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市議団の実績

ムダな大型開発、不公正な同和事業を続け、

財政破綻のツケを市民に押し付ける大阪市

 清水ただし議員が、決算反対の討論

清水忠史市会議員

2008年1月30日

 1月30日、大阪市会閉会本会議がひらかれ、日本共産党市議団を代表して清水ただし議員が、2006年度大阪市一般決算の認定に反対する討論をおこないました。

 自民・公明・民主は、決算認定に賛成しました。 

<清水議員の討論全文>

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2006年度大阪市一般会計等決算認定に反対の討論を行います。

 なぜ、決算認定に反対なのか。それは、あいつぐ三セク破綻やレールを敷くあてもない北港テクノポート線建設など、市民にとってまったくムダな、大型開発に巨費を投ずると同時に、差別解消に逆行する同和特別扱いを、地対財特法期限後もなお続けて、企業会計を除く公債残高が2006年度末3兆4461億円にも達するなど、本市財政をかつてなくきびしい状況に至らしめているからであります。

 しかも、その財政破綻のツケを、市民に押し付け、くらし・営業を圧迫しているのであります。断じて、認めることはできません。以下、具体に指摘したいと思います。

 まず、第一は、市民のくらしを守るどころか、逆に重い負担をかけ、さらに、市民サービスを低下させているからであります。

 2006年度も、国保料の賦課方式の変更や介護保険料の値上げに続いて、生活保護世帯への上下水道料金減免制度や交通費割引制度の廃止、粗大ゴミの有料化からトモノス・児童館の廃止まで強行いたしました。その上、40年もの歴史をもち、年200回もの演奏活動を行って、本市消防事業への貢献はもちろんのこと、広く市民に親しまれてきた消防音楽隊まで廃止したのであります。市民の強い批判が寄せられたのも当然だと思います。

 今回の決算質疑を通じても、このような市民不在、市民に冷たい当局の姿勢が浮き彫りになりました。

 とうに支払いの限界を超えている国民健康保険料が、毎年のように値上げをされて、そして、市民・中小業者にとっては、なお厳しい経済状況が続くこととも相まって、やむをえず滞納する世帯が増えていることは周知のことであります。

 ところが、健康福祉局は、わが党委員が指摘したように、一般会計からの繰入金をピーク時からすると、54億円も減らして、国保料の軽減努力を怠っているうえに、滞納世帯からは、容赦なく保険証を取り上げ、かつ、短期保険証を押し付けているのであります。

 特に、問題なのは、この保険証の取り上げである資格証の発行が、9300件にも達しているにもかかわらず、その内、病院でいったん10割払ってのち、7割の払い戻しを受けた件数がわずか年143件しかないという点であります。お子達もおりましょうに、大半、医者にもかかっていないのであります。

 いったい、当局は、特別な事情があるか、ないか、調べたんですか。ろくに調べもしないで、このような、血も涙もない仕打ちをする、言語道断であります。

 また、子育て支援の重要な一環である妊婦健診の公費負担の回数が、大阪市はたったの2回で、厚生労働省がのぞましいとする14回からは、大きく立ち遅れていることが、明らかになりました。

 この問題の重要性に鑑みて、わが党委員の、一気に14回にまで拡充すべきとの求めに対して、当局は、「少子化対策の総合的な施策の推進を図る中で・・・本市のおかれている財政的状況等を勘案しながら検討したい」などと消極的な態度に終始したのであります。

また、私が取り上げました知的障害養護学校のスクールバスの増車や教室不足の問題でも、同様の答弁でありました。

 私は、この知的障害養護学校の一つ、生野養護学校に出向いて、スクールバスの運行状況等つぶさに見てまいりました。知的障害をもつ子どもが大きく増えているにもかかわらず、それに見合う教育条件、教育環境整備拡充がなされていないのであります。

 本来、他傷行為や発作をおこす可能性のある子どもたちを送迎するために、一定の余裕シートが必要であるにもかかわらず、ほぼ、満杯の状態でありました。同時に、停留箇所が多いために、最初に乗った子どもなどは、学校に到着するまで、1時間半もかかるのであります。小型バスの配置も含め、バスの増車を改めて強く求めておくものであります。

 また、今回のわが党委員の質疑を通じて、救急車の患者の搬送時間が、20分を超えるケースが増加しており、その要因として、2005年93ヶ所あった市内第二次救急病院が、2007年には87ヶ所に減少するなど、救急医療体制が大きく後退していることが明らかになりました。

 医師不足はまさに深刻でありまして、市大医学部の定員枠の拡大はじめ、国に対して医師不足の解消に向けた緊急かつ抜本的な措置を講ずるよう、強く求めるべきであります。

 さて、中学校給食についてであります。

 今回の、わが党委員の質疑を通じて、学校給食の根拠法である学校給食法が、1954年に制定された時、小学校給食のみをうたっていたものが、2年後の1956年に改定された際に、中学校給食も合わせて盛り込まれたこと、まさに、小学校給食とならんで、中学校給食もその時点から義務になったことが明らかになりました。

 同時に国は、当然、中学校給食をしているものとして、他都市と同様の基準で、本市には、5万5千人の生徒に見合う、12億円余りが基準財政需要額に積み上げられる、つまり、交付税措置されていたことも明らかになりました。

 したがって、どこから考えても、大阪市は、中学校給食に踏み出すべきなのであります。ところが、頑迷にも、教育委員会は、公費は入れず、家庭からの弁当と業者の弁当による中学校昼食を実施すると言い張っているのであります。

 しかも、現在実施中の12校については、これまで通り、厨房や食堂を活用して、給食調理員と業者が入れ替わる違い程度の日替わり定食を提供し、費用負担も、就学援助制度の適用外であるにもかかわらず、就援受給者・生保受給者からは求めないことを検討しているのでありまして、まさに、差別の固定化につながるものであります。言語道断と言わなくてはなりません。

 第二に指摘したいのは、相変わらず、ムダな開発に巨費を投ずる一方、学校施設整備や公園整備など、くらしに密着した公共投資は、

大幅に削減している点であります。

 2006年度も、夢洲トンネルの建設に38億円、北港テクノポート線に63億円、大水深コンテナ埠頭に10億円が執行されると同時に、阿倍野再開発の赤字穴埋めに48億円が支出されているのであります。その一方で、市営住宅の建設が、前年比マイナス84億円、学校整備補修でマイナス10億円、浸水対策マイナス72億円、身近な公園整備マイナス14億円などとなっているのであります。到底認めることはできません。

 特に、今回の質疑を通じて、夢洲を舞台に進めているスーパー中枢港湾づくりが、いかに不必要で、しかも、本市財政を圧迫することになるか、明らかになった点であります。

 これまで、港湾局は、5万tを超える大型のコンテナ船の入港増に対処するとして、240億円もの巨費を投じて、大水深高規格のコンテナ埠頭・夢洲C10を建設してまいりました。

ところが、岸壁等が完成して、5年も6年もたつのに、ここに接岸している船は、年たったの89隻、週にして2便にもなりません。しかも、南港のC4などの、既設のコンテナ埠頭から、1万t内外の比較的小型の船が移ってきただけなのであります。

要するに、そのような需要などなかったのであります。その証拠に、ここ10年ほどの大阪港入港船舶の推移を見ても、対中国等の貿易の増大と相まって、1万t未満の小型の船舶が増えているのでありまして、これが、入港する外貿コンテナ船の大半を占めていて、南港のR岸壁、C6、C7、C9などの公共埠頭に、何の支障もなく接岸しているのであります。

また、港湾局が、どんどん増えると吹聴してきた5万tを超える大型コンテナ船は、南港のC1、C2、夢洲のC11の、大阪港埠頭公社が建設した特定の船会社のいわゆる専用埠頭に、ハンジンが週2便、ジムが1便、エバーグリーンが4便の計7便が、北米やヨーロッパなどの基幹航路の一環として、就航しているのみであり、もうこれ以上大きなコンテナ埠頭は必要ありません。

ところが今度は、国際競争力を強めるなどとして、220億円もの巨費を要する大水深コンテナ埠頭C12を、国直轄事業として建設しようとしているのであります。同時に、真ん中のC11を埠頭公社から買い取って、この夢洲の三つの埠頭を国有化した上、コンテナ積み下ろしの時間短縮とコスト削減をうたい文句に、この一体使用をはかると共に、岸壁使用料は徴収しないとしているのであります。

 しかも、ガラガラ状態の夢洲の岸壁をうめるために、R岸壁、C6、C7のコンテナ機能を廃止して、ここに入っているのべ2000隻の小型の船を、つじつまあわせのために、無理やり持っていこうとしているのであります。とんだスーパー中枢港湾があったものだと言わなくてはなりません。

 今、ただでさえ、夢洲トンネルや北港テクノポート線建設、夢洲土地造成事業などの起債元利償還が増高して、市税の持ち出しが増えているのであります。その上、このようなスーパー中枢港湾づくりが強行されようものなら、大阪市は、莫大な投資を強いられながら、逆に、使用料収入は、大幅に減少する、まさに、ふんだりけったり。さらに財政を大きく圧迫することは疑いありません。

 ところが、市長は、わが党委員の抜本的な見直しの求めに対して、ただ、港湾局の言い分をうのみにして、埠頭の整備を着実に進めると答弁したのであります。言語道断であります。

 このように、市民にとってムダな開発は推進しながら、私の求めた、小中学校普通教室への空調設備の設置については、費用対効果がどうのこうのと言って、きわめて消極的な態度に終始いたしました。

 だいたい、教育環境をよくするのに、費用対効果もないでしょう。市長は、校庭の芝生化や西日よけのカーテンなどの検討を口にされましたが、安上がりなので、これでお茶をにごそうとするつもりですか。とんでもありません。東京都では、すでに、ほとんどの普通教室に空調が設置されています。大阪市の子どもに、がまんくらべをさせるつもりなのですか。

 大阪の夏が、全国一暑く、どうにもならないことは、今更、言うまでもありません。ともかく、2010年度には、特別教室への設置が完了いたします。この前倒しも含めて、ただちに普通教室への設置計画を立案し、できるだけ早期に、大阪の子どもたちに、良好な教育環境を提供すべきであります。改めて、強く求めておきたいと思います。

 さて、第三は、今なお、人権の名による同和行政が続けられている点であります。

 これまでの、本市同和事業、同和行政というものが、いかに、解同すなわち市同促・人権協会言いなりで、主体性を欠いた乱脈きわまりないものであったか、これは、論を待たないところであります。

 そして、その一つが、必要もないのに、しかも、法外な金額で買収させられて、長い間、ほったらかしにしてきた、いわゆる同和未利用地であります。

 これが、今回、なお、227ヶ所、19万uも残されていることが明らかになりました。そして、この内、92ヶ所、8万3千uもの土地が、いまだに事業予定地とされているのであります。しかし、この中には、国の補助金を得て買収したものや、土地開発公社長期保有の、利子が積みあがって、大変な簿価になっているものなど、おいそれと売却もできない、もうニッチもサッチもいかない土地が大半であることも、明らかになったのであります。

 都市整備局が保有する45ヶ所、4万uもの土地は、住宅地区改良事業などで国から3分の2の補助金を得て買収した後、精査の上、事業の必要性がなくなったとされているもので、今売却しても、大半、返すべき補助金にも満たない対価しか得られないのであります。

 また、わが党委員が指摘した浪速区浪速東3丁目、健康福祉局が土地開発公社に代行取得を依頼した2330uの土地は、2006年度当初の簿価が、48億1400万円、坪あたり689万円にもなっているのであります。

 また、同じく、大国町2丁目の911uの土地は、34億2100万円、坪あたり、実に1237万円にも達しているのでありまして、健康福祉局は、これら、当分の間、必要もなく、更に利子が積みあがるにもかかわらず、今だに事業予定地とせざるをえないのであります。

 また、長い間、芦原病院に無償で貸与された上、現在、浪速生野病院に駐車場用地として、年330万円の賃料で提供されている1051uの土地について、保有者たる土地開発公社が、毎年3300万円の銀行利子を支払って、借り換えを継続しているにもかかわらず、健康福祉局は、わずか330万円の賃料は適正だと居直ったのであります。全く反省の色が見られません。

 さらには、中期の売却予定となっている、元々、芦原病院の駐車場用地として買収してきた、浪速東2丁目の685uの土地は、簿価が31億5300万円、坪あたり1518万円に達しているために、仮に路線価の1.3倍で売却したとしても、1億1千万円余りにしかならず、30億円もの売却損が生ずるのであります。

 すべからく、こんな調子でありますが、このような、とんでもない状況をつくりだした元凶が、解同すなわち市同促・人権協会であることが、明らかであるにもかかわらず、今なお、この人権協会職員、205名分の給料を保障しているばかりか、なんと、大阪府の人権協会の分担金と称して、570万円、ずーと、払い続けているのであります。とても、市民の理解は得られません。

 しかも、浪速区久保吉にある大阪人権センターの敷地、4302u、1300坪、年1800万円の賃料を徴収すべきところ、長きにわたり、無償で貸与し続けているのであります。

 たとえ、府の建物とはいえ、入っているのが、解同府連、解同中央本部大阪事務所、解放新聞社に解放出版社、部落解放人権研究所、こういった団体ばかりではありませんか。何の公益性もありません。正規の賃料をキッチリ徴収するよう改めて強く求め、以上、反対討論といたします。