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市議団の実績

公営・準公営企業会計の決算

小原議員が反対討論

大阪市議会

(2012年度公営・準公営決算に対する、こはら議員の反対討論)

こはら孝志市会議員

2013年10月10日

 大阪市議会本会議が10日開かれ、日本共産党の小原孝志議員が2012年度公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論を行いました。

 小原議員は、この決算は橋下徹大阪市長の褐げる「都」構想で大阪市廃止をもくろみ、民営化や民間委託等、市が果たしてきた公的役割を後退、放棄するものだと批判。「認められない」とのべました。

 大阪市営の地下鉄、バスは市民とともに市が長年にわたって築いてきた市民の財産であり、街づくりを促進する交通ネットワークとして市民の足を守り発展させてきたと強調。「累積欠損を解消し、本決算では198億円もの利益をあげ、約28億円を繰り入れ、一般会計に大いに一員献している地下鉄・バス事業の民営化には何の道理もない」と主張しました。

 小原議員は、住吉市民病院の廃止・統合は「地域住民にとって医療機能の後退にしかならず、地域で安心して子どもを産みたい、子育てしたいという市民の願いに反している」と批判。「これを補うとして民間病院を誘致するというのなら、現地建て替え案と比べて不足する小児・周産期医療をしっかりカバーできるものにすべきだ」と主張しました。

 公営・準公営企業会計の決算は維新、公明、自民、民主系の賛成多数で認定されました。

(2013年10月16日付しんぶん赤旗)


2012年度公営・準公営決算に対する、こはら議員の反対討論

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して2012年度、大阪市公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論をおこないます。

 申し上げるまでもなく、地方公営企業の目的は、常に経済性を発揮するとともに、何よりも公共の福祉の増進につとめることにあります。本市はその果たすべき責務を自覚し、市民の切なる声を聞き、また時代のニーズにも応えながら、安全で安心な住みよい街づくりを推進するため公営事業を発展させなければなりません。

 ところが、公営、準公営企業会計決算に現れているのは、橋下市長の掲げる都構想の実現にむけて、大阪市廃止を目論み、民間でできることは民間に、を合言葉にいずれの事業も民営化や民間委託等、本市が果たしてきた公的役割を後退、放棄する姿勢であります。到底みとめることはできません。

 以下、具体に指摘いたします。

 

はじめに、地下鉄、バス事業についてであります。

大阪市営の地下鉄・バスは、市民と共に、本市が長年に渡って築き上げてきた市民の財産であります。これまで地下鉄とバスが一体で運営され、街づくりを促進する交通ネットワークとして、市民の足を守り発展させてきました。そして、全国の公営地下鉄事業では初めて累積欠損を解消し、2012年度決算では198億円もの利益をあげる優良企業に成長し、必要な地域にきめ細かく走らせるバス事業を支えるとともに、今後、一般会計にも大いに貢献できる事業になりつつあります。

本決算でみれば、地下鉄会計の収益的収入における一般会計からの実質的な税の投入は、約7億円にしかすぎません。一方、一般会計への分担金は約28億円繰り入れています。そんな地下鉄・市バスの民営化には、なんの道理もありません。本年9月の市営交通の民営化に関する「市民との意見交換会」で配布された、交通局作成のパンフレットでは、「市営のよいところ」として、「市民の代表である議会がチェックしている」「赤字であっても補助を受けやすい」「市の信用でお金を借りやすい」という点を挙げています。

決算特別委員会でのわが党委員の質疑で、「良いところを残して、悪いところを改善するのが本来の改革ではないのか」「民営化は、良いところを消し去ってしまうやり方になるのではないのか」と質したのに対し、理事者はまともに答弁できませんでした。また、交通局が主張する「民営化の効果」として、効率化に向けた「職員の意識改革」「サービス向上」「一般会計への財政貢献」について、「いずれも公営でもできることではないのか」と質したのに対し、「論理的には可能だ」と答弁しているのであります。

これらの質疑を通しても、民営化の必要性や民営化の効果について、論理的に破たんしていることは明白であります。民営化に突き進む前提で予算を組み、それをもとに運営をしてきた本決算を認定することは到底できないのであります。

 

 次に水道事業、下水道事業に関してです。

 昨年から議論が続いてきた本市水道事業と大阪広域水道企業団との経営統合は5月の本市会で反対多数で否決され、あらためて市民にとってメリットが無いことがはっきり示されたわけです、議論にあけくれた時間こそ無駄でありました。それにもかかわらず、仕方がないから次は民営化だと新たな方針が打ち出されるなど、市民生活の向上をはかる事ことなどそっちのけと言うしかありません。

 いうまでもなく水道事業は市民の生活にとって最も重要なインフラのひとつであります。民営化など邪な考えはやめて、本市の過去の過大な水需要予測に基づく過剰浄送水設備等を縮小することが急務であり、本市独自で改革を行い安全安心の給水を充実すべきだと指摘しておきます。

 また下水道事業に関しても、上下分離が計画され、ゆくゆくは本市の下水道部門を解体し株式会社化を進めてゆく構想などは、公けのまず住民の生命財産を守るという責務がなおざりになります。本市は今年で3年連続ゲリラ豪雨にみまわれ多くの浸水被害を出しており、また9月には台風18号による豪雨により本市史上初の避難勧告が発令されるなど、災害に強い街づくりが求められているのであります。

 こういうなかで経営の効率化を極端に追及しながら、いつ起きるかわからない災害に対応できるはずがありません。特に集中豪雨時の危機管理にも市民の安全安心の立場からキッチリと対処しなければならず民営化はこれらに全くそぐわないもので、今後とも本市公営事業としてしっかりと取り組むべきと申し上げておきます。

 

 次に、住吉市民病院の廃止・統合問題についてであります。

 本市は、当初の現地建替案を投げ出し、小児・周産期医療機能を府立急性期・総合医療センターに統合し、住吉市民病院を2016年3月末で廃止、跡地には民間病院を誘致するとして計画をすすめています。住吉市民病院は、現地で建て替え存続をと願う地域住民の方々から短期間に寄せられた7万筆を超える署名にあらわれているように、地域住民と厚い信頼を築き上げてきた病院です。廃止されると決まってからも地域からは存続を求める声がやまず、不安や心配の声が高まるばかりです。

 そうした中で、住吉市民病院はあと2年半診療を続ける病院にもかかわらず、病院局はこの9月末に、小児科と産婦人科だけを残し、それ以外の内科や外科、精神科、泌尿器科などの一般診療科を全部閉じました。とんでもありません。とりわけ、南海トラフ巨大地震の発生も心配されている中で、果たして、「市町村災害医療センター」としての機能を充分果たすことができるのか大変懸念される問題であります。 

 また、今回の統合では、住之江区をはじめとする南部地域に不足する小児・周産期医療機能の拡充が喫緊の課題であり、地域住民からの強い要望でありますが、小児・周産期医療機能の現状確保もできないどころか、病床数が大きく減少してしまうことが明らかになりました。現地建て替え案と府・市統合案を比較したところ、小児・周産期医療のベッド数は、統合案は、現状より65床減少、建て替え案に比べれば84床も減少します。

住吉市民病院の跡地に誘致する民間病院には本市から100床を譲るとされていますが、小児・周産期医療のベッド数がどれだけ確保されるかは全く不明であり、南部医療圏での小児・周産期医療の拡充につながる保証がありません。我が党委員が、現地建て替え案なみに拡充するとなれば、誘致する民間病院は小児・周産期医療のベッド数が84床以上となるのではないかと質しましたが、理事者はまともに答えられませんでした。

 さらに、公募の民間病院が50年の定期借地契約中に小児・周産期医療を続けずやめた場合は契約を解除するのかと質したことについても明確な答弁はありませんでした。 住吉市民病院の廃止は、地域住民にとって医療機能の後退にしかならず、地域で安心して子どもを産みたい、子育てしたいという市民の願いにも反したものです。これを補うとして民間病院を誘致するというのなら、現地建て替え案と比べて不足する小児・周産期医療をしっかりカバーできるものにすべきであります。

 

 最後に港営事業、港湾政策に関してです。

 港営会計は、過去の大型開発の大失敗により現在でも厳しい状況は変わるところはありません。それにもかかわらず、スーパー中枢港湾づくり、そして現在の国際コンテナ戦略港湾づくりと続く成長戦略と称して、巨額の財源を港湾整備に投入し続ける本市の姿勢は絶対に認められません。北米等の基幹航路の維持をうたい、水深16mの主航路、新人工島の建設、岸壁の整備、延長に総事業費876億円をかけながら、実態はその航路の貨物は維持するどころか、どんどん減少し続け、今では大阪港の輸出入のシェアの%を切るまでに落ち込んでおります。

さらに、大型コンテナ船のためにと整備した夢洲の水深16mのC12の岸壁には5万トンを超える大型コンテナ船は昨年たった3隻しか入港しておらず全くの無駄としか言いようがありません、この状況を私が委員会で税金の無駄遣いではないかと質したところ、港湾局は集荷、創荷で貨物を増やし航路の維持を行うと強弁しました。集荷策は内航フィーダーを増やすという事ですが、瀬戸内諸港から釜山等にトランシップされている貨物を集めることは瀬戸内諸港の港湾整備が無駄になるだけではなく、地勢的に神戸港が近く北米向け貨物の取り扱いもはるかに多いことから大阪港に来ることは考えられません。

インランドポートも現在は月平均取扱個数18個とさんざんの結果であり、北米向け貨物の大規模な集荷創荷策など夢物語であります。このような状況でまた同じ規格の岸壁を250m延長する必要は無く即刻中止するべきです。また成り立ちも取扱貨物も規模も全く異なる府と市の港湾を新港務局、行政委員会と無理矢理統合させようとすることは断じて認められません。

 以上反対討論といたします。