間委託と民営化、福祉と暮らしのための施策のいっせい切捨てを迫っています。これはまさに、住民福祉のための機関という地方自治体の存在意義そのものを否定する、重大な地方政治への攻撃と言わなければなりません。 こういう中で、関市長が改革マニフェストにもとづく初の予算として提案した2006年度予算案は、まさにこの「小泉構造改革路線の大阪市政版」と言うべきものであります。 「小さな政府」論に「身の丈」論まで持ち出して、生活保護世帯の福祉減免制度の廃止、新婚家賃補助制度の改悪、粗大ゴミ収集の有料化を盛り込むなど、福祉と住民サービスをバッサリと切捨てると同時に、「官から民へ」とばかりに、民間経営手法を導入し、市バス運転業務や公立保育所などの民間委託を一層推進しようとしているのであります。そしてその一方、スーパー中枢港湾整備や阪神高速淀川左岸線2期事業は進めるなど、これまでの大型開発の失敗にはまったく無反省のまま、その財政赤字のつけを市民に押し付けようというものでありまして、こんな内容を到底認めることはできません。 さて、この間、市長が市政改革の一つとしてあげてきた「敬老パスの有料化」が、2005年度に続き2006年度も強行出来なくなり、無料の制度として継続されることになりました。これは市民の強い怒りの声と運動の賜物であり、市長は今後もこの声にしっかり耳を傾けるべきであります。 私たち日本共産党大阪市会議員団は、大規模開発優先での税金のムダづかいと市民不在の流れを断ち切り、自治体の本来の姿である、市民の暮らし第一、市民が主人公の大阪市政への転換を強く求めてきました。正にこの方向こそ市民が求める真の市政改革であります。 私は、こうした立場から、本予算案は撤回し、市民が主人公の予算に組み替えることを求めて、以下、五つの柱で具体的に質問いたします。 まず、第一の柱として、暮らし、福祉、教育を充実させる点についてであります。 最初に、国会に上程されている「医療制度改革法案」についてお聞きします。 今回の法案では、療養病床に入院中の70歳以上の患者には「食費」「居住費」として、月2万8千円も負担を増やします。現在窓口負担1割の74歳までの高齢者は2割にし、そして75歳になってやっと1割負担になったかと思えば、新たにつくる「高齢者医療保険」に強制加入させ、当初は1人平均月5千円程度の保険料としつつ、これを2年ごとに引き上げ、2015年度には1人平均月7千円以上に引き上げるというものです。しかもこれを年金から天引きにして否応なしに取り立てるというのです。まさに高齢者から「トコトン搾り取る」大改悪ではありませんか。医療の専門家でもある市長として、「高齢者の首をしめにかかるような」こんな法案にはきっぱり反対すべきです。答弁を求めます。 次に、国民健康保険料の計算方式の変更についてお尋ねします。 この6月から所得割保険料について、従来の「住民税方式」から「所得方式」に変更しようとしていますが、そこには多くの問題点があります。第一に、低所得者、特に高齢者の保険料が非常に高くなり、中には、市当局の試算でもこれまでの4.3倍にもなる高齢者がうまれます。第二に、扶養控除や医療費控除など、各種の所得控除が算定基準に反映しなくなるため、複数多人数世帯や身障者世帯、ひとり親世帯などで保険料が高くなります。第三に、これらの結果ますます滞納世帯が増え、保険料収納率が下がり、そのことによって国からの調整交付金が減額され、国保財政がいっそう苦しくなるのは必定です。市長、こんなことはやめるべきです。ご答弁ください。 私は、保険料の算定方式については「所得方式」よりも公平性が確保される現在の「住民税方式」を継続させた上で、これまで保険料負担が過重となっていたいわゆる「中間所得層」と、今年からの税制改悪の影響で保険料負担が重くなる「高齢者」を対象に、所得割保険料の減免措置を大きく拡充すべきだと考えます。そのためにも、一般会計からの繰入金を減らすのでなく、もっと増額すべきです。市長の答弁を求めます。 次に、介護保険についてお聞きします。 予算案では、高齢者の保険料の基準額が今の月3,580円から4,780円に引き上げられ、二ヶ月ごとの年金から2,400円も余分に引かれることになります。しかも、今年からの税制改悪で新たに課税者になって保険料ランクが1段階上がる人が多数生まれます。こうした人は激変緩和されても、2006年度は2ヶ月で3,200円、2007年度で4,000円、2008年度で4790円もの引き上げになるのであります。下がる年金から、こんなにも大幅に引き上げられた介護保険料が天引きされていく。だれの耳にも、高齢者のうめき声が聞こえてくるではありませんか。市長、介護保険料の減額措置を抜本的に拡充すべきです。答弁を求めます。 続いて、大幅に改悪された介護サービスなどについてお尋ねします。 まず、すでに昨年10月から実施に移された、施設での介護サービスにおける「居住費」「食費」の全額自己負担化についてであります。この影響で食事代の負担に耐えられず、家族が食事を持参する例もうまれているほど重いものであります。東京都千代田区では、月1万500円から1万9500円の独自の補助制度を実施しています。大阪市でも、減免措置や補助制度を早急につくるべきです。市長の答弁を求めます。 次に、今年4月からの新介護予防実施により、「認定あって、プランなし、給付なし」の「介護予防難民」が多数生まれてくるという問題についてです。それは、介護予防プランをつくるケアマネージャー1人当りの受け持ちを8件までと制限し、しかもその報酬を低く押さえ込もうとしているからであります。これらを解決するには、市が設置する「地域包括支援センター」の職員体制を抜本的に強化し、多数の介護予防プランの作成を、センターが直接担えるようその保証をつくる必要があります。そして、民間ケアマネージャーへの委託の際は、大阪市独自に介護予防プラン作成補助を行ない、民間事業者も積極的に取り組めるように援助すべきです。合わせて、市長の答弁を求めます。 次に、保育所問題です。本年度も大阪市は保育所待機児童数904名で全国一という不名誉な結果となりました。ここ数年間、大阪市は待機児対策として、園庭もない駅前分園でしのいだり、押し入れの面積を保育室にカウントし定員増を図るなど、子どもたちと保育士にしわ寄せするような場あたり的な対応を繰り返してきました。この事が待機児童をなかなか解消できない大きな原因になっていると言わなければなりません。こんな安易な手段をとるのではなく、「子どもは社会の宝」だという立場にしっかりと立って、必要な所に必要な保育所を建設すべきであります。 また、公立保育所の民間委託は、子どもたちの心に大きな負担を与え、保護者からは強い批判の声が上がっています。この4月から民間委託されようとしている東成区の大成保育所では「保育の継続性が失われる」とほとんどの保護者が中止を求めているのに当局は強行しようとしています。こういうやり方で公立保育所の公的責任を放棄する民間委託はやめるべきであります。あわせて答弁願います。 次に、児童館と勤労青少年ホームの廃止についてであります。この突然の発表に対しては、利用者や市民の大きな怒りが起き1ヶ月余りで約8000人の「廃止方針の撤回を求める陳情署名」が提出されました。市民は口々に「こんなに市民に親しまれている施設をなんで廃止するのか」「市長は選挙でそんなことは一言も言ってなかったではないか。公約違反だ」と言っています。 ところが、こうした市民の声にまったく耳を貸さずに、二つの事業の廃止条例提案が強行されたのであります。しかしそこには一片の道理もありません。 当局は「施設をなくすわけではなく『子育て活動支援事業』などをおこなう」と施策の後退ではないかのように説明していますが、まったくの奇弁であります。まず、児童館事業は、乳幼児から18才までを対象としたものであって、大阪市が新たにやろうとしている事業をそれに置き換えることはできません。神戸市でも京都市でも100館を超える児童館が設置されていて活発な活動が行われています。また、勤労青少年ホームはこれまでも時代の変化に応じて柔軟に運用されてきたのでありまして、その必要性は今日いっそう大きくなっています。 これらを廃止することは言語道断であり、撤回を強く求めるものであります。市長の答弁を求めます。 次に、障害者施策についてお尋ねします。 昨年10月末、自民・公明両党が、その直前には廃案になっていた障害者「自立支援」法案を強行成立させました。しかも、障害の程度が重い人ほど負担が増えるというひどい内容を一字一句変えることなく、多くの障害者の強い反対の声を無視して、まるでブルドーザーでなぎ倒していくように、問答無用での強行でした。 私は、こんな法律の成立をふまえ、その悪影響を最小限におさえるため、大阪市がいっそう障害者施策を充実させていくことを強く求めるものです。 第一に、障害程度区分の認定については、障害者本人の障害程度の正確な反映を期するとともに、家族の実態もふまえた認定となるようにすることです。そのためには、認定審査会の構成メンバーに各障害者団体の代表を加えるなど、適格に判断できる体制を確立する必要があります。 第二に、介護給付・訓練等給付・自立支援医療などの利用者負担については、障害者本人および家族の実態に見合ったものになるよう、市独自の補助制度をつくるべきです。 第三に、市が独自の裁量で実施できる「地域生活支援事業」の具体化、ならびに「障害福祉計画」の策定に当っては、障害者と家族、及びあらゆる障害者関連団体の意見を十分に聞く機会を設け、その声を反映させた内容にしていくことです。これらの点について、市長の答弁を求めます 次に、生活保護世帯に対する上下水道料金の基本料金相当額の減額措置、および市営交通料金の半額措置を廃止する問題です。この影響は、毎月1500円以上におよび、2005年度の夏期・年末一時金廃止につづく、生活保護世帯への冷たい仕打ちと言わなければなりません。国が生活保護基準を切り下げ、老齢加算の廃止や母子加算の削減をおこなうなど生活保護施策を切り縮めているもとで、生活保護世帯の暮らしは益々厳しくなっています。今回の福祉措置の廃止は撤回すべきであります。答弁を求めます。 次に、教育についておたずねします。 まず、小中学校の全校での習熟度別授業の実施についてであります。現場の教師からは「遅れたクラスに行く子の顔は暗くなりがちだ」「中学生ともなると『アホクラスに行って来る』と自嘲気味の言葉をはくものもいる」「授業参観に来た親が、見るのがつらくて途中で帰ってしまうこともある」などの声が上がっています。どんな工夫をしたとしても習熟度別グループ分けをする限りこの矛盾は解決できません。このような差別・選別の習熟度別授業を各学校に画一的に押付けることは、教育行政としてやってはならないことであります。直ちに押付けはやめるべきです。 今日の大阪市に必要なことは子ども一人ひとりを大切にする教育であり、そのためにも、一クラスの人数そのものを少なくしてすべての子どもに目がゆきとどく条件を整備することであります。全国的には少人数学級がどんどん進んでいます。今こそ30人学級に足を踏み出すべきです。合わせてご答弁下さい。 次に、学校施設の改善の中でも急がれているトイレ改修とエレベーター設置の問題であります。トイレ改修は、2001年度の16億円台から2006年度予算はその半分以下の7億円にまで減らされています。これでは学校現場の切実な声に応えることができません。エレベーター設置の問題でも、車椅子の子どもを教師が抱えて階段を移動するという実情があります。これらの予算は抜本的に増やすべきです。 さらに小中学校の普通教室にクーラーを設置する問題であります。教室の配置によっては温度が37〜8度になるところがあって、鼻血を出して保健室に運ばれる生徒が出ているのであります。早急に設置する計画を立てるよう強く求めます。なお、2006年度から市立高校のクーラー利用料が徴収されようとしていますがとんでもありません。これは是非とも撤回すべきです。合わせて、市長の答弁を求めます。 子供の学校での安全対策もますます重要になっています。本予算案では移動警備員を41名から52名にして6校に一人配置するものとなっていますが、極めて不十分であります。直ちに全校に警備員を配置すべきです。 また、全国の公立中学校の77%で実施されている学校給食をいつまでも先延ばしにすることは「身の丈」に足りない遅れた大阪市政を象徴するものであります。学校給食法では「実施に努めなければならない」とされているのに教育委員会はその必要性すら否定し続ける。これで法令遵守を唱える「コンプライアンス改革」などと言う資格があるのでしょうか。直ちにすべての中学校での給食実施計画を立てるべきです。合わせて、市長の答弁を求めます。 教育の最後の問題は、小学校給食の民間委託の検討についてです。学校現場や保護者からの声は「効率化と言って人を減らすのではなく全校で自校炊飯を行うなど人員を増やして教育の一環としての学校給食事業を充実してほしい」というものであります。学校給食の充実の方向に逆行する民間委託の検討は中止すべきです。ご答弁ください。 次に第2の柱として、市民にとっての安全・安心の街づくりについてお聞きします。 今回、市民生活に密着する身近な公共事業予算が大幅に削減されております。2005年度と比べて、例えば市営住宅の建設と整備の予算が85億円、学校の建設・耐震化補強・補修の予算が29億円、特別養護老人ホームと老人保健施設の整備の予算が15億円削減されるなど、挙げれば切りがありません。市長はこれが「市政改革の第一歩」だとしていますがとんでもありません。市民は、生活密着型、福祉型の公共事業をこそ求めているのであります。 以下、こういう立場でいくつかお聞きします。 まず、市営住宅についてであります。2005年7月募集で申込み者は2万1344人、平均倍率は32.2倍となっています。これほど市営住宅需要が高いのに大阪市は、長年にわたって建て替えしかせず、その建設予算を大幅に減らし、市営住宅用地を民間建設会社に売り渡すなど、言わば故意に市営住宅の供給を怠ってきました。今大阪市がやらなければならないことは、貴重な市営住宅用地の民間売却をやめ、市営住宅の建設戸数を大幅に増やして、市民の切実な住宅需要に応えることであります。また空き家が目立つ「市営すまいりんぐ」をはじめ中間層向け住宅については、一般市営住宅に転用する道を研究するなど有効活用を図るべきであります。合わせて、答弁を求めます。 また、来年4月からは国の公営住宅法改悪によって「収入区分5」になれば「近傍同種の家賃」が適用される一方で、大阪市も家賃福祉減免制度の改悪などを検討していることは重大であります。これらが強行されるならば居住者の生活を圧迫するだけでなく、市営住宅からの追い出しにつながります。とりわけ福祉減免制度の改悪は、ぎりぎりの生活を余儀なくされている高齢者を始め社会的弱者にとっては大きな打撃となります。このような改悪はやめるべきであります。ご答弁下さい。 次に新婚世帯向け家賃補助制度でありますが、これは言うまでもなく若年層の市内定着を促進する制度であって、現にこの制度発足以来、減り続けていた若年層人口が増加に転じてきたことは大阪市も認めてきたところであります。その補助金の上限を月額5千円も引下るという提案がされています。一方で大阪市は「子育て支援を積極的に進める」「大阪市を活性化させる」と言いながら、経費縮減を優先させるあまり新婚家賃制度を改悪してしまう、これでは政策に全く整合性がないではありませんか。今やらなければならないことは制度改悪を行うのではなく、むしろ助成期間の延長や補助額を元に復元させるなどの積極策を取るべきです。答弁を求めます。 次に、地震・津波対策についてお伺いいたします。 2003年に発表された政府・中央防災会議の調査報告書によると、大阪湾に影響のある東南海地震の発生確率は、今後30年以内に50%程度、50年以内には80%程度とされており、大阪における震度は4ないし6弱程度とされていました。しかし昨年10月に内閣府は、最新の調査研究に基づいて、大阪平野の臨海部でのゆれは2003年の予測よりさらに大きくなると指摘しました。 ところが大阪市の地震・津波対策は極めて不十分であります。例えば市内臨海部の防潮堤は、既設堤防60kmの内、耐震補強が完了しているのはわずかに4km、6.6%にすぎません。これを早急に完了させることが強く求められているのであります。予算案の11億円を大幅に引上げるべきです。答弁を求めます。 次に、今年10月から粗大ゴミ収集を有料化する問題についてであります。 環境事業局は「ゴミの減量化のため」また「受益と負担の適正化のため」としていますが全く根拠がありません。1998年と2004年を比較すると、有料の事業系ゴミの減少は約91%であるのに対して、無料の家庭系ゴミは83%に減少している上、粗大ゴミだけで見ればなんと24.9%にまで減少しているのであります。つまり有料にしなければ減量が進まないというものではないのであります。粗大ゴミを多く出す人と少なく出す人がいるのは不公平だと言う市民がおられるでしょうか。私はそんな声を聞いたことがありません。そんなことを言っているのは改革本部だけであります。有料化になれば、当局も想定しているように粗大ゴミの不法投棄が増大する事はあきらかです。粗大ゴミ収集有料化は撤回すべきです。答弁を求めます。 次に、市バスの民間委託についてお聞きします。 交通局はこの間、古市など3カ所のバス営業所を大阪運輸振興株式会社に委託し、2006年度では酉島営業所、2007年度には井高野営業所と、全体11営業所のうち5営業所にまで広げようとしています。これは、公共交通に極端な採算性優先を持ち込み、市民の命を預かる市バス運転手を、月額17万円で一年契約の劣悪な労働条件の社員に置き換えることをさらに推し進めるものであります。その上今回の予算案は、管理委託費を05年度対比で22%も削減するものとなっています。これでは市バスの安全性が損なわれかねません。これ以上の民間委託はやめるべきです。答弁を求めます。 次に、建築指導体制の強化について伺います。 国民に大きな衝撃を与えたマンションやホテルの耐震強度偽装事件の重要な要因が、建築基準法の緩和によって建築確認審査や検査を民間任せにした点にあることは明らかです。大阪市においても、住宅局建築指導部審査課の職員は半減し、1999年度にほぼ100%だった行政による建築確認件数が、2004年度にはわずか3%にまで激減しています。従って今、民間審査機関の質の向上のため、大阪市として立ち入りや指導などが可能となるような法改正を国に求めるとともに、市民の安全を守るという地方自治体の役割を果たすため、大阪市の建築指導体制を抜本的に強化するべきではありませんか。ご答弁ください。 次にアスベスト対策について伺います。 厚生労働省の調査では、1995年から2003年までで、アスベストを原因とする死者は全国で1万3922人にのぼり、国民の間で不安が高まっています。大阪市においても、昨年10月から12月に実施した「アスベストによる健康不安解消のための緊急肺ガン検診」の中間報告では、受診者272名中、54名が「所見あり」となっています。また、アスベスト関連工場は、市内10行政区で16もあり、かつて造船所が集中していた木津川筋では、従業員・家族が2万人におよんだと言われています。ところが、現在のアスベスト検診は、各行政区で年に数回の肺がん検診を利用しておこなうなど、きわめて不十分です。今改めて、「アスベスト緊急肺ガン検診」を復活させるべきではありませんか。 また予算案では、新規事業として共同住宅等に対するアスベスト除去対策工事への補助が1億2500万円計上され、1件あたりの上限はマンションの場合は100万円、戸建住宅は20万円とされています。しかし、これでは一件当たりの補助額にしても総予算額にしてもまったく不十分で、要請に応えるものとは言えません。民間建築物のアスベスト除去への補助事業を、抜本的に拡充することが必要です。あわせてご答弁下さい。 第3の柱は、大型開発を抜本的に見直すことについてであります。 まず、夢洲のスーパー中枢港湾づくりについてお聞きします。 今回、この一環として総額220億円もの大水深コンテナ埠頭C12の本格的着工予算が組まれております。これによって、この夢洲の3バースの一体使用が可能となり、もって、入港、荷役などのコストを引き下げ、国際競争力を高めるというのであります。 しかしながら、実際には、どのようにしてコストを下げるのか、何のことはありません。国土交通省がC10、12の管理運営まで握り、一括してメガオペレーターに貸し付けた上、建設費用はまったくコストに含めず、わずか管理費用に見合うものしか徴収しないようにするということなのであります。 つまりC11は別として、C10、C12の建設費350億円のうち150億円も負担するにもかかわらず、大阪市にはこの岸壁使用料はいっさい入らなくなります。更に、コンテナ1個当たりのコストを下げるために、120万個のコンテナを集めるとして、咲洲のC1〜C4とC8の専用埠頭はもとより、公共コンテナ埠頭であるC9の船舶まで夢洲に移そうとしているのであります。 ますます、港湾・一般会計の使用料が減収になるではありませんか。ただでさえ、起債償還が年々増嵩し、市税の繰り入れが増えているのであります。一層財政を圧迫することは明らかであります。 市長、これほどまでしてコストを下げて貨物がふえるとお考えですか。とんでもありません。現に今、コストとはかかわりなく、対中国、アジアの貿易の拡大によって、コンテナ貨物は増えているのであります。不必要で更なる財政悪化につながるスーパー中枢港湾づくりは、キッパリとやめるべきです。答弁を求めます。 次に、阪神高速淀川左岸線2期事業についてであります。本予算案には用地買収費15億円が計上され、道路公団民営化議論のなかで不採算路線だとして凍結された淀川左岸線2期事業を、阪神高速株式会社が事業主体となる有料道路事業と大阪市が事業主体となる街路事業との合併方式で再開することが提案されています。当局は当初の事業費1260億円を4分の3程度に圧縮できるメドがついた、合併方式で本市の負担が小さくなる、だから再開するんだと説明していますが、株式会社の負担が104億円であること以外には、事業費総額がいくらになるのか、大阪市の負担がいくらになるのか、まったく何も示されてなく、乱暴きわまりないやり方であります。結局、国は、高速道路建設を大阪市に押付け、大阪市の甘い見込みどおりになったとしても実に289億円を超える負担を求めたのであります。政府が推進する都市再生プロジェクトの高速道路建設だけは、財政難の中でも特別扱いして強引に推進する、こんなやり方は到底市民の理解が得られるものではありません。道路公害を引き起こし、不必要で巨額の財政負担をもたらす高速道路建設を中止することこそ市民が求めている選択であります。淀川左岸線2期事業再開案は撤回するよう強く求めるものであります。答弁を求めます。 次に梅田北ヤード開発と貨物駅の百済駅等への移転についてお伺いします 今、鉄道運輸機構とJR貨物などはヤード移転のための工事着手の合意を吹田市長などから取り付けて、強引にことを進めようとしています。しかしこれはまったく住民不在のやり方であって、吹田市民からだけではなく淀川・東淀川、平野・東住吉・生野などのヤードにつながる幹線道路周辺の住民からも大きな怒りの声が上がっています。 JRは大気汚染や、騒音の影響は軽微だと説明していますが、今でも周辺地域の小学校においては小児喘息の罹患率は市内平均の2.3倍という事態であり、これ以上の環境悪化に耐えられないと市民が声を上げるのは当然であります。市長は住民合意を得ないままで、住民を無視して工事が着工されても良いとでもお考えでしょうか。明確にご答弁ください。 また本予算案には、北ヤード先行地区の土地区画整理事業に3億8千万円もの補助金を出し、またJR東海道線支線の地下化検討調査に5千万円の予算をつけていますが、これは結局また巨額の公金投入につながりかねないのであります。最近の都市計画審議会では、北ヤードの街づくりについて、阪神大震災の教訓などから、これ以上の昼間人口が集中することや、超高層建築物が乱立することは、防災対策、交通問題などが懸念されるとの専門家の意見も出されました。 大阪駅北側の街づくりについてはこの際、発想を転換し、現状の梅田北ヤードの機能を維持することをベースに、利用者・市民にとって安全・安心の街づくりを進めるよう見直すべきであります。市長の答弁を求めます。 第4の柱は、同和問題についてであります。 まず、芦原病院の民事再生申請に関連してお尋ねします。 この問題では、我が党はかねてより何度もその不公正乱脈ぶりを明らかにしてきました。しかし、関市長を始め市当局は、そのきびしい指摘と改善を求める追及にもかかわらず、ことごとくこれを不問にし、無視し、改めようとはしませんでした。それだけに、今回の事態に対する市当局の責任は極めて重大であると言わなければなりません。 この間はっきりしたことは、民事再生手続きのなかで裁判所によって病院の継続価値が2億7千万円余りとされたことであり、他の民間病院にほぼその金額で譲渡されることになるわけで、これにより本市貸付金130億円は全くと言っていい程返る見込みがなくなったのであります。関市長、あなたはこの責任をどう取るおつもりですか。明確な答弁をお願いします。 また、これまで病院用地として無償で提供してきた3043uの市有地や、看護士寮の土地建物は、正規の金額で賃料を徴収すべきです。同時に、土地開発公社が代行取得して57億円もの簿価となっている2カ所、合計1800uの土地は、駐車場用地や仮駐車場用地として無償提供してきたものですが、この際、返還を求めて、売却等により土地開発公社の借金を減らすべきです。合わせて答弁を求めます。 次に、大阪府同和建設業協会の業者と市当局が一体となって行われた、いわゆる官製談合問題についてお聞きします。 ゆとりみどり振興局の発注した造園関連工事において、同建協加盟の業者だけで入札をおこなった事が入札妨害だと認定され関係者が逮捕されました。我が党はかねてから同建協業者が落札した工事契約案件は、談合の疑いありとして一貫して批判し反対をしてきました。今回の逮捕事件は、我が党の指摘を裏付けることとなったのであります。長年にわたって、同和対策として同建協業者に優先的に公共工事を発注してきた歴代市長、同和対策担当幹部職員、入札契約担当幹部職員の責任は極めて重大であります。 すでに明らかになっているように、同建協業者の落札案件は財政局所管の契約だけでも2004年度分1年間で146件にものぼり、その平均落札率は96.98%と高率となっており、本市財政に多大の損害を与えているのであります。従って、問題となったゆとりみどり振興局の27件のみならず、少なくとも同建協加盟の業者だけで入札をおこなったすべての契約について、落札業者にその損害賠償を過去にさかのぼって求めるべきであります。答弁を求めます。 最後の柱として、職員削減と市政改革の手法についてお聞きします。 本予算案では本市全体で約2000人の職員を減らすという提案がされていますが、市長はこれに加えて「5年間で7000人」という職員削減目標をさらに5500人増やして、1万2500人の削減にすると発表しました。 言うまでもなく市民への行政サービスの多くは市職員がそれを担っている訳ですから、職員を減らすということは、市民に必要な行政サービスを縮小し、廃止することに直結します。「官から民へ」と言って民間委託を推進して公務労働を非正規雇用に置き換えることにもなります。さらに職場では、技術や経験の継承ができなくなったり、活力や意欲をも奪いかねません。事実、大阪市を見限って早期退職する職員が、今年度は例年の倍の500人にもなっているのであります。これこそ今小泉内閣が地方自治体に押付けている公務員減らしそのものであります。このような乱暴な職員削減計画は撤回すべきです。 また今回、区役所の税務課を廃止し、7カ所の市税事務所を設置するための準備予算が組まれていますが、とんでもないことだと思います。税に関する身近な相談窓口がなくなるなど市民サービスの後退につながることはもちろんのこと、区役所の役割や機能を拡充すべきであるにもかかわらず、それに逆行することになるのではありませんか。このような計画は中止すべきです。 合わせて、ご答弁下さい。 次に、何事も「市政改革推進会議」を優先させる市長の政治手法についてお聞きします。 いったい市政改革推進会議とはどういうものでありましょうか。上山信一慶応大教授を委員長として、関西財界の代表などによって構成されているものであり、市民の代表など誰ひとり入っておりません。市長はこの推進会議にお伺いを立て、注文を受けて、それを忠実に実行した上、その点検まで受ける、まさに何から何まで推進会議、すなわち国と関西財界言いなりで進めようとしているのであります。 事実この3月3日に市長は、市職員削減目標を大幅に上乗せする方針を、議会にも説明もせずに「市政改革推進会議」に真っ先に報告・説明し、当日は委員である東洋紡会長からは「全体像が明確でなく理解しにくい」と厳しく批判され、大阪ガス取締役からは「ここまで改革してやっと他の自治体レベルだという認識を忘れず、先進自治体に向けて力を結集すべきだ」との注文が出た、などと言われているではありませんか。しかもこうした推進会議を市長は、今後、毎月1回開こうとしているのであります。 これではまさに、「市民スタンダード」とは名ばかりで、関市長は、住民福祉切捨て、職員削減を、国・関西財界の直接の意向と指示の下でやろうとしていると言わなければなりません。こんなやり方は直ちにやめるべきです。答弁を求めます。
なお答弁の如何によっては再度質問することを申し上げ、質問を終わります。 <再質問> 【1】所得割保険料減免制度の拡充に向け、国保会計への一般会計からの繰入金の増額を まず第一に、国民健康保険の所得割保険料減免制度を拡充し、そのためにも国保会計への一般会計からの繰入金を増額していただきたいという点です。 これは不可能なことではまったくありません。一般会計からの繰入金投入の実態をみてみれば、明瞭です。大阪市がこれまでの最高額を投入した2004年度の数字でみても、事実上の繰入金額の、一般会計全体に占める割合は、わずか1.86%と、その水準は、全国の政令指定都市中第5位であり、決してトップクラスとはいえません。しかも、今回の予算案では、その2004年度の投入額499億円に比べて、20億円も一般会計からの繰入金を減らしているのです。決して「限界」といえる状況ではないということは明らかです。 市長、国民健康保険への思い切った「一般会計からの繰入れ」を行ない、「中間所得層」や「高齢者」の所得割保険料の減額措置を拡充し、だれもが払える保険料に引き下げるべきです。この方向こそ、市民に喜ばれ、しかも滞納者を減らし、国からの交付金を増やし、国保財政の改善に寄与する道ではありませんか。再度ご答弁願います。 【2】介護保険制度での「食費」「居住費」全額自己負担化にともなう市独自の補助制度の実施、民間ケアマネージャーへの介護予防プラン作成補助の実施、および第一号被保険者の保険料減免制度の拡充を 第二に、介護保険に関して、高齢者がかかえる大きな不安に、心やさしい温かい手立てを打っていただきたいという点です。 先日、ある介護施設入所者の奥さんから、こんな相談が寄せられました。「うちとこは、おじいさんが施設に入り、私は借家の自宅で暮らしながらおじいさんの面倒をみに施設に通う生活を送っている。居住費や食費でいえば、おじいさんと私と二人の時でも、私一人になってからでも、家賃は変わらんし、食費も電気やガス代もあんまり変わらへん。去年の10月から、おじいさんの施設のほうでようけお金がいるようになって、二重払いになった。もらう年金だけでは足りなくなって、貯金を取り崩してやっている。それも底が見えてきて、この先二人とも長生きしたらお金はアウトや。その時はどうしたらええんやろ」。 この方の場合、今年からの税制改悪で、新たに課税される可能性があります。そうなれば税金だけでなく、施設での負担金額も増えます。さらに、年金から天引きされる介護保険料が、いっきに2段階あがります。今年からの介護保険料の改定の結果、二ヶ月に一度の年金から、これまでの二人合わせて1万740円の天引きが、2万720円にと、なんと1万円近くも大幅に増えてしまいます。 市長、あなたはこの相談者にどう応えますか。これは、決して特殊な、例外的な事例ではありません。施設介護サービスでの「居住費」や「食費」への新たな補助や、高齢者の介護保険料の新たな減額措置を、大阪市独自に実施することが切実に求められています。 不要不急の「無人の島へのトンネル工事」の経費を削ってでも、ぜひ実施すべきです。市長、再度ご答弁ください。 【3】児童館・勤労青少年ホーム廃止の撤回を 第三に、児童館・勤労青少年ホーム廃止の提案を撤回していただきたいという点です。 市長、児童館を利用している小学生からの手紙や寄せ書きは届いていますか。また、その内容を読まれましたか。読まれたのなら、また市民の声が聞こえているなら、この場で、市長の生の声でお答えください。よろしくお願いいたします。 私は、こんな短期間での提案・実施というやり方からして、間違っていると思います。市民無視・市民不在であり、関市長が示した『改革マニフェスト』の『市役所スタンダードから市民スタンダードへ』『市民参画・市民協働の推進』の理念にも反するのではありませんか。 また、少子化対策・子育て支援の重視をいうのであれば、児童館をいっそう重視し、現在の9区10館から、全24区の全小学校区に拡大すべきではありませんか。また、勤労青少年ホーム・トモノスが果たしている実際の役割を尊重し、青少年の健全育成および子育て支援と、各地域でのコミュニティと交流の強化にむけて、トモノスをいっそう量的・質的に拡充させていくべきではありませんか。その中で、新たに提案されている「子育て活動支援事業」を実施すべきではありませんか。再度、合わせてご答弁ください。 【4】芦原病院問題の責任の明確化と責任ある者による回収不能貸付金の返済を 第四に、芦原病院への130億円の貸付金問題の責任の明確化と、同時に、回収不能金については、責任ある者にその返済を求めていただきたいという点です。 この間、民事再生の申請を出した昨年12月1日以降だけでも、数々の不正・不公正が明らかになっています。例えば、銀行からの無担保融資に、大阪市が事実上の債務保証をする確認書を、健康福祉局長の名前で融資のたびに銀行に提出していたこと。生協法人でありながら、1958年法人創設以来47年間、生協組合員1312名、出資口数4188口、出資金41万8,800円はまったく変わらず、事実上生協法人の体をなしていないこと。1984年以来、1998年まで、健康保険法に基づく「保険医療機関及び保険医療養担当規則」に違反して、特定の患者の窓口一部負担金を10%から100%減免していたこと。大阪市が支援してきた理由として、「当該地域では医療機関が希薄であること」を一貫して掲げてきたが、30年来の住民からの強い要望にもかかわらず、医療機関ははるかに希薄で病院は一ヶ所もない南港ポートタウンには未だに病院建設が進んでおらず、一方芦原病院周辺の浪速区・西成区には17ヶ所も病院が存在し、市がかかげる「支援の理由」にはまったく整合性がないことなどであります。 こういう状況からも、大阪市が貸し付けてきた130億円について、単に「債権放棄」ではすまされないことは、極めて明白です。関市長、あなたはこの責任をどのように取るおつもりですか。明確にご答弁ください。 関市長、あなたは、1992年4月から1995年12月まで3年8ヶ月間、環境保健局長を務められ、その間の貸付金額は14億8,100万円。その後2003年9月まで7年9ヶ月間、助役を務められ、その間の貸付金額は29億5,300万円。そして市長になられて1年4ヶ月間の貸付金額が1億400万円。合計45億3800万円の貸付金については、あなたが直接・間接に決済してきた責任があります。 私は、あなたを含め、歴代の市長、担当助役、担当局長、および浪速医療生協の歴代の理事・役員にも、応分の返済を求めるべきだと考えます。 市長、再度あわせてご答弁ください。 以上をもって、再質問といたします。 |