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市議団の実績

芦原病院138億円債権放棄議案への渡司考一議員の反対討論

渡司考一市会議員

2006年10月13日

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました議案第275号、浪速医療生活協同組合に係る再生計画案への同意を求める案件に反対の討論を行います。

この案件は、長年にわたって部落解放同盟の要求に屈し、支出してきた芦原病院に対する貸付金等138億円の債権放棄について、議会の同意を求める市長の提案であります。

こうした事態となった責任は、当然、歴代の市長、そして市幹部にあるわけですが、このうち關市長自身が関係しているのが環境保健局長の時代で148,100万円、助役時代には29 5,300万円、そして市長になって約9億円を支出したのであり、全体の約4割にのぼる、合計約53億円については市長が直接責任をおうべき貸し付けなのであります。

これをなかった事にしてくれと言う議会への提案はまさに言語同断、市民の理解を得られない、きわめてあつかましい提案であるという事をまず最初にきびしく指摘するものであります。なお、先ほど、与党からは「市長の不信任ではない」との言及がありました。市長の出処進退にかかわる重要な態度表明だと考えます。

 以下3点にわたって反対理由を申し上げます。

 まず反対理由の第1は、芦原病院は、市民病院に準ずるような公共性があったとする大阪市の主張には道理も根拠もなく、補助金や貸付金を交付すること自体が不当な事だからであります。

 市長はじめ当局者は、芦原病院が「地域医療に貢献してきた。必要な医療機関であった」とまるでこの地域が無医村地区であったかのように装い、補助金交付や貸付の実行を正当化しようとしてきましたが、我が党議員が重ねてあきらかにしてきたように、莫大な補助金や貸し付けがはじめられた1980年当時、浪速区にはすでに5つの病院があり、他行政区にひけをとらない医療体制が存在したのであります。

 また、南港に病院をつくると、ポートタウン住民には数十年前から約束をしておきながら未だに実行していない事実や、逆に同和地域の診療所に対しては長年にわたって莫大な補助金を支出してきた実態をみると「地域住民の医療を確保」という大阪市の言い分は、結局、同和地区向けのものであり、芦原病院に対する貸付金を正当化するために持ち出した理屈にすぎない事は明らかであります。

 反対理由の第2は今、本議会に求められているのは債権放棄を認めるなどという事ではなく百条委員会を設置し徹底した真相と責任所在の解明こそが要求されているからであります。

 今まで我が党が幾度となく明らかにしてきたように、この貸付金は長期間、ヤミでおこなわれ、かつ、きわめてずさんな処理でおこなわれてきました。貸し付け契約は返済期間と金利が決められているにもかかわらず、たったの一度も守られた事はなく一円も返済が実行される事はありませんでした。同時に、返済される事が不可能である事が認識されながら、病院側の要求で次の貸し付けが実行されるという事がくりかえされました。しかも、こともあろうにそのための書類作成は市の職員が全面的におこなっていた事もあきらかになりました。

 この事は専門家も指摘しているように、市民に莫大な損害をあたえた、きわめて違法性の強い「背任行為」であります。高知県では2001年に返済の見込みのない同和系企業にヤミ融資をおこなった事が背任の罪と断定され、副知事をはじめ幹部職員が逮捕されています。芦原病院に対する貸付金は高知県のそれを金額面でもはるかに上回り、同県では一応おこなわれた貸し付けの可否を審議する審査会の存在さえ大阪市には存在しないというひどいものであります。

 同時に、当時の市長自身が決済した最初の特別貸し付け契約を含めて事実上の債務保証が少なくとも16回にわたって実施されました。そして、同和金融公社など、芦原病院が返済不能になった場合、理事長はじめ関係者が保証人となっている借入金については、大阪市特別貸付金に意図的に切り替えられ、結局、理事長らの弁済をまぬがれる仕組みがつくられていたのです。まさに組織的犯罪以外のなにものでもないといわなければなりません。

  第3に、いうまでもなく、芦原病院への債権138億円は、市民の貴重な財産、税金であり、これだけ市民に被害をあたえておきながら、これまでの同和行政に対する反省がまったく見られないからであります。

 我が党はこれまで芦原病院はじめ不公正乱脈な同和行政やめよと議会毎に繰り返し指摘をしてきました。ところが歴代市長と与党会派はまったくこうした声に耳を貸さなかったのであり、こうした態度が今日の事態をひきおこしたと言わなければなりません。

 市長は芦原病院問題について、過去5年間の補助金についての調査にもとづいて処分を発表することで、事件の幕引きをはかろうとしております。

 また、「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」の最終報告を受け、先日、同和行政見直し方針案を発表しましたが、未解決、未解明の問題は山積みであることを指摘しておきます。

 以上、浪速医療生活協同組合に対する債権放棄に反対の討論といたします。