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市議団の実績

国保料下げる予算に.瀬戸議員代表質問 市長ただす

本会議での瀬戸議員の代表質問と再質問

せと一正市会議員

2011年2月22日

 大阪市議会本会議が22日開かれ、日本共産党の瀬戸一正議員が代表質問に立ち、予算案や当面の施策等について平松邦夫市長の姿勢をただしました。代表質問 と市長答弁再質問全文

 予算案は、関西財界の意に沿って大阪駅周辺地区と湾岸部の夢洲・咲洲地区に巨額の公金をつき込む一方、中小企業支援の施策に乏しく、小中学校の教室へのクーラー設置や国民健康保険料引き下げなど住民の要求に背を向けるものとなっています。

 瀬戸議員は、大阪市が国保の滞納保険料徴収のために学資保険を差し押さえている問題で、子どもの教育・進学という目的で掛けられている学資保険を差し押さえることは行政としてやってはならないと中止を求めました。また、国保会計への一般会計からの任意繰り入れを増やし国保料を引き下げることも迫りました。

 中学校給食の実施では、2011年度からただちに実施するよう強く求め、少人数学級の拡大、小中学校普通教室へのクーラー設置も要求しました。瀬戸議員は、保育所の民間委託の中止や待機児童解消、認可保育所に入れない児童を受け入れてきた「亀の子ベビーセンター」への補助金の継続などを強く要望しました。

 平松市長は、国保料差し押さえ問題では、「適切な収納対策は保険者としての責務だと認識している」と答弁。クーラーの設置について、「夏に教室内の室温調査等を行い、必要性の高いところには2012年度から順次設置に取り組んでいく」と吝えました。また、中学校給食について、「選択方式での中学校給食を12年度から順次取り組み、13年度中に全校実施したい」とのべました。

(2011年2月23日付しんぶん赤旗)


代表質問と市長答弁

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表し、2011年度大阪市一般会計等予算案、ならびに当面する施策等について、平松市長に質問いたします。

 いま多くの国民のなかに政治と社会への深い閉塞感が広がっています。その根っこにあるものは何でしょうか。国民の暮らしの実情よりも、財界大企業の要求やアメリカの意向を優先させるという長年の古い政治の枠組みです。民主党政権はこの古い政治から脱却できず、わずか1年半で自民党政権とうり二つになってしまい、後期高齢者医療制度廃止などの公約を投げ捨てただけでなく、医療、介護、年金などの社会保障を切捨て、負担増を押付ける計画を次々と押付ける一方で、法人税減税で1兆5千億円ものバラマキをしながら、消費税増税とTPP・環太平洋連携協定という亡国の道を進もうとしています。地方政治の分野ではどうでしょうか。民主党政権はあたかも地方を大事にするかのように「地域主権改革」を唱えています。しかしが実際にやっていることは、自治体の独自の仕事を切捨て、社会保障や教育の分野での「住民福祉の機関」の役割さらにを弱め、「官から民へ」のかけ声で国と地方自治体の公的責任・公共サービスを投げ捨て民間任せにし、大企業呼び込みのために巨額の税金を投入して大企業の都合の良いように自治体を大規模化していくことなどです。これらは「住民の福祉と暮らしを守る」という自治体の原点を根底から覆すものだと言わなければなりません。

 

 こうして国が住民の暮らしを破壊する仕打ちをするなか、今大阪市に求められているのは、国の悪政から住民の暮らしと福祉を守る『防波堤』の役割を果たすことです。ところが平松市長が提案している2011年度予算案は、「大阪経済の活性化」と「住民自治の実現」を大きな柱にしたとしていますが、その中身は、関西財界の意に沿った成長戦略に基いて北ヤード地区と夢洲・咲洲地区には巨額の公金をつぎ込み淀川左岸線2期の建設を推進するなど「企業呼び込み」に重点を置く一方で、中小企業の営業を支援する施策にはまったく乏しく、大阪経済の再生にはほど遠いものです。また市民の暮らしの面では、民間委託や民営化、職員減らしなど自治体版構造改革路線を推進して公共の責任を放棄する一方で、クーラー設置や国保料引下げなどの住民の要求と声に背を向けるなど、「住民自治の実現」にも程遠いものです。到底、認めることはできません。このような予算案は撤回し、根本から組み替えるべきであります。 以下、こういう立場から、具体に質問いたします。

 

 第一の柱は、福祉と暮らしの問題です。まず国民健康保険料をめぐる問題についてお聞きします。

 先日、わが党の志位和夫委員長は予算委員会の基本質問で国保料の実態、所得300万円の4人家族、30歳代の両親と子ども2人の4人世帯の大阪市国保料が42万8700円、所得の1割以上にもなっている数字もあげて菅首相に「高すぎると思わないか」と質したところ首相は「かなり重いという感じはする」と答弁しました。国保料金はなぜこんなに高いのか。言うまでもありません。1984年に国庫負担が50%であったものをいま24%にまで減らしてきたからであり、民主党が「政権を取ったら国庫負担を9千億円増やす」と言っていたその公約を投げ捨てているからに外なりません。そこで市長に、国保料が高い第一の原因はなんだと認識しておられるのか、菅内閣にせめて国庫負担を9千億円増額するよう求めるべきではないか、この2点についてお聞きします。

 

 次に、厚生労働省が進めようとしている市町村国保の広域化という問題です。これは先日発表された「大阪維新の会」のマニフェストにも国保を大阪都に一元化すると明記されています。厚労省は「市町村国保は保険財政の規模が小さく不安定になりやすい」と言い、「維新の会」は「セーフティネットは広域行政が責任を持つべきだ」と言ってもっともらしい理由を並べています。しかしその狙いは市町村からの国保会計への公費繰入をやめさせることです。しかし市町村からの繰入を大阪全体でやめたとしたら平均で1世帯2万円料金が値上げされると試算されています。平松市長、国保料の大幅値上げに直結する国保広域化には反対するべきではありませんか。

 では、国保料を引下げるために大阪市として独自に何をしなければならないのか。これはもう明確です。この間減らしてきた任意繰入を増額して保険料を引下げるべきですし、保険料の軽減措置や減免措置も、今日の市民生活の窮迫の実態に応じたもの改善すべきです。合わせて答弁を求めます。

 国保の最後は、本市が、子どもの大学や高校の進学のために掛けている学資保険を財産として認定し1月末までに103世帯も差押さえている問題です。先日我が党委員が民生保健委員会でこの差押を撤回するよう市長に求めたところ、市長は「国税徴収法に則って厳正に処分すると担当部長が答弁したとおりだが103世帯には103通りの滞納をした事情がある」と述べられました。個別の事情を滞納者から聞くことはもちろん必要です。しかし親が国保料を滞納しているからと言って子どもからは国保証を取り上げないと決めたと同様、子どもの教育・進学のためという目的をもって掛けられている学資保険を差押えることはそもそも行政がやってはならないことではありませんか。また結果として差押に至ることはあるとしても差押自体を目的とするようなやり方は改めるべきではありませんか。合わせて答弁を求めます。


  (市長答弁)

 国民健康保険料についてでございますが、国民健康保険は、国民皆保険制度の中で、最も基本的な制度であり、市民の健康の保持増進に欠くことのできない重要な役割を果たしております。

 その事業運営につきましては、保険料と国庫支出金等で賄うことが原則であり、事業を安定して運営していくためには、被保険者にも応分の負担をお願いせざるを得ないものと考えております。

 しかしながら、その原則どおりでは保険料負担が大きくなることから、極めて厳しい財政状況の中ではありますが、平成23年度予算案においては、438億円もの市税等を一般会計から繰入れ、任意繰入についても前年度と比べ増加させ「るなど、被保険者の負担軽減を図っております。

 また、保険料の軽減や減免措置につきましては、災害や倒産、退職、営業不振などにより所得が前年と比較して3割以上減少した世帯に対する減免などを実施するほか、国の制度として、リストラなどで職を失った非自発的失業者に対する,保険料の軽減も行われております。

 この結果、平成23年度の医療分と後期高齢者支援金分を合わせた一人当たり平均保険料につきましては、高齢化の進展や、医療の高度化等により、本来であれば増額改定が必要となりますが、景気の動向等を勘案し、被保険者の負担増とならないよう、3年連続で据え置くことといたしております。

 なお、国庫負担率の引き上げにつきましては、国民健康保険財政基盤の拡充・強化を図るとともに、国の責任と負担において、実効ある措置を講じることを、全国市長会などを通じまして、機会あるごとに国に対して要望いたしております。

 国民健康保険の広域化についてでございますが、国民健康保険は、国民皆保険の最後の受け皿として極めて重要な役割を果たしておりますが、加入者に高齢者や低所得者が多く、財政基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱えております。

 また、被保険者の年齢構成や所得分布の差異が大きいこと、医療機関の偏在によって、医療給付費の格差が生じていることなどの問題も生じております。

 加えて、少子化の進展や社会情勢の変化に伴い、一市町村で長期に安定した運営を行うことは困難であり、このままでは国民皆保険の維持すら難しい状況となっております。

 更に、国民健康保険制度は、国民皆保険を支えるナショナルミニマムであると考えておりますので、これまでから、医療保険制度の一本化など抜本的な改革について、国に対して要望してきたところであります。

 このような中で、国の高齢者医療制度改革会議の「高齢者のための新たな医療制度等について」の最終とりまとめにおいて、国民健康保険の運営については、時期を定め、「全年齢を対象に都道府県単位化を図ることを法律上明記する」とされたところであります。

 この国民健康保険運営の都道府県単位での広域化を第一段階として、最終的には医療保険制度の一本化など抜本的な改革に向け、引き続き要望を重ねてまいります。

 滞納保険料の徴収にかかる差押えについてでございますが、国民健康保険料収入の確保は、単に財政面だけでなく、被保険者の負担の公平性を確保する観点からも重要であり、適切な収納対策は保険者としての責務であると認識しております。

 保険料滞納世帯に対しては、文書、電話、訪問などにより接触を図り、納付相談・納付指導を行う中で、個々の事情の把握に努め、できるだけ無理なく納付していただけるよう減免制度をお示しするなど、日頃から世帯の実情に見合ったきめ細かで、ていねいな対応を行っております。

 それでもなお、保険料を納めていただけない世帯に対しては、財産調査を行い、その結果、判明した財産が差押禁止財産に該当しないことや、その財産の状況などを慎重に審査したうえで、まず、差押予告を行い、保険料滞納世帯との接触を図り、個々の事情を十分お聞かせいただくとともに自主的な納付を促しております。

 これらによってもなお、特別な事情もなく保険料を納めていただけない場合は、関係法令に基づき、適正に差押え等の滞納処分を行っているところであり、学資保険につきましても、個々の事情を十分お聞きかせいただき、適切な対応に努めてまいります。


 

 次に、敬老パスと上下水道料金福祉措置の問題についてお聞きします。来年度予算案はこの二つの施策は現行どうり継続するものとなっています。これらを見直すという方針が出されたのが2004年ですから、敬老パスは廃止するなという市民の大きな運動と強い世論が7年間もこれを阻んだということになります。私どもの会派が昨年おこなった市民アンケートでも国保料引下げを求める声に続いて大きかったのが敬老パスと上下水道料金福祉措置を守れという声であります。ところが市長は2月7日の記者会見で「一昨年に一部有料化の提案をした」「23年度中にはもう一度議論を進めていかなければならない」と発言しています。これは敬老パス等の存続を求める市民の大きな声に背を向け有料化しようと言うことではありませんか。そうした考えは撤回すべきです。答弁を求めます。


  (答弁)

 敬老優待乗車証交付制度及び上下水道料金福祉措置についてでございますが、敬老優待乗車証交付制度につきましては、高齢者の方々に敬老の意を表すとともに、地域でのボランティア活動や友人たちとのふれあいなど、社会参加を促進し、元気でいつまでも御活躍いただく、高齢者の生きがい施策として重要な制度であると認識しております。

 今後、少子高齢化の一層の進展に伴い、本制度のみならず福祉施策全般にかかる経費が年々確実に増加してまいりますが、市税収入の大幅な回復が見込めない中、本市の財政状況は今後さらに厳しさを増し、このままでは本制度の存続は危ぶまれる状況にあると考えております。

 本制度につきましては、廃止するのではなく、今後も持続可能な制度として維持・継続していくため、市会や市民の皆様方の幅広い御意見をいただきながら、上下水道料金福祉措置を含め、引き続き具体的な方策について検討してまいりたいと考えております。


 

 第二の柱は、保育と教育など子育てについてであります。

 最初に乳幼児医療費公費助成制度についてお聞きします。来年度予算案には、入院費用の助成を中学校卒業までに引上げる、0〜2歳児において所得制限を廃止することが盛込まれました。これらは長年の大きな市民運動が実現させたものです。私たち日本共産党市会議員団も制度の創設とその改善を求めて21回も条例提案をして参りました。私たちは昨年12月の議会には入院通院とも中学校卒業にまで引上げるべきだと提案し我々以外の全会派のみなさんがこれを否決いたしました。

 今回実現した中学卒業までの入院費助成に必要な予算は年4700万円、0〜2歳児にたいする所得制限廃止は年1億3800万円というわずかなものであります。通院を現在の小学校入学前から中学校卒業にまで引上げることは私たちの試算では年18億円でできます。お隣の政令市になったばかりの堺市は昨年7月から入院通院とも中学卒業にまで引上げています。大阪都にしなくしても政令市で立派にできることを堺市は証明しています。市長 堺市でできて大阪市でできないなんておかしいじゃありませんか。通院についても中学校卒業にまで直ちに引上げるべきです。答弁を求めます。


  (答弁)

 乳幼児医療費助成制度についてでございますが、乳幼児の健全な育成に寄与することを目的に、平成5年10月、0歳の通院医療費と小学校就学前の6歳児までの入院医療費を助成の対象として制度を創設し、その後、順次対象年齢を拡充して制度の充実を図ってきたところです。

 現在は、小学校就学前の6歳児までの通院医療費及び小学校修了までの12歳児までの入院医療費について助成を実施し、子どもの健康の保持・増進に重要な役割を果たしているものと考えております。

 本市といたしましては、厳しい財政状況の中ではありますが、さらに、本市独自で、子育て家庭を支援するため、平成23年度から、入院医療費の助成について中学校修了まで拡充するとともに、0歳から2歳までの所得制限を撤廃いたします。

 次代を担うこどもの健やかな成長を支援するために、今後とも、医療、保健、福祉を含めた子育て家庭に対する支援を総合的に進めてまいりたいと考えております。


 

 次に保育についてお聞きします。政府が進めようとしている保育制度の大改悪、新システムの問題です。新システムは、直接契約・直接補助制度の導入、受益者負担を明記しており、多様な事業者の参入を促進するとして営利企業の参入に道を開いていますが、これは児童福祉法24条に定められた自治体の保育責任を放棄するものと言わなければなりません。さらに保育の制度が、介護保険や障害者自立支援法と同じように認定された保育時間のみのものになれば、それを超える保育は全額自己負担となり、最も保育を必要としている子どもたちや家族が必要な保育を受けられない事態が生まれることになります。市長、このような新システムの導入には反対すべきではありませんか。


  (答弁)

 「子ども・子育て新システム」についてでございますが、国におきましては、平成25年度の施行を目指して、制度の基本設計が検討されているところです。

 新システムの中で創設される「幼保一体給付(仮称)」につきましては、未就学期の保育と教育の枠組みを大きく変えるものであり、利用者、事業者、地方自治体に大きな影響を及ぼすと想定されます。

 指定都市市長会として、国に対して「子ども・子育て新システム」の制度設計にあたっては、十分な準備期間や財源を確保することなどの要請を行ったところであります。

引き続き国の検討内容を注視しつつ、他都市と連携しながら、必要に応じて国に要望してまいりたいと考えております。


 

 次に待機児解消の問題です。市長は、この3年間の集中的な対策により待機児童数は大幅に減少し大阪市は今や「待機児対策先進都市」になったと言われましたがとんでもありません。待機児が減ったと言ってもそれは、入所定員の弾力化や保育士配置基準の改悪、保育室の押入れまで保育する面積に入れることによって定員の拡大をするなど、ありとあらゆる「規制緩和」をして「詰め込み保育」をやってきたからであります。そのうえ、希望する保育所以外の保育所への入所を断った子どもは待機児にカウントせず、また行政区のなかで待機児がいる保育所があっても他の保育所でそれを上回る定員割れがあればその区は待機児がいない区だと勘定し、こうして計算した行政区の待機児数の合計をもって市全体の待機児童の人数にするなど、本当の待機児童数を過小に見せかける手法によって「待機児先進都市になった」と称しているのであります。こうした見せかけをやめ、実態にあった待機児数を明らかにして、真剣に待機児の解消に取り組むべきではありませんか。


  (答弁)

 保育所待機児童についてでございますが、この間、積極的に保育所を整備した結果、ピーク時には1364人であった待機児童数は、平成22年4月1日現在では205人と大幅に減少し、就学前児童数が7万人以上の政令指定都市7市の中で最も少なくなりました。

 平成23年度以降につきましては、子育て家庭の都心回帰傾向など、今後も増加すると見込まれる0歳から2歳の保育ニーズに先んじて対応するため、保育所整備を進めてまいります。

 また、年度途中入所対策など、多様な保育サービスの充実にも努めてまいります。

 今後とも、市民の方々のご協力もいただきながら、総合的に子育て支援策を推進してまいります。


 

 次は公立保育所の民間委託であります。これは引続き保護者のあいだに大きな怒りを広げています。大正北保育所の保護者のみなさんは、インターネットで保育所の民間委託についてのわが党議員の議事録を読んで「民間委託は保育の質を引下げるのではないか」との思いをいっそう強め、6500名もの署名を集め、民間委託中止を求めて議会に陳情書を提出しました。陳情は継続審議の扱いになりましたが、さらに署名の大幅上積をはかって民間委託の強行に「待った」をかけようと運動が大きく拡げています。大阪市は経費削減のしわ寄せを、大切な子供たちを育てる保育所に押し付けるべきではありません。保育所を民間委託する方針はただちに中止すべきだと考えますが、答弁を求めます。


  (答弁)

 公立保育所の民間委託の中止についてでございますが、本市では増大かつ多様化する保育ニーズに的確に対応するため、公立・民間双方の保育所がそれぞれの特色を活かした役割分担のもと、保育施策の推進に努めております。

 公立保育所は、障害児など配慮を要する児童の積極的な受入れなど地域のセーフテイーネットとしての役割や、在宅の子育て家庭を含むすべての子育て家庭への支援という大きな役割を担っており、今後より一層の機能充実が必要であります。このため、限られた人的・物的資源を有効に活用する観点から、公立保育所は70か所程度に集約化を図るとともに、残る公立保育所について、民間委託など再編整備を着実に推進してまいります


 

 次は、住吉区で39年間、認可保育所に入れない児童を受入れてきた「亀の子共同保育所」ベビーセンターを大阪市がつぶそうとしている問題です。4月から同区に二つの保育施設が開園するから「区内の待機児は解消される」というのが「こども青少年局」の言い分ですが、そこには入所希望者が殺到し保護者からは亀の子が閉鎖されたら「来年から預けるところがない」という悲痛な声が上がっています。そもそも亀の子は昨年10月に口頭で廃止通告を受けるまで、住吉区役所の保育担当課の窓口は2011年度は継続するという前提で対応がされており、区役所も「不可欠な存在」だとの認識を示していたのであります。唐突で理不尽な廃止決定を見直せの声は瞬く間に区全体に広がり、反対署名が区民の1割にも達する1万5千名も集まりました。市長はこれを無視されるのでしょうか。

 2月16日にテレビで亀の子の問題が報道され、その中で市長は「4月以降、0歳児・1歳児がどうなるかしっかりと把握した上で亀の子の補助金について指示したい」と語られました。そうであれば、住吉区では待機児童がさらに増加することが容易に想定できる状況にあるのですから、せめて来年度については実態に応じて亀の子の補助金を継続するべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 


  (答弁)

 亀の子ベビーセンターヘの補助金についてでございますが、家庭保育・ベビーセンターは、認可保育所の整備が迫いつかない昭和30年代に、保育所機能の補完的役割を担うものとして、実施要綱を定め、経過的な事業として市単独で助成してきたところです。

 亀の子ベビーセンターは、補助要綱で定める資格要件を満たさなくなることにより、本年度末に助成対象から外れる旨の説明を行うとともに、既に取消通知を送付しておりますが、入所児童への丁寧な対応を指示しております。

 住吉区には、本年度整備枠の約4分の1にあたる60人分を重点的に整備してまいりました。

 今後とも、保育ニーズヘの対応につきましては、認可保育所の整備等により取組んでまいります。


 

 次に少人数学級の実施についてであります。「子どもたちに豊かな教育を保障するためには少人数学級・30人学級の実施が必要だ」。これが大きな国民の世論になって民主党政権も小学校1・2年生は35人学級にすると言い出し来年度は1年生の分だけ予算化しました。大阪府では橋下知事が小学校1・2年生で実施されている35人学級を40人学級に戻すと言い出しましたが、35人学級になってその良さを実感しているPTAなど保護者や教育関係者のみなさんがこの暴挙に怒りの声をあげ、短期間に100万を超える反対署名を集めてこれを撤回させました。こういう中で大阪市は何をしなければならないのか。少人数学級を広げる側に大阪市も立つべきであります。その立場から、本市は独自に35人学級を小学3年生と中学1年生に広げるべきではありませんか。 


  (答弁)

 少人数学級の実施につきましては、後刻、教育委員会よりお答え申しあげます。


 

 次に、小中学校普通教室へのクーラー設置についてです。市長が提案した「空調設備導入を前提とした調査費2100万円の予算」に対して市民はいま怒りとともにあきれ返ったと声をあげています。

 今更なんで「夏季における教室内環境の調査研究」に時間を掛けなければならないのか。市民には到底理解ができません。京都市が、府下では枚方市、高槻市、四条畷市、茨木市が、すでに全小中学校の教室に付けています。府立高校にも市立高校にも付いているではありませんか。設置予算は全部に付けて103億円ほどです。市長みずから予算を修正してでも23年度から直ちに始めるべきではありませんか。ご答弁ください。


  (答弁)

 小中学校普通教室へのクーラー設置についてでございますが、子どもたちが安全で快適な学校生活を送り、集中して学習できる環境を整えることは重要です。

 その中でも特に小中学校の暑さ対策につきましては、学校では壁面緑化など様々な暑さ対策に取り組んでおりますが、昨年のような猛暑を越えて酷暑と言える異常な暑さを踏まえておく必要があると感じております。

 また、昨年の全会派一致の市会決議や先日の文教経済委員会において採択された大阪市PTA協議会の陳情書につきましても重く受け止めております。

 そこで、今年の夏に教室内の室温調査を行うとともに、壁面緑化等の組み合わせによる環境に配慮した効果的な暑さ対策の調査を行ってまいります。その結果を踏まえ、教育環境のさらなる充実が図れるよう空調設置に向け最適な暑さ対策を検討し、秋には方針の策定を行い、必要性の高いところには24年度から順次空調機の設置に取り組んでまいります。


 

 次に、中学校給食の実施についてです。市長は予算案提案説明で「中学校昼食事業につきましては、選択方式による中学校給食の実施に向けて、食育の推進に取り組んで参ります」と言われました。これはどういう日本語なんでしょうか。要するに昼食事業、すなわち弁当販売の事業を通じて食育の推進をするが、来年度は中学校給食の実施については何もしませんよということではないでしょうか。

 私は教育委員会が実施した「中学校での昼食に関するアンケート調査」を見て胸が痛む思いがしました。全128校から1クラスを抜粋しての4782人に対する調査ですが「お昼ご飯を食べていない」という生徒が48人1.1%いるんです。本市全体で推計すると600人にもなります。なかには家庭の事情で昼ご飯を食べることができない生徒さんもいたのではないでしょうか。教育委員会は昼食が食べられない生徒にどう食育をすると言うんでしょうか。市長あなたは「任期中に中学校給食をやりたい」と言っていました。公約を投げ捨てるんですか。今すぐに実施すべきです。答弁下さい。


  (答弁)

 中学校給食についてでございますが、私は就任当初より、食育の観点から、選択方式での中学校給食を早急に全校で実施したいと申し続けてまいりました。

 現在、教育委員会が定めた方針に基づき、家庭弁当との選択制による民間デリバり―方式での中学校給食の実施をめざしているところでございます。

 その第一歩として、昼食提供事業を市内全中学校で実施するなど着実に前進しております。

 中学校給食の実施につきましては、市会の決議や市民、小中学生の保護者からの実施を望む声を踏まえ、実施工程の検討を行い、24年度から順次取組み、25年度中の全校実施に向けて進めてまいります。


 

 第三の柱は、雇用と中小企業対策、本市の取るべき経済成長戦略についてであります。

 青年の雇用はいま過去最悪の超氷河期に突入したと言われています。不思議でならないのはこんなに青年の雇用情勢が悪化している一方で「景気は回復しつつある」「資本金10億円以上の大企業は昨年度11兆円も内部留保金を増やした」と言われ、先週の日経新聞が関西の上場企業の連結経常利益が前年同期比で41%増加したと報じている点であります。大手企業は自らの利潤追求には熱心だが雇用ついての社会的責任はまったく果たしていないのではないでしょうか。いま市長に求められるのは、在阪の大手企業に青年を雇用する社会的責任を果たせと申し入れることではないでしょうか。


  (答弁)

 青年の雇用についてでございますが、昨年11月に、大阪労働局、大阪府、大阪市や労働・教育関係団体などで構成する「大阪新卒者就職応援本部」において、新卒者の緊急雇用対策をより効果的に実施するため、経済団体に対して新卒者の採用枠拡大や選考活動の早期化の是正などを要請したところでございます。

 さらに、12月には、大阪雇用対策会議でも新卒者を含む若年者に重点を置いて、ミスマッチ解消に向けた就職支援の取組を進めることといたしました。

 引き続き、国・府等と連携し、教育委員会ともども、さまざまな機会を通して就職未決定者の採用を働きかけていくことが重要であると考えております。


 

 また大阪市として何をしなければならないのか。私たちは、就職先が決まらずに卒業する高校生については市が短期雇用して職業訓練を受けさせる制度をつくるべきだ、大阪市内の企業が高卒者を採用すれば市が助成する制度を作るべきだと提案して来ましたが、今こそ踏み切るべきではありませんか。合わせてご答弁ください。


  (答弁)

 就職未決定の高校生の職業訓練制度についてでございますが、本市では、本年度より39歳以下の若者が市内中小企業において働きながら知識と技能を習得して、常用雇用につなげる「大阪市ジョブアタック事業」を実施しております。

 平成23年度には、募集人数を今年度の250人からl,150人と大幅に拡充し、そのうち250人の採用を、本年4月から開始いたしますが、今春卒業予定の未就職者については最優先で受け入れることとしております。

 また、来春卒業予定の未就職者の受け皿として、年度をまたいで実施するなど、切れ目のない就職支援を行うことにより、新卒未就職者の雇用につなげてまいりたいと考えております。

 高校新卒者採用のための中小企業への補助金についてでございますが、国の緊急雇用対策では、新卒者支援の強化を大きな柱に位置づけて、求人開拓や雇用のミスマッチの解消をめざして、国、自治体、関係団体等と連携して取組を推進することとされております。

 本市におきましても、「大阪市ジョプアタック事業」により企業魅力を発信し、優れた人材を求める企業とのマッチングを行うことにより中小企業を支援しているところであります。

 お尋ねの補助金につきましては、厳しい財政状況のもと、本市独自に実施するのは困難なところでありますが、こうした中小企業の支援を通じて効果的な雇用施策を進めてまいります。


 

 次は、大阪市が自ら「官製ワーキングプア」を作り出している問題です。

 生活保護のケースワーカー1008人のうち219人は任期付職員であります。保育所では正規保育士と同じ仕事をしているのに年収約200万円ほどで臨時的任用など非正規の形で働いている保育士が4割にも達しています。市バスの民間委託先の運輸振興株式会社の運転手は市職員運転手の半分以下の給与でしかも1年契約、安定した雇用はまったく保証されていません。交通局地下鉄の駅舎清掃作業では低価格入札に歯止めを掛けないからフルタイムで働いても生活保護費と変わらない賃金が横行しています。市長、行政コストを下げるためには官製ワーキングプアが生まれても仕方ないという考え方が間違っているのではありませんか。ここを正すべきではありませんか。大阪市が発注する公共工事や事業の低価格競争を防止するよう入札制度を抜本的に改善すべきであります。野田市に続き政令指定都市の川崎市が制定した公契約条例を大阪市も制定すべきではありませんか。合わせて答弁ください。


  (答弁)

 本市事業にかかる労働条件についてでございますが、本市では、多様化・複雑化する市民ニーズに柔軟に対応するため、臨時的任用職員や任期付職員等を活用しており、今後も、最も効果的な業務執行方法を追求しながら、必要な行政サービスの提供に努めてまいります。

 また、公共事業では適正な履行が確保されないおそれや従事する労働者の賃金へのしわ寄せが懸念されることから、これまで最低制限価格の見直しを進めてまいりました。さらに、本市発注の公共事業の契約相手方に対し、労働基準法をはじめとする関係法令の規定を守ることを契約書に明記し、義務付けるとともに、法令違反が明らかになった場合には、当該事業者に対して、指名停止措置要綱に基づく措置を講じるほか、厳正に対処する等の様々な制度改善に取り組んでまいりました。今後とも労働者の賃金・労働条件の確保に努めてまいります

 次に低価格競争を防止する入札制度の改善についてでございますが、これまで入札契約制度につきましては、公正性・透明性・競争性の向上を図りつつ、市民の視点に立った制度であることを基本理念としてまいりました。

 さらに、現下の厳しい経済状況を鑑みますと、市内中小企業が活発に活動し、発展していくためには、過度に低廉な価格競争を防止し、従事者にしわ寄せがいかないよう対策を講じることが急務であると認識しており、そのような視点から必要な契約制度の改正に取り組んでまいります。

 次に、公契約条例の制定についてでございますが、本来、賃金労働条件の基準は国全体の施策として実施しなければ効果が薄いため、国において定めるべきものであると考えております。また、公契約条例による賃金水準では、施工能力があるにもかかわらず、経営余力が十分でなく、賃金水準を高く設定できない中小企業者が、結果的に入札から排除されるなど、課題も多くあることから慎重な対応が必要であると考えております。また価格以外を評価できる総合評価一般競争入札制度の拡充により、課題の解消が図られるよう検討してまいりたいと考えております。

 今後とも公契約に関する国の動向も注視しながら、適正な契約制度の確立に努めてまいります。


 

 次に、大阪市の経済成長戦略と中小企業対策についてお聞きします。

 市長は「大阪市経済成長戦略」に基いて大阪駅周辺地区と夢洲・咲洲の臨海部を大阪経済の二つのエンジンとする予算案を提案し、両地域を「国際戦略総合特区」にする、各種の規制を緩和し、法人税等の軽減や財政上、金融上の特例的な支援をして企業を呼込むと言っています。今わが国の大企業は海外にどんどん流出していますがその主要な動機は企業減税などのインセンティブがあるからでしょうか。そうではなく市場がありモノが売れるからであります。しかもわが国の大手企業は今「金が余って使い道に困っている」のであってそんな大手企業に減税などの優遇措置を与えても大阪に企業が集まる保障はどこにもないのではありませんか。

 さらに、大阪駅北地区の先行開発地区に「知の集積エリア」をつくる、そこで技術や製品の開発を進める「オープン・イノベーションの拠点」を形成するとして、その開設準備委員会の設置費用など3億円余りが予算計上されています。準備委員会の委員は大学の先生の外は、NTT、パナソニック、大阪化ガス、積水などの大企業の面々であります。そもそも「オープンイノベーション」というのは「企業が必要に応じて他社の技術やアイデアを組合わせて新しい商品や技術を生み出す」ことだと言われており、すでに大阪ガスやパナソニックなど多くの民間大手企業が手がけている事業であります。そんなところに大阪市がわさわざ市民の税金をつぎ込む必要はないのではありませんか。

 合わせてご答弁ください。


  (答弁)

 「国際戦略総合特区」についてでございますが、本市では、これまでも規制緩和や助成金等のインセンティブを活用し、企業誘致を推進してまいりました。

 具体的には、うめきた地区などI2地区を、容積率等を緩和する「都市再生特区」に指定し、民間開発事業者の開発を促進するとともに、助成金の活用などを通じ、リチウム二次電池の大規模先端工場を始め、民間企業の本社や研究所、大学などを誘致してまいりました。

 国では、来年度、規制緩和や税財政・金融上の支援措置等の充実・強化を総合的に盛込んだ「国際戦略総合特区」の地域指定を予定しており、その指定を確実なものとし、グローバル企業などの誘致を、強力に進めることができる環境整備に努めてまいります。

 

 (仮称)大阪オープン・イノベーション・ヴイレッジについてでございますが、経済のグローバル化やニーズの多様化等に的確に対応しつつ、新たな製品などを創出していくためには、多様な主体の持つ技術力を組み合わせる「知の連鎖」を通じて、技術力向上や研究開発のスピードアップを実現する「オープン・イノベーション」が重要となっています。

 こうした取組みには、例えば、技術面で競争的関係にある企業等が知的財産権の侵害を懸念することなく参画できる中立的な環境の構築が大切で、本市のような公共セクターの積極的な関与が必要不可欠となっており独自の技術等を持つ中堅・中小企業が新たな成長分野へ挑戦できるよう、できる限りの支援を行ってまいります。


 

 大阪経済を真に活性化させ復興させる道は、大手企業に対する手厚い支援策ではありません。企業を呼込めば大阪が発展する式の破綻済みの施策ではありません。大阪経済の主人公である中小企業をこそ行政が応援する仕組みをつくることであり、そうした予算を組むことであります。

 具体にお聞きします。昨年政府は「中小企業憲章」を閣議決定しました。そこでは、中小企業は「経済を牽引する力であり、社会の主役である」と位置付け、「政府が中核となり、国の総力を挙げて」中小企業施策を進めると宣言されています。わが会派は1999年と2002年の二度にわたって「中小企業等振興基本条例」案を提案しています。中小企業の町、大阪市でこそ、中小企業支援を市政の中心に据えるために「中小企業等振興基本条例」を制定すべきではありませんか。 


  (答弁)

 中小企業等振興基本条例についてでございますが、本市では、経済主体である企業が活発に活動し、持続的に発展できる都市の実現をめざして、中小企業の経営課題の解決や経営力・技術力強化の支援、成長産業分野や海外市場への参入の支援など、中小企業振興策に幅広く取り組んでおります。

 中小企業支援にかかる条例の制定につきましては、市会をはじめ各方面から広くご意見、ご議論をいただきながら検討してまいります。


 

 次に融資制度の問題です。国は原油・原材料高騰が起きた2008年10月に緊急保証制度をスタートさせ、対象の拡大・要件の緩和を繰り返し、昨年2月からは「景気対応緊急保証制度」として中小企業のほぼ全業種・82業種を対象に実施してきました。ところが政府はこれをこの3月末で打ち切り10月からは約20業種に縮小しようとしています。経済局は「国が制度を打ち切るんだから仕方ない」と言っていますが、大阪市として国に制度の延長を求めるとともに、独自の対策を取るべきではないでしょうか。

 


  (答弁)

 景気対応緊急融資制度の延長を国に求めるとともに、市独自の緊急融資制度をつくる対策についてでございますが、本市では、平成2010月末の緊急融資の開始から本年1月末までの23ヵ月で、約29,000件、5,700億円の保証承諾を行っており、厳しい経営環境にあった市内中小企業の資金調達を支えてまいりました。

 今年度の月平均申込金額は、開始当初と比べ10分の1程度となるなど、落ち着いた状況となっております。

 国の景気対応緊急保証制度が22年度末で期限を迎える中、本市では、経営安定のための制度融資や小企業者向けの独自融資を引き続き活用し、今後とも市内中小企業の資金需要に的確に応えてまいります。


 

 さて、私たちが大阪の経済を活性化させる方策の一つとして提案しているのが「住宅リフォーム助成条例」です。この制度はいま全国で200近い自治体に広がり4月からは政令市の相模原市でもスタートします。京都の与謝野町では2009年度から、住居を新改築する町民へ、町内に本社本店を置く業者に発注することを条件に、費用の15%を20万円を限度に助成する制度を開始しましたが、持ち家の12%に1億4196万円を助成し、町内の建築業者の7割にあたる147社が22億円近くの工事を受注し、助成額の約15倍の経済効果をあげています。私たちは昨年12月議会に、費用の10%を50万円を限度に助成する条例案を提案しました。これを50億の予算規模で行い全員が50万円の助成を受ければ、市内で1万件、行政区平均で416件のリフォーム工事が町の大工さんや工務店に発注されることになります。市長、こうしたことにこそ予算を注ぐべきではありませんか。


  (答弁)

 住宅リフォーム助成条例についてでございますが、中小企業は大阪経済の主要な担い手であり、その成長・発展に向けては、事業継続や経営力強化を図ることが重要であると認識しております。

 そのため、産業創造館において経営相談や販路開拓支援を、工業研究所において、ものづくりの技術支援を行っているほか、制度融資の実施による資金調達の支援など、幅広い施策を実施しているところです。

 また、本市では、安心・安全、環境配慮などの観点から、耐震化の促進、高齢者の生活支援にかかる住宅の改修やりフォームヘの助成を実施しております。


 

 第四の柱は、無駄な大型開発は中止してうるおいのある町づくりを進める問題です。

 まず、咲洲・夢洲の街づくりについてお聞きします。市長は来年度を「国際コンテナ戦略港湾・元年」と位置づけて、コンテナ貨物の海上輸送シフト助成、インランドポート事業化調査、夢洲コンテナターミナルへ貸付、主航路を水深14mから15mに浚渫するなど合わせて21億5500万円の予算を組んでいます。しかし港を立派にしたら企業や貨物が集まるわけではありません。経済の一番大きな推進エンジンである個人消費をはじめとする内需を喚起してこそ大阪と関西の経済が活性化し港に企業も貨物も集まります。市長、国際コンテナ戦略港湾はまず港湾づくりありきものであって戦略そのものが間違っているのではないでしょうか。


  (答弁)

 国際コンテナ戦略港湾についてでございますが、グローバル化が進展している世界経済のなかで、日本の産業の国際競争力や雇用の確保のためには、港湾の国際競争力の強化は不可欠であります。

 また、大阪ベイエリアでは、環境・エネルギー関連産業が集積しつつあり、それらの産業の国際競争力を維持するためにも、大阪市と神戸市との緊密な連携により、阪神港の基幹航路の充実など、その機能強化を図ることが重要であります。

 そのため、航路の整備とともに、内航フィーダー網の強化などによる「集荷」、産業の立地による「創荷」など、国際コンテナ戦略港湾の取り組みを進め、圏域全体の発展に貢献してまいります。


 

 もう一点は、需要も定かでない夢洲先行開発地区に工業用水道を敷設するなどの基盤整備に10億7700万円も計上していることです。大阪府・大阪市と関西財界が立ち上げた「咲洲・舞洲街づくり推進協議会」は「先行開発地区」40haに新エネルギー産業等を集めるとして基盤整備を急がせていますが、咲洲など既存の港湾局の造成地は全く売れていません。今年度は売却見込み予算89億円に対して新規に売れたのはたったの4400万円という惨状であります。加えて言えば、液晶テレビの基盤を製造するアサヒ硝子が住之江区の関西電力跡地に工場を建てる時に本市は大阪湾をパネルベイにする企業を誘致できたと言って補助金30億円を準備しました。しかし当初の313億円を投資する計画は1期133億円で打切りになってしまいました。市長、呼び込み型開発に多額の公金を投入するやり方はもういい加減、改めるべきではありませんか。合わせて答弁を求めます。


  (答弁)

 夢洲先行開発地区の基盤整備についてでございますが、港湾や空港、高速道路など交通インフラが充実している大阪ベイエリアでは、リチウムイオン電池などの2次電池や太陽光パネル等の先端産業の工場や大型物流施設の立地が進んでいる状況にあります。

 本市の経済成長戦略の重点戦略エリアである臨海部の夢洲では、こうした企業動向を的確に捉えるとともに、国際コンテナ戦略港湾の中核となるコンテナターミナルに隣接した大規模産業用地を確保できるといった強みを最大限活かして、環境・エネルギー関連や物流施設等の立地促進のための企業誘致に積極的に取り組んでまいります。そのため、先行開発地区において、必要な道路などの基盤整備を着実に進めてまいります。


 

 次に、咲洲夢洲街づくり推進協議会の「中間とりまとめ」で「中長期的な課題」とされた広域交通インフラ整備についてお聞きします。高速道路淀川左岸線延伸部となにわ筋線の問題です。左岸線延伸部は北区中津と守口までの約9km地下トンネル高速道路であり事業費は3500億円と言われています。これから人口減少社会に向かいしかも高齢化で自動車交通の総量が小さくなると予測されるなかこれ以上の高速道路建設は全く必要ありません。難波筋線はどうか。今JR東海道支線地下化事業が都市計画決定されようとしていますが、完成して新しい大阪駅から「はるか」を走らせれば関空まで約45分だと言われています。JR関空快速では70分かかりますから15分短縮できることになります。一方で難波筋線は大阪駅から関空まで40分で走るそうです。これは「はるか」と比べて5分の短縮にしかなりません。5分のために3000億円もかけるんでしょうか。橋下知事は大阪市の地下鉄を売ってでも左岸線延伸部を建設すると言い、大阪都をつくれば指揮官が一人で広域インフラの整備を進められると言っています。要するに破綻済みで時代遅れの大型開発をもっと大機規模にやりたいということではないでしょうか。市長は、左岸線延伸部と難波筋線の計画にはきっぱりと反対するべきではありませんか。

 次に、来年度予算案に1億円もの詳細設計予算が計上されているJR東海道支線の連続立体交差事業についてお聞きします。これは、現在梅田北ヤードの西端を走っているJR東海道支線を、1期の先行開発地区と2期地区の真ん中に位置を移して地下化し、JR大阪駅の北側の地下に新駅を建設するというもので総事業費690億円とされていますが、大阪市がいくら負担するのか明らかにされていません。140〜50億円との報道もあります。建設局は踏み切りを解消することや鉄道により分断された市街地の一体化を図るための事業だから本市も負担するという説明ですが、それらは言わば副産物であって主要な事業目的は、JR東海道株式会社とヤードの土地を保有している会社、さらには開発事業者やここに立地する大手企業が儲けをあげることではないでしょうか。従ってJR東海道支線地下化の事業費は基本的にはこられの民間企業に負担させるべきであります。答弁を求めます。


  (答弁)

 JR東海道線支線地下化についてでございますが、うめきた地区の2期開発を円滑に進めるためには、道路や広場、東海道線支線の地下化・新駅設置などの都市基盤施設の整備が必要不可欠であります。現在、これらの都市基盤施設について、都市計画の手続きを進めており、平成31年度の地下化切替・新駅開業をめざしております。

 この地下化や新駅設置につきましては、梅田ターミナルから関空までの所要時間の大幅な短縮や、地域分断の解消、踏切除却による交通混雑の緩和、さらには梅田地区において東西の新たな動線の創出など、周辺地域への波及効果が大きく、また民間開発の誘発も期待される事業であります。

 そのため、本市も一定の費用負担を行ないつつ、その最小化をめざし、開発利益の還元などを地権者や鉄道事業者に強く求めてまいります。そして、都市基盤施設の整備を着実に進め、大阪・関西の成長をけん引する新しい国際拠点の形成をめざしてまいります。

 広域交通インフラ整備についてでございますが、議員お尋ねの淀川左岸線延伸部につきましては、都心部での交通混雑の緩和や、市街地環境の改善に資するだけでなく、第二京阪道路などを介して大阪湾岸地域と名神高速道路とを結ぶ、広域交通ネットワークの強化にも資する重要な路線であり、大阪・関西の経済成長に果たす役割は大きなものがあると認識しています。

 一方、現行の事業制度では多額の地方負担が必要となりますことから、本市では、都市圏高速道路の一体的な運営や、償還期間の延長などを骨子とする新たな事業制度を、関係自治体ともども、国に提案しているところであります。

 また、なにわ筋線につきましては、現段階では、国土軸と関西国際空港とを結び、大阪を南北に貫く広域的な鉄道ネットワークを強化する、広域的・国家的な役割を担う路線であると認識しております。

 このため、国家戦略的な観点から、整備に伴う効果の検証と併せて、国費を重点投資するとともに、受益に見合った負担となるような、新たな事業制度の創設について国に要望しているところであります。

 府県域を越えて、経済活動が広域化しつつある現在、大阪・関西の発展を確かなものとするためには、人・モノの円滑な流れを保証し、確保することのできる広域交通インフラの充実・強化が必要であり、今後も、引き続き、このような取組みを積み重ねてまいります。


 

 次に、バス事業と赤バスについてお聞きします。高齢化が進行する中で、買い物、通院などの移動が困難な「交通弱者」が増えています。こうした人たちが最も頼りにしているのが市バスです。ところが大阪市は市バスの拡充をおこなうどころか、アクションプランにおいてバス路線の縮小と赤バスについては全面的な廃止を計画しています。しかし利用者の大きな廃止反対の声が拡がり赤バスの廃止をさらに一年延長せざるを得なくなりました。「廃止を前提とした路線再編」では市民の理解はとうてい得られません。赤バスは廃止ありきではなく市民の声に耳を傾けながら路線の見直しなど、乗客増に向けての改善をはかりつつ、基本的に存続させるべきではありませんか。

 我が党は市民の「交通権」を守るためにも名古屋市や仙台市なみに一般会計からのバス事業への繰り入れと、地下鉄会計からの適切な支援を求めてきましたが、本予算案は一般会計から繰り入れを増やすどころか、本来、一般会計から地下鉄会計に繰り入れるべき特例債償還補助金を半分も削っています。まさに本末転倒であり、同補助金は規定どおり繰り入れすべきです。


  (答弁)

 赤バスについてでございますが、アクションプランにおきまして、現状の赤バスサービスは廃止することとしておりますが、一方で、目標値を設定しながら、地域の皆さまと十分に協議し、需要の喚起や運行効率の向上が期待できる運行回数や運行ルート等の見直しを含めた利用促進に努めているところでございます。

 こうした取組の結果、目標値を超えるご利用がある場合はバスサービスを維持することとし、目標値を超えるご利用がない場合についても、交通不便な地域が生じないようバス路線の再編に努め、その上で、更なる地域の移動ニーズがある場合については、地域の自主的な取組をサポートする対応策を検討してまいりたいと考えております。 

 地下鉄事業への繰出しについてでございますが、独立採算制の原則のもと経営される公営企業会計への繰出金につきましては、その経営の実態に応じて、繰出すことができるとされております。

 一般会計におきましては、中期的な財政収支概算で、依然として非常に厳しい財政状況が見込まれるなか、地下鉄事業の経営収支は黒字基調が続き、平成22年度に初めて累積黒字化するとともに、今後も資金剰余が見込まれております。

 こうした状況を踏まえ、地下鉄事業の経営健全化に資するため発行された特例債の元利償還に対する補助を減額する一方、市民・利用者の安全・安心対策等にかかる補助につきましては、引き続き、基準どおり全額繰出すことといたしております。


 

 次に、私の地元此花区の街づくり、正蓮寺川公園についてお聞きします。

 この公園は、此花区のど真ん中を東西に流れる正蓮寺川を埋め立てて地下トンネル構造で建設されている阪神高速道路淀川左岸線の上にできる大きな公園であります。淀川左岸線は当初、掘割構造で都市計画決定されたために公害持込みはまかりならんという住民運動が起き、2002年に掘割構造からフタ掛け構造すなわちトンネル構造に計画変更が行われました。トンネルの二ヶ所の換気所から出る排気ガス対策としてこれも長年住民が強く求めてきた脱硝装置についてもようやく阪神高速がこれを設置することになりました。此花区民の世論が行政を動かした画期的な街づくりであります。

 正蓮寺川公園は幅50mから100m長さ3km近くで広さが18.8haあります。約19haと言えば中之島公園の約9haの倍、動物園をのぞく天王寺公園の約17haを上回る面積です。これほどの公園ですからその整備に当たっては一行政区の公園としてではなく大阪市として位置づけなければなりません。私は平成9年と14年の代表質問で二度に渡って「正蓮寺川公園に大きなせせらぎを復活させ、大阪市内の新しい名所となるような桜千本並木の公園に」と提案しました。正連寺川公園の桜千本並木を、毛馬桜之宮公園の造幣局の通り抜け、中之島から中央市場のところまで続く安藤忠雄さんの「平成の桜並木」につなぐならば大きな「桜の花、緑と水の回廊」ができます。

 市長は2月11日に開かれた此花区でのタウンミーティングにおいて、此花区地域振興会会長の「予算をつけて立派な公園にしていただきたい」という趣旨の質問に対して「経費はかなり莫大なものになると思われ財政難の問題はあるが、そこに夢を持ちたい」と答えられましたが、こうした方向の街づくりこそ大阪市に今求められているのではないでしょうか。市長の見解をお聞きします。


  (答弁)

 正蓮寺川公園についてでございますが、総合的な環境整備が求められていた正蓮寺川を埋め立て、阪神高速道路淀川左岸線を地下構造で建設することによって生まれる上部空間を公園として整備するもので、平成14年に現在の区域に都市計画変更を行っています。

 現在、阪神高速道路株式会社において、正蓮寺川の埋め立てと高速道路の躯体部分の工事を行っており、工事完了後、上部の公園等の整備に着手する予定でございます。

 この正蓮寺川公園は、約19haにも及ぶ公園で、地域はもとより広域的なレクリエーション空間となるばかりでなく、防災性の向上や環境改善にも資する公園となるものと考えており、この間、整備内容などについて様々なご意見やご要望をお聞きしているところでございます。

 現下の大変厳しい財政状況を踏まえ、市民の皆様方のご意見、ご協力もいただきながら、潤いと緑のある公園となるよう取り組んでまいりたいと考えております。


 

 最後に、暮らしや福祉、中小企業の経営を支援する財源をいかにつくるかという問題です。

 2011年度予算版の「中期的な財政収支概算」が発表され、向こう9年間で2700億円の収支不足見込みが一挙に1500億円圧縮され、8年間で1200億円の収支不足見込みになりました。「経済情勢が激変した、当初以上の経費削減が見込めるようになった」とのことですが、詰まるところ2700億円の収支不足が財政当局による過大な見込みであったということではありませんか。

 ところが今後どう収支均衡させるのかと言えば、2700億円の収支不足見込みの時と同じ「税収回復、生活保護費の措置不足解消、新たな市政改革の取組みによる年300億円」というフレームを掲げ、税収と生活保護費の関係はすぐには実現しないからタイムラグを置いて効果を計算する、しかし、経費削減だけは新たに年84億円の効果を見込む、すなわち実際に2012年度から新たに84億円分の経費削減をやるという財政計画になっています。これで行きますと「他都市比較で金額の大きなものから削る」、すなわち敬老パス等の市民サービス見直しは必至になるのではありませんか。

 そうした収支不足を理由にした市民サービス切捨てではなく、3年先に4311億円にも膨れ上がる公債償還基金から毎年84億円、8年間で672億円を一時借入れをすれば、市民サービスを削らなくて済む道があるではありませんか。今後9年間の公債費は年平均で3365億円にも膨れあがります。実はそれが1200億円もの収支不足に陥るそもそもの一番大きな原因であります。しかもその公債費は10年目以降、ドーンと減るんですから、その減った分で、一時借り入れをした672億円は十分に返済できます。

 市長 今こそこの財政の見通しを市民に明らかにして、多くの自治体と同様に「賢い」財政運営に切り替えて暮らしや福祉、中小企業の経営を支援する財源をつくるべきではありませんか。


  (答弁)

 昨年の「中期的な財政収支概算」についてでございますが、前回版では、世界的な景気悪化を受け、法人市民税が大幅に落ち込むものと見込んでおりました。

 しかしながら、今回の収支概算では、税収の一定の改善が見込まれることに加え、これまでの要望効果もあり、国において地方交付税など地方一般財源の総額が確保されたことにより、今回版の一般財源見込み額を約750億円上方修正いたしました。

 また、執行状況の精査などによる経費圧縮や起債の低利調達、生活保護費の適正化などに取組んだことにより、約800億円の収支改善を図り、あわせて累積収支不足が1,200億円にまで改善される見込みとなったものであります。

 決して、前回版は収支不足を過大に見込んだものではございません。

 「新たな市政改革」による収支改善についてでございますが、今後ます

ます少子・高齢化、グローバル化が進むなど、社会経済情勢が大きく変化する中にあって、大阪市の地域社会や市民生活を根底から捉え直す必要があります。

 「新たな市政改革」ではこのような状況をふまえ、多様な協働によって、大阪市民が持つ力、これまで積み上げてきた資産を、地域の個性や時代の要請に合ったものに新しく組み立て直し、またコミュニティを再生することで、現在の閉塞状況を打破し市民がより幸せに豊かに暮らすまちを目指してまいります。

 こうした取組みを支える持続可能な行財政基盤の構築に向けて、収入の確保はもとより、総人件費の抑制、外郭団体等の見直しやムダの排除の徹底を図りますとともに、市民サービスをはじめ、施策・事業について単純に見直すということではなく、市民にとって真に必要かどうかをもとに選択と集中を進め、再構築に取り組んでまいります。 

 公債償還基金からの借り入れについてでございますが、公債償還基金は将来の起債償還のための貴重な財源であり、確実に積み立て直すことができる目途のない状態で、安易に借り入れを行うことは、将来に負担を先送りすることにもなりかねません。

 また、本市がこれまで維持してきた「財政規律」を一気に後退させることにもなりかねないことから、その是非については、慎重に検討しなければなりません。

 今回試算した「中期的な財政収支概算」は、前回版に比べ大幅に改善しておりますものの、30年度における単年度収支は依然として180億円の不足となっております。これらを踏まえ、今後、「新たな市政改革基本方針」の実行と成長戦略による大阪経済の活性化などに取り組み、補てん財源に依存しない財政構造の構築をめざしながら、市民福祉の向上に努めてまいります。


 

以上質問といたしますが、答弁の如何によっては再質問することを申し添えて私の質問を終わります。

 


再質問

 ただ今の市長と教育長の答弁は一言で言って、市民の切実な願いに背を向ける大変冷たいものであり、すべての点で再質問したいところですが、ここでは4点にわたって再質問いたします。

 

第一に、国民健康保険の滞納保険料に対する差押の問題です。市長は学資保険の差押えについては、事実上やむをえないと答弁されました。市長には、わが身を削ってでも学資保険を掛ける保護者、親の気持ちがお分かりにならないのでしょうか。向学心をもって進学したいという青年の希望を踏みにじっても構わないとでもおっしゃるのでしょうか。私はお聞きしたい。市長は大阪市の国保を預かる身として学資保険まで差押することに胸が痛まないのでしょうか。胸が痛むとすれば学資保険は差押対象から外すべきです。これが一点です。

 

 国保料の第二点は、市長は、滞納保険料の徴収は、個別事情も聞きながら、適切にやっていると答弁をされましたが、実態は違います。平成22年1月31日時点での、国保料滞納者に対する財産調査は実に、5万4627世帯に達しておりそのうち差押をした世帯が446世帯であります。ここに「平成23年度未集金対策の目標及び主な取組み」というものがありますがここに、「国民健康保険料収納特別チーム」による取組みとして「差押等の滞納処分を厳正に実施」「差押 2000世帯 矢印 4000世帯」と書かれています。今年度は1月末時点で差押は446世帯だけれど、これを3月末に2000世帯にする、23年度はそれを倍の4000世帯にする、こういうことでしょ。現に、差押件数の目標を持ってそれを追及することまでやっているではありませんか。市長、差押目標までもって滞納整理を進めるというやり方は中止するべきではありませんか。

 

 国保料の三点目は、大阪市は真剣に国保料引下げの努力をするべきではないかということです。

 大阪市国保の加入世帯は直近の2009年度で約49万6千世帯ですが、1ヶ月以上の滞納がある世帯は約14万1千世帯、実に28.7%にも達しています。国保担当者は「多くの加入者は高くてもまじめに保険料を払っている。払わないほうが悪いんだ」と言いますが、3割近くの加入者が滞納に追い込まれているのであります。国保担当者はよく悪質滞納者という言い方をします。しかし滞納している人が悪質なんではなくて、払えないほど高い保険料の方がよほど悪質なんじゃありませんか。 市長は一般会計から多額の繰入をしていると言いましたが、大阪市の独自の繰入すなわち任意繰入額は、後期高齢者医療制度の導入後を見ても2008年度に215億円であったのに来年度予算案では198億円に17億円も減らしています。市長、学資保険まで差押えなくてもいいように、加入者の3割近くに達するほど滞納者が増えているわけですから、任意繰入をせめて2009年度と同額にまで増やして保険料を引下げるべきではありませんか。以上、国保については三点、答弁を求めます。

 

 第二に、敬老パスと上下水道料金福祉措置の市民サービスについて、再度お聞きします。

 市長の答弁は、敬老パスと水道料金については24年度からの有料化や改悪を否定しないものでした。私はここに「大阪維新の会」が1月24日に発表したマニフェストを持ってきました。これを見ますと、現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供しますと書いてあります。維新の会のみなさんがこれらの市民要求を掲げるのはいいことですが、しかしマニフェストにはこれらの財源をどう生み出すのか、中核市なみの権限と財源を与えると書かれていますが、大阪都と特別区の間でどんな税収・税目をどんなふうに配分するのかについてはまったく明らかにされていませんから、これではまったく財源の保証がないではないか、こう言わなければなりません。

 市長、私はこれまでも市長に何度か直接、申し上げました。橋下知事の人気が高いのは、一つには大阪市が基礎自治体として、市民の願いをかなえることをやっていない、市民サービスを後退させようとしているからですよ、大阪市政の怠慢とそれに対する市民の怒りに訴えているんですよと。

 大阪市は基礎自治体としてしっかり市民の願いに答えるべきであります。敬老パスについても水道料金福祉措置についても、私が先ほど申上げた「賢い」財政運営、4000億円にもなる公債償還基金、これは活用できる言わば「貯金」なんだから、これを活用して一番きつい時を上手にやり繰りするならば、有料化も制度改悪もしなくて済みます。市長、大阪都構想などと言うまやかしではなく、あなたがしっかりと、市民のまともな願いを実現する「福祉の増進に努める」べき基礎自治体の長として、市民に対する責任を果たすという立場に立てば、敬老パスなどの市民サービスは守ることが出来るんではありませんか。再度、答弁を求めます。

 

 第三は、亀の子ベビーセンターの問題です。市長の答弁は、亀の子の補助金は継続しないが、現に入所している子どもの行く先については丁寧に対応していくというものでした。しかし市長、お母さんたちが心配していたことが現実に起きております。亀の子に在籍している0、1、2歳の4人のお子さんに、第三希望の保育所まで記入していた方も含めて、昨日、入所保留の通知が届きました。この子供たちは亀の子が閉鎖されたら4月から預け先がなくなるではありませんか。

 先に紹介したテレビの市長ご自身の「亀の子の0歳児・1歳児がどうなるのかしっかりと把握した上で補助金について指示したい」との発言に照らしても、やはり住吉区には亀の子ベビーセンターの役割がある、補助金は継続すべきだということになるのではないでしょうか。再度の答弁を求めます。

 

 第四に、政府の「景気対応緊急保証制度」の打切り方針への対応についてです。

 市長は「景気対応緊急保証制度」の廃止に対して、独自の対応はしないと答弁されました。

 全国一の中小企業の町の市長としてそれで良いんでしょうか。

 政府は「景気対応緊急保証制度」を3月末で打切り、今の82業種から48業種に絞った「激変緩和」措置をとった後、10月から約20業種に縮小する方針ですが、お隣の京都市と京都府はこの対象から外れる業者向けの新融資制度をこの4月1日から始めます。政府の激変緩和から外された一般飲食店や食料品製造業など34業種を対称にした「経営支援緊急融資」で、年利は2.1%、返済期間は10年以内に抑えられています。京都市の都市産業政策課は「急に足下を取り払われては困る人が多く生まれるので踏み切った」としています。市長、大阪市としても「景気対応緊急保証制度」から外される業種の中小企業に対して、何らかの独自融資に踏み切るべきではありませんか。

 以上、再質問といたします。