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9・10月市会閉会本会議での 山中智子議員の反対討論 |
山中智子市会議員 2007年10月23日 |
私は、日本共産党 先の参議院選挙の結果は、やれ「受益者負担」だ、「官から民へ」だという「構造改革」路線が、「格差と貧困」を広げたことに国民が辟易し、路線の転換を願っていることを示しています。しかし、新たに発足した福田内閣は、一定の見直しポーズをとりつつも、この路線を継続するとしています。
こうしたもとで、
ところが、 そうした姿勢は、本公営、準公営の事業運営にも色濃くあらわれています。あらゆる事業において、「経営の仕組みを導入する」として、効率性の追及に血道をあげ、市民の切実な願いには背を向けながら、一方で、大型開発とその失敗には性懲りもなく公金を投入する姿です。断じて容認できません。 以下、具体的に指摘いたします。
まず、交通事業の経営形態の問題です。 市長は、この間、クルクルと表現を変えながらも、とにかく「地下鉄民営化こそ最善の道だ」と言い張っていますが、今回の質疑でも、議員だれ一人として民営化に賛成する議論はなく、むしろ、地下鉄・市バスは公営企業として運営してこそ、持続可能であり、発展性があることがいよいよ明らかになりました。 たとえば、市長が、地下鉄民営化の最大の利点として、「経営の自由度が増す」ので「多角経営」や「市民サービスの向上」などができると主張している問題です。そもそも、市内の地下鉄の駅周辺で新たな事業ができる遊休地やスペースがないことは、交通局理事者も認めるところであり、「多角経営」なんてお話になりません。また、「市民サービス」というなら、その要は、安全対策ですが、民営化したJR西日本では、利益が出ても株式配当を優先し、ATSの設置さえせず、福知山線の大惨事につながったではありませんか。民間企業にあっては安全より利益を優先されがちなのです。さらに、委員会質疑ではっきりしたように、転落防止のための可動式ホーム柵設置などの建設改良工事の補助金は、公営企業だからこそ出るものであり、民間会社には出るはずがありません。こうした制度面からみても、安全確保、市民サービスの向上のための民営化、などという、市長の言い分にはまったく根拠がないのです。 また、民営化してしまえば、事実上、新線など建設できないことも明らかになりました。市長は、4つの条例路線を建設する責任を放棄するのかというわが党委員の質問に対して、「市の財政が厳しい」「民営化しても、中之島新線のように三セク方式での建設は可能」など、まったく責任逃れの答弁をしました。 しかし、市の中心部を走る中之島新線と、8号線の延伸などの条例路線とは、よってたつ条件がまるで違うではありませんか。市民の利便性確保のためにすすめてきた市営地下鉄は、営業黒字になるまでに、四つ橋線で31年、中央線で26年かかっています。黒字になるのに長い期間を要する路線を、「民営化しても可能」などというのは、民営化したいがための詭弁でしかありません。 「市の財政が厳しい」という言い訳も、まったくおかしな話です。公営企業であれ、三セク方式であれ、新線を建設する場合の本市の一般会計の負担はほとんど変わらないではありませんか。さらにいえば、いま財政が苦しくなっているのは、阿倍野再開発事業やUSJの此花臨海土地区画整理事業の大失敗、90年代に、無茶な大型公共事業をおこない大量発行した起債の償還のためであって、このつけを市民に負わせる地下鉄民営化なんてとんでもありません。 結局、市長は、「民営化したら株式の配当が期待できる」などという関西財界の意を受けて、遮二無二、地下鉄を民営化しようとしているのです。昭和8年以来、市民の税金と利用者の料金とで、70数年かかって営々と築きあげ、2006年度には211億円もの利益をうみだすまでになった、まさに市民の貴重な財産である地下鉄を民営化し、財界の儲けの種にするなど、市民が同意するはずはありません。 いずれにしても、地下鉄は優良企業、余裕があるのであり、この利益で、今こそ、バス事業への支援策を講ずるべきです。 バスは、いま経営は厳しくても、乗り降りのしやすさ、停留所間の距離の短さなど、身近に愛される市民の足です。とりわけ、高齢者・障害者など「交通弱者」にとっては頼みの綱なのです。「赤字だ、赤字だ」とお荷物扱いし、路線も便数も減らしつづけていることは許せないのに、さらに今年度中に60台ものバスを減らすなどということは、絶対にしてはなりません。ところが、市長は、バスと地下鉄は分離して、バスはバスで徹底的に分析して独自の経営改善策をつくる、バス事業は抜本的に見直すとしています。つまり、さらなるバスの切り捨てではありませんか。 地下鉄が市バスのドル箱路線にとってかわってきたという歴史や、地下鉄の駅に乗客を運んでいるフィーダー系バス路線が赤字になっていること、また、バスと地下鉄が一体となって交通ネットワークをつくっているという現実をみても、両事業とも公営事業として運営し、地下鉄からバスへの援助に踏み出すべきだと強く申し上げておきます。
次に水道事業についてです。 本市の水利権は267 万トンなのにたいして、水の需要は減りつづけて、昨年度の1日の給水量は平均130 万トン、最大でも1日150 万トンと、毎日毎日、100万トン以上の水が余っています。この過大な水利権の取得にともなう琵琶湖総合開発の負担金を、毎年数十億円、総額1000億円も、市民の税金と水道料金とで払いつづけていることが、いかに無駄であるか、いよいよはっきりしました。日本共産党市会議員団の、長年にわたる、再三に及ぶ「過大な水利権を見直し、一定量の処分を」という求めを拒否しつづけてきたことへの真剣な反省が求められています。 ところが、反省するどころか、この「水余り状態」に困った水道局は、いま、「大口利用者の節水傾向が需要低下の要因。大口利用者の利用を増やしたい」として、大口利用者の単価を下げ、結果として一般家庭の水道料を上げる料金改訂を検討していることが明らかになりました。循環型社会にあって、水需要の減少は時代の趨勢です。過大な水利権にしがみつき、たくさん水を売りたいために、企業など大口利用者には値下げし、一般家庭には値上げをおこなうなど、とんでもありません。
給配水に関わるマンションへの支援も大きな問題です。
しかし、セキュリティ確保のため採用するマンションが増えている、集中検針盤による中央管理方式でデジタル化された水道メーターは対象にならないなど、課題は山積しています。マンション居住者の負担を軽減し、安全で良質な水を蛇口まで供給する水道局の責任を果たすため、より本格的な補助制度を検討するべきだという指摘に、いっさい意をはらおうとしなかったのです。
次に、中央卸売市場の問題です。
中央卸売市場の仲卸業者の多くは、市場外流通の増加や改正市場法の適用などにより、深刻な経営状態がつづき、ここ数年、約半数が赤字経営となっています。「借金を重ねて店舗の使用料を払う末期的症状だ」「親の年金を全部使用料にあてている」「取引先の銀行から家を売って楽になれば、と言われた」など、業者の口から聞こえる悲鳴は一刻も放置できないことを示しています。実際に家を処分して市場で寝泊まりする業者、行き詰まって市場のなかで自らの命を絶った方もおられるのです。とくに本場は、バブル期に計画された建て替えによって使用料が数倍になった業者もあり、使用料の見直しを願う声が大多数になっています。
ところが、
さて、今回の質疑を通じて、巨大開発の破綻と矛盾がいっそう鮮明になりました。 第一に、夢洲開発や北港テクノポート線建設の問題です。 いまや、夢洲での「4万5000人の街づくり計画」の破綻は明らかであり、「北港テクノポート線」など、まったく必要ないことははっきりしています。この際、きっぱりと「北港テクノポート線」の建設は、中止・撤回を表明するべきだと質したのに対し、市長は、地下鉄建設とはなんの関係もない「大水深コンテナバースの建設」や「中国との貿易の活発化」などをあげ、「北港テクノポート線」建設中止を表明しませんでした。需要見通しの説明もできない無駄な大型開発に固執する、度し難い姿勢といわなければなりません。 また、過日、夢洲トンネルの海底部分の沈埋工事がほぼ完成し、咲洲と夢洲がつながりました。地下鉄のインフラである、真ん中の二車線は使用のメドがないことは言うまでもありませんが、両側の道路往復四車線にしても、コンテナを積んだトラックが通るだけで、市民の利用は皆無といってよいでしょう。この工事費がなんと1300億円、うち市の負担は600 億円、今後、起債償還が市民の肩にのしかかってくるのです。言語道断です。
第二に、オスカードリームの破綻処理についてです。 交通局は、資産の有効活用などといって、本来、自治体が手を出すべきでない土地信託事業に手を出した結果、すでにフェスティバルゲートが破綻し、200 億円もの借金を負担したうえ、市民の貴重な財産を失いました。調停での破綻処理策は、信託銀行にはあくまで有利、交通局には不利だったのです。 味をしめたかのように、いま、オスカードリームについて、信託銀行は、この事業で275 億円もの借金をつくりながら、信託契約を踏みにじって途中解約するとともに、275 億円を交通局に請求し、それを交通局が拒否したからといって調停に及ぶというとんでもないことをしています。信託法、信託契約に照らして断じて認められない話です。ところが、交通局は、これまでに得るはずだった信託配当36億円を請求するという筋違いな調停を申し立てているのです。 オスカードリームの信託契約書は、その第4条「土地信託の目標」で、「交通事業経営の安定に資する」と明確にうたっています。わが党委員が、この条項に依拠して、密室の調停ではなく、市民の目に見える裁判で、堂々と信託銀行側の責任を追及するべきだ、と質しましたが、理事者は「受託銀行が調停を申し立ててきたため、同一手続きのなかで問題の解決をはかる」などと、まったく見当ちがいの答弁に終始しました。フェスティバルゲートの二の舞になりかねないことに、なんら痛みも責任も感じない態度だといわなければなりません。
第三に、WTCが、二次破綻の危機に直面している問題です。
わが党は、これまで一貫して、WTCの特定調停の事業計画は、
もし、そうなれば、 また、その際の損失補償額は、2006年度末の銀行借入残高は527 億円ですから、WTCの土地建物が仮に、簿価の168 億円で売れたとしても、359 億円の巨額にのぼります。従って、本市のこうむる損失は、合計、なんと644 億円にもなるのです。こんなこと、市民が許すはずがありません。 わが党委員は、銀行にたいしてさらなる債権放棄を求めよと迫りましたが、市長は「市民の負担を最小限にする」というだけで、どうすれば負担が小さくなるかということは、何ひとつ答えることができなかったばかりか、市民に新たな損害を与えることを認めたのです。 3年前の特定調停の際の議論を思い起こしていただきたい。市長は「決して、二次破綻を起こさせないよう、会社の再建に全力で取り組んでまいります」と繰り返し言明し、自らが、損失補償までしたではありませんか。いま、市財政にまたもや巨額の負担を負わせようとしている責任もとらず、市長でありつづけようとするなど、厚かましいにもほどがあると、申し上げて、以上反対討論といたします。
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