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「大阪市立学校活性化条例案」および 修正案に反対する井上議員の討論 |
井上浩市会議員 2012年7月27日 |
私は日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、議案第180号「大阪市立学校活性化条例案」および修正案に反対する討論を行います。 本条例案に先立って、提案・可決された「教育行政基本条例」に対し、これは政治による「教育への不当な支配」そのものであることを指摘し、教育の条理を守る立場からわが党は反対をしました。 「教育行政基本条例」では、教育振興基本計画の策定および点検・評価に関し、地方教育行政法第23条、24条および27条に明確に定められている、教育委員会と市長の職務権限の役割分担に関わらず、教育委員会と市長が共同で策定、点検・評価するとしています。これ自体、教育の自由と自主性を歪め政治的中立を損ねるものであり、こうした違法な条例は断じて認めることができないことを表明しましたが、「学校活性化条例案」において、教育振興基本計画をふまえ、毎年学校運営の指針となるべき事項を定め、これを学校に示さなければならないとあるように、本条例案はまさに「教育への不当な支配」の具体化に他ならないのであります。 到底認める訳にはいきません。以下、具体に反対の理由を申し上げます。 まず第一に、校長の採用の原則として公募により行うと同時に、職員以外の者を採用する場合は任期付職員として採用するとしていることです。校長は教頭と協力して、教育の専門家として学校教育にかかわり、教職員への指導・援助を行い、こどもの教育を受ける権利、成長・発達を保障する教育条件整備を行政職員と共に行うなど、学校管理者として重要な任務をもっています。それだけに、校長には教育の専門家としての力量と資質および経験が求められているのであり、本条例案が示す人事方針は、校長の重要な役割からみても、あまりに軽はずみな空論という以外ありません。 第二に、学校協議会についてであります。修正案では、学校協議会の委員は教育委員会が校長および区長の意見を聴いた上で任命するとしています。公募校長と公募区長の意見聴取を盛り込んだ狙いは、特定の政治的思想を学校運営の中に持ち込みやすくしようとすることであり、ここにも「教育への不当な支配」が色濃く現われているのであります。現場の教職員やこどもたちの声が反映されることなく、どうしてこどもを中心にした風通しのいい学校運営ができるというのでしょうか。 第三に、学校選択制の手続きを制定・公表するものとし、学校選択制の導入を推進しようとしている点であります。現行でも通学区域の設定・変更を行う場合は関係学校長の意見を聞いて、区長において決定するとされており、例えば、町会との整合性を持たせるために生じた不自然な通学区域といった地域固有の問題の解決や、いじめへの一つの解決策として、柔軟に指定外就学を適用することなども、現行の仕組みの中で十分対応できるのであります。それ以外の理由で自由に学校を選択するということになれば、大半は学校の特徴で選択するということになるのであり、結果として学校間の競争があおられ、格差が広がるのは火を見るより明らかです。 公教育の崩壊に巻き込まれる最大の被害者はこどもたちなのです。 以上3つの点で問題を指摘しましたが、教育の主人公はあくまでもこどもたちです。こどもたちを「人材」ではなく「人間」として大切にするための教育こそ今求められているのであります。「特定の政治勢力の考えに基づいた人材育成」を図ろうとし、憲法に保障された教育の自由と自主性を正面から否定する本条例案には断固反対であることを申し上げ討論といたします。 |