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市議団の実績

大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例(案)」

井上議員の提案説明

井上浩市会議員

2007年10月23日

私は日本共産党大阪市会議員団を代表しまして、ただいま上程されました議員提出議案第25号、「大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例(案)」について、その内容と提案理由の説明をいたします。

内容についてであります。

これは、高すぎる国民健康保険料を引き下げるために、一般会計から国保会計に繰り入れを増やして、被保険者一人あたり年額1万円の保険料減額をおこなうというものであります。

 次に提案理由の説明であります。

高すぎて、払いたくても払いきれない国保料、非情な保険証取り上げなど、全国2539万世帯の国保加入者が悲鳴をあげています。2006年時点で国保料滞納者は480万世帯、国保証取り上げが35万世帯をこえ、さらに、保険証が無いという理由で受診が遅れ、悪化、死亡したという人が2005年以降、わかっているだけでも全国で29人にものぼっているということであります。国保法第一条には「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」とうたっています。住民に医療を保障するための制度であるにもかかわらず、逆に社会的弱者を医療から排除する事態に追い込んでいるのであります。

このような国保制度に後退させたのは、国が国庫負担率を45%から38.5%に引き下げたことに加えて、国保法の改悪で資格証交付を促進したことなどによるものであります。この間の自民・公明政権の押し進めた「構造改革」路線が貧困と格差を拡大し、さらに、事態を深刻なものにさせてきた原因であることは、まぎれもない事実です。本市の国民健康保険は、国庫補助率の激減で国保財政が悪化し、保険料の引き上げ、滞納世帯の増加という流れが止まらず、その結果、収納率の低下を招き、国の交付金がペナルティ減額されるという悪循環を続けています。収納率は、2000年度の87,8%から2006年度の84,3%へ3,5%低下、さらに滞納世帯は1.4倍に、資格証交付4.5倍、短期証は1.6倍と増加しているのであります。まさに、危機的状況と言わざるを得ません。サラ金の取り立てまがいの「国民健康保険料滞納整理マニュアル」などを使っての徴収嘱託職員制度や短期証、資格証などの交付で強引な徴収をおこなっても、収納率は低下し続け、滞納世帯や資格証交付世帯は増加の一途であります。悪循環を断ち切り、健全な国保事業に改善するには、高すぎる国保料を引き下げる以外にないということは明らかであります。

本市の国保加入世帯は、例えば、65才未満の二人世帯で、所得150万円の場合、所得の15,7%もの高額な保険料になります。この状態では、本市が言うような適正な国保料とは、とうてい言えません。それだけに、被保険者一人あたり年額一万円の国保料引き下げは、喫緊の課題となっているわけであります。

市民から「毎年6月が来ると憂鬱になる。市民税と国保料の通知が来るからです。国保料が、平成17年度は1ヶ月5520円、平成18年度は9079円、平成19年度は14200円。これこそウナギのぼりの値上げです。生きていくのが大変だ。」と怒りの声が寄せられています。だからこそ、6月半ばから7月にかけて区役所には、怒りと抗議で20万人をこえる市民が押し寄せたのであります。また、ある行政区では、医師会あげて請願署名をとりくみ、医師会加盟の74院所から3000筆に近い請願署名が寄せられるなど、幅広い市民の多数の切実な声となっています。本市議会にも、その請願署名の一部が届けられたのです。いかに、市民の要望が強いのかと言うことです。本市も、切実な市民の声を真摯に受け止めるべきであります。

本市の一般会計からの繰り入れは、財政規模からすれば、増額することは充分に可能であります。当局は、「一般会計からの繰り入れは限界に達している」と言っています。しかし、市独自の繰り入は、2002年度と2007年度を比べると54億2千万円も減額しているのであり、「繰り入れは限界だから、もう増額できない」という本市の論拠はなりたたないのであります。人の住まない夢洲や舞洲の開発、北港テクノポート線建設計画など、ムダで見通しのない開発を見直せば、財源は充分に確保できます。被保険者一人あたり年額一万円の国保料軽減で、市民の命と健康を守る国保事業に改善、安定させる第一歩にするべきであります。

 私は最後に、国や本市が「受益と負担の公平性」を理由に資格証の交付を強行していることに憤りを禁じ得ません。「受益と負担の公平性」を言うならば、国保事業を危機に追いやった元凶である国庫負担減額を国の責任で元に戻させるべきであります。また、本市も国保法の原点に立って、被保険者の生存権を保障するために、条例に定める「特別な理由」を援用して資格証交付を直ちに中止し、いつでも、どこでも、だれでも必要かつ十分な医療を受けることができるようするべきであります。それこそが、自治体としての責務ではありませんか。

 私は、国保制度、国保財政を健全に発展させるために、本市が、国に国庫補助率を元に戻すように求めるとともに、本市独自で一般会計からの繰り入れを増額して保険料を引き下げるべきだと重ねて申し上げ、議員各位のご賛同をお願いして本条例提案の説明を終わります。