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市議団の実績

清水議員が開会本会議で

国民健康保険事業会計補正予算案の修正動議

清水ただし市会議員

2009年5月28日

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第93号、2009年度大阪市国民健康保険・事業会計補正予算案の修正を求める動議について御説明をいたします。

修正動議の内容は、2008年度の国民健康保険事業会計への2009年度歳入からの繰上充用の財源365億円の全額について、国庫補助金を充てるよう修正するというものです。

市長案では、繰上充用の財源について、半額の182億5千万円は2009年度の滞納保険料収納分を充て、残りの半額を国庫補助金に求めています。

我が党は、滞納保険料収納分については、国保料の支払いに苦しむ市民の今後の保険料軽減に充てるのが当然だと考え、この修正案によって、国保・加入者1人につき少なくとも1万円の国保料引き下げを、実現しようとするものです。

以下、4点にわたり、その根拠及び理由について申し述べます。

 第1は、国民健康保険法では、その第1条において、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定め、さらに第4条では、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない」と国の責務を明確に定めており、だれもが払える国保料にすることを国に義務づけているのです。このことからも、歳入が不足する、昨年度の国保事業会計には、全額、国庫補助金をあてるべきであります。

 第2に、あまりにも過酷で非情な本市の国保料の実態についてであります。2009年度の国保料は据え置きされたものの、2007年度に4.5%、2008年度に1.2%の引き上げが行われました。

本市では、保険料が払えない滞納世帯はいまや加入世帯の4件に1件となっており、保険証を取り上げられ、窓口で医療費の全額負担を強いられる資格証明書の発行も 1万2千世帯にのぼっています。中学生以下の子どもには短期保険証が届けられるよう改善されましたが、289人の高校生はいまだに資格証明書のままです。

この間の新型インフルエンザに関しては、高校生を中心に感染が確認されておりますが、無保険状態にある高校生の中で、仮に受診抑制が起こっていたとすれば、大変深刻であります。

なぜ、こんなに滞納世帯が増えているのでしょうか。ただでさえ、自民・公明政権のもとで、長引く不況と公的給付の切り下げによる所得の減収、さらには非正規雇用の増大と相次ぐ中小企業の倒産など、もはや市民生活の窮状は限界を超える事態となっているからなのです。

こんな時こそ、本市は国の悪政の防波堤となって市民生活を守ることに力尽くすべきであり、その点からも国保料の引き下げはまったなしの課題といえます。

私は、本会議に先立つ事前調査委員会におきまして、繰上げ充用に充てるとしている滞納保険料収納分のうち、例えば80億円を活用すれば、一人1万円の保険料引下げができると求めたのに対し、理事者は「応分の負担はお願いせざるを得ない」と、これを拒否しました。

しかし、本市では、40代夫婦2人、子ども2人の4人家族で所得200万円の場合、年間の国保料は37万3,000円にものぼるのであります。315万円の年収に対し、何と12%の負担であります。同じモデルケースでも、一般の社会保険の場合は14万6,000円ですから、実に2・5倍もの負担が市民に押し付けられているのであります。

これが応分といえるのでしょうか?

さて、平松市長、あなたの共済健保はいくらでしょうか?市長報酬に対するあなたの年間保険料負担割合は、わずか3.4%にすぎません。先ほどのモデル世帯と同じように、12%の保険料を賦課すると、年間保険料は309万円にもなるのです。いかに本市の国保料が高いかを認識するには、もう十分でしょう。ただちに引き下げるべきであります。

第3に、我が党が繰り返し指摘、批判してきた普通調整交付金のペナルティー減額であります。収納率低下や市独自施策などを理由にした交付金の減額を、国が一方的に行うペナルティー措置によって、本市の国保会計単年度赤字に重大な影響を与えていることがますます明瞭になってきました。

本年度には、ペナルティー減額の2分の1にあたる12億円が戻り調整交付金として本市に返還されることになっていますが、2003年度から2008年度までの6年間で、医療分だけのペナルティー減額は約147億円です。同時期の単年度赤字総額が54億円、差し引きすれば約93億円余るのです。この措置が、いかに国保事業の健全な運営を阻害しているかは改めて言うまでもありません。

本市としても、国に対して、このような不当で国民健康保険法の趣旨にも反する普通調整交付金のペナルティー減額措置を直ちに廃止するよう国に求めることは当然であり、従来の減額分についても補てんを要求すべきであります。

最後の第4に指摘したいのは、国保会計の財政悪化を招いている最大の原因についてであります。それは、政府が1984年に国庫支出金を45%から38.5%に大幅削減したことと、本市が一般会計からの繰入金を毎年減らしていることにあります。

国保会計の健全化を安定的に進めるために、国に対して国庫支出金による負担率をもとに戻すよう求めるのは当然です。そして、一般会計繰入金を増やしてでも保険料の軽減をはかることが、本市には求められているのです。それなのに前年度より4億円も減らしているではありませんか。言語道断であります。

本市では、WTCの二次破綻に象徴されるような無駄な大型開発や、先日裁判所より1億1千万円の支払い判決が出された芦原病院等に掛かる、乱脈な同和行政に、  惜しげもなく公金を投入してきました。その結果、市財政に多大な負の遺産をもたらし、市民生活にかかわる施策が切り捨てられることとなったのです。

これを抜本的に改め、必要な財政を投入してでも市民の命と健康を守る国民健康保険制度に改善することが必要で、自治体本来の責務を果たすべきであり、そのことが、市民の目線に立つ市政運営にもつながるのです。

以上、本修正動議に議員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明とさせていただきます。