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市議団の実績

小川議員が行った

大阪市職員基本条例(案)への反対討論

小川陽太市会議員

2012年5月25日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表し、ただいま上程されました、議案第177号「大阪市職員基本条例案」に反対する討論をおこないます。 

 周知のように、憲法前文では主権在民をうたうとともに、第15条では、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定しています。

 つまり、戦後の民主社会にあっては、国民が政治と社会の主人公であり、公務員は国民全体に顔を向け、国民の福祉の増進に勤めることが求められています。 

 ところが、橋下市長は昨年の12月の施政方針演説で「公務員、公務員の組合という者をのさばらしておくと国が破綻してしまいます。」などと、特異な公務員観を語るとともに、「市役所職員が民意を語ることは許しません。」とのべました。また、4月の新入職員の入庁式においては、「皆さんは、国民に対して命令をする立場に立つんです。皆さんの命令には、これから大阪市民はみんな従うんです。」とも言っています。あきらかに憲法の精神に背く態度だと言わざるをえません。 

本条例案、第10条には、「任命権者が指定する職への任用は、広く公募によるものとする。」とあり、いわゆる管理職の任用を原則公募するとされています。任用の原則として、市長の定めた組織運営上の目標を最も効率的かつ効果的に達成することを目的、としており、市長より示された短期的な目標の結果ばかりをつねに追い求め、本市の中長期的な発展を阻害していることに気づかない職場になることを危惧します。市長のお眼鏡にかなわなければ、職を失ってしまう任用の幹部職員ばかりになってしまうと、市長への忠誠が絶対化されるおそれがあります。4月13日の財政総務委員会では、我が党委員の質問に「この組織自体は市長の顔色をうかがわなくてだれの顔色をうかがうんですか、そしたら。僕の顔色をうかがって、しっかりとその方針に従って組織をうごかして、」と答えました。

結局、市長の目指すものは、職員が市民に顔を向けるのではなく、市長の顔色をうかがう職員づくりであり、その具体化が今回の職員基本条例案です。 

 本条例案、第18条では、人事評価を5段階の相対評価で行ない、必ず5パーセントを最下位区分にすること定め、 第34条では「人事評価の結果の区分が2年以上連続して最下位の区分」を降任または、免職としています。

 職員が「全体の奉仕者」としての役割を果たすためには、心をひとつに力を合わせ、その力を最大限に発揮できる職場の環境が必要です。本条例案のように、職員を無理やり相対評価にあてはめ、分限免職をちらつかせ、職員間の過度な競争をあおるやり方は、相対評価を導入した民間経営においてもすでに破綻しています。

また、整理解雇をより安易に行なうことができるようにするとともに、第39条では

「民営化により、職を失った職員が、民営化先に再就職するチャンスさえあれば、免職する。」としています。これら公務員の身分保障をいたずらに低めるやり方は、大阪市音楽団の楽士について、「仕事がないなら分限だ。」という市長の発言に表れています。さらに、地下鉄や下水道事業などなど、今後、民営化するたびに、安易に大量に免職を行なうことに道を開くものです。見過ごすわけにはいきません。

  さらに43条は「職務命令違反の累計が5回となるとき又は同じ内容の職務命令違反行為の累計が3回となるときは・・・当該職員を分限処分として免職することができる」と規定しています。

例えば、地方税や国保料等の滞納に対して乱発される差し押さえや生活保護受給申請に対する「水際作戦」など、おかしな行政が行なわれることがあるが、そんなとき、職員が行き過ぎた職務命令に異を唱えることはありうることではないでしょうか。この条例が制定されれば、市民に顔を向けるより、上司の命令に忠実な職員ばかりになってしまいます。 

市民のくらしが大変になっている時、これまで以上に、市民の生活実態に目を向け、市民のサービスの拡充に全力をあげることが必要になっています。これに背を向け、市民から遠ざかる大阪市と職員作りにつながる、本条例案は、地方自治の歴史にぬぐいがたい汚点を残すことになります。以上、反対討論といたします。