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市議団の実績

大阪市会閉会本会議で、

安達議員が公営・準公営決算に反対の討論

安達義孝市会議員

2008年10月10日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2007年度大阪市公営・準公営企業会計の決算認定に反対の討論を行いたいと思います。

 申し上げるまでもありません。今、数年来の自公政権による構造改革路線によって、貧困と格差がかつてない程の広がりをみせております。

 こういう中で、住民の福祉の増進に務めるという地方自治体本来の役割を発揮することが、今ほど強く求められている時はありません。

 ところが、事あるごとに市民の目線を口にする平松市長は、国や府の悪政の防波堤になるどころか、それに輪をかけるように経費削減(素案)なるものによって、市民に一層の負担増を押し付けようとしているのであります。

 しかも、地方自治破壊の悪法、財政健全化法をたてに、バス事業の更なる民間委託の推進、市民病院の役割の投げ捨て等、策しているのであります。言語道断と言わなくてはなりません。

 本決算においても、臨海部などのムダな開発は、尚、温存される一方、財政難の名で、市民の願いがしりぞけられ、浸水対策など身近な街づくりが先送りされているのであります。到底容認することはできません。以下、具体的に指摘したいと思います。

 

 先ず、既に破綻の明白な臨海部の巨大開発に、尚、しがみついて、更に矛盾を深めている事であります。港湾局は、今年に入ってから、新人工島の2区、大阪市施行分の建設の休止を明らかにいたしました。これまでに、420億円もの投資を行っておりますが、つくっても、土地の売れる見込みがなくて、起債償還ができなくなるのでありますから、傷口の浅いうちにストップする事は当然だと思います。これによって、水深14mの主航路の更なる浚渫、掘り下げは、相当の間、不可能となりました。

 ところが、それにもかかわらず、北米などの基幹航路の維持・確保をうたい文句に、ますます増大する大型コンテナ船の入港に備えるとして、泊地水深15m、16m、岸壁延長1100mの大水深高規格の夢洲コンテナ埠頭、総額770億円も投じて、建設に血道をあげているのであります。

 いったい、水深15mを必要とする大型船は、水深14mの主航路を通らずに、どのようにして岸壁に到達するのでしょうか。しかも、2009年度には供用を開始するとしながら、C11のエバーグリーンの専用契約が2012年まで続くこともあって、荷役コスト縮減、リードタイム短縮の切り札とされている、3バース一体使用がいつから可能となるのか、皆目分からないのであります。

 それでは、実際、今、大型船の入港状況、基幹航路の増減等、どうなっているのでありましょうか。

 5万t以上のコンテナ船の入港数は、2007年302隻と、2000年に比べ、増えるどころか、60隻も減っているのであります。そして、今年に入ってからも、この減少傾向が続いているのであります。

 また、北米、ヨーロッパなどの基幹航路も、2007年は、2000年より266隻も減っているのであります。しかも、2007年は、中国航路の減が響いて、ここ10年来、はじめて、全体のコンテナ船の入港隻数が減少に転じた上、今年に入ってからは、これまで増え続けてきた外貿コンテナ貨物量もマイナスとなっているのであります。中国ギョーザの影響もあれば、なにより、大阪の経済の低迷が響いていると思います。

 つまり、大きな港をつくれば、船や貨物が増えるのではなくて、いかに後背地の経済が活性化するかにかかっているのであります。したがって、港の整備というものは、現実の入港船舶や貨物の状況・推移を勘案の上、着実になされるべきものであって、現状では、スーパー中枢港湾づくりの必要性は、極めて希薄で、厳しい財政状況の下、ムダで過大な投資とならざるをえないと断じなければなりません。

さて、テクノポート大阪計画の終結が宣言されました。

これによって、我々の反対を押し切って強行して、390億円も投じた北港テクノポート線のトンネル部分は、全くの無用の長物となりました。

同時に、1060億円の道路部分、夢咲トンネルは、コンテナトラック等の通る物流だけのものとなったのであります。そうして、起債償還が本格化する2010年度以降は、2つ合わせて毎年20数億円、市税を投入しなくてはなりません。そのうえ夢咲トンネルは換気装置等の維持費が3億円もかかるにもかかわらず、利用料金は一切徴収しないというのであります。市民が広く利用する咲洲トンネルは、片道200円の料金を課し、大企業のコンテナトラックがもっぱら通る夢咲トンネルは無料にする、全くの逆立ちではありませんか。

また、今回の委員会審議を通じて、WTCが抜き差しならない状況に立ち至っていることが明らかになりました。

肝心のオフィスの入居率が78%まで下落して、2009年度にも資金ショートするのでありまして、早晩、任意売却等、余儀なくされるのであります。

これによって本市出資金190億円、貸付金75億円、別途、開発公社20億円、駐車場買取り等80億円、ことごとく毀損されることになります。問題の損失補償がどの程度になるか定かではありませんが、常識的な額を想定した上、全体の損害額を推計すれば、なんと700億円にも達するのであります。本当にひどいものであります。

 採算を度外視したバカでかいビルをつくった事にはじまり、1998年からの各局入居等の支援しかり、追加的な金融支援策の必要性をうたった鑑定書を隠して結んだ2004年の特定調停しかり、これらに深くかかわった歴代の市長、港湾局長、元与党、現与党の責任は極めて重大であると思います。

 いずれにしても、平松市長には損害を最小限にくいとめる責任があります。

更なる銀行の債権放棄を求めること。任意売却等にあたっては最も有利な道を選択すること。これであります。府への売却は、市民的な利益に照らしても府庁移転という府民的なデメリットという点からも、論外であると申し上げておきます。

 

 第二に指摘したいのは、各事業とも経済性を追求するあまり、肝心の市民の願いにはことごとく背を向けている事であります。

 市民の足の利便を図る上で、本市バス事業の果たすべき役割は、ますます強く大きなものがあると思います。

 ところが交通局は、かつて1000両もあったバス車両を785両にまで減らして、バス路線を次々とカット、本数も減らしてきました。そうして、この4月から更に大幅な路線カット、縮小が強行されたのであります。

 我が党委員が、大正区の路線でこれまで1時間に2本の便数だったものが、この4月から1本に減らされて通勤・通学に支障をきたしていること、そしてこれを、元に戻してほしいとの2300筆の署名が寄せられていることを紹介したうえ、なぜ市民の声を聞けないのかと質したのに対し、交通局は「充分な輸送力が確保されている」と平然と答えたのであります。冷たいにも程があると言わなくてはなりませんが、そのくせ同じ大正区鶴浜に出店した「イケヤ」のためには、イケヤ自身、無料のシャトルバスを運行しているというのに、わざわざ2路線を立ち上げて、それぞれ、1便あたり5人、7人と大正区のバス路線では考えられない程の「がらがら状態」で運行し、大赤字なのであります。

 交通局はどこを向いてバスを走らせるつもりなのでありましょうか。

 その上、営業所の民間委託を二分の一から、さらに三分の二まで進めようと計っているのであります。バス運行の安全性など二の次・三の次、まさに市営バスの解体に通ずるものに他なりません。断じて容認できないのであります。

 また、このような交通局の姿勢は、地下鉄の安全対策にも表れております。

 ホームからの転落事故は、ここ数年50件前後で推移しており、一向に減らないのであります。

 いったい、どこに原因があるのか。それは再三にわたる効率化でホーム要員を相次いで減らしてきた上に、ハード面でもまともな対策を講じてこなかったからであります。

 私共、日本共産党はホームからの転落を防止することは待ったなしの課題であるとの立場から、ハード・ソフト両面での対策を講ずることはむろんのこと、なかでも可動式ホーム柵を最も乗降客の多い御堂筋線から優先的に、しかも早期に設置するよう一貫して求めてきました。 

 ところが、交通局は、解決すべき課題があるなどと、一日のばしにしてきた上に、既設線でも、乗降客の多い東京丸の内線で設置され、JR山手線でも設置計画が策定されているというこの期に及んでも、なお、課題の検討中というのであります。

 本決算委員会で、私が、いつまでに設置するのか、期日を明確にして取り組みを進めるべきだと重ねて質したにの対し、交通局は、「今しばし時間的ご猶予をいただきたい」と答えるのみでありました。言語道断であります。

 さて、今回の決算市会では、病院問題が大変重要なテーマとなりました。

 今日、病院経営、なかでも自治体病院の運営が極めて厳しい状況におかれていることは言うまでもありません。本市の市民病院においても、累積赤字が388億円、資金不足額123億円にものぼっているのであります。

慢性的ともいえる医師不足から、十三市民病院では8階病床の閉鎖、北市民病院でも外科診療の縮小等、余儀なくされて、外来入院患者の減少となった事に加え、相次ぐ医療改悪による診療報酬の引き下げ、自己負担増による受診抑制が追い討ちをかけたのであります。まさに、国の医療費抑制政策こそ諸悪の根源なのであります。

 その上、自治体病院つぶしと酷評された一般会計繰り入れ基準の改悪が、大きく足を引っ張ったのであります。1998年度、4病院合計で137億円余りあった一般会計繰入金は、2007年度106億円と、31億円も減らされているのであります。国に対して、医療政策の抜本的な見直しを強く求めるべきであると、改めて指摘しておきます。

 こういう中で、北市民病院の民間への売却が検討されていることは重大であります。

 

北市民病院は、現在、常勤の麻酔科医師の欠員により手術を行うことが困難であるなど、けっして充分な医療を実施しているとは言えないものの、市内唯一の結核病棟を持ち、内科、整形外科を中心に2007年度も、入院40,627人、外来123,117人の患者さんを受け入れ、地域になくてはならない市民病院として、その役割を果たしているのであります。ですから地域の皆さんからも、なんとか市民病院として残してほしい、絶対に無くしてほしくないという多くの強い声が寄せられているのであります。

 市長は、我が党委員の、存続させるべきとの質問に対して、単なる廃止でなく民間で替わっていただけるところがないだろうかと考えている旨答弁されました。いったいどこまで、医療における公的責任を放棄するつもりなのかと、言わなければなりません。

今、とるべき道は、欠員となっている常勤の麻酔科医を一日も早く補充して、一層、安全・安心の医療を推進することであって、民間への売却などもっての他であると強く申し上げておきます。

 

 次に、下水道事業について一言指摘しておきます。

 昨今、ゲリラ的な集中豪雨によって、浸水被害が多発いたしております。

今年も、7月28日、8月5日、9月5日の3回で合計112戸が浸水被害をこうむったのであります。浸水対策は引き続き本市の重要課題であると思います。

 ところが建設局は、10年に一度の大雨に備えるなどと大見得を切りながら、怠慢としか言いようがない程、皆目、整備の進捗をはかっていないのであります。2005年度末77.4%であった雨水対策整備率は2007年度末77.7%2年間でわずか0.3%伸びただけであります。

 なかでも、淀川の右岸方面の浸水対策として、待望されている淀の大放水路に至っては、1991年から2010年までの事業であるにもかかわらず、2007年度末の進捗率はわずか35%、にすぎません。

 私が、なぜこのように遅れているのかと質したのに対して、当局は「限られた財源を有効に活用しながら事業を進めて来ている」などとイケシャーシャーと答えたのであります。全く度し難いものであります。あのキンキラキンの舞洲スラッジセンターは、着々と進めながら、市民の切望する浸水対策はトコトン遅らせて、何の傷みも感じないような当局の態度、断じて認めることはできません。

 

 最後に、敬老優待パスと上下水道料金の福祉減免制度について指摘しておきます。

 敬老優待パスの改悪案が、突然発表されて以来、高齢者の皆さんから、悲鳴とも怒りとも言える、ほんとうに多くの声が寄せられております。「老人の楽しみとして、せめて元気な間、自由に外出できるように今まで通り継続してほしい」「大阪市民を60年間やってきたが、税金の使い方を一番身近に感じるのが、この制度、なんとか残してほしい」「年寄りの楽しみを奪うとはけしからん、平松は關より悪いのと違うか」呼び捨てにされております。それほど多くの高齢者から喜ばれ感謝されているということを、私は肝に銘じるべきだと思います。

 12億円も費やして、ICカードを導入したことによって、交通局への支払いを減額できると踏んでいたのであります。それが、あてがはずれて、「えらいこっちゃ」と大慌てで素案をまとめたに過ぎないのであります。私に言わせれば、それだけ利用している人が多い訳で、喜んでしかるべきだと思います。それを利用限度額月5000円までにする。またぞろ機器のやりかえ等、莫大な費用がかかるではありませんか。ムダ遣いにも程があると言わなくてはなりません。

 有料化した京都市では、利用率が69%から56%と13ポイントも下落いたしました。素案のように自己負担を求めれば、本市でもそうなるのは必定です。財政のやりくりをして、これまで通り存続すべきです。強く求めておきます。

 

 また上下水道料金の福祉減免についても同様であります。

 これによって、高齢者世帯の皆さんがどれだけ助かっているか、申し上げるまでもありません。

 この制度の対象者は、大半が年金生活者です。

 ここ数年来、老年者控除の廃止、年金控除の縮小、相次ぐ増税が押し付けられております。その上、介護保険料が引き上げられて年金の手取りは下がりぱなしではありませんか。加えて昨今の物価高騰の追打ちです。今どれだけ多くの高齢者が爪に灯をともすような生活を余儀なくされているか。

 こういう方々にとって、月1576円の減免措置というのは、本当によろこばれているのです。それを容赦なくバッサリとカットする。断じて許すことは出来ません。

 市民が苦しい時に、少しでも家計を応援するのが地方自治体の努めではありませんか。

 本改悪案の撤回を強く求めて、以上、反対討論といたします。