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市議団の実績

山中議員がおこなった

大阪市職員倫理条例案についての反対討論

山中智子市会議員

2011年9月30日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただいま上程されました、議案第122号「大阪市職員倫理条例案」に対する、反対の討論をおこないます。

 反対の理由は、本条例案が、不祥事をなくし、高いモラル意識をもった職員が、市民全体の奉仕者として、いかんなくその能力を発揮することにつながらず、むしろ、ますます市民に冷たい大阪市になることを危惧するからです。

以下、具体的に申し上げます。

まず、第1です。

昨年6月、政令市一厳しい服務規律と胸をはった「不祥事根絶プログラム」が策定されました。にもかかわらず不祥事が頻発することに、市民の皆さんは、怒り、あきれ、このままでは大阪市は、市民から見放されてしまいます。本気で不祥事をなくそうとするなら、この間の取り組みについて、真剣に検証・分析を行い、原因や問題点を掘り下げる作業が不可欠です。そうした段階も踏まず、何かに追い立てられるようにして、大慌てでつくられたとおぼしき本条例案からは、高いモラルをもったすばらしい職員集団をつくることを決意し、市民に誓う、という「倫理条例」にこめられるべき熱い思いは感じられません。分限条例や懲戒条例などをつなぎ合わせ、非常にわかりにくいものとなっており、市政の主役である市民へのメッセージ力も弱く、制定の意義や必要性、効果などははなはだ疑問です。

第2です。

市長はこの間「組織の究極の財産は人である」と繰り返しておられます。そうであるなら、職員を信頼し、究極の財産である職員の、地方公務員としての身分を尊重する姿勢が貫かれなければなりません。許されない不祥事に厳しく対処することは当然ですが、一部の職員の不祥事を理由に、「甘やかさない」などと職員みんなが悪であるようなメッセージを発進し、条例で縛ったうえに、どんどん切り捨てることこそ、組織の進化につながる、と言わんばかりの姿は、職員への不信に満ちており、大多数の、市民のためにまじめに頑張る職員の士気を低めることにならないでしょうか。

とりわけ、本市分限条例にはなかった、民営化や民間委託などによって、職場がなくる職員の整理解雇を、新たに条例に位置づけようとしていることは重大です。

たしかに地方公務員法ではそうした理由による降格や免職を「することができる」と定めています。しかしながら、地方公務員に争議権が与えられていないもとで、組織の改編などによる解雇が軽々しく許されるものではなく、最大限の努力で回避すべきであることは、判例などからも明らかです。だからこそ、これまで本市でも、組織の改編にあたっては、配置転換・退職不補充などで対応してきたはずです。今回あえて、条例化することは、際限のない人減らしに踏み込むもうとするものだと言わなければなりません。

そもそも、組織の改編は大阪市の都合であり、その結果、職場がなくなることは、職員の責任では決してなく、倫理とはなんの関係もないことは言うまでもありません。ですから、整理解雇を倫理条例に位置づけている自治体など、全国どこを探してもありません。しかも、判断基準として、「勤務成績の評定の結果」があげられていることは、上司の評価が、整理解雇の白羽の矢の行方を左右する、と言っているようなものです。悪くすれば、上司の顔色ばかりを伺い、冒険や挑戦を避け、ことなかれの道を選ぶ職員をつくることになりはしないでしょうか。条例制定の趣旨でうたわれている、「市民に寄り添い、市民の声に耳を傾け、市民とともに考え、自律的に行動する職員」の育成につながるとは到底思えません。

そして、第3です。

何よりも倫理確立、モラル向上の目的は、市民に信頼され、市民を大切にする職員・職場、ひいては市民を大切にする大阪市をつくることにほかなりません。それなのに、評価を気にするあまり、たとえば「地域から市政を変える」使命を抱いて、地域に出かけ、住民とともに行動しようとしている職員が、上司に引き止められたらやめてしまう。相談にこられた市民にていねいに対応する職員が、上司からもっと数をこなせ、と言われて不親切になる。などということになれば、市民にとってマイナスでしかありません。

自治体にあって求められる職員集団とは、どんなものか、しっかりと考えるべき時です。経験や感性の違う職員が、市民に役立ちたいという使命感と誇りで団結し、信頼しあい、協力し、知恵を出し合ってこそ、職員・職場の能力が最大限に発揮され、市民サービスの向上につながります。互いが、上司に気に入られるうえでの競争相手となり、それぞれが孤立し、わからないことも一人で判断して市民に対応し、その結果ミスが生ずる、などという傾向が強まれば、市民にとってこれほど不幸なことはありません。こうした危険性をはらむ本条例案は、百害あって一利なしであると申し上げ、反対討論といたします。