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市議団の実績

「特別職の職員の給与に関する条例の特例に関する条例の一部を改正する条例案」

に対する瀬戸議員の討論

瀬戸一正市会議員

2006年9月20日

 

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました議案第283号「特別職の職員の給与に関する条例の特例に関する条例の一部を改正する条例案」に対する討論を行います。

 関市長から提案をされた条例案は、自らの給与を10月から6ヶ月間、2分の1に減額すると言うものであります。関市長はこの処分を自らに課す理由として8月3日の記者会見で、「芦原病院にかかわる迂回融資と補助金を利用したその融資返済は極めて不適正な事務処理であり、それを行った幹部職員の責任は重大」「当時上位にあった者として、時宜を得た病院経営の把握と適切な対応の検討指示を怠ったことの責任は極めて重い」ことを上げ、さらに「この間出てきた、飛鳥に関する事項も含め、全体に対するものだ」とも述べました。

 大阪市の30数年にわたる不公正・乱脈きわまりない同和行政の象徴とも言うべき、芦原病院と飛鳥会西中島駐車場の問題等に、市長が責任を感じて自らに処分を課すことは当然でありますから、私共はこれに賛成いたします。しかし市長が説明した処分理由は、なぜ芦原病院や飛鳥会西中島のような同和行政の歪み、破綻が生じたのかについて、肝心なことには何一つ触れないものであって、これでは到底、市民の理解が得られないどころか、市民からは幕引を計るものだという厳しい声が上がっているのであります。

  肝心なこととは何か。以下、具体的に申上げます。

 まず芦原病院についてであります。市長は過去5年間の迂回融資などの不適正な事務処理についてのトップとしての監督責任を負うとしていますが、責任はそれだけではありません。あなたは環境保健保健局長当時の3年間に芦原病院への特別貸付金を15回・14億8000万円も決済していますが、返済見込みがないのになぜあなたは決済し続けたのか、部落解放同盟や「市同促」の圧力がなかったのかなどについて、今日まで一言も釈明していません。さらにあなたはこの間の委員会質疑にたいして「貸付金については、昨年の市長辞職の時に責任があることを明らかにした」と答弁しましたが、あの時点では130億円もの貸付金が帰って来なくなるとはあなたは一言も説明していません。10月の時点ではすでに民事再生つまり債権放棄が有力な選択肢として検討されていたのに、あなたはそれも明らかにしませんでした。そして今、貸付金が帰って来なくなることが明らかなっているのに、その責任逃れを策している。このようなことは断じて許せません。

 今日、市民が最も強く求めていることの一つは、芦原病院がなぜあれほどの赤字を抱えたのか、なぜ大阪市が320億円もの乱脈な公金支出を続けて来たのか、それらに部落解放同盟や歴代市長をはじめ大阪市幹部がどうかかわったのかなどの全容を解明し、ここまでに至った同和行政の歪みとその責任を徹底的に明らかにすることであります。関市長はこれについて「この間の監査委員会や調査委員会の報告で全容解明をしていただいと考えている」としていますがとんでもありません。どの報告を見ても、根底に部落解放同盟の無謀な要求と圧力があったこと、これに歴代市長がまともにものが言えずに言いなりになって来たこと、その結果、背任行為とも言える公金投入が30数年間も正されずに来たこと、こうした隠しようもない事実を認めた報告は一つもないではありませんか。

 なぜ市長は、部落解放同盟の無法やそれに言いなりになった大阪市行政の責任を明らかにせずして事実上「全容解明は終わった」としようとしているのか。そこには、大阪市政の罪状をこれ以上公表したくはないという思惑とともに、今後とも部落解放同盟との今までどうりの関係や、部落解放同盟と一体の人権協会への事業委託などは続けたいという思惑があると言わなければなりません。

 さらに、監査委員会が過去5年間の補助金40億円全体が不適正なものとしつつ、損害金としてはわずか2200万円しか認定せず、この金額のみの返還を浪速医療生協関係者に求め、関市長もまたこれを是としていることにも、市民の批判が集中しています。 5年間の補助金で言えば不正執行された40億円全部の返還を求めるべです。130億円の貸付金については市民のなかには歴代市長は私財を投げ打ってでも弁済せよという声も多数あります。貸付金についても浪速医生協関係者や歴代市長・幹部に応分の負担を求めるべきであります。

 いずれにしても、芦原病院についてこれ以上の全容解明は必要ない・しないという関市長の姿勢は、真相解明に背を向けている、事件の幕引をはかっている、市民の願いと期待を踏み付けにしていると断じざるを得ません。このような市長の姿勢は全く容認できないのであります。

 次に、部落解放同盟飛鳥支部支部長であった小西邦彦に数々の特権を与えて来た問題であります。関市長をはじめ当局は、いまだに飛鳥会との西中島駐車場契約について「契約の出発点は同和地域の高齢者の雇用対策であった。出発点は間違ってなかったがその後、時代に合わせて適宜見直しするべきものをして来なかったことに問題がある」との見解に固執していますが、これが大間違いであることは、この間の我が党議員の質疑によっていよいよ明瞭になりました。

 雇用対策であるならなぜ当初の部落解放同盟との交渉経過書類が「マル秘」扱いされて来たのか、雇用経費は当初からまったく問題にもされていないこと、収入報告書は当初から偽造されていたと考えられること等々、どこから見ても、この契約はその出発点から雇用対策などと言えるものではなく、部落解放同盟小西支部長に利権を与えるものだったことは明々白々であります。

 しかも、駐車場設置の翌年度の決算委員会で我が党の姫野議員がその疑惑を指摘したのに、当時の大島市長は小西邦彦に指一本触れませんでした。そして、我が日本共産党議員団が繰返し「暴力団員である小西邦彦とは縁を切れ。駐車場契約は打切れ」と要求し続けたのに、歴代市長はこれを無視して来ました。だからこそ、小西邦彦は西中島駐車場から得た不当利得の中から20億円も蓄財することができたし、暴力団の資金源にもして来たのであります。これらの点にまったく触れず、また明らかにもせず、関市長が「飛鳥に関する事項も含め、全体に対する責任を取った」と言っても、それは口先だけのことであります。この点でも私たちは、関市長に強く反省を求め、市長の責任でこの事件の真相を明らかにすること、そして小西邦彦に対しては断固として不当利得の返還を求めるとともに、歴代市長をはじめ幹部職員にも相応の弁済を求めるべきだと考えるものであります。

 さらに、小西邦彦へ特権を与えていた問題は西中島駐車場にとどまりません。小西邦彦が理事長をしていた「ともしび福祉会」に次々と市有地をわざわざ大阪市が購入するなどしてまで提供して来た問題、その福祉施設や同和浴場に莫大な補助金等をつぎ込んで来た問題、これらも関市長の手によってさらに全容解明されなければならない問題であります。

  以上申上げてきましたように、芦原病院の問題にしても小西邦彦容疑者の問題にしても、いずれもその全容解明は緒に就いたばかりであって、それをせずしては、関市長がその職責を果たしたことにはなりません。この9・10月議会は、今までの乱脈・不公正な本市同和行政の原因と責任を徹底的に明らかにするうえでも、さらには、法期限後も漫然と続けられて来た本市の同和行政をきっぱり見直して、市民が求める「同和行政の完全終結」という点でも、これまでにない大きな役割を担っていることは明らかであり、市民もそのことを強く期待をしています。

 我が党議員団は、重ねて関市長に一連の同和行政にかかわる不正事件について全容を解明し、その原因と責任を市民の前に明らかにするよう求めると共に、この9月・10月議会が議会としても市民の付託にこたえられるよう、全力を上げる決意を表明して、討論といたします。