title


市議団の実績

瀬戸一正議員の市会本会議代表質問と再質問

瀬戸一正市会議員

2009年3月4日

代表質問項目

 1.「未曾有の経済危機」から、市民の雇用、暮らし、中小企業の経営を守れ

 2.「経費削減」の取組みについて

 3.市民の福祉、暮らしについて

 4.教育について

 5.環境にやさしい街づくりについて

 6.大型開発の見直しについて

 7.同和行政の終結について

 * 再質問

 

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表し、2009年度大阪市一般会計等予算案、ならびに当面する施策等について、平松市長に質問いたします。

 今、日本の社会と経済、国民生活は未曾有の危機に直面しています。昨年10−12月の国内総生産実質成長率は年率換算で12.7%もマイナスとなり、同時期のアメリカはマイナス3.8%、ヨーロッパはマイナス5.7%ですから、欧米を大きく上回る落ち込みであります。異常な外需頼みが破綻し、家計を中心とした国内需要も総崩れとなったことが、日本の景気悪化を深刻にしていることは明らかであります。かつて国の「経済戦略会議」で新自由主義的「構造改革」の急先鋒としてこれを推進してきた中谷巌一橋大学名誉教授も最近「懺悔の書」を出版し、そのなかで「構造改革は間違いだった」「資本主義にはルールが必要だ」と明確に述べているのであります。家計を犠牲にして外需・輸出だけで稼ぐゆがんだ路線に対する根本的な反省と転換が必要であります。

 こうした反省に立てば、大企業が3月末にかけて強行しようとしている40万人もの「派遣切り」や「雇い止め」はこれを止めさせなければなりません。労働者派遣法は抜本改正して国民に安定した雇用を保証しなければなりません。中小零細企業に対する下請けいじめや「貸し渋り・貸しはがし」も止めさせなければなりません。そして、大増税や社会保障予算の大幅削減など国民に痛みばかり押付けてきた、小泉内閣以来の構造改革路線ときっぱり訣別し、雇用を守り、社会保障を抑制から拡充に切り替え、中小企業、農業、税制などあらゆる面で内需主導の経済体質へ、根本的な転換を図ることこそ、日本経済を建て直す道であり、これが今、国と地方の政治に求められているのであります。

 ところが、平松市長が提案している21年度予算案は、口では「元気な大阪をめざす」としながら、その逆を行くものとなっているではありませんか。2年間で27項目、98億円の市民サービスをカットする経費削減(素案)を提案し、その見直しをほとんど行なわなかったばかりか、年1万円の難病患者見舞金まで無慈悲に廃止することなどを本予算案にそのまま反映させています。さらに、栄養専門学校やデザイン教育研究所の入学料や授業料などの公共料金を大幅値上げするものとなっているのであります。その一方、スーパー中枢港湾づくりや淀川左岸線2期事業などのムダで環境破壊の大型開発には予算を重点的につけ、同和行政の終結にも背を向けているのであります。

 到底、認めることはできません。このような予算案は撤回し、根本から組み替えるべきであります。 以下、こういう立場から、具体に質問いたします。

 

 まず第一に、「未曾有の経済危機」から市民の雇用や暮らしを守る取組みについてであります。

 平松市長は、厳しい経済状況を踏まえ、緊急経済対策本部を立ち上げたとしています。しかし肝心なことが抜けているのではないでしょうか。それは、今日、市民の雇用を奪い、大阪経済を急速に危機に陥れている財界・大企業に対してはっきり物を言うということであります。大手企業による非正規労働者の大量解雇は、巨額の内部留保金から見てやむにやまれるものとは言えません。内部留保金のたったの1%、取り崩すだけで解雇しなくて済むのであります。さらにこうした大量解雇は、雇用に関する関係法規すら踏みにじって行われているのであります。今の時期、こうした大量解雇を、政治や行政がいかに食い止めるのかが、一つの焦点だと言わなければなりません。

 平松市長、関西の大手企業が多く参加している関西経済連合会に対して、安易な首切りはすべきでない、大企業は雇用と下請け中小企業を守る社会的責任を果たせと、率直に物を言うべきではありませんか。そして国に対しては、景気の良いときには大企業の儲けの源泉となり、景気が悪くなれば労働者を物のように切り捨てる調整弁となっている労働者派遣法について、製造業分野での派遣労働を禁止するなど、抜本改正を求めるべきではありませんか。

 合わせて、答弁を求めます。

 次に、国の緊急経済対策を活用しての雇用拡大についてお聞きします。「ふるさと雇用再生特別交付金」等12億円が、放置自転車対策のサイクルサポーター188人分や、習熟度別少人数授業の常勤講師275人分などに充てられようとしています。しかし例えばサイクルサポーター188人のうち160人は、2008年度までは本市が単費で雇ってきたのであって、188人の全員の分を特別交付金でまかなうというのであれば、雇用の拡大になるのはほんのわずかで、単独予算分を特別交付金に置き換えるだけになってしまいます。他の事業にも多かれ少なかれこうした特別交付金の使われ方が見られます。これでは「雇用失業情勢が下降局面にあるなかで・・雇用・就業機会を創出する」という国制度の趣旨を生かすことにはなりません。三年間の限定とは言え、本市に36億円が交付されるわけですから、学校安全指導員を全校に一人配置するなど、新規に雇用者を増やす事業を起こすべきではありませんか。ご答弁ください。

 また、この間本市の正規職員が次々と減らされる中で、非正規職員は増え続け、市長部局の非常勤嘱託職員はこの10年間で806人から2237人へと約3倍化しており、本来、正規職員が執行すべき通常業務に、非正規の職員が数多く従事させられています。こうした実態は見直して正規職員に切り替えるべきであります。雇用対策法では「地方公共団体は、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない」と定められているのであり、まず本市自らが範を示さなければならないのではありませんか。

 さらに、2003年9月から施行された指定管理者制度については様々な問題点が明らかになっています。本市の有料駐輪場の例のように、指定管理者制度になってから、極端に労働条件が劣悪になったケースもあります。2007年12月の朝日新聞は「財政難から事業を民間に委託する自治体がふえる中で、委託先の会社で働く人に雇用不安や賃金の低下がおきている」と報道しました。現在、本市で指定管理者によって運営されている350余りの施設の労働条件の実態を調査すべきであります。そしてその上で、最低賃金さえ守れば良いといった対応ではなく、指定管理者に対し、適切な賃金水準を確保するよう指導監督すると同時に、管理者の選定にあたって労働条件が高い評価につながるよう基準を改善すべきであります。以上、併せて市長の答弁を求めます。

 次に、最後のセーフティネットである生活保護の問題であります。

 年末から年始にかけて東京の日比谷公園に設置された「年越し派遣村」に駆け込みボランティアの支援でようやく命をつないだ方たちのうち240人が、千代田区役所に集団で生活保護を申請してこれが認められ、民間アパート等の住まいを確保して職探しをしています。こういう改善がなされたのは、東京都の生活保護課長は昨年12月22日付けで、「保護開始時に安定した居宅がない要保護者に対しては、居宅生活が可能な場合には敷金等の支給をすることができる」ことを明らかにし、そのようにして「保護を決定すべきだ」との通知文書を、都下の各福祉事務所長あてに出したことによるものです。厚生労働省も保護のこのような適用を全国に広めて行きたいとしています。本市においても、失業し住居を失った労働者が生活保護を申請した場合には、同様に認めるようにすべきではありませんか。答弁下さい。

 次に、緊急の中小企業への経済対策として生活密着型の公共事業の予算を増やす問題であります。

 その一つは市営住宅です。昨年秋以降の経済危機のなか、大阪市内でのマンション発売戸数は前年と比べて28%も減り、新規着工も激減しています。経済不安が広がるなかで、市営住宅に入居したいという要求が大きく広がっています。こうしたなかで、大阪市が市営住宅の建設工事を大量に発注すれば、市民の願いに応えるだけでなく、中小企業に対する大きな「仕事づくり」になるのであります。こう時期にこそ市営住宅の大量建設をするべきではありませんか。答弁を求めます。

 

 第二に、「経費削減の取組み」についてお聞きします。

 市長は、「経費削減素案については、市民の意見を聞くためにパブリックコメントを行う」と言い、その後議会でも「素案はたたき台だから市民の意見を聞き、見直すべきものは見直す」と言っていました。しかし、今回出てきたものを見れば、見直すとした市民サービス27項目のうち9月素案から変更されたものは、実施が1年先送りされた春日出等3プールの廃止を別にすれば、敬老パスと上下水道料金福祉措置のたったの二つだけであって、他はまったく変更されていません。市民が2300通も意見を寄せ、その70%余りが素案には反対だとはっきりと声を上げたのに、それを無視して、ほとんど無修正で経費削減素案を押し通そうというのは余りにもひどいじゃありませんか。

 具体にお聞きします。敬老パスについては、個人負担を一律3000円にする、利用を年8万円までに制限するということですが、これは当初案をほんの少しだけ修正して、結局、有料化を強行しようとするものだと言わなければなりません。敬老パスは、利用制限もなく無料ですべての高齢者に配られているからこそ、敬老の名に値するのであります。一度有料化してしまえば、東京都のシルバーパスの例をあげるまでもなく、際限なく負担額が増やされることになりかねません。市長、敬老パスの負担で大阪市の財政がつぶれることはありません。ここは市民の切実で大きな意見に従い、「経費削減の取組み」をもう一度見直して敬老パスは無料のまま存続させるべきではありませんか。

 又、上下水道料金福祉措置についての見直し案も、三ヵ年の経過措置を設けたものの、その後については素案の原案のままで、免除が受けられるのを17万世帯からわずか1万世帯にしてしまうというひどいものであります。16万を超える高齢者世帯で水道料金負担が年額2万円近く増えることになりますから、パブコメでは82%もの反対意見が出ています。市長は、わずかな年金を減らされ、爪に火を灯すような生活を強いられている高齢者世帯がどんなに多いか、そうした市民の怒りの声が耳に入らないのでしょうか。これについても白紙撤回されるよう求めるものであります。

 この敬老パスと上下水道料金については、市長もよくご承知のように、昨年10月10日の市会本会議で「見直し(素案)反対に関する決議」がされています。市長が出した案はこの議会決議を踏みにじるものです。市長はいったい議会決議をどのようにお考えなったんでしょうか。見解をお聞かせ下さい。

 

 第三に市民の福祉、暮らしについてであります。

 まず、高すぎる国民健康保険料の問題です。「高い国民保険料が滞納を生み、そのために保険料収納率が下がる。その結果、国の調整交付金が大幅に減らされて、赤字が大きくなり、また保険料を引き上げる」という「悪魔のサイクル」を断ち切らなければなりません。そのためには、一般会計からの繰入れを増やして「払える保険料」へと値下げすることが必要です。そして調整交付金のペナルティ減額をやめさせ、国庫負担金の大幅な増額を実現することであります。この立場から、当面少なくとも一人1万円、保険料引き下げるべきではありませんか。

 とりわけ高齢者は深刻です。年金所得100万円で65歳以上の単身者で言えば、2005度の保険料は年4万7730円でしたが、保険料算定方式変更に当たっての3年間の経過措置が2008度に終わり、新年度には13万8499円にもなります。この4年間で実に2.9倍にもなるのであります。是非とも、こうした高齢者には新たな保険料減免制度が必要ではないでしょうか。合わせて、答弁を求めます。

 次に国保の資格証についてであります。この間、中学生までの子どもに資格証を出してはならないという声と運動が全国の自治体に広がり、国会をも動かして、法律上も明確にされました。続いて我が党の小池晃参議院議員の質問趣意書にたいして、「医療にかかる必要が生じて、医療費の支払いが困難だと申し出た人は、資格証明書の交付対象から除外する」とする閣議決定の答弁書が出され、各自治体に通知されました。これらは「資格証明書の交付」は社会保障のあり方から見て許されないという世論の反映であります。市長、今後「資格証明書の交付」はいっさい行わないことにすべきではありませんか。答弁下さい。

 次に、「後期高齢者医療制度」についてお尋ねします。

 後期高齢者医療制度の根幹部分と言われた保険料徴収方法は、国民の強い批判によって修正を余儀なくされ、今年の4月からは「年金天引きの強制」から「自由選択制」に変更されます。舛添厚生労働大臣は、昨年9月には「この制度に代わる新制度の創設を検討する」と言明し、加入者を年齢で区別しない制度にすることが必要だと言い、「高齢者医療制度に関する検討委員会」ではこの制度を「うばすて山行きバス」とまで表現しました。参議院では廃止法案が可決されております。平松市長、後期高齢者医療制度の廃止を国に求めるべです。見解を求めます。

 さて導入後まる1年が過ぎ、後期高齢者医療制度での「資格証明書の発行」という大問題が浮上しようとしています。もともと国民健康保険法では、高齢者には資格証明書を交付してはならないと規定されていました。それは、高齢者は有病率が高く人道上許されないからであります。後期高齢者にたいする資格証を発行するかどうかは事実上大阪市の判断であります。平松市長 75歳以上の市民には「資格証明書の交付」はしませんとの立場を表明すべきではありませんか。ご答弁願います。

 次に、介護保険制度についてお尋ねします。まず介護保険料についてでありますが、これまでの3年間の実態をみれば、介護に実際に要した給付費は当初計画に比べて大幅に少なかったので、国・大阪府・大阪市が公費で負担している分や、現役世代が負担している分は、給付費が減った分、減額されています。ところが高齢者の保険料だけは、当初計画のままの給付費見積りで計算されて来ました。その結果、3年間でおよそ64億円程度の保険料が取り過ぎとなっています。取りすぎ分はその前の6年間の22億円と合わせれば86億円にもなります。この分はただちに被保険者に戻すべきであり、新年度からの高齢者の介護保険料は引き下げるべきではありませんか。市長の答弁をお願いします。

 続いて、保育施策について伺います。市長が待機児の完全解消を公約した21年度末まで1年となり、公有財産を活用した保育所建設など、さまざまな待機児解消策が取り組まれています。

 このなかで、たとえば公有地を活用した保育所整備の際の、定数を多く提案した法人を上位とするという方針の結果、302人、201人という超マンモス保育所がオープンします。運営にあたる法人の理事長が「狭い土地に多くの子どもを収容するよう求められ、建物の設計に苦労した」と語り、ある法人の理事長は「数合わせに没頭している」と批判したように、保育所のあるべき姿やその地域の保育ニーズとの整合性から疑問の声が上がっています。多ければいいという方針はあらためるべきです。そして必要な地域に適切な規模の保育所の建設を急ぎ、待機児の解消を進めるべきではありませんか。合わせて答弁を求めます。

 さて、公立保育所の民間委託に着手して5年が経過しました。当局の「市民・保護者の声を尊重し丁寧に行っている、保育の質は低下をさせない」という説明にもかかわらず、対象となった保育所保護者の皆さんや多くの市民は、依然として反対の声を強く上げておられます。確かに子育てをする環境の変化のなかで、二−ズの多様化に答えるため、様々な施策が求められています。しかしだからといって「保育所のコスト削減は仕方ない}と次々民間委託を強行し、公的責任を後退させる大阪市のやり方に市民は納得していません。未来を担う子どものためには、人もお金もしっかりと使うことを市民は願っています。民間委託は中止するべきす。答弁を求めます。

 市民病院の再編ネットワーク化、北市民病院の廃止問題についてお聞きします。11月末にこの案に対するパブリックコメントが行われ、病院部はその結果について、再編案に賛成が18件3%で、反対は290件47%だと発表しましたが、実は「北市民病院がなくなると困る」という意見などは「反対」とはカウントされておりません。これらを反対意見にカウントすれば、実に97%にもなります。このパブリックコメントに寄せられた圧倒的多数の市民の声を踏みにじることは断じて許せません。

 市民病院の会計は確かに赤字であります。その大半は、国が診療報酬を相次いで引下げたり、公立病院への一般会計繰入基準を改悪したりしたこと、更に政府が医学生の定員を削って医師確保を困難にして来たことなどによるもので、市民に責任があるわけではありません。経営の困難の原因の一つになっている医師不足は、大阪市の4病院が公立病院としての役割をしつかり発揮する病院経営を確立するなら、克服できる問題であります。北市民病院は、都島の総合医療センターや、福島区・北区の民間大病院などと連携する公立病院としての役割を明確にして存続させるべきす。答弁を求めます。

 

 第四に、未来を担う子どもたちの教育についてお聞きします。

 平松市長は「任期中に教育日本一をめざす」と豪語されました。それならば、いま真っ先にやるべきことは、遅れている教育条件の整備をすすめ、教育条件でこそ日本一をめざすべきであります。

 まず少人数学級の問題であります。小学校1・2年生で実施されている35人学級は、本市でも「子どもたちに対して教師の目が行き届くようになった」「配慮を要する子どもに何回も声かけできるようになった」など、生活面でも学習面でも大きな成果が上がっています。この成果を途切れさせず、すべての子どもが落ちついた環境で、しっかりとした学力をつけながらよりよい学校生活を送るために、少人数学級の学年を広げていくべきではありませんか? 答弁を求めます。

 次に、学校維持運営費が削減素案どおり、21年度予算では12億5700万円、22年度でも同じ金額、合わせて20%近くの24億4200万円も減らされようとしていますが、私は腹の底からの怒りを禁じえません。現場の教師は何と言っているか。「維持運営費が削られると、授業で使う半紙や粘土が学校から配れなくなる。そうすると保護者に買ってきてもらうことになるが、家庭の経済事情で持って来れなくなる児童が必ず出てくる」「そしたら授業が成り立たなくなる」と言っているんです。市長、これがあなたが強行しようとしている学校破壊の姿であります。是非とも学校維持運営費は減らすべきではなく、せめて維持すべきであります。答弁を求めます。

 続いて、中学校給食の問題です。平松市長が繰り返し口にした「食育の観点から中学校給食を実施したい」という言葉に、どれだけ大きな期待が寄せられたことでしょう。温かい物は温かく、バランスのとれた給食が待たれています。20年度予算に調査費をつけ、検討会議で「実施が望まれる」という「まとめ」が出たのに、21年度予算案で、中学校給食が何の前進もないことは、公約に照らしても許されません。いったいいつまで、業者弁当の販売である昼食事業でお茶を濁すつもりでしょうか? 一日も早い実施に向けて、具体的な検討に入るべきです。ご答弁下さい。

 次に、年々ひどくなる夏の暑さの問題であります。日本一暑いこの大阪市で、小・中学生をクーラーのない普通教室で過ごさせている、この言わば「日本一劣悪だ」とも言える教育条件について、市長はどう認識しておられるのでしょうか。京都市ではすでに小学校でも中学校でも普通教室の全てに冷房が付けられました。大阪市でも普通教室へのクーラー設置の計画を立て、足を踏み出すべきではありませんか。答弁を求めます。

 さて、市大2部の廃止についてです。大学側が廃止の理由にしている「有職率の低下」「志願者数の減少」などの主張は、アルバイトも含めれば8割の学生が働いている、市大2部への入学を希望する青年が多数にのぼるなどの事実が明らかになり、すでに破たんしています。12月の本市会委員会においては、「景気悪化の中で2部の需要は今後高まる」「拙速に決めるべきではない」などの意見が与党、野党を問わず共通して出されました。本市は「すでに公立大学法人化されており、大学の決定を尊重する」との責任逃れの言辞を弄していますが、大学への運営交付金の方は法人化された2006年度からの3年間で23億8200万円もカットし、来年度は13億800万円も削ろうとしています。その結果、教員数は3年間で830人から754人に減っています。市長、大学への運営交付金のカットをやめ、大学に対して2部廃止の撤回を求めるべきではありませんか。答弁ください。

 

 第五は、環境優先の街づくりであります。

 ごみ減量について伺います。市長はこの問題を、市民協働のか柱の一つに位置づけるとともに、呼び水の意味もこめて、森之宮焼却工場建て替えの凍結を表明しておられます。ごみ減量は、市民の力が必要であることは言うまでもありませんが、目標の設定や、必要な仕組みづくりを行政が行ってこその協働です。とりわけ、本市でのごみ減量のカギとなる紙ごみと事業系ごみは、新たな制度設計なしには減らせないことは他都市の例を見ても明らかです。時代にふさわしい目標を持たないままに提案された本予算案は、資源集団回収への援助の若干の強化、事業系ごみの搬入物検査装置の導入などにとどまり、不十分であると言わざるを得ません。早急に、思い切った目標を設定するべきです。また、資源化可能な紙を燃やさないために、紙ごみの拠点回収を実施するなど、必要な制度設計と体制強化を行うべきです。そして、焼却工場のなかで最も老朽化が進んでいて、周辺住民の廃止要望が強い森之宮工場の建替えは中止することを決断すべきではありませんか。以上、あわせてお答え下さい

 ヒートアイランド対策についてお聞きします。大阪市内の、熱帯夜や真夏日は増え続けており、特別の対策が必要だいうことは論を待ちません。ところで大阪市には2000年に策定した「大阪市緑の基本計画」というものがあります。これは21世紀中葉までに、公園面積を市民一人当たり7uとし、緑で覆われる樹木樹林比率を市全体で15%にするというものであり、そうなれば夏の気温が平均0.5度低下するとしています。これの実現のためには、公園面積で767ha、緑の面積で1790haを増やさなければなりません。ところが現実に本市がこの5年間で増やした公園面積は24haでしかなく、このペースで行くなら150年以上もかかってしまいます。

 そこでお聞きしますが、平松市長は「緑の基本計画」の目標達成に責任を持つ姿勢はお持ちでしょうか。お持ちだと言うのであれば、21世紀中葉の長期目標だけではなく、5年先、10年先の中期目標を示して、行動計画を立てるべきではないでしょうか。市長 明確にお答え下さい。

 

 第六は巨大開発とその失敗の穴埋めの問題です。

 まず、大阪駅北地区開発についてお聞きします。21年度予算には、2期地区の開発調査費や1期地区の街づくり協議会費用など6100万円と、JR東海道線支線の地下化等調査費5000万円が計上されています。大阪市はこれまで、北ヤード開発は民間の事業であって大阪市の財政負担は小さいと説明してきました。しかし、JR東海道線支線地下化で見込まれる事業費430億円のうち120億円も、大阪市が負担する方向で調整するという動きがあります。JR支線の地下化は大阪駅北地区と周辺地域との分断や踏切をなくす事業ですが、その恩恵を受ける土地所有者のほとんどは、北地区を開発しようとする大企業各社ではありませんか。

 従ってその事業費は、基本的には土地所有者に負担させるべきす。

 さて、大阪駅北地区の2期地区17haの土地利用については、昨年、関西経済同友会の専門委員会からすべてをグリーンパークにすべしとの提案がされました。しかしこの経済界からの提案を待つまでもなく、梅田北ヤード地区は、大震災時には20万人の広域避難広場として指定されている貴重な空間であり、これをすべて緑地にできれば、地球環境問題やヒートアイランド対策にも大きく貢献でき、なおかつ大阪の玄関に広大な緑地を配することによって、大阪市の都市としての格を上げることもできます。平松市長、北ヤード2期地区の街づくりは、JRの貨物ヤードを地下化し、その上部をグリーパークにすることも視野に入れ、これまでのような「ただただ高層ビルを乱立させる街づくり」は改めるべきです。合せてご答弁下さい。

 次に、スーパー中枢港湾づくりについてであります。これまで、港湾局は、増大するコンテナ貨物やコンテナ船舶の大型化に備えるとして、莫大な費用を投じて水深16m、高規格のコンテナ埠頭C12の建設を推進して参りました。そうして、本年10月のC10・11・12の一体供用開始をめざして、荷役業務を受け持つメガオペレーターであるDICT、夢洲コンテナターミナル株式会社に対し、荷役設備等の費用として45億円もの無利子貸付等を行おうとしています。ところが、5万トン以上の大型コンテナ船は、ヨーロッパ航路の激減もあって減り続けている上に、肝心のコンテナ貨物も折からの急激な経済悪化の中で大きく減少しています。しかも、DICTを構成し、夢洲に貨物を誘導する役割を持つ港運業者14社の内、既に7社が離脱しているではありませんか。これでは、3バース一体使用の値打ちがありませんし、過大投資になりかねません。少なくとも、経済等の見通しがつくまで、当分の間、C12への荷役設備等の設置、DICTへの45億円の貸付、R岸壁のフェリーターミナル化等の計画は延期すべきであります。答弁を求めます。

 また、スーパー中枢港湾づくりに関連して、その後背地に高付加価値ものづくり産業やロジスティックセンター等の物流施設の誘致をはじめ、R岸壁バックヤードの倉庫等の移設をはかるとして、来年度も夢洲土地造成等の予算が10億円余りが計上されていますが、今ただでさえ咲州・舞洲等の土地が売れ残っているではありませんか。今年度も149億円の売却予算に対して、執行見込は50億円にすぎません。埋立会計の未売却の土地は100haにものぼります。これ以上、呼び込み型で売れる見込みのない土地を造成することは許されません。キッパリと中止するべきです。答弁を求めます。

 さて、WTCを大阪府に府庁舎として売り飛ばそうとしている問題であります。

 そもそも、大阪府庁舎は、府民の利便にもっともかなった場所に設置されなればなりませんし、また大地震などの大災害に際しては大阪府全体の防災センターとしての役割を果たさなければなりません。府庁舎の位置を大手前からWTCに移すことは、この両面から見てまったく道理がないではありませんか。大阪市民は府民でもあります。市長はこの点についてどのようにお考えでしょうか。

 第二に、橋下知事の真の狙いは、知事がWTCの展望台に立って「(関西州の)州都を視野にした場合、淀川左岸線延伸部は絶対に必要」と言い、関西財界がこれを大歓迎したことに端的に示されています。すなわち、淀川左岸線延伸部やJR難波筋線、京阪中之島線の延伸などへの大型開発推進のテコにしようとしているのであります。しかしこれから人口が減少すると予測されるなかで、巨額の予算がかかる都市インフラの建設が本当に必要で不可欠なのかの冷静な議論は一度もされていません。ただただ「人、物、金が動けば関西経済が良くなる」とのワンフレーズを繰り返しているのであります。平松市長、府と市が共同で作った都市構想は、橋下知事の「大型開発の夢よもう一度」という道ではありませんか。この道を進むならまたぞろ、大阪府も大阪市も、大きな財政破綻に突き進むと言わなければなりません。これは白紙に戻すべきではありませんか。答弁を求めます。

 第三に、平松市長は、昨年1月に発足させた特定団体再建検討委員会が策定したWTC処理策の6案について、その一つ一つを吟味し可否を明らかにして最終案を決めると説明していました。ところが橋下知事がWTCを買いたいと言い出してからは、府庁への売却案が大阪市にとって一番負担が少ない案であるかのように言って来ました。しかし先日の建設港湾委員会では、WTCを大阪府が99億円で買った場合に、大阪市がかぶらなければならない損失補償額は442億円にも達することが明らかになりました。しかも大阪府は、大阪市部局などの移転費用40億円は負担しない意向であるとも言われています。そうであるならば、大阪府の99億円は結局、WTCが預かっている50億円の敷金と移転費用40億円に消えるのであって、WTCの借金残491億円は事実上全額、大阪市が被らなければならなくなるではありませんか。しかもWTCを出て行く7つの市部局の年22億円もの家賃は、別途これから毎年払わなければなりません。果たしてこれが市民にとって一番負担の軽い道なのか、市長は市民にきちんと説明しなければならないのではないでしょうか。

 第四に、平松市長は昨年7月の議会で、銀行が追加債権放棄に応じないのは納得が行かないと発言しましたが、その後は何もしていません。また、自らの選挙公約でもあった「特定調停に至った責任を明確にする」という約束もずるずる先延ばししています。この約束を果たさずに、WTC売却話しだけ進めていることは、まったく無責任だと言わなければなりません。この二つの約束は直ちに果たすべきではありませんか。答弁を求めます。

 

 最後に、人権行政の名による同和行政の終結について質問いたします。

 2002年に「同和」の特別措置法が失効した後も、大阪市は終結への対応をせず漫然と施策を継続してきました。2006年の飛鳥会事件、芦原病院問題などを契機として、ようやく不十分ながら地対財特法期限後の事業見直しがされ始めました。しかし今なお、「解放同盟」などが主張する「今日もなお『部落差別』は存在する」「差別のある限り、同和対策は必要だ」という論に屈して、一般対策に名を借り、人権行政という名目で、事実上の同和対策が継続されているのであります。

 新年度予算案においても、人権文化センター、もと青少年会館、もと地域老人福祉センター、この3施設を廃止・統合して、(仮称)市民交流センターなるものを、10地区に整備するとして、そのための工事費2億8690万円が計上されていますが、これは運動団体などの新たな策動の拠点施設を作ろうというものだと言わなければなりません。特定地域に限定した施設整備は「特別扱い」そのものであり、計画は中止すべきであります。

 学校教育の分野では、学力充実や児童生徒支援を目的とした教員の加配が元同和推進校に偏って配置されるなど、従前の同和加配といえる状況が続けられています。これは直ちに止めるべきです。

 こうしたことがすすめられるのも結局、人権協会との関係を断ち切れないからであります。「同和行政の完全終結」を宣言して、人権協会との関係を断ち切るべきです。合わせて答弁を求めます。

 以上、質問を終わりますが、答弁のいかんによっては、再質問することを申し添えておきます。


再質問

 市長の答弁は、一言で言って、市民の切実な願いに背を向ける冷たいものであります。到底、納得できません。全ての点で再質問したいところであります。ここてでは、五点にわたって再質問をします。

 

 第一に「経費削減の取組み」についてであります。

 平松市長は、市会での決議を精査した上で一部修正を加えたものと言われましたが、有料化に派対する議会決議を踏みにじる言い訳に過ぎません。市長は、大阪市政の意思決定機関で市会の決議をないがしろにするつもりでしょうか。断じて認められません。まずは、このことをはっきりと申し上げておきます。

 平松市長は「財政難を口実に福祉を後退させる市政」をいつまで続けるつもりでしょうか。

 一昨年の参議院選挙では小泉改革に対して国民のノーの審判が下りました。最近では、鳩山総務大臣が三位一体改革について「急激にやり過ぎた。失敗の部分がある」と言い、谷垣元財務大臣も社会保障費の毎年2200億円もの削減は「いささか無理なところに来ているのではないか」と発言するなど、国政では、構造改革路線を見直す動きが出ているではありませんか。敬老パスや水道料金福祉措置にまで手を付けるのは幾らなんでもやりすぎであります。だから議会で反対決議が上がったのであります。

 敬老パスや水道料金福祉措置など市民サービス27項目見直しの予算圧縮幅は98億円であります。98億円を圧縮しなければ大阪市の財政はつぶれるのか。そんなことはありません。20年度末で約2600億円、28年度末で約3500億円にもなる起債償還基金から借入れをして、収支不足が最も大きくなる時期をやり繰りしたら良いではありませんか。関前市長でさえその手法を取ると言っていたのに、平松市長は公債償還基金からの借入れを自ら封じています。しかしこれにはまったく道理がありません。起債償還基金から借入れをして、市民サービス予算の98億円圧縮は回避するべきではありませんか。再度、お答え下さい。

 

 第二に、介護保険料の問題です。平松市長は保険料減額を拒否しましたが、政令市のなかでも名古屋市の市長さんは、「65億円の基金があるから、平成21年度の保険料は下がると考えるのが普通。お年寄り一人あたり年5千円保険料を取りすぎた計算になる」と述べておられます。さらに京都市も同様の考え方から、取過ぎた32億円を使って介護保険料を一人当り年3千円、引き下げております。このほかにも、神戸市や北九州市が保険料を引下げています。

 大阪市で試算してみますと、取過ぎ分の86億円を全額、保険料引下げに充てるなら、一人平均年5千円減額ができます。平松市長、他市でできることがなぜ大阪市ではできないんでしょうか。これは高齢者から取りすぎた分ですから返還するのは当たり前ではないでしょうか。再度、答弁を求めます。

 

 第三に、WTC大阪府売却に関連して、府と市が共同で発表した「都市構想」についてお聞きします。 この都市構想は、府庁のWTCへの移転は、咲洲夢洲の都市開発の起爆剤となるとしています。これは、破綻した「テクノポート大阪計画」に代わる新しい湾岸開発計画を、今度は府市連携で進めようと言うものであります。しかしこれまでこの地区の開発には、巨額の公金をつぎ込んだにもかかわらず、コスモスクウェア2期地区の土地は25%しか売れず、ATCもWTCも二度も三度も経営破たんに追い込まれたではありませんか。需要を見誤ったからであります。これまでさんざん破綻して来た計画を焼き直して、またぞろ、公金を投入しようなんてことは許されません。

 又、この都市構想は、関西広域での巨大開発につながるものと言わなければなりません。橋下知事と平松市長が共同記者会見をした時の説明資料がここにあります。その6ページ目は「ベイエリアと広域関西をつなぐインフラ」という表題になっていて、淀川左岸線延伸部を含む都市再生環状道路などの高速道路網の建設計画と、JRなにわ筋線や京阪電車中之島線延伸などの鉄道網の建設計画が掲載されているのであります。橋下知事の狙いがここにあることは明瞭ではありませんか。

 しかし、大規模なインフラ整備を進めるなら大阪の経済が活性化するという発想そのものが時代遅れではないでしょうか。21世紀は人口が減少する時代です。インフラは余って来ると言わなければなりません。そんななか大型公共事業を関西レベルで進めるなら、いま以上の規模で無駄が発生することになります。むしろ今決定的に遅れているのは、医療・福祉・教育・環境などの分野であり、ここに投資してこそ、雇用が確保でき、経済も発展します。無駄な大型開発を進めるテコとされるWTC府庁舎売却は、撤回すべきです。再度、答弁を求めます。

 

 第四に、梅田北ヤード2期地区の問題です。

 市長は「大阪市が単独で土地を買えば莫大な負担になる」から現実的でないと言って、2期地区全体を緑地公園にする提案を拒否いたしました。しかし、これはまったく貧困な発想であり、志の低い発想と言わなければなりません。

 市長は、昨年12月26日にある新聞が大きく特集した著名な建築家のインタビュー記事はお読みになられたでしょうか。この建築家は、要旨「20世紀の都市再開発のモデルは超高層ビルだったが、21世紀型の再開発は地面を大切にしなければならない」「(ハンガリーの首都)ブダペストの再開発では、歴史ある駅舎を残し、線路を地下化して地上は緑地にし・・文化、商業施設を点在させる案が採用された」「収益性を高めようとする鉛筆ビルばかりでは駄目だ」「(大阪駅北の一等地であの広さは)すごく大きい。まさに大阪が生きるか死ぬかだ。大阪市は財政事情が厳しいのなら国を巻き込んで構想を練るべきだ」と述べています。また、北ヤード開発のために2002年に行われた国際コンセプトコンペにはオランダの建築家集団が大阪トレードマークという作品を提案していますが、それは24haの敷地いっぱいに大公園を配してその中にミュージックホールやミュージアム、レストハウスなど文化施設を散在させたもので、そうしてこそ大阪の都市の公共空間を取り戻し、大阪人が誇りうるシンボルとなるとしています。

 経済界からも専門家からも「大阪駅周辺を救う最後のチャンスだ」という声が出ているのですから、ここはもう一度立ち止まって、色んな手法を駆使して、グリーンパークにするよう考え直すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 

 第五に、「緑の基本計画」について再度お聞きします。答弁からは「緑の基本計画」の目標輪を達成すると言う市長の決意は全く聞こえて来ませんでした。ゆとりみどり振興局に公園事業費がどうなっているかお聞きしました。そうすると、公園用地取得予算は2002年度に約113億円でしたが、2008年度はいくらかと言えばたったの8億円、何と14分の1に激減しています。2009年度は約30億円。これはNHKの跡地を買い戻すために予算が増えているからですが、それでも2002年度の約4分の1に過ぎません。用地費だけではなく、公園を整備する予算も、2002年度に47億円あったものが来年度予算では21億円、半分以下であります。これでは「緑の基本計画」は絵に描いた餅になってしまうではありませんか。

 私は「緑の基本計画」は、ヒートアイランド対策として、また地球環境問題への有効な施策として、是非とも達成しなければならないし、それは未来の大阪市民に対する重大な責任だと考えます。

 今大阪市は、財政危機を理由に公共事業費を減らしております。しかし公園事業費を、他の公共事業費と同列に扱うならば、将来に大きな禍根を残してしまいます。オール大阪市として、「緑の基本計画」を達成するためにも、公園事業費を抜本的に増やすよう政策を転換すべきではありませんか。

再度、ご答弁をお願いします。