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市議団の実績

開会本会議での、安達議員の

乳幼児等医療費助成条例案説明

安達義孝市会議員

2010年9月17日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただいま上程されました議員提出議案第22号「大阪市乳幼児等医療費助成条例(案)」について、提案理由とその内容について説明いたします。

 現行の本市乳幼児等医療費助成制度は、通院が小学校就学前、入院は入院時食事療養費を含め小学校卒業までとし、診療科目ごとに入院・通院各日あたり500円以内で月2日を限度に、一部自己負担を必要とするものです。さらに、所得制限によって約2割の乳幼児が助成対象から排除されるという不公平を生み出しています。

 わが党の条例改正案は、入院・通院および入院時食事療養費ともに中学校卒業までに年齢を引き上げるとともに、所得制限および一部負担金を撤廃し、すべての子どもが安心して医療を受けられるよう改善することであります。

 わが党は、総合的な子育て支援の実施を提案していますが、「子どもの貧困」をなくし安心して子どもを生み育てられる社会にするために、こども医療費については国による「無料制度」の創設を求めると同時に、本市においても、独自に実施するよう、繰り返し条例提案をおこなってきました。今回で21回目であります。

 本市でも総合的な子育て支援の要をなす重要な施策としての「乳幼児等医療費助成制度」を実効性ある制度に改善・拡充をおこなうよう提案するものであります。

 

 以下、提案理由です。

 第一に、今日の貧困と格差の広がりが、子どもを取り巻く生活環境や子育ての環境にも大きな影響をおよぼしているからであります。無保険の子どもをなくすことになったけれども、経済的理由によって医療を受けられない子ども達が未だ残されています。

 学校現場からは「病院での治療費が払えないために、学校の保健室に治療にくる児童が増えている」、全国保険医団体の調査でも「受診抑制」や「治療の中断」が増加していることが指摘されています。

 西区での痛ましすぎる幼児虐待事件をうけ、市長は虐待ゼロを宣言されました。全国児童相談所長会の恣皆調査で、「経済的な困難」が虐待につながる要因の第一位だったことをみても、子育て世帯の経済的負担の軽減は、有効で重要な虐待予防策の一つであることは明らかです。中学校卒業まで医療費の心配のない大阪市にすることは、虐待ゼロの取り組みの大きな一歩として、その決意を市民のみなさんにお示しする力となることは疑いありません。

 本市は、次世代を担う子どもたちを産み、健やかに育てる環境づくりの一環を担うものとして、市民の強い要望もあり、本制度を創設するとともに今日まで、7度の改善・拡充をされてきましたが、経済状況や社会状況の大きな変化の中、少子化対策を本格的に実効あるものにするためにも制度の抜本的改善・拡充が求められています。

 第2に、本制度が次世代を担う子どもたちを健やかに生み育てるという特別な位置づけがなされていることからしても、所得や環境で排除することがあってはなりません。すべての子どもたちに公平に助成されることが本制度の目的です。所得制限や一部負担金を撤廃することは、最も目的にふさわしいあり方ではないでしょうか。

 第3に、財源についてでありますが、本市は財政難を理由に経費削減に熱心ですが、財政難に陥った原因は、医療や福祉に経費をかけすぎたからではありません。むしろ、後回しにされてきたのが、この分野であります。本市は、「事務事業総点検」を行ない、経費削減で歳入不足を補うとして、福祉や教育などの予算の削減をおこなおうとしていますが、財政危機の原因は、破綻したWTCや阿倍野再開発などの大型開発に巨額の公金を投入してきたことにあります。

 言うまでもなく、子どもは社会のたからです。「子育て支援」を充実させること以上の「未来への投資」があるでしょうか。乳幼児等医療費助成制度の拡充は、地方自治法の精神に基づく自治体本来の仕事をするための財政投入ですから、無駄な大型開発と違って市民の皆さんから喜ばれることはあっても批判を受けることなどまったく心配ありません。

 わが党が提案する通院・入院ともに中学校卒業までに拡充するためには、厚生労働省の患者調査における受療率から試算したわが党の推計では20億円程度の予算を上積みすれば十分可能です。

 第4に、本制度は、福祉医療制度として住民の強い願いを背景に全国で急速に制度改善・拡充がされているからです。現在も引き続き改善・拡充をすすめている自治体が広がり、対象年齢引き上げが多数派になっているのが大きな特徴であります。すでに、東京都23区では、通院・入院とも中学校卒業までを助成対象にしています。全国政令市でも入院のみ中学校卒業まで助成を拡充している政令市は8市にまで広がり、8市のうち昨年10月からさいたま市が、本年7月から堺市が通院・入院とも中学校卒業までに改善・拡充しています。本市も改善・拡充を図るべきであります。

 以上提案理由を説明いたしました。

 議員各位におかれましても、ご賛同たまわり、可決・成立させていただきますようお願いし、条例提案の説明とさせていただきます。