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国民健康保険条例改正案への反対討論 |
北山良三市会議員 2006年9月20日 |
私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第292号「大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例案」に反対する討論を行います。 本条例改正案は、今年6月の国会で、高齢者への犠牲と負担を大幅に求める内容を中心とした医療制度改悪を、国民の多くの反対の声を押し切って無理やり成立させた結果を、そのまま大阪市の条例に反映させただけのものです。 2005年6月の介護保険法の改悪により、昨年10月から介護施設入所者の食費・居住費としての負担が大幅に増やされましたが、その際、病院の療養病床での介護保険対応病床についても同様の負担増が求められました。今回の条例改正案は、この食費・居住費としての負担増を、さらに医療保険対応の療養病床にまで拡大させるというもので、高齢者の被害を一層ひどくするものです。 具体的には、現役並み所得者と一般所得者は1日920円、月27,600円の負担増、低所得2の方で1日320円、月9,600円の負担増、低所得1の方で1日410円、月12,300円の負担増となります。 それでなくても、この間の高齢者への犠牲と負担増の押しつけは、大変ひどいものです。受け取る年金は、3年前の総選挙での「今もらっている年金は下げません」との公約に反し、大きく引き下げられています。その年金から天引きで徴収される介護保険料は、大幅に値上げされています。加えて、高齢者への税負担の大幅増加です。「老年者控除の廃止」「年金控除の縮小」「所得125万円までの高齢者の住民税非課税措置からの除外」などにより、所得税や市・府民税がこれまでの「非課税」から新たに課税されるようになったり、中には7倍・8倍の税負担になった高齢者もいます。その影響は税負担の増加にとどまらず、介護保険料や各種の公共料金の負担増にもつながっています。さらに加えて負担が重くなったのが国民健康保険料です。今年は1.5倍の負担増を上限にするとなっていますが、実態はそれ以上の負担になっている高齢者もいます。来年度以降はこの「1.5倍」を超えた額の半分が加算され、再来年度からはこの経過措置もなくなり青天井の負担増になります。 この夏、こういう負担増とこれからの不安が増大し、「電気代を節約する」ために、せっかく設置してあるクーラーのスイッチを入れずに、家の中で熱中症になって倒れる高齢者も生まれています。 こんな状況の中で、大阪市が高齢者への何の軽減策も打ち出さないで、国の改悪をそのまま条例に反映させるというだけの措置では、高齢者を一層窮地に追い込むことになります。こんな仕打ちに同意するわけにはいきません。 大阪市は、「住民の健康と福祉の増進をはかる」という自治体本来の役割を今こそ発揮し、国の悪政の防波堤となり、高齢者の負担増に歯止めをかける独自の施策を創設するなどの軽減措置を講ずるべきであります。 大規模な開発事業へのムダ使いやデタラメな同和行政へのムダ使いをやめれば、十分に財源を生み出すことができます。それどころか、同和行政の名の下に、たった一つの民間病院、芦原病院への130億円の貸付金のほんの一部を取り戻すだけで、市内すべての病院の療養病床を利用する高齢者の負担軽減が実現できます。 今まさに「高齢者福祉月間」のまっただ中にあります。これは、「誰もが、健康で安心して、個性と能力をいかした生きがいのある高齢期の生活が送ることができる、活力ある長寿社会を築いていくこと」を趣旨として実施されているものであります。18日の「敬老の日」を中心にして、各地域でさまざまに「敬老行事」が取り組まれたことと思います。 そんな最中に、高齢者の犠牲と負担を大きくするだけの条例改正を、何の軽減措置も示されないまま認めることなど、到底できるものではありません。 以上、反対討論といたします。 |