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市議団の実績

幼稚園廃止条例案、生涯学習センター廃止条例案、

大阪市音楽団廃止条例案に対する

寺戸議員の反対討論

てらど月美市会議員

2013年11月29日

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、教育こども委員会に託された議案第267号、大阪市立生涯学習センター条例の一部を改正する条例案、及び、議案第277号ないし議案第295号、大阪市学校設置条例の一部を改正する条例案、議案第296号、大阪市音楽団条例を廃止する条例案、いずれの議案についても反対する討論を行ないます。

まず、初めに幼稚園の廃止条例について申し上げます。

 本条例案は、大阪市立幼稚園19園を第一期分として廃止しようとするものです。

 大阪市の幼稚園は、民間園・公立園双方が役割分担をしながら幼児教育を担ってきました。民間園は建学の精神で特色ある教育を、公立園は公の責任として、教育の機会の保障と幼児教育発展のための研究などを担ってきており、ますますその役割は大きくなっております。保護者や幼稚園関係者からは、計画案発表当初から「民営化ありき」の拙速な進め方への懸念の声は後を絶ちません。議会でも議論を重ねれば重ねるほど、公立幼稚園廃止による弊害ばかりが明らかになる状況です。公教育への責任放棄になる大阪市立幼稚園廃止は認めることは出来ません。

 その理由の第一は、支援を要する児童の受け入れ、セーフティーネット機能を積極的に発揮してきた公立幼稚園を廃止すれば、その機能が低下することが明らかであるためです。

この間の議論でも「支援を要する児童の受け入れはどうなるのか。」との問いに実効性のある具体的な答えはありませんでした。幼稚園協議会で「障害を持つ我が子が、民間園で受け入れ困難とされ入園を断られたが、公立園で受け入れてもらえた。公立園がなくなると行き場がなくなってしまうのでやめてほしい。」との保護者の声や、「障害のある児童の受け入れは公立園が担ってきた。」「障害を持つ子供が増加する中、私立としても努力をしているが、補助金などの条件がわからない中で、要支援児の受け入れの判断ができない。」など民間園経営者からも不安の声が出されています。

10月に教育こども委員会で行きました川崎市への行政視察では、すべてを民営化した川崎市の実態を聞きました。問題となったのは、支援を要する児童の受け入れ機能は保障することが出来るのかということでした。結局、要支援児の受け入れは各園の裁量に委ねられ、保護者は自ら受け入れ園を探し直接申し込まなければならず「自己責任」が押し付けられている状況でした。大阪市は2002年と2012年を比べますと、児童数は減少する一方、要支援児童数が約2倍になっていることを直視すれば、ますます公立幼稚園の役割は大きくなっているのであり、公立幼稚園を廃止して「要支援児童の受け入れ機能低下はさせない。」などということはありえないのであり、到底認められません。

第二に、多様な幼児教育を市民が選択することが出来なくなるからです。

幼稚園協議会や陳情書などでも、「大阪市立幼稚園の教育内容を選びたい」と多く出されました。幼小連携でスムーズに小学校生活に入っていける、経験をつんだ教員が教育してくれるなど公立幼稚園の教育内容に共感して選んでいるとの意見が多く、また、収入が低い家庭でも幼児教育が安心して受けられているなど、公立でしか出来ない中身であり、公立幼稚園がなくなればこれらの選択肢は失われます。また大阪市立幼稚園は、教育実践に基づく研究を長年に渡り行い、民間園も含め全国の幼児教育の先頭に立ち引っ張ってきました。 

市長は「公でなければ出来ない教育内容はない」と言って、全く現状を見ようしませんが、公立だからこそできていることは大きく、重要な役割をはたしているのです。 

第三は、「民営化先にありき」で、市民の声に一切耳を傾けていない本市のやり方は許されないからです。

8月6日に市の幼稚園協議会が開かれ、そのわずか日後に廃止19園を発表しました。各区で開かれた幼稚園協議会や説明会でも、区長が市民の声を聴いて決定すると信じて訴えた区民に対し「市長がきめたから仕方ない」と言う始末、「民営化ありきでこちらの意見を聞く気が見受けられない。」「やりましたよと言うパフォーマンスに付き合わされた。」と怒りの声があがりました。

地域の連合町会などからも廃止反対の声があげられ、大阪市立幼稚園は市民の寄付で建てられたものもあり、地域ぐるみで育ててきたとの思いも強く、反対署名も多く託され、広がり続けているのです。

 続いて、大阪市立生涯学習センター条例の一部を改正する条例案についてであります。

 本条例案は、市内に5館ある生涯学習センターのうち弁天町、城北の2館を廃止すると言うものであります。当初は難波を含む3館の廃止から、市会の議論を経て当初廃止とされていた難波を存続させたうえで、貸館利用料を2割値上げし、弁天町、城北2館の廃止を決めたものであります。廃止されることとなった弁天町・城北のセンターを利用していた市民には到底納得できる説明ではなく、生涯学習の機会を奪うものであり、市民の生涯学習という生きがいやそれを通じて築き上げてきたコミュニティを、大阪市が非情にも壊すということは許されないのであり認められません。

 市民学習センターではコーラスや水彩画、朗読、似顔絵など多種多様な教室が、市民の手作りで展開されています。生涯学習活動が、生きがいの場であり、そこに集まる仲間のコミュニティの場でもあります。それが、市政改革プランに方針があるからと言って突然奪われることに怒りの声が上がっています。当局は「市民の自主的な学習の場の確保については、本市市民利用施設をはじめ、その他公共施設や民間施設等についての情報提供につとめていく」としていますが、「ピアノがある施設は少なく、気兼ねなく歌える施設はない。」「お金をたくさん出せればあるかもしれないけど、ほとんどの人が行き場を失う。」など切実な声が上がっており、こうした学習の場が奪われることになります。

 また、市民学習センターを拠点として人々が集い、地域の賑わいになり、生涯学習を通して地域福祉にも貢献しています。城北市民学習センター秋祭りは毎年、2日間で4580人もの人々が集うイベントへと成長してきました。似顔絵教室は、秋祭りの人気コーナーになって「毎年こどもの似顔絵をかいてもらってます。」と地域住民に楽しんでいただき、近隣区の老人福祉施設を訪問しボランティア活動にも取り組み、「最初、無表情だったお年寄りが笑顔を見せてくれ、お年寄りも自分たちも元気になっていると気がついた」と感想がよせられるなど、弁天・城北それぞれの地域からも市民学習センターの存続が強く望まれているのであります。

最後に大阪市音楽団条例を廃止する条例案について申し上げます。

 日本で唯一の自治体直営にして、わが国最古のプロ交響吹奏楽団・大阪市音楽団の90年に及ぶ歴史は、市民の情操を豊かにするため、『定期演奏会』や『たそがれコンサート』などを開催するとともに、市内の園児・児童に対し『合同音楽鑑賞会』を実施し、音響・照明・舞台設備の整ったホールでの生の音楽にふれる機会を提供することで、心の豊かさを育むことの一翼を担ってこられました。

 また、中高生に対して、『吹奏楽指導』を行うことで、大阪市内の吹奏楽部レベルを引き上げるなど、文化・社会的演奏活動に多大な貢献をされてきました。

 「市音」の愛称で親しまれてきた大阪市音楽団が、市民社会の中で、いかに重要な存在であったかということはいうまでもありません。

 ただ採算に合わないからというだけで、本当に伝統のある大阪市音楽団を廃止することは、あまりにも乱暴な議論です。

 文化的市民を育てるには、文化や芸術に対する公的支援が必要であることは、当然ではないでしょうか。

 『生きている文化財』の大阪市音楽団は今後も存続すべきであると申し上げ、議案第267号、277号ないし295号、296号に対する反対の討論といたします。