title


市議団の実績

長谷正子議員が開会本会議で

国保補正予算案「修正動議」

長谷正子市会議員

2008年5月22日

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第193号「平成20年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算案」の修正を求める動議について、ご説明をいたします。

修正動議の内容は、「2007年度の国民健康保険事業会計への2008年度歳入からの繰り上げ充用の財源、388億円の全額について、国庫補助金を充てるよう修正する」というものです。市長案では、繰り上げ充用の財源について、半額の194億円は2008年度の滞納保険料収納分を充て、残りの半額を国庫補助金に求めています。わが党は、滞納保険料収納分については、国保料の支払いに苦しむ市民の今後の保険料軽減に充てるのが当然だと考え、この修正案によって国保加入者一人につき少なくとも1万円の国保料減額を実現しようとするものです。

以下、その根拠および理由について申し述べます。

 

第一には、国民健康保険法では、その第一条において「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障および国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定め、第四条では、「国は、国民健康保険事業の運営が健全におこなわれるようにつとめなければならない」と国の責務を明確に定めています。

つまり、「だれもが払える国保料」にすることを国に義務付けているのです。

 

第二に、保険料の大幅な引き上げについてです。本市の国保料は、2006年度の賦課方式変更にともない、低所得者、高齢者などで保険料負担が増え、2007年度は4.5%の引き上げ、そして、2008年度には、後期高齢者医療制度導入による国保制度改正の中で、1.2%の引き上げをおこなってきました。国保加入者からすれば、事実上、3年連続の国保料引き上げが強行されたのです。とりわけ、2008年度は、後期高齢者の国保からの切り離しを理由に、国保会計への市繰入金を前年度から44億円も減額し、制度改正にまぎれて、市民の反対の声を遮り、わずか9億円あれば回避できた1.2%引き上げを押し切ったのであります。言語道断と言わなければなりません。ただでさえ自民・公明政権のもとで、長引く不況と公的給付の切り下げなどの所得減収が続き、加えて国の庶民増税押しつけ、最近では物価高騰など、市民生活は困窮の一途と、なっています。それに追い打ちをかけるような国保料の連続大幅引き上げで、もはや市民生活の窮状は、限界を超える事態となっているのです。

こんな時に、市民の福祉と健康を増進すべき本市が、さらなる負担を市民に被せることは許されるものではありません。今こそ、国の悪政の防波堤となって市民生活を守ることに力尽くすべきではありませんか。

この3年間の保険料の推移は、まさに「うなぎのぼり」と言える激増です。賦課方式改正前の2005年度と本年2008年度の国保料を本市モデルケースで比較すれば一目瞭然です。所得100万円、65才以上2人世帯の国保料は、2005年度6万5865円から2008年度には13万5156円。なんと205%、2倍を超え、また、同水準の65才以上単身者にいたっては290%、3倍近くに跳ね上がっているのです。2005年国保中央会のモデル調査でも、年収300万円の4人世帯で、政府管掌健康保険で12万5000円、国保では20万〜31万円の保険料負担となっています。まさに、「高すぎて払えない国保料」になっているのです。

本市は、国保料収納率向上めざして徴収嘱託員制度や財産調査、差し押さえなどの特別な徴収体制をとり、国保加入者を追いつめてきました。収納率は2年連続で微増したとは言え、低収納率からの脱却にほど遠く、安定的国保運営の道は、いまだ不透明と言わざるを得ません。高い保険料のために滞納する世帯は3.5世帯に1世帯、前年よりもさらに広がり、資格証交付世帯数にいたっては、本市の国保始まって以来の1万世帯を超える異常な状況にあります。実態は、依然として危機的で深刻な状況にあることは否めないのです。

 

 第三に、わが党が繰り返し指摘、批判してきた普通調整交付金のペナルティー減額であります。

収納率低下や市独自施策などを理由にした交付金減額を国が一方的におこなうペナルティー減額措置によって、本市の国保会計単年度赤字に重大な影響を与えていることが益々明瞭になってきたからです。2007年度収納率が前年度を上回ったことによって本年には、2006年度ペナルティー減額の2分の1、13億円が本市に返還され、その結果、2007年度単年度赤字は8億円と例年に比して大幅に縮小されました。このことからしても、単年度赤字は不当なペナルティー減額措置をやめれば、解消することは明らかです。2003年度から2007年度までの5年間で医療分だけのペナルティー減額は約116億円です。同時期の単年度赤字総額は78億円、差し引きすれば約38億円余るのです。この措置が、如何に国保事業の健全な運営を阻害しているかは、改めて言うまでもないことです。

本市としても国にたいして、このような不当で国民健康保険法の趣旨にも反する

普通調整交付金のペナルティー減額措置をただちに廃止するよう求めることは当然であり、従来の減額分についても国に補填を要求すべきであります。

 

第四には、国保会計の歪みと財政悪化を招いている最大の原因は、政府が1984年に国庫支出金を45%から38.5%に大幅削減したことです。

本市が「払いたくても払えない国保料」を「だれでも払える国保料」に改善して安定的に国保会計の健全化をすすめるために、国に対して国庫支出金による負担率を元に戻すよう求めるべきだと考えるからです。本市は、ムダな大型開発や破たんした第三セクター、乱脈な同和行政に惜しげもなく公金を投入してきました。その結果、市財政に多大な負の遺産をもたらし、市民生活に係わる施策が切り捨てられる理由になっています。これを抜本的に改め、必要な財政を投入してでも市民の健康といのちを守る国民健康保険制度に改善するために、本来の自治体としての責務を果たすべきです。

 

以上、本修正動議に、議員各位のご賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明とさせていただきます。