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市議団の実績

大阪市議会 福祉増進こそ急務

井上議員が決算反対討論

井上浩市会議員

2011年10月25日

 大阪市議会閉会本会議が25日開かれ、2010年度の公営・準公営企業会計決算の認定について、日本共産党の井上浩議員が、市民病院、自動車運送、中央卸売市場の各事業会計等の決算に反対する討論をおこないました。

 井上議員は、東日本大震災後、住民の生命と安全を守り、福祉の増進をはかるという 「地方自治の本旨」がいまほど求められている時はないのに、決算に表れているのは、市民に冷たい姿であり、一方で破たんしたベイエリア開発などをすすめていると批判。「決算は認められない」とのべました。

 住吉市民病院の小児・周産期医療への特化については、東南海・南海地震はじめ差し迫って予測される大規模災害に対し、被害想定が甘く、公的医療機関が果たすべき災害医療への認識が欠如していると批判。環境の向上、まちづくり、生きがいづくりに寄与するバス事業について、採算のみに目を奪われるのでなく、他市並みに一般会計からの補助を求めました。

 中央卸売市場については、赤字経営の業者への負担軽減策を取ってこなかった冷たい市政を転換し支援策を求めました。

 日本共産党は、地下鉄事業と下水道事業会計の決算には賛成しました。

 決算はいずれも賛成多数で認定されました。

(2011年10月26日付しんぶん赤旗)


2010年度公営・準公営決算会計認定反対討論

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して2010年度大阪市市民病院事業会計、自動車運送事業会計、中央卸売市場事業会計等の決算認定に反対する討論をおこないます。

 

3月11日に発生した東日本大震災は、政治や社会のあり方について、今一度原点に立ち返って見つめ直す契機となっています。とりわけ地方政治においては、住民の生命と安全を守り、福祉の増進をはかるという「地方自治の本旨」が、いまほど求められている時はありません。公営企業においても最優先されるべきは「公共の福祉の増進」なのです。

ところが、本決算に現れているのは住吉市民病院の公的機能の切り捨て。市民の貴重なバス路線の縮小。中央卸売市場の仲卸業者の窮状には、何の手も打たないなど市民に冷たい姿であり、その一方で破綻したベイエリア開発など相も変わらず関西財界言いなりの開発路線はすすめていうのであります。

さらに、交通・水道をはじめ、ほとんどの事業で職員の大幅削減と採用凍結を続けており、東日本大震災でも、公務労働の果たす役割が再認識されていますが、これでは市民サービスの低下はもとより、技術や専門性の継承もできなくなるのであって、到底認めることができません。

以下、具体的に指摘いたします。

 

第一に病院事業の問題であります。病院局は、住吉市民病院の総合病院としての一般診療科目を切り捨て、小児・周産期医療に特化しようとしているのであり、到底、患者さんや地域住民の理解を得られるものではありません。

 私は、今決算委員会において三つの点で住吉市民病院の特化に、まったく道理がないことを指摘しました。

一つは、「量的な充足」の問題であります。大阪市が公表したデーターにもとづき南部医療圏が、どの診療科目を比較しても四つの医療圏の中で、診療科目総数の比率が、最も低く、高齢化も一番顕著にすすむ地域であることを示し、「何を根拠に充足していると考えているのか」と質問しましたが、病院局は合理的根拠をもつ答弁はまったくできなかったのであります。

二つは、「機能的な充足」の問題であります。住吉市民病院が果たしている機能的役割という点について、私は、病院局が公表した現役医師へのインタビュー調査の結果を紹介しました。その中には、「地域の高齢化の影響で需要はかなりある」「小児・周産期をおこなうのであれば、病院収支を考えるべき」「住之江区には、精神科がほとんどない」など、貴重な意見が多数あり、これらを一つ一つ検証して特化の方向を打ち出したのかを聞いても、「近隣の民間病院がしっかりしている」という意見もあると答弁するのみで「機能的な充足」に関して、具体的に検証した形跡は、なに一つ示されませんでした。

 三つには、災害医療との関係です。当時の片山総務大臣が、3月11日の震災後の国会で、「今までの公立病院の改革プランが妥当なのか検討していただかなければならない」と、災害医療を担う公立病院の役割について答弁したことも紹介し、住吉市民病院の総合病院としての機能を切り捨ててしまって、市町村災害医療センターの機能が果たせるのかと質問したのに対し、病院局長は、「特化しても小児・周産期の患者の受け入れはおこなうので、充分災害医療に貢献できる」という主旨の答弁をしました。

特定の患者しか受け入れないのに「充分貢献できる」などという認識は、災害医療の重大な後退を招くものでしかありません。また、市長は「南部医療圏での災害医療体制を、しっかりと見直していきたい」と答弁しながらも特化を追認しているわけで、東南海・南海地震や上町断層帯地震をはじめ、差し迫って予測される大規模災害に対し、被害想定が甘く、公的医療機関が果たすべき災害医療への認識が、あまりに欠如しすぎていると言わなければなりません。日常の体制と基盤が整っていてこそ初めて災害時に力を発揮できるのです。

患者さんと地域住民が切実に求めているのは、住吉市民病院の総合病院機能の堅持であることを、あらためて強調しておきます。

 

次にバス事業についてであります。

 全国の公営地下鉄で初めて累積欠損を解消するなど、今まさに、本市交通事業は、お客様第一の立場にたつとともに、利益を利用者・市民に積極的に還元する時代を迎えました。

今決算議会に先立って交通局がまとめた「新たな中期経営の策定指針案」でも、お客様に選ばれ続けるための「3つの挑戦」として、さらなる安全・安心の向上・質の高いサービスの追求・社会への積極的な貢献があげられています。

言うまでもなく、市バスは地下鉄とともに、市民・利用者にとって、なくてはならない交通手段です。そしてとりわけ、地下鉄の駅間のような長い距離は歩く事ができない方、地下鉄の利用が困難な方達の貴重な足となっている市バスもまた、しっかりと拡充してこそ、お客様に選ばれ続ける公営交通と言えるはずです。

しかし、交通局は、赤バスについては、現在の検証期間のなかで走行キロあたりの乗車人員が2,2人に満たなかった路線は廃止する、という。赤バスがあるからこそ買い物・通院などに出かけられると、赤バスを頼りにしている人たちには、余りにも冷たい、血も涙もない姿勢をとり続けています。

また、一般バスについても、この間の需給調整によって、便数の減少などおこり、市バスは不便になるばかりではありませんか。

このうえ、さらに、「アクションプラン」に基づいて抜本的な路線再編をおこない、路線や便数を削れば、選ばれ続けるどころか、利用者がバスから離れていくことは火を見るよりも明らかです。 

環境の向上、まちづくり、生き甲斐づくりに寄与するバス事業は、採算のみに目を奪われるのではなく、一般会計からの補助を他都市並に増やすよう求め拡充するべきなのに減らし続ける姿勢は認められません。

 

 最後に、中央卸売市場についてであります。

 中央卸売市場は、市民に安全・安心で安定的な食材を供給する極めて重要な公的施設であります。しかし、市場を支える業者の半数以上が赤字経営となっており、大変きびしい状況がつづいています。 

今決算委員会で私は、業者が水道局と電力会社に支払っている金額の実に3分の1を占める水道・電気の設備維持管理費の問題をとりあげました。

 本場、東部市場ともに、施設利用率が、なかなか伸びない状態が続いていますが、仮に利用率が伸びていった場合、維持管理費を分かち合う業者数が増える訳ですから、個々の維持管理費の軽減に繋がるのではないかとの質問に対し、当局は明言を避けました。

 この5年間で、8ポイントも赤字業者の割合が増え、今や本場・東部市場併せて55lの業者が赤字となっており、これでは、施設利用率が伸びるどころか逆に利用率の減少に歯止めがかからず、家賃収入の確保もままならなくなってしまいます。

施設利用率が伸びないのは、決して業者の責任ではなく市の経営努力にかかわる問題なのですから、空き室を含む施設全体の維持管理費を現在施設を利用している業者にすべて付加するという仕組みを改め、せめて空き室分相当の維持管理費は、市が負担するべきであります。

 こうした業者への負担軽減策を何一つおこなってこなかったことが、現在の手詰まり状態に繋がっているのですから、自助努力を説くだけの冷たい姿勢を転換し、思い切った業者支援をおこない、黒字の業者を増やすことで市場に活気を取り戻し、施設利用率のアップに繋げるべきであります。

 

以上、決算認定の反対討論といたします。