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市議団の実績

尾上議員が国民健康保険事業会計の

補正予算案修正動議

尾上康雄市会議員

2010年5月28日

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第128号、2010年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算案の修正を求める動議について御説明をいたします。

修正動議の内容は、2009年度の国民健康保険事業会計への2010年度歳入からの繰上充用の財源376億円の全額について、国庫支出金を充てるよう修正するというものです。

市長案では、繰上充用の財源について、半額の188億円は2010年度の滞納保険料収納分を充て、残りの半額を国庫支出金に求めています。

我が党は、滞納保険料収納分については、国保料の支払いに苦しむ市民の今後の保険料軽減に充てるのが当然だと考え、この修正案によって、国保加入者1人につき、少なくとも1万円の国保料引き下げを実現しようとするものです。

まず、なぜ、繰上充用の財源の全額を国庫支出金に求めるべきか、その根拠及び理由について申し述べます。

 第1は、そもそも国民健康保険法では、その第1条において、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定め、さらに第4条では、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない」と、国保の健全運営に対する国の責務を明確に定めております。法の趣旨からみて、本市の昨年度までの国保事業会計での不足財源については、全額、国庫支出金を充てるべきだと考えるからであります。

第2は、国保会計の財政悪化を招いている原因は、1984年に国庫支出金を医療費の45%から38.5%へと大幅削減したことにつづき、事務費負担を全廃するなどの改悪がおこなわれ、国保会計にたいする国庫支出金の負担率が約50%から25%に半減したことにあります。その結果、国保を運営する自治体と、加入する被保険者の負担が大きく増え、国は、自らの役割を放棄し、矛盾のしわ寄せを自治体と被保険者に押し付けてきたからであります。だからこそ、本市の国保会計の健全化をはかるために、国に対して、国庫支出金の大幅な増額を求めていくのは当然のことであります。

第3は、さらにひどいことに、本来国保財政に入るべき国からの交付金が大幅にカットされる制度が国によってつくられ、本市では、毎年のように国保会計の赤字額を上回る交付金減額がおこなわれ、赤字を膨張させてきた最大の原因になっているからであります。

具体的には、保険料収納率の低下を理由とする普通調整交付金のペナルティー減額が、本市では1997年度から始まり、これまでの累計で248億円に達しています。そして、乳幼児医療費助成制度などの本市独自の施策実施などを理由にした調整交付金のペナルティー減額が、本市では1999年度から始まり、累計で126億円に達しています。合わせて374億円で、本市の累積赤字額376億円に匹敵します。

2004年度から2008年度までの直近5年間の決算でみれば、国保会計の収支は合計で25億9千万円の赤字に対して、調整交付金のペナルティー減額は139億円となり、このペナルティー減額がなければ、本市の国保会計は5年間で113億円も黒字となるのであります。国による一方的なペナルティー措置が、いかに国保事業の健全な運営を阻害しているかは、きわめて明瞭であります。

本市としても、国に対して、このような国民健康保険法の趣旨にも反する不当な普通調整交付金のペナルティー減額措置を、直ちに廃止するよう求めるとともに、従来の減額分についても「補てんせよ」と強く要求すべきであります。

次に、なぜ、繰上充用財源に充てようとしている過年度保険料収納分を、保険料引き下げに充てるべきか、その理由について申し述べます。

 それは、本市の国保料の実態が、被保険者にとってあまりにも過酷で非情なものになっているからであります。

2010年度の1人当りの国保料は、前年度同様の9万5,818円に据え置きされたものの、バブル経済絶頂の1990年度の6万0,074円に比べ、1.6倍にふくれあがっております。この間、国保加入世帯の収入は1.6倍に増えているどころか、大幅に減っているのが実態です。長引く深刻な不況に加えリーマンショックなどの影響で、中小自営業者の所得は激減し、倒産・廃業も相次ぎ、また、労働者派遣法の改悪で、大量に低所得の非正規雇用労働者が増加、さらに、年金生活者も税制改悪によって課税が強化され、手取り収入が減少しています。

加えて、2006年度から税額によって算定する方式から所得額で決めることとなったため、国保料がいっそう生活実態からかけ離れたものになってしまっているのです。

たとえば、年所得300万円の40歳代の単身世帯の今の国保料は、41万0,489円となり、所得の13.7%に達します。サラリーマンなどの被用者保険料に比べて約2.5倍も高くなっています。さらに、同じ年所得300万円の40歳代の夫婦と子供2人の4人世帯の国保料は、実に49万4,345円、所得の16.5%にものぼります。単身世帯の国保料に比べ、食費や教育費などの支出が多くなる4人世帯は、金額で約8万4000円、所得比率で2.8ポイントも高くなってしまっているのです。

だからこそ、保険料が払えない滞納世帯は、いまや加入世帯の3軒に1軒となっているのであります。こんな時こそ、本市は国の悪政の防波堤となって市民生活を守ることに力を尽くすべきであり、国保料の引き下げはまったなしの課題となっています。

以上、本修正動議に議員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明とさせていただきます。