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市議団の実績

わたし議員の、一般会計予算案に対する反対討論

わたし考一市会議員

2011年3月16日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2011年度大阪市一般会計予算案に対する予算組み替え動議に賛成し、原案に反対する討論を行います。

 いま、日本経済は、大企業の経営さえよくなれば、市民の暮らしもそのうちよくなるだろうという国の誤った施策のもと、大企業が急激な業績回復をとげる一方で、働く人の年収は12年間で61万円も下がるという、国際的にも例をみないゆがんだ構造となっています。また、大阪では、失業率が全国最高水準で推移し、中小企業の倒産で市内事業所数はかつての27万事業所から20万事業所へと激減しているのであります。

 こうした中で、本市には、国の政治のあり方に是正を求めつつ、自らは住民の福祉の増進に努め、暮らしを守るという地方自治体本来の役割を発揮することが、強く求められているのであります。

 ところが本予算案は、成長エンジンと称して梅北地区と夢洲・咲洲地区には巨額の公金をつぎ込み、淀川左岸線2期の建設などを推進する一方で、中小企業の営業を支援する施策にはまったく乏しく、大阪経済の「成長」にはほど遠いものとなっているのであります。また市民の暮らし応援の面では、市営住宅建設や国保料引下げなど、住民の要求と声に背を向けるものであり、到底、認めることはできません。

 以下、具体的に指摘します。

 

第1に市民の暮らしや福祉についてであります。

 まず、国民健康保険についてです。

 今、大阪市では、国保加入世帯のうち約30%の世帯が保険料を滞納するという、異常な事態となっています。その原因は、市民の生活実態からみて「余りにも高すぎる国保料」になっているからであります。

 わが党委員は、サラリーマンが加入する「協会けんぽ大阪」の健康保険料に比べ、大阪市の国保料が軒並み2倍以上になっている実態を示しました。たとえば、所得200万円の夫婦子どもの4人世帯では、介護分を含む国保料が、実に所得の19%、37万9000円にもなるのであります。「協会けんぽ大阪」の健康保険料16万9000円より21万円も高く、なんと2.2倍であります。こういう事実を示し、国保料の引き下げの検討を求めたのに対し、平松市長は、「制度上の矛盾がある」と答弁しただけで、市民の生活実態に見合う国保料への引き下げの検討を拒否したのであります。

 その一方では、昨年5月、健康福祉局内に「国保料収納特別チーム」を立ち上げ、保険証を人質にして国保料の納付を迫り、大量の「無保険状態の市民」をつくりだすとともに、無差別に財産調査をかけ、問答無用の財産差押えを次々と強行しているのであります。

 こんなやり方で、来年度は14万7000世帯まで財産調査を拡大し、4000世帯での差押えを想定しているのであります。こんなひどいやり方は断じて認めることができません。

 

 次に、ごみ焼却工場の独立採算制をめざす公営企業化についてであります。

 本予算案では、2013年度を目途に、公営企業化の検討業務委託費が計上されていますが、これは「ごみ減量」という本市の大方針と明らかに矛盾するものであります。

 独立採算制を取れば、「収益を増やし、経費を削減する」ということを追求するのが当然となります。「ごみ減量」を推進すれば、売電収益・手数料収益がどんどん減ることになります。そうなれば公営企業の経営面からは「ごみ減量」にブレーキをかける作用が働くことは、誰が考えても明らかであります。「ごみ減量」が進んでも手数料収益を落とさずに確保しようとすれば、手数料を高くするか手数料徴収の対象を拡大するということになり、家庭の一般ごみ収集の有料化にもつながります。

こんな全国に例のない「ごみ焼却工場の公営企業化」の検討はやめるべきであると、強く求めるものであります。

 

 続いて保育所待機児解消問題です。

 市長は大阪市の待機児童は2010年4月時点で205人であり「待機児解消先進都市」であると自画自賛しましたが、とんでもありません。厚生労働省発表の昨年10月時点における大阪市の待機児童数は1060人で、政令市で5番目に多くなっているではありませんか。また、今年の入所申込み状況でみると当局の不十分な資料から想定しても、入所をあきらめざるを得ない人たちが1600人以上にものぼるとみられ、とても待機児解消先進都市とは言えず、待機児先進都市といわなければならない状況です。今後、都市部を中心に子どもを保育所に預けて働きたい、また、働かねばならないという希望者が増える事が予想されており、引き続き必要な地域に必要な保育所の増設に取り組むべきであります。

 さらに、亀の子ベビーセンターの存続問題であります。我が党委員は住吉区の来年度一斉入所募集では674名の申し込みがあり、申込者の希望する保育所を全く考慮しないでカウントしても247名の待機児がでることを資料で示し、保育需要が充足されていないことは明らかであると指摘しました。そのうえで要綱但し書きを適用し、ベビーセンターへの補助金の継続を強く求めたのにたいして、これを拒否したのであります。到底、認めるわけにはいきません。

 

第2に教育の問題についてであります。

 まず、待望されている小中学校の一般教室にクーラーを設置する問題についてであります。市長は来年からクーラー設置をすると答弁されましたが、なぜ今年から設置しないのでしょうか?。今さら2100万円もかけて教室内の室温調査なのか、まったく理解できません。この2100万円はまったくムダな意味のない予算であり、クーラー設置に使うべきであります。今年から西向きの教室など必要性の高いところから順次クーラーを設置するよう求めておきます。                                               

 次に学校維持運営費についてであります。

 学校維持運営費は、学校法で学校設置者の責務とされ、その上限額については定めがないというのが特徴であります。それだけに、教育に対する学校設置者の熱意がもっとも反映する分野だといわれています。

 本市の来年度学校維持運営費予算は、度重なる経費削減にもとづき、2008年度予算から23億円も減額されているのであります。これで、「教育日本一を目指す」と標榜することができるのでしょうか。とんでもありません。

 わが党委員が、教室の割れた窓ガラスの修繕さえままならない事や、品質の悪いザラ紙のために輪転機で印刷もうまくできず、プリントの作成に余分な時間がかかるなどの実態を明らかにしました。また、子供たちもマットや跳び箱など、傷がつかないように遠慮がちに運動をするなど涙ぐましい事態がおきていることも紹介し、減額された学校維持運営費を少なくとも2年前の金額に戻すべきだと強く求めたにもかかわらず、これを冷たく拒否したのであります。言語同断と言わなければなりません。

 

第3に中小企業支援の施策についてであります。

 まず、公契約条例の問題です。わが党委員が、全体で2152件、916億円にのぼる大阪市の官公需の受注により、仕事をする中小企業の営業と労働者の生活を保障していくためにも「公契約条例」の制定の必要性をと求めたのに対して、理事者は「入札制度に最低制限価額を設ける」ことで官製ワーキングプアなどが解決されるかのような答弁をおこないました。しかし、その保証は全くありません。だからこそ、全国で公契約条例を制定する動きが広がりつつあるのです。

官公需によって、まともに働いても暮らせない現状を解決するために、一定の賃金水準を保証する「公契約条例」の制定を強く求めておきます。

 次に、中小企業支援のひとつとして我が党が提案している住宅リフォーム助成制度の問題です。この制度は、長期に続く経済不況のなかで、自宅のリフォームを願ってもなかなかふみきれない多くの市民に喜ばれるとともに、仕事がなくて困っている中小工務店・街の大工さんにも仕事おこしになると歓迎され、全国ですでに200近くの自治体でこの制度がスタートしています。我が党は国会でこの制度への国の支援を求めたところ、菅首相は「住宅リフォームの推進はきわめて重要」「社会資本整備総合交付金を活用することができ、今後ともこのような取り組みを支援していく」という答弁を行っております。委員会質疑で我が党委員はこのことも紹介して本市としても積極的に取り組むべきではないかと質しましたが、当局はまったく消極的な答弁をおこないました。これでは、市民の福祉の向上にも、中小企業対策にも、きわめて後ろ向きだと言われても仕方がないと言わなければなりません。

 

第4に交通・水道事業に関連して述べておきます。

 まず、一般会計から地下鉄会計に繰り出す特例債の償還補助金を半分も削っている問題であります。これらの補助金は国の交付税措置もされており、将来においては地下鉄8号線延伸や、可動式ホーム柵などの原資になるものであります。また、バス事業に対してまともな補助金も出さず、一般会計が苦しいからといって安易にこうした補助金を削る事はやめるべきであります。

 また、水道会計に対する一般会計からの繰り出し金についてであります。私が水道会計はかつての70億円前後の黒字額が、今後半分以下の20億円前後で推移すると想定されており、管路の耐震化を促進するためにも繰り出し金をだすべきと質したのに対し、理事者はこれを拒否したのであります。到底認める事はできません。

 なお、委員会質疑後におきた東日本大地震は、震災に強いまちづくりの重要性を私たちに投げかけました。水道については、私が委員会で強調したように、東南海、南海地震に備え、少なくとも660キロbにも及ぶ耐震性の低い鋳鉄管の更新を全市あげて早急に取り組むべきであり、また、震災時にライフライン復旧の中心部隊となる水道局や建設局をいつまでも臨海部におく事は将来に禍根を残す事になると改めて強調しておきます。

 

第5にムダな大型開発について指摘をしておきます。

 まず、広域交通インフラ整備についてであります。市長は「府県域を越えて、経済活動が広域化しつつあり、大阪・関西の発展を確かなものとするためには広域交通インフラの整備が必要」と答弁されましたが、経済活動はとうの昔から関西だけではなく、世界的な広域化が進められており、いまさら、なにをか言わんやであります。我が党委員が指摘したように淀川左岸線延伸部は北港JCTから門真JCTまで、たった4分縮めるために3500億円の費用、1分あたり875億円です。なにわ筋線は大阪駅から関空まで5分縮めるために4000億円、1分あたり800億円もの費用を必要とする「壮大なムダづかい」にほかなりません。市長、インフラを整備すれば大阪が発展するというような「神話」にしがみつくのは、いい加減にやめるべきではないですか。大阪経済の発展のためには、内需拡大の施策充実こそ必要であります。

 また、JR東海道線支線・地下化についての事業費は基本的にJRを中心とする事業者が負担するのが当然であり、本市が無原則的な負担をすべきではないことを付言しておきます。

 

 次に、国際戦略港湾づくりについてであります。

 これは国交省の肝いりで北米など基幹航路の維持強化をうたい文句に、日本海側等の港湾から釜山を経由して北米等に輸出入されているコンテナ貨物を、阪神港等にもってくるというものであります。

 一方で、国交省は、現在、日本海側で個別の港湾から釜山等に輸送されている貨物を、日本海側で拠点になる港湾を選定して、そこへ集中させて基幹航路に乗せるという計画も同時に進めています。これは、貨物を阪神港にもってくるという国際戦略港湾とは、あきらかに矛盾したプロジェクトであります。

 こういう中で、大阪港においては、北陸等の諸港から出入りしている貨物を取り込もうと、琵琶湖の東岸地域に内陸集荷拠点、いわゆるインランドポートをつくるための調査費の予算まで組んでいるのであります。我が党委員が、こうした事は日本経済にとって何らプラスにならないばかりか、モーダルシフトのかけ声とは逆にトラック輸送に依存し、環境にもマイナスとなると同時に、何よりも、またぞろムダな税金投入となるではないかと指摘したにもかかわらず、当局は頑迷にも、これに固執する答弁に終始したのであります。

 そもそも大阪港は、中国をはじめアジア諸国との貿易の増大によって発展してきたのであります。今や中国、香港、韓国、台湾3カ国、4地域だけで実に輸出の79.4%、輸入の82.8%を占めており、逆にアメリカのシェアは輸出の5.6%、輸入の2.4%にすぎないのであります。

 国際戦略港湾などは、元々こうした貿易実態にそぐわないのであって、しっかりと現実を踏まえた着実な取り組みを期すべきと申し上げておきます。

  

 最後に財政運営のあり方についてであります。

今回新たに発表された2011年度予算版の「中期的な財政収支概算」では、2018年度までの収支不足額について1200億円と下方修正され、収支不足をどうまかなうのかの財政計画が示されています。計画では「新たな市政改革による経費の削減」が毎年120億円、2012年度からはさらに毎年84億円の経費削減を予定しています。

この84億円に係って平松市長は「2011年度に市民サービスには手を付けなかったが、2012年度にはもう一度、議論を新たにさせていただきたい」と記者会見で言われました。この点について我が党委員が議会の決議を尊重し「市長は敬老パスを守る立場にたつべきではないか」と質したのに対して、市長はこれを拒否したのであります。要するに市長選挙後には敬老パスなどの市民サービス改悪にのりだそうということに外なりません。

我が党は市民サービスの改悪をしなくても小学校300校分の余剰土地の活用や、公債償還基金からの一時借り入れなどで収支不足はのりきれると提案しています。これは負担の先送りなどではありません。大阪市が90年代に我が党の指摘にまったく耳をかたむけようとせず、身の丈をこえる莫大な公共投資をおこなったそのツケを市民におしつけるのではなく、収支の平準化をはかり、市民サービスを維持すべきとの立場から提案しているものであります。実際に中央市場では、資本費平準化債なるものを発行して、市長の言葉でいえば「負担の先送り」をおこない、一年間の負担を少なくしてしのいでいるではありませんか。

本市の公債償還基金は2011年度予算案で3432億円、2016年度には4311億円にもなり、毎年84億円、8年間で672億円の一時借入れは充分可能であります。横浜市では実際に「国が求めている積立額より低い積立」を行っており「必要に応じた取崩」までやっています。横浜市はそのことについて「市民サービス向上のための予算を確保するため、将来の返済に影響のない範囲で、積立額を押えてきました」と市民に説明をしています。我が党委員がこの横浜市の例も示して公債償還期基金からの計画的な借入をすべきと求めましたが、財政当局は今まで通りのお題目を唱え、収支不足を市民サービス改悪で乗り切ろうとする態度をしめしたのであります。断じて認められません

 以上、組み替え動議に賛成し、原案に反対する討論といたします。