title


市議団の実績

安達議員が、WTC問題解明のため百条委員会を提案

安達義孝市会議員

2010年3月26日

  私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました、議員提出議案第8号、WTCの建設推進の経過・特定調停ならびに会社更生法申請にいたる経過にかかる、調査特別委員会の設置についてご説明いたします。

 WTCの破綻処理については、この2月26日の開会本会議において、これに関する補正予算が、我が党が反対するなか、賛成多数により成立したことによって、銀行に対する損失補償424億円をはじめ、出資金や貸付金・敷金の毀損等により合計1000億円以上の莫大な損失を市民に負わせることとなりました。

 三セク破綻としては、他に例のない程の膨大な損害となった訳で、オープンから破綻に至るまでの経過に照らしても到底、市民の理解と納得など得られるものではありません。

 なぜ、こんな巨大ビルの建設を推進したのか、なぜ破たんし、莫大な市民負担を負わせることになったのか、その全容を解明し、原因と責任をはっきりさせることこそ、市民の負託に応えることであり、それができるのは、強力な調査権限を持つ百条委員会の調査において、ほかにありません。

 よって、ここに地方自治法第百条に定める調査特別委員会、すなわち刑事罰等の時効期間にとらわれることなく、過去にさかのぼって関係者の出頭や証言、並びに記録の提出を求め、正当な理由がなく、これを拒んだときは刑事罰を科すことができる、調査持別委員会の設置を提案する次第でありす。

 以下、提案理由について述べさせていただきます。

 第一は、WTC建設計画において、当初より大阪市がどの様に係わり、無謀な計画変更がどのようになされてきたのか、何一つ明らかにされていないからであります。

 そもそもWTC建設は、85年に三井物産から提案があり、89年に第3回大阪WTC推進協議会において、WTCビル事業計画が策定され、高さ150メートル、33階建て、総事業費480億円で進められていたものです。ところが、89年12月にコスモスクウェア地区再開発計画によって、容積率がそれまでの300%から600%に変更されたことを受けて、90年3月に高さ252メートル、55階建て、事業費が1200億に膨れ上がったのです。

 昨年3月の調査報告のまとめでも、「開業当初から過小資本・過大債務のスタートとなり、経営危機に陥ったことは必然ともいえる」とされ、これは投資のための計画としか考えようがないとまで、指摘されているのです。なぜ、このような無謀な計画変更がされたのか、大阪市はどのように係わったのか、明らかにしなければなりません。

 第二は、なぜ特定調停を選択したのか、その特定調停が、どうしてこれほど厳しいものになったのか、何一つ明らかにされていないからであります。
 20O4年の一次破綻の際、法的整理をすれば、被害は最小で済んだにもにもかかわらず、なぜ特定調停を選択したのか。
 第3セクター再建検討プロジェクトチームの報告では、WTCの再建には、銀行の債権放棄額は370億円必要とされていたにもかかわらず、どうして債権放棄額が137億円と大幅に減額されたのか、なんら解明されていません。

 市長は調査報告書のまとめで、「特定調停という手法を選択した経過や詳細は依然不明であり、WTCの存続ありきでスタートした特定調停であった」と指摘しながら、「全容解明と責任を明らかにする」ことを放棄したのであります。

 市長が責任を果たさない以上、議会が百条委員会の力を発揮して、市民の負託に応えなくてはなりません。

 第三は、特定調停にあたって、裁判所の鑑定書の内容を市民にも議会にも、なぜ秘匿したのか明らかになっていないからであります。

 後日、明らかにした鑑定書は「再建計画の確実性を高めるためには、市が地域開発の拠点として活用する計画の継続及び将来の資金不足に備えた実効性ある追加的な金融支援を検討する必要がある」と、結論付けられており、わが党が特定調停の審議を行なう上で、欠かすことができないとして、鑑定書の提出を強く求めたにもかかわらず、これを拒否し「再建計画は合理性がある」「不合理とはいえない」と書かれていると、繰り返すのみだったのであります。

 鑑定書の内容を言わば捻じ曲げて、二度と破綻させない、損失補償しても大丈夫と言つて、我々の反対を押し切って、特定調停を強行した、当時の市長と自民・公明・民主の旧オール与党の責任は、極めて重大であると言わなければなりません。裁判所の鑑定書をなぜ市民にも議会にも隠したのか、どういう意図があったのか、明らかにしなければなりません。

 第四は、なぜ会社更生法適用申請に追い込まれたのか、また85億円という超低価格での売却となったのか、経緯と責任が明らかになっていないからであります。

 なぜ特定調停後5年足らずで破綻し、会社更生法適用申請に至ったのか、再建計画では入居率93%を維持することが前提になっていたにもかかわらず、特定調停以後、市長部局と市関連団体の相次ぐ退去が破たんを早めた要因でありますが、どうして退去を止められなかったのか市の責任を明らかにすること。また、市長が橋本知事の尻馬にのって、府への売却一本やりできたことが、いくつかの企業からの、入居申し込みがあったにもかかわらず、それを逃し、結果として会社更生法適用申請せざるを得なくしたこと。同時に鑑定評価の度に、価格を引き下げられ、譲歩に譲歩を重ね、12OO億円ものWTCビルを、わずか85億円で売却して、市民負担を増大させた、平松市長と港湾局の責任を明らかにすることであります。

 以上、提案理由を申し上げてまいりましたが、事は1000億円を超える損害を市民に与えたという前代未聞の3セク破綻であります。オープンから最終破綻に至るまで、その全経過とその節々の責任の所在を明らかにすることは、本市会に課せられた責務であります。

 議員各位におかれましても、市民の負託に応え、伝家の宝刀、百条委員会の設置に是非とも賛同頂きますようお願い申し上げまして説明とさせていただきます。