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閉会本会議での上野とき子議員の 予算組み替え動議 |
上野とき子市会議員 2009年3月27日 |
私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2009年度大阪市一般会計等予算の組み替え動議を提出いたします。 動議の内容は、次の3点です。 第一に、「住民の福祉の増進を図る」という地方自治の原点に立ち、雇用や医療、福祉、教育、中小企業支援など、市民の切実な願いにこたえる施策を思い切って拡充することです。 第二に、ムダで環境を破壊する大型開発を抜本的に見直し、公共事業は市民のくらしに密着したものに切り替えることです。 第三に、差別の解消に逆行する同和行政は完全に終わらせることです。 以下、動議の理由を説明いたします。
第一は、百年に一度と言われる未曽有の経済危機に直面している今、265万市民にとって一番身近な大阪市は、市民のくらしを守るため、あらゆる努力をつくすことが求められているからです。 ところが本市は、2年間で27項目98億円もの市民サービスをカットする経費削減素案をうちだし、その後、撤回を求める市民の声や市会での決議を受け、敬老パスの有料化と上下水道料金減免制度の廃止、この二つについては修正した、などとしていますが、ほとんど見直していないではありませんか。 まず、難病患者見舞金の廃止をはじめ、経費削減案の予算への反映はやめるべきです。敬老パスにかかわるシステム設計予算4億2500万円は、敬老パスの有料化を前提にしたものであり、削除するのが当然です。 また、年金所得100万円で65歳以上の単身者の国民健康保険料が、この4年間で2.9倍にもはねあがるのをはじめ、高すぎる国保料は市民にとって耐えがたい負担となっており、一般会計からの繰り入れを増やし、軽減をはかることが必要です。86億円の剰余金が積み上がっている介護保険会計の現状を見れば、これを取り崩して、介護保険料を値下げするべきです。 同時に、若い世代の生活悪化が進むなか、保育所の役割がいっそう高まっており、必要な地域に適切な規模の保育所建設を急ぎ、待機児の解消をすすめることが重要です。子どもの医療費助成制度は、所得制限・一部負担をなくして、通院も小学校卒業まで広げることは、市民の強い願いです。 教育の分野では、全国70%以上の中学校で実施されている完全給食を、本市でも全校で実施するべきです。一人ひとりの子どもにていねいに目がいき届き、いじめの早期発見にもつながる少人数学級の拡充、日本一暑い大阪市で小中学校の普通教室へのクーラー設置も強く求められています。学校維持運営費の大幅削減など論外と言わなければなりません。これらのことは、「教育日本一」をかかげる平松市長として、当然ではありませんか。 第二は、90年代の大規模開発のツケが、本市財政を大きく圧迫し、WTCやATC、土地信託事業の破綻、阿倍野再開発事業の巨額の赤字など、いわゆる「負の遺産」処理に直面しているにもかかわらず、大型公共事業優先の姿勢を改めず、新年度も巨額の予算を盛り込んでいるからです。 とりわけ、5万トンを超える大型コンテナ船の大阪港への入港数が減少しているもとで、夢洲のスーパー中枢港湾づくりを見直さず、巨額の投資を継続させていることは重大です。北ヤード開発にかかわる新たな事業費の計上にも道理がありません。 また、旧阪神高速道路公団が、不採算路線だとして整備をあきらめていた淀川左岸線2期事業を、本市が、街路事業として建設を推進する必要はまったくありません。 その一方で、公園用地取得予算や公園整備予算をこの間大きく減らしています。生活道路と交通安全施設の整備予算も前年度にくらべ10億円の減額です。市営住宅や特別養護老人ホームの増設、抜本的な浸水対策などとともに、公共事業は市民のくらしに関連したものに振り向けるべきです。これは、中小企業の仕事を増やし、地域経済をあたためることにもつながります。
第三は、人権行政の名によって、特別対策を継続し、同和事業予算の削減は前年度からわずか4億7千万円にすぎないからです。 とりわけ、市民交流センターなるのものを地区内10ヵ所に整備するとして、そのための工事費3億円あまりを計上していることは重大です。運動団体の新たな拠点づくりとなりかねません。 同和行政の終結のためには、解同、人権協会との関係をキッパリと断ち切ることが不可欠です。人権文化センターの人権協会への委託は廃止し、旧同和校への教員の加配など、一切の特別扱いをやめるべきです。 以上、提案理由を申し上げまして、予算組み替え動議といたします。
「議案第26号平成21年度大阪市一般会計予算」等の組み替えを求める動議
「議案第26号平成21年度大阪市一般会計予算」「議案第33号平成21年度大阪市国民健康保険事業会計予算」「議案第36号平成21年度大阪市介護保険事業会計予算」「議案第39号平成21年度大阪市港営事業会計予算」「議案第41号平成21年度大阪市自動車運送事業会計予算」「議案第42号平成21年度大阪市高速鉄道事業会計予算」及び「議案第46号平成21年度大阪市公債費会計予算」について、市長は別紙要綱により、すみやかに組み替えを行い、再提出することを要求する。 2009年3月27日
大阪市会議長 多賀谷 俊史 様
(別紙) 難病患者見舞金の廃止など市民サービスをカットするとともに、市民が求めている国民健康保険料・介護保険料の値下げをおこなわないなど、市民には冷たい予算となっている。 その一方、スーパー中枢港湾づくりや淀川左岸線2期事業など、大型開発には手厚い予算を組んでいる。 また、同和行政の完全終結が待ったなしの課題になっているにもかかわらず、その見直しは一部にとどまっている。 したがって、ムダな大型開発や不公正な同和行政にかかわる予算は見直し、市民にあたたかい予算に組み替えるべきである。
1、市民のくらし、福祉、教育を優先した予算にする。
2、ムダな大型開発は中止し、市民に身近な公共投資を優先する。
3、同和行政は完全に終結する。
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