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市議団の実績

2006年6月6日本会議での瀬戸一正議員の討論

瀬戸一正市会議員

2006年6月6日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました議員提出議案第15号、「芦原病院への補助金・貸付金ならびに財団法人飛鳥会と社会福祉法人ともしび福祉会への 事業委託・補助金等にかかる調査特別委員会」の設置について、提案内容をご説明いたします。

私たち日本共産党議員団は、芦原病院の問題で去る3月30日の本会議において100条委員会を設置するよう提案しましたが、与党会派の諸君は時機尚早だとしてこれを否決しました。しかしその後、市長が設置した外部調査委員会が4月と5月の二度にわたり中間報告を発表し、その内容の審議を通じて芦原病院への補助金・貸付金交付が健康福祉局ぐるみの重大な不正行為である疑いがいっそう明らかになりました。5月8日には、西中島駐車場の経営にかかわって、小西邦彦・財団法人飛鳥会理事長が大阪府警に逮捕され、巨額の業務上横領疑惑が明らかになりました。さらに飛鳥会ばかりか社会福祉法人ともしび福祉会への用地提供や補助金支出にも様々な不正疑惑が指摘されています。ここまで大きく本市同和行政の歪みが明らかになって来ているわけですから、今度は先送りすることは許されません。今こそ議会としての責務を果たし、行政を厳しくチェックするべき時ではないでしょうか。

私たちの今回の提案は、芦原病院への補助金・貸付金の事件に、財団法人飛鳥会と社会福祉法人ともしび福祉会への事業委託・補助金等の事件をも加えて、100条委員会を設置することにしております。申すまでもなく、100条委員会は、関係者の出頭や証言、ならびに記録の提出を求め、正当な理由がなくこれを拒んだときには刑事罰を課すことができるという地方自治法第100条に定められた強い調査権限をもつものであります。

 それではなぜ今、100条委員会の設置が必要なのか、理由を述べます。

第一に、いずれの事件も未だに全容が解明されていないからであります。

一民間病院にすぎない芦原病院への約320億円もの補助金・貸付金にかかわって、この間、我が党議員の調査で補助金の使途がまったくデタラメであったことが明らかになり、さらに外部調査委員会調査によってそれが裏付けられたばかりか、健康福祉局ぐるみの不正であったことや、貸付金についても返済のメドがまったくないことを百も承知で行われたことなども明らかになりました。しかしこれはまだ全容解明の緒についたところだと言わなければなりません。ところが市長は全容解明もせずに、浪速医療生協の借金返済義務を免じて、貸付金等138億円の大半を債権放棄しようとしているのであります。言語道断と言わなければなりません。

 補助金・貸付金については果たして本当に病院経営のためだけに使われたのか。芦原病院がいくら赤字経営だったとしても規模からすればあまりに巨額であります。総勘定元帳と現金出納長の閲覧だけでは使途の解明はできず、調査権限をもって関係者に取引の原資料提出を求めてはじめて、使途が明瞭になるのであります。また、返済のめどがないことを承知で93回も特別運営貸付金の貸付契約を結んで来たことは背任行為になるのではないのか、地対財特法の期限切れまで毎回の補助金・貸付金の申請書に「申請の内容を適当と認める」との副審書を添えていた大阪市同和事業促進協議会会長と同浪速地区協会長にも責任があるのではないか等々、これ以外にも沢山の調査すべき課題がありますが、いずれも強い調査権限をもつ100条委員会で関係者の証言や書類提出を得なくては解明できないものばかりであります。

 財団法人飛鳥会について言えば、西中島駐車場の業務委託契約は当初から部落解放同盟飛鳥支部長小西邦彦に不当な利得を与えるためのものだったのではないか、駐車場開設の翌年に我が党議員が議会で不正を具体的に指摘し、小西邦彦が暴力団関係者であることも示して直ちに業務委託をやめるように求めたのに、またそれ以後我が党議員団が23回も小西邦彦との関係を見直すよう求めて来たのになぜ今日まで放置して来たのか重大な問題であります。さらに91年の財政局の調査以降はより明確に法外な駐車料金が小西側に流れていると分かっていたのになぜ委託契約を続行してきたのか、これらは背任行為にあたるのではないかという問題もあります。小西邦彦が理事長をつとめる社会福祉法人についても、福島ともしび園に11億円もかけて土地まで購入して無償提供したことなどに不当な圧力はなかったのか、市の幹部はどこまで関与して来たのかなどの問題もあります。これらも100条委員会の調査課題であります。                     

 私たち日本共産党市会議員団は、本市の同和行政の歪みの根本には、部落解放同盟の暴力と脅迫に屈服し、行政としての主体性を放棄し、「同和事業は部落解放同盟の協力を得て実施する」「大阪市同和事業促進協議会のハンコがないと同和行政は一歩も進まない」という「部落解放同盟いいなり」になってきたことにあると一貫して指摘してきました。今回の二つの事件はこの歪んだ同和行政そのものから起きた問題であり、この点も、100条委員会であればこそ解明できるのであります。

 第二の100条委員会の必要性は、大阪市当局が関市長を先頭にこれらの事件についての全容解明に大変、後ろ向きの姿勢を取っているからであります。

 芦原病院の補助金・貸付金について我が党議員団は、市長の部下である健康福祉局長が決済し職員が実行したことなんだから直ちに市長自らが先頭に立って調査すべきだと要求しましたが、市長はまったく権限もない外部調査委員会に調査を委託しました。その調査で健康福祉局ぐるみの不正であることが明らかになると市長は今度は、監査委員会に補助金についてだけ5年間分の特別監査を請求しました。しかし、監査委員会の調査はなんらの強制力も持たず、しかもたったの5年間の補助金だけを調査して、芦原病院問題の全容解明ができないのは明らかであります。

 芦原病院についても、飛鳥会の事件についても、同和地区医療センターとしての位置付けが始まった当初にまで、西中島駐車場の開設当初にまで溯らなくては、全容解明はできません。過去に溯って事実を徹底調査し、証言なども求めることができる100条委員会でこそ、原因や責任の全容解明ができると言わなければなりません。

 関市長は、この二つの事件を契機に、地対財特法の期限内に同和対策の一環として始められた事業などを全庁的に総点検するなどとしていますが、肝心のこの二つの事件を真剣に根底まで調査せずして、本市の同和行政の歪みをただすことなどは、到底期待できないではありませんか。

 第三は、行政の歪みをただす議会としての責任を果たすためであります。

 今回の事件は、1969年以来30数年間も続けられてきた、乱脈で不公正な本市の同和行政を象徴する事件であり、その歪みぶりや非常識さも、そこに投じられた公金も、市がうけた損失の規模も極めて大きなものであります。しかも二つの事件とも、市長、助役などをはじめとする市の最高幹部が関与していた可能性があり、最高幹部の重大な責任は免れないものであります。行政の市民に対する犯罪と言っても過言ではありません。そして行政の過ちをただすことこそ議会のなすべき重要な仕事・責務であり、それは100条委員会の設置によってしか果たすことができないと言わなければなりません。

 同じ同和行政にかかわって2000年に発覚した12億円の不正融資疑惑を調査するために高知県議会が設置した100条委員会は、その強力な調査権を発動して不正事件の全容を徹底して調査し、その中で県副知事をはじめとする26名の幹部職員や業者を証言拒否や偽証、詐欺、背任で告発しました。しかも100条委員会はそれにとどまらず、事件は「同和対策が団体対策や団体の幹部対策に陥り、県が同和対策の基本をゆがめ、極めて異常な判断をした結果である」との不正の根本原因まで明らかにしています。議会の100条委員会が大きな役割を果たしたのは明らかであります。

 今や、この二つの事件を通じて、歪んだ同和行政での税金無駄使いに対する市民の怒りは沸騰しています。市民の怒りは、議会はこれほどの事件をなぜこれまでチェックできなかったのか、今まで議会は何をして来たのかなどと、議会にも向けられているのであります。私たち日本共産党市会議員団は、公金詐取・飲み食い事件をはじめ過去12回、100条委員会の提案をしていますが、そのつど、与党会派の諸君はこれを否決してきました。私が敢えて申上げたいのは、今回のこの二つの事件で本市議会が100条委員会を設置せずして、市民の付託に応えられるのか、市民に対する責任は果たせるのかということであります。是非とも党派・会派の違いを越えて、100条委員会の設置に賛成いただくようお願いして、提案説明といたします。