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安達義孝議員の予算原案に反対する討論 |
安達義孝市会議員 2008年3月28日 |
3月28日の大阪市議会閉会本会議で、安達義孝議員が予算原案に反対する討論をおこないました。以下はその全文です。
私は日本共産党 今、市民の暮らしは、庶民増税に続く医療制度など社会保障制度の大改悪と非正規雇用の拡大によって一層厳しいものとなり、貧困と格差が広がっています。こうした中で大阪市に求められているのは、国の悪政に反対するとともに、「住民の福祉の増進」という地方自治の原点に立ち返り、市民の暮らしをまもるためにあらゆる手を尽くすことであります。 ところが、平松市長が提案した予算原案は、関前市長の市政マニフェストを ほとんどそのまま踏襲して、国保料を値上げし、就学援助の予算は削る一方で、スーパー中枢港湾や淀川左岸線2期工事などムダで環境破壊の大型開発は優先し、同和事業の終結にも背を向けるものであることが、この間の質疑を通じて明白になりました。こんな予算案は、昨年の市長選挙での市民の期待を裏切るものと言わなければならず、到底認めることはできません。 以下、具体的に指摘します。
第一は、市民にいっそうの負担を押し付け、福祉や暮らし、教育を後退させるものとなっているからであります。 まず、国保料の引き上げについてであります。 来年度予算案では、一般会計からの繰り入れを44億円も減らしながら国保料を1.2%値上げするという内容になっています。こんなことは到底認められません。 今回、負担増となる階層は、3万円引き上げられ59万円となる最高限度額に達する層と、所得100万円までの低所得層であります。とりわけ、この間の税制改悪と保険料賦課方式の変更の影響を受け、来年度も自動的に大幅な引き上げとなる高齢者や低所得層にとっては深刻です。そこに更に1.2%引き上げの追い討ちをかけるとは、血も涙もない仕打ちであります。 今回の引き上げを中止するために必要な予算はわずか9億円です。そして一般会計からの繰り入れ減額した44億円全額を、元に戻すならば、一人平均額で5000円以上の引き下げが可能になります。いま大阪市がとるべき道はこの方向でなければならないのであります。 又、就学援助制度も同様であります。教育委員会は、「補助金に関するガイドライン」を持ち出し、「使途目的を明確にする」という理由で、就学援助金の学用品費・通学用品費の適用範囲を学校徴収金だけに狭め、保護者に支給してきた就学援助金を2億8100万円も減らそうとしています。これは小学校1年生の学用品・通学用品費で言えば半額に減らされることになるのであります。 こんな改悪は断じて許せません。 また、市長の公約した中学校給食も大きく後退いたしました。来年度から12校で実施されてきた中学校給食は廃止されると同時に、弁当持参と業者弁当販売の中学校昼食を3年かけて全校で実施するというのであります。市長は、学校給食法に基づく中学校給食をしたいという思いに変わりはないなどとしておりますが、わずか100万円の調査費をつけただけで、いったいいつになったら移行するのか、まったくその保障はありません。
次に少人数学級の問題であります。大阪府の施策として小学校1,2年生で実施している35人学級は、本市でも「個々の児童への支援のために少人数学級編成は絶対に必要である」との学校からの研究報告書が出され、多くの保護者からも好意的に受け入れられています。ところが さて、国が昨年12月に公営住宅の政令月収を大幅に改悪した問題であります。委員会質疑を通じて、入居収入基準が月額20万円から15万8千円に下げられたために、今まで申込みできていた人のうち約5%が申込みできなくなり、市営住宅の入居者のうち約12%が年額6万円もの家賃値上げになること、施行から5年が経てば入居者の5%が退去を迫られることが明らかになりました。政令月収の改悪は、低所得者の市営住宅の居住権を奪うとんでもない制度改悪であり、国に撤回を求めなければなりません。ところが都市整備局は国言いなりで、これに従うのみだという姿勢に終始したのであります。 また問題なのは、本市非正規職員が増加していることであります。派遣やパートなど非正規雇用が急速に広がっていることが社会問題になっていますが、公務の職場でも非正規職員が増加しており、本市も例外ではありません。 とりわけ、公立保育所では、非正規職員が職員数の4〜5割を占めています。 正規職員と全く同じ仕事をしながら、10年働いても月14万3000円の賃金にすぎない臨時任用職員をはじめ、産休・育休代替要員の日額臨時任用職員、非常勤職員、パート職員など、さまざまな形態の非正規職員が増えている保育現場の深刻な実態を私が示し、正規職員への道を開くように求めたのに対し、理事者は「必要に応じて臨時任用職員などで対応している」などと開き直り正規職員への道を開くことを拒否したのであります。 また、成果主義賃金制度を拡大しようとしている問題です。この間、「マニフェスト」に基づく急激な職員削減にともなう労働強化とあわせ、「成果主義」の導入で中間管理職に矛盾が集中し、係長級などは早期退職が定年退職を上回わっています。また、職員の精神疾患による休職も2002年の91人から2006年には226人へと急増しています。私が、勤務実績に基づく昇給は職員のモチベーションを高めるためとされていることについて、総務局が実施した職員へのアンケートでも、「チームワークが乱れる」「公務になじまない」など反対の声が多いことを紹介し、こうした現場の声に耳を傾けるよう、市長に求めたのにたいし、市長は、時代遅れの成果主義にしがみつく態度を表明したのであります。
第二は、安全で安心な街づくりが不十分だからであります。 まず、公園整備についてであります。公園整備予算は2002年度に47億円であったものが2008年度予算では24億円と半分に、また公園の用地取得予算にいたっては来年度は今年度の3分の1のわずか8億円に、激減しています。我が党議員の質疑で、福島区海老江1丁目公園の予定地は6年も前に先行取得されたのにまったく放置された上、これから一般会計で買戻しに9年もかかることも明らかになりました。言うまでもなく本市の市民一人当たりの公園等の面積は政令市中最下位の4.1uであり、「緑の基本計画」では21世紀中葉に7uにすることをめざしています。しかしこんなに予算を減らしていてはとうてい目標は達成できないではありませんか。猛省を求めておきます。 又、委員会審議を通じて、木造密集市街地整備が大きく立ち遅れていることが明らかになりました。上町断層直下型地震を想定し震災や大火に強い街づくりをすすめるために、来年度予算には老朽木造住宅緊急除却事業や主要生活道路不燃化促進事業が盛り込まれています。これらは「上町台地の東南部を主とする1300haの優先地区」に限定された施策であります。ところが市内には、消防車が入ることができない「消防密集地区」が85ヶ所2800haもあります。この地区にも防災街づくりメニューを広げるよう我が党委員が求めたのに対して、都市整備局は「当面、優先地区のみで施策を行う」と答弁しましたが、これでは消防密集地区の解消のめどがまったくつかないではありませんか。全市に広げるべきであります。 また、水道事業における過大な水利権についてであります。 周知のように、本市水需要は1970年度の1日平均給水量189万トンをピークに2006年度130万トンと減り続けてまいりまして、水利権日量268万トンとの乖離幅は実に138万トンにものぼるのであります。国交省の言う利水安全度0.78で割り戻しても166万トンにしかならず、少なく見積もっても差し引き102万トンがムダなのであります。わが党はこの余分な水利権を他に譲渡するよう一貫して求めてきましたが、水道局は「大阪は湾岸部を中心に発展する。2005年の一日最大給水量は243万トンと予測している」としてこれを拒否し続けてきました。しかしこの予測数値がいかにデタラメなものであったかは、2005年はわずか152万トンにしかならなかったことで明瞭であります。
今回、三重県青蓮寺ダムの本市所有水利権の譲渡問題が浮上しました。青蓮寺ダムに近接する川上ダムの工事中止を図ろうとする淀川水系流域委員会から、唯一残った利水者たる伊賀市への譲渡の打診があったのですが、水道局ははなから聞く耳を持たなかったのであります。水道局は渇水時には利用価値があるとか、伊賀市は譲渡を求めていないとか、色々言い訳をいたしておりますが、渇水時には例え余分に水利権を持っているからといって、
第三に、大型開発の税金無駄使いは見直さずに推進し、その失敗には公金をつぎ込もうとしているからであります。 まず、夢洲での大水深コンテナバース建設計画についてであります。 我が党議員の委員会質疑によって、新たな夢洲での大水深コンテナバース建設はまったく必要ないということがあらためて明らかになりました。 2005年12月の港湾局の答弁では、「2005年から2009年にかけて大型船が増加し、大型化への対応の必要性が増す」と述べていました。しかし実際の経過は、2000年に比べ2006年の5万トン以上の大型船の入港実績は、26隻も減少しています。さらに2007年は、11月までの実績で2006年実績比82.7%にとどまっているのであります。
つまり、大型船時代の到来という港湾局の見方は大きく外れたのであり、これ以上の大水深バースの建設は中止すべきだとの我が党委員の指摘に対して、港湾局は、「岸壁は50年、100年と使うものであり、目の前の数年のことだけではない」と答弁しました。今、行財政改革の名の下に、たった9億円をケチって国保料を値上げしようとしている、その同じ また、委員会質疑を通じて、淀川左岸線2期事業と延伸部計画の問題点が浮き彫りになりました。淀川水系流域委員会が淀川の中津付近の芦原や堤防周辺を、第一級の保護すべき自然地区だと指摘しているのであります。この淀川河畔と堤防の貴重な自然が淀川左岸線2期事業によって破壊されることは断じて許すことができません。 さらに、左岸線が北区豊崎までしか建設されない場合には、2期区間の交通量が当初計画の60%・一日2万7700台にしかならないと阪神高速が予測していることが明らかになりました。そんな少ない台数なら高速道路なんて必要ないではありませんか。当初の左岸線2期の予測交通量は、延伸部10kmを経て門真につなげて計算されています。しかしその延伸部は実現性がはなはだ疑問視されているのであります。延伸部は交通量見込みが4万台しかないのに4000億円以上もかかるし、地域高規格道路ですからいずれ大阪市に巨額の負担が求められることは避けられません。巨額の無駄使い、巨額の負担となる左岸線延伸部は建設すべきではありません。そして左岸線2期区間もまたまったく不必要な高速道路といわなければなりません。大阪市として事業を中止すべきであります。 続いて、WTCの問題であります。市長が委嘱した再建検討委員会から、中間まとめとして4つの再建策と6つの処理案が出されました。一部の議員から港湾局埋立会計でWTCを買えばいいじゃないかと言わんばかりの議論がなされ、港湾局長が2004年特定調停の際の「今後一切の公金支出はしない」との付帯決議は、「会社の経営支援のみを目的とするような補助金、或いは出資といった類のものと認識している」と答弁しました。とんでもない議論であります。 どんな言いわけをしようとも、WTCの二次破綻に際して、公金の投入は一切許されないのであります。そのためにも、特定調停そのものや、銀行借金残にたいする損失補償そのものが問題にされなければなりません。
そもそも特定調停において、本市と本市関連団体が入居し続けて家賃を払い、その家賃を主な原資として銀行借金を返済する、借金が返済できなくなれば残りはすべてWTCに変わって
最後に、市民が求めている同和行政の完全終結に背を向けているからであります。 わが党議員の追及で、旧同和浴場をめぐり、いまだに特別扱いをしている実態が明らかになりました。11箇所ある浴場に対して、長年、固定資産税を免除しながら、最近になって若干の徴収をおこなったものの、大部分は、督促すらおこなってこなかったのであります。一般納税者に対しては、市税事務所の職員一人あたり1ヶ月3件などと、差し押さえ件数の目標まで設定して、徴税競争にかりたてる一方で、同和には課税・徴収もまともにしない、これほどひどい特別扱いはないではありませんか。 また、いまなお放置されている広大な未利用地についてであります。 未利用地のなかでも同和行政にかかわるものは、「買えるところは買うとけという流れがあったことは事実」などと解同幹部自身が語っているように、明確な目的もなく、解同の言うままに買い取りを重ねたことはすでに明白です。今回、わが党議員の追及で、205ヶ所の同和未利用地の中で、売却されたものは、昨年6月以降、わずか1件にしかすぎないことが明らかになりました。 これでは、同和問題の解決が遅れるばかりであると言わなければなりません。
以上をもって予算組み換え動議に賛成、予算原案に反対の討論といたします。
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